佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 「NEKTAR」 二十八、幸福

<<   作成日時 : 2016/07/06 00:00   >>

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5番目の神化系能力者ダンツォルティ・アビリュステロスは、“神酒”を搾り取られるだけの家畜として生涯を終えた。
彼が搾り取られたのは、血や肉片だけではない。良い家畜は増やしてこそだという、飼い主の言葉によって、彼は数え切れないほどの女と交わらされた。その多くが奴隷か、そうでなくとも身分の低い女だった。
ダンツォルティの子孫は多く生まれたが、誰も彼の能力を受け継がなかった。それどころか、超能力が目覚める者さえ少数だった。神化系能力が遺伝しないということは、当時の知識には存在していなかった。

時は流れ、20世紀の半ば。子孫の1人が生まれ、パラメッタと名付けられた。
パラメッタは不幸な少女だった。生まれてすぐに両親に捨てられ、幼年時代を孤児院で過ごした。
12歳のときに身売りされ、性の道具として、薬の実験台として、15歳までを過ごした。

1966年、パラメッタは1人の少年、ティム・タロニスと出会った。
この出会いがパラメッタの人生を大きく変えた。
“不規則”と“変性”の名を持つ少女は、自らの名に“正当”を加え、“パラメーツォルティ”とした。
祖先の血肉だからだろうか、“神酒”は彼女の体によく馴染み、ティムの指導のもとで強力なエスパーに成長した。

パラメーツォルティは、今まで不幸だった分、自分には幸福になる権利があると考えた。
彼女の“幸福”とは、いったい何なのだろうか―――


- - - - - -


アルカディア砕組の、残るメンバーは、報組と協力して各地の残党を捕獲していった。
それと同時に一般市民の救助、避難誘導を行い、順調に事態を収拾していた。

第十一分隊長リッチモンド(30歳)は、避難所を上空で監視していた。
(異常ナシ。)
不審者は見当たらない。
しかし報組のメンバーが浮かない顔をしているのを見て、彼は地上へ降りてきた。
「はァい、どうしたの。」
「リッチモンドさん、さっきから妨害念波が出てるんですよ。」
「近くに敵が?」
「クリエ・ソゥル以外にも、巫女連中が残っていますから・・。」
「ふゥん。B1級が4人だか5人だかいたよな確か。我々を人質にするつもりだとしたら、全員で向かってきてもおかしくないか。」
「シャレにならないことを軽く言わないでくださいよ。」
「なァに、いざとなればESPリミッターがある。アンティソーマを組み込んだ、新型のやつだ。こっちも能力を使えなくなるが、人数で勝ってるだろ?」
「はあ、なるほど。」
「足りなけりゃ土組ンときみたく、救助者の中から元気なのを選んで戦わせりゃいいし。」

そこへ気味悪い声が響いてきた。
「甘〜い。」
「!?」
リッチモンドは即座に急上昇。
第十一分隊8人で、上空から不審者を捜した。
報組のメンバー40人は、テレパシーと予知、透視を駆使して索敵する。
しかし発見できないまま、不気味な声も収まらない。
「クァ、クァ、クァ、お前ら如きに見〜つかるもんか〜!」
避難民たちも、ざわめき怯えている。
その表情は、これからの彼らの運命を暗示しているようだった。
「うっ!?」
リッチモンドは背後から首を掴まれた。
「ヒィ、ヒィ、ヒィ、感謝する。こんなにたくさん食料を集めてくれて・・・。」
空間を歪めて現れたのは、1人の女。
獲物を前にして舌なめずりをする獣の笑顔。
その名はパラメーツォルティ・アビリュステロス。
(ESPリミッターを起動しろ!)
リッチモンドの心の叫びを受けて、地上のメンバーが動揺する。
リミッターは味方にも作用する。今それを使ったら、リッチモンドは墜落する。
(早くしろ!)
間に合わない。パラメーツォルティは既に地上。
「こいつが新型か。」
装置を破壊されてしまうと、誰もが思ったが、彼女は逆にスイッチを入れた。
「なに!?」
地上近くまで降りてきていたリッチモンド隊の8人は、大した怪我もなく着地した。
(とにかくチャンスだ!)
十数人がパラメーツォルティに襲いかかった。

