佐久間闇子と奇妙な世界

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<<   作成日時 : 2016/07/03 00:00   >>

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フィー、幸せか?
お前は今・・・幸せか?
元気か?
痛いところは無いか?

最近は、フィー以外の人間に価値が無いように思えてくる。
彼女以外の景色が灰色に見える。
恋愛を楽しんでる奴らを見ると、胃の辺りが重苦しくなる。
はしゃいでいる子供を見ると、蹴飛ばしたくなる。
野に咲く花を見ると、全て毟り取ってやりたくなる。
小鳥が飛んでいるのを見ると、握り潰したくなる。
笑顔の人間を見ると吐き気がする。

・・・いつから俺は、ここまで歪んでしまった?
しっかりしろ、モース・リーガル。いつからそんなに弱くなった?

フィーが俺を惑わせたんじゃない。
俺が勝手に袋小路に入り込んだだけのことだ。

そういえば、彼女とこんな会話をしたことがあった。

『またプロポーズされたのか。』
『ああ、これで17人目だ。ラドル以外にも物好きが多いな。』
『17人も言い寄る男がいるなら、もはや物好きではないだろ・・。実際お前は、強く、美しく、気高いの、三拍子。そりゃあ惚れる男の10人や20人いても当然さ。』
『・・・理解できないね。同じ組織に属する同胞であり、一緒に働く同僚であり、共に生きる仲間である。人間同士の関係で、これ以上のものがあるとは思えない。私は、恋愛というものが本当に理解できないんだ。朝は爽やかに目覚めて、昼間は仕事に打ち込み、夕方には酒を一杯やりながら食事して、夜は充実感をもって眠りに就く。それが私の幸せなんだ。もしも恋愛をしたら、私は不幸になると思う。ラドルの言う通り、私は恐がっているのだろうな。』

ああ、そうさ、フィー。
お前は正しいよ。

恋愛をしたら、お前の価値が下がる。
不幸になるというのは当たっている。

恋愛が幸福に結びつくというのは、必ずしも正解ではない。
そんなこと言っても、恋を知れば考えは変わるとか、あの生意気なラドルあたりは言いそうだな。

恋愛至上主義者め。
お前らは何もわかっていない。
この世が恋愛だけで出来ていると思うのか。クズが。

フィーのような人間は“異端”なのだろう。
恋を知っている連中は、したり顔で先輩風を吹かし、彼女を侮辱する。

冗談じゃねえ、フィーを侮辱する奴らなど、みんな死んじまえ!

何の権利があってフィーを下に見る。
フィーはお前らなんかより遥かに上だ。

ああ、俺も無意識的に先輩風を吹かしてないだろうか。
調子に乗るなよ、モース・リーガル。
フィー・カタストロは、お前ごときが侮辱していい存在じゃないんだ。

ならば?
ならば?
モース・リーガルでなかったら?

・・・そうだ、“私”はモースではない。
アンティローグのリーダー、十戒の第一位、“唯一神”クリエ・ソゥルだ。

この手で、フィーを、犯し、殺し、はらわたを貪り尽くしたい。
他の何を偽ってでも、自分を偽ってでも、フィーを奪ってしまいたい。
は、は、は、は、最高に矛盾している。

いつから俺は、こんな人間になった?
いつから俺は、こんな矛盾した人間になった?

他の誰にも、自分にすら“フィー・カタストロ”を汚させたくないと思っている一方で、滅茶苦茶に蹂躙してしまいたい。
なんという二律背反。

この恋愛は不幸しか生まない。
それがわかっているから告白も出来ない。

当たって砕けろなんて、砕けたことの無い人間のセリフだ。
転んだ人間は起き上がれるが、砕けて内臓をぶち撒けた人間が起きてきたのを見たことはないなあ。

立ち直れるようなら砕けてはいない。
砕けるってのは、再起不能になるってことなんだ。

フィーの言う通り、同胞であり、同僚であり、仲間である関係で満足するべきだ。
告白して拒絶され、それすらも失ったら、俺は生きていられる自信が無い。

ククク
だがね

簡単なことなんだよ。
フィーを殺して、その悪夢の絶頂のうちに逝けばいい。
想像するだけで全身が甘美な悲鳴をあげている。

・・・いつから俺は、こんなに歪んでしまった?

いつから・・・?
いつから・・・

ああ、そうだな。
6年前の、あの日からだ。


フィー、もう俺は取り返しがつかない。



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エスパー奇譚』長編小説 「千里」 NEKTAR 目録
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2016/07/03 00:01

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
火剣「モース・リーガルとクリエ・ソゥルの強烈な独白」
コング「子供や花や小鳥に罪はない。自己中バカップルは脅してもいいけど」
ゴリーレッド「歪んでいるな」
火剣「フィー・カタストロに恋愛なんかしてほしくないと思っている戦士もいる」
ゴリーレッド「コムザインか」
コング「17人にも言い寄られるとはモテモテ。強く、美しく、気高いか。理想的だ。僕の三拍子は美乳・美ボディ・美脚だが」
火剣「恋愛が人の心を狂わせるのは確かだ」
コング「僕も千香以外の女は人間じゃないと思っているからモースの気持ちもわかる。ほかは灰色。でも真由や瑠璃子やかごめ、亜衣麻衣あいアイ、ジャスミン、ヨーコ、佐倉巡査もタイプだが」
ゴリーレッド「全然一筋ではない。灰色どころか全然薔薇色だ」
火剣「全てを奪ってしまいたい。滅茶苦茶に蹂躙したい。陵辱してしまいたい。この気持ちは男ならわかる」
コング「滅茶苦茶にしてという女子もいる。でも殺されるのは困る。はらわたとか残酷なことはよそうよ」
ゴリーレッド「6年前のあの日?」
火剣「砕けるとは再起不能か」
コング「フィーもつみびと」
ゴリーレッド「本当に好きなら同志として付き合えばいい。恋心よりも尊敬を勝ち取るのだ」
コング「なるほど告白して軽蔑されたら死にたくなるか」
火剣「ラドルみたいに参らないのは稀だからな」



火剣獣三郎
2016/07/03 09:44
>火剣さん
狂おしいまでの思いですが、相手を尊重する思いも同じだけ強く、二律背反の中で歪んでいきました。
モースの思いが届いたわけではないですが、「サトリン」時代でもカタストロは独身です。

山田「恋愛が最高の幸せという人が多くいる中、そうでない人は苦しんでいる。」
神邪「誰にとっても最高というわけではないですよね。」
八武「モースは一途な男だ。かくありたいと思うこともある。」
維澄「今からでも妻一筋になろう。」
佐久間「そう、私を見習おう。私も山田以外に男を感じない。」
山田「説得力が見当たらないが。」
佐久間「本当だ。」
八武「はらわたを貪りたいというのは、おそらく猟奇趣味ではない。食べちゃいたいほど好きだという思いが、行き過ぎると本当に食べたくなる。」
維澄「恋人のシチューを泣きながら食べる少年の話に、背徳的な興奮を覚えたことがあった。」
佐久間「なるほど、わかる。」
山田「用心しよう。」
神邪「恋愛の形も人それぞれですね。カタストロさんは、恋愛するとしても精神オンリーな気がします。」
八武「気になるのは6年前。6年前というと・・」
維澄「ティムが“神酒”を誰かに譲渡した頃、だね。」
アッキー
2016/07/03 13:12

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