「馬鹿じゃねえの?」
彼女は笑いながらサイコキネシスで弾いた。
「はいはい注目〜。人が喋ってるときに攻撃しな〜い。」
あたりは騒然となった。泣き出す子供を宥める言葉が飛び交う。
「大丈夫よ、リッチモンドさんたちが守ってくれるから・・・!」
しかしリッチモンドはパラメーツォルティに再び掴まれていた。
「はははは皮肉だね。ESPリミッターによって、お前ら全員、超能力を封じられてしまいました。わたしを封じられると思ってた? ん? それとも動きが速すぎるって思った? 索敵できないのは何でって思った? 単純に、わたしが強いだけなんだよ。出力もべらぼーにあるし、複数の能力を同時に使うのも、お茶の子さいさいだよーん。アンティローグの連中とは出来が違うのさ。」
「お前は、アンティローグじゃないのか?」
「良い質問だ、リッチモンド・スカイハイ。わたしはパラメーツォルティ・アビリュステロス。くくく、アンティローグなどというのは、わたしの目的を果たすべく存在していた傀儡組織に過ぎない。クリエの馬鹿がカッコつけて死んだもんで、わたしの出番になったわけだ。やんなるなあ、予定狂っちまう。」
「な・・・!?」
「そんなことよりも、もっと聞きたいことがあると思うけどなあ。これから自分たちがどうなるか知りたいでしょ?」
どろりとした笑顔で、パラメーツォルティはリッチモンドに顔を近づけた。
「お前たちはね、わたしの養分になるの。エネルギーを吸われてミイラになるの。こんな風にね。」
「ぎっ・・!?」
リッチモンドは一瞬で吸い尽くされた。
彼のミイラ姿を見て、人々は恐怖で叫びながら逃げ出した。
「馬っ鹿でい。逃げられると思ってんのか?」
既にバリアーが張り巡らされていた。
逃げられない。
「Unfortunate! いただきまーす。」
パラメーツォルティは赤い舌を出して唇を舐めた。
「ひいいいい!?」
「いやあああ!」
「助けてくれえ!」
そうやって悲鳴をあげる人々からミイラになっていく。
「おいしい、おいしい。」
彼女は、幼子を庇う女性の前に降り立った。
「うん、次はその子にしようかな。」
「お、お願いです! 殺すなら私だけにしてください! この子だけは見逃して!」
「泣かせる親子愛ってやつ? でもダ〜メ。」
パラメーツォルティは、泣き喚く幼子をつまみあげると、物を飲み込むような仕草でもってミイラ化させた。
「うまーい。でも量が少なーい。」
「ああああ! 殺してやるう!」
若い母親が掴みかかろうとするが、サイコキネシスのバリアが阻む。
「どうせ殺されるなら!」
「戦って死んでやる!」
惨たらしい光景を目にした人々は、やけになってパラメーツォルティを攻撃した。
いや、それは攻撃と呼べるものではなかった。片っ端から吸われてミイラになっていった。
「おいしいおいしいおいしいおいしい・・・・・・ごちそうさまでした! アハハハハ!」
大量の屍が転がる中、パラメーツォルティは笑いながら姿を消した。


- - - - - -


少し時間を戻し、コムザインはカームを叩き起こしていた。
「おい、起きろ。」
「ごほっ!?」
半日は起きない衝撃を与えられていたところへ、強制的に覚醒させられて、カームは咳き込んで吐いた。
「ぺっ、ぺっ・・・。コムザイン副隊長? 僕は一体・・・?」
「ちょっとそいつらを見とけ。俺は本部へ戻る。」
「そいつら?」
カームが周囲を見回すと、廃人寸前の男たちで埋め尽くされていた。その数3万6千。
「何だァ!?」
「説明は後だ。俺も戦況を全て把握してるわけでなし・・。」
「本部との通信は?」
「通信機は壊れた。本部へ救援を呼びに行くから、そいつらがなるべく死なないように気を与えておけ。」
「あ、はい。」
慌しく飛び立つコムザインの姿に、カームは不吉なものを感じた。
しかし呼び止める間もなく、遥か彼方へ飛んでしまっていた。
(何が起こったんだ・・・。何が起こってる・・・。)
頭痛と吐き気で、テレパシー、予知、透視が使えない。
(副隊長、死なないでください・・・。)
しかし彼は、自分にも魔の手が忍び寄っていることに気付いていなかった。

午後になっても、妨害念波は出続けている。
(クリエ・ソゥルがまだ生きてるのか・・。)
ある程度ESPを回復して、フィー・カタストロがニューヨークへ向かったことなど、戦況も少しずつわかってきた。
しかし妨害念波のせいで、詳しいことはわからない。カームの不安は大きくなる。
(カタストロ副隊長が負けることは万が一にも有り得ないが、心配なのはコムザイン副隊長の方だ・・・。)

そこへ後ろから女の声がした。
「人の心配してる場合?」
「!?」
「Good afternoon.」
「お前は・・・巫女・・・パラメッタ!」
「間違ってもいないけど、その名で呼んでほしくはないなァ。わたしはパラメーツォルティ・アビリュステロス。」
「・・・・・・。」
(不気味だが、巫女ならB級の出力のはず。油断さえしなければ・・・。問題はアイドに精気を吸われた連中を守らねばならないということだが・・・。)
カームは相手を睨みつけて身構えた。
しかしパラメーツォルティは首をかしげる。
「何だ、反応ナシか。やっぱ、お前も雑魚だわ。」
「・・・?」
「安い挑発だとか思ってる? わたしがB級程度だと思ってる? 廃人どもを守れるかどうかが主要なことだと思ってる? あっははははは、舐められるのは嫌いじゃない。自分より弱い奴に見くびられても楽しいだけだ。」
「“酒の勢い”(スルギム)!」
「びしっ、とな。」
指一本で弾かれた。
「・・・!」
「人の話は最後まで聞くもんだよ。その流体サイコキネシスで自分の仲間を傷つけたこと覚えてる?」
「何の話だ!」
「言われて思い出したんじゃないの? ヴェネシンに血を吐かせたこととか、コムザインに攻撃したこととか・・・。」
「黙れ!」
「アイドに魅了されて正気を無くし、仲間に攻撃したカーム・シュミット。あの後ヴェネシンがどうなったか知りたくないか?」
「“酒の勢い”!」
「べしっ、とな。」
パラメーツォルティが手をひらりと振るだけで、カームの攻撃は弾け飛んでしまう。
「く・・・!」
「そんなに死にたいなら早々に殺してあげるけど、その前にわたしの食事でも見ていってよ。」
ブゥンと独特の鈍い音と共に、巨大な結界が周囲を包み込む。
膨大なエネルギーが吸い取られていく。
「ぐああああああ!?」
「アイドが吸った残りカスだが、3万いくらかあれば少しは腹も膨れるだろう。カーム、お前はそこで見ていな。」
(くそおおおおお!)
「いいよォ! もっと嘆いていいよォ!」
いくら気力を振り絞っても、指一本たりとも動かせない。ひたすらエネルギーを吸われ続けた。
ミイラの山の中で、カームは精根尽き果てて横たわった。
「お前は生かしてやるよ。生きて苦しめ。」
(・・・くそ・・・畜生め・・・悪魔め・・・!)
「悪魔? わたしは幸福を求めているだけさ。悪魔は他にいるよ。」
そう言ってパラメーツォルティは姿を消した。


- - - - - -


それから僅か数分後、パラメーツォルティはコムザインの前に現れた。
空間の歪みを感知したコムザインはスピードを緩めたが、その直後に強烈な蹴りを食らった。
「どーん!」
「ごっ・・・!?」
「あんまり急いで、ごっつんこ〜。どこ行くの、壊滅大帝コムザイン。」
「・・その服、巫女の1人か・・。」
「話が早くて助かるん。わたしは“再生”のパラメッタ・・・改め! “幸福”のパラメーツォルティ・・・!」
「今日は小娘の厄日だな。」
コムザインは容赦なく全力のサイコキネシスをぶちかました。
その途端、パラメーツォルティの目が真剣になる。
「よっ・・」
コムザインの真横から打撃。
「ぐっ・・・!」
「うん、うん、いいよォ。最初の一撃でわたしが強いってことをわかったと見える。手加減ナシ。流石はコムザイン。しかし、勝利には届かな〜い。利口じゃな〜い。」
「ほざけ小娘が!」
「くひっ。」
コムザインの攻撃に対し、今度は真っ向勝負。
(馬鹿な! こいつ、念力を“絞れて”やがる!)
「ンハハハハ、アンティローグの雑魚連中と一緒にすんなよ。出力だけのアイドとは違う。お前の力を100とすると、わたしは355くらいかな? それがそのまま力の差だ。それと、言われる前に言っておくが、わたしの念力量は5万7千。お前の55万には遠く及ばなくとも、何百時間でも戦えまっする!」
力勝負でコムザインは競り負けた。
そのことが大きな動揺になる。
(くそっ!)
重幹部7名のうち3番目の出力を誇るコムザインは、パワーで負けた経験が殆ど無い。
パワーで劣る相手への対処が、どうしても経験的に不利だ。
それでも怯むことなく次々と攻撃を放つが、全て見切られている。
テレポートで姿を消したと思ったら、すぐに死角から現れる。
ヒットするのはパラメーツォルティの攻撃ばかり。コムザインは手も足も出ない。
(馬鹿な・・・この俺が小娘ごときに・・・)
「ダメだね、アイドのときと同じ感覚で戦ってるでしょ。複数の能力をまともに使えれば、こんなもんだよ。」
3倍以上の出力のサイコキネシス。
速く正確なテレポート。
思考を読むテレパシー。
透視と予知の組み合わせ。
パワーだけではない。技量の差を覆して余りある複合能力は、実際には4倍以上の体感がある。
念力容量も5万7千。
全ての能力をフルパワーで使用したとしても、5日間近くぶっ通しで戦える。

もはやコムザインに勝ち目は無かった。

「そうだ、こういうのはどうかな。“酒の勢い”!」
「!?」
その攻撃は弾いたが、コムザインは目を丸くしていた。
「驚いた? オドロイタ? おろろいた? アハハハハハハァ!」
「何だその能力は!?」
「たまには土産を持たずに冥土へ行くのもいいもんさ。世界の果てまで飛んでいっちゃえ・・・テレポート・ブラスト!」

凄まじい衝撃波がコムザインを襲った。
その1秒後には、彼の血肉が散乱していた。
「ニャハハハハ!」


- - - - - -


クリエ・ソゥルとの戦いが終わって、休息を取っていたカタストロは、疲れも取れないまま飛行していた。
夕刻も近くなった頃、突然コムザインが血まみれで降ってきた。
「!?」
「ぐう・・・・・・」
「どうしたコムザイン!?」
体表を大幅に削り取られながらも、コムザインはテレポート・ブラストに耐え切っていた。
カタストロと協力して傷を修復する。
「アイドにやられたのか?」
「馬鹿言え。レストとペックごと片付けてやったよ。・・・フィー姉はクリエを斃したんだな?」
「・・・ああ。」
カタストロは表情を暗くしたが、コムザインは気付かない。
「てことは、これで十戒は全滅・・・だが、とんでもないのが残っていやがった。道理でギガマイルめ、俺やフィー姉を温存していたわけだ。」
「・・・巫女の中に、お前をここまで痛めつけられる奴がいたのか?」
「俺も信じられなかったがね。そいつはパラメッタ・・・いや、パラメーツォルティと名乗っていた。」
「なに?」
ゾッとした。否が応にもダンツォルティを連想させる名前。
カタストロは目を大きくして呟いた。
「まさか、そいつ・・・」

「ピンポ〜ン!」
カタストロが言いかけたとき、気味の悪い声が響いてきた。
(そこだ!)
空間のブレを見極めて、カタストロの念爆崩拳が放たれる。
「ごあいさつだね、フィー・カタストロ。」
「その服・・・巫女、か?」
「まあね。でも今は“再生”の巫女パラメッタじゃない。わたしの本当の名は、パラメーツォルティ・アビリュステロス。」
「“アビリュステロス”だと!?」
カタストロは目を丸くした。
「アハハハハァ、嬉しいね。嬉しいね。ようやく“アビリュステロス”の名を知っている奴に出会えたよ。楽しませてくれるかな〜?」
「ダンツォルティの子孫か!」
「その通り。そして、わたしは“神酒”を飲んだエスパーの能力を、全て同時に発現できるのさ・・・。人権など最初から無い孤児(みなしご)に、天は最も欲しい能力を与えてくれた!」
「さっきの“酒の勢い”もそれか・・・!」
「そう。生き残ったゴホウビね。どこに飛ばしたやらわからなかったけど、ここに飛んでくるなんてラッキーだね。2対1でも、わたしは一向に構わないけどね〜。」
パラメーツォルティは軽く笑っている。

「わたしは不幸だった。ひたすら不幸だった。親に捨てられ、鬼畜どもに売られ、便所として、実験動物として過ごしてきた。そんな不幸なわたしは、幸福になる権利を持っているのさァ。今までが不幸だったから、これからは幸福になっていい。クヒヒ、アハハ、わたしの幸福とは! 人を不幸にすること! 人に理不尽な死を与えること! 人の不幸は密の味ってな! アッヒャヒャヒャヒャヒャ! その為に作ったのが“アンティローグ”だ。心に傷を負った人間、心が歪んでいる人間にはたらきかけ、傷を広げ、歪みを増幅し、取り返しの付かないところまで行き着かせる。楽しかったぜえ〜。ディバウアに己の境遇に疑問を持たせ、貪欲にすることに成功した。パージャに偽の依頼をして敗北させた。疑問を持たせたのはノーティもだったなァ。ルードの性欲を耐えられないまでに増幅し、その兄マーダの嗜虐心を人間に向けた。命の尊さを感じさせないようにも操作したっけ。ペックが両親を殺すように暗示をかけたし、レストの妻に心無い言葉を吐かせたこともあった。ベインの記憶に憎悪で味付けもしたな。アイドをスカウトして罠に嵌めたのは、我ながら会心の出来だった。ククク、人を狂わせるって、何て楽しい。特に面白かったのがクリエ・ソゥルだ。愛しい女を求めると同時に、崇めて苦しむ二律背反・・・それを増幅してやったのさ。クリエは何でも言うことをきいたぜえ? 愛しの女の姿で誘惑してやれば、後は言いなりさ。ヒャアハハハ、女の味を教えてやったら、クリエの奴はド淫乱になっちまった。神殿で、のべつまくなしに女を抱きまくって・・・。クィヒヒヒ、人が狂って豚になっていくのを見るのは、楽しかったァ・・・!」

パラメーツォルティはカタストロを見つめながら、得意になって話した。
クリエ・ソゥルの正体は、モース・リーガル。34年前から苦楽を共にしてきた仲間だ。
「話は終わりか?」
しかしカタストロは、いつもと変わらない冷静な口調で言った。
(フィー姉が怒ってる。かつてなく怒ってる・・・!)
コムザインには見えた。カタストロの全身から青白い稲妻が迸るのを。

「怒ってる? 怒ってるね? ウッフフフ、でもわたしには幸福になる権利があるからァ〜。今まで不幸だった分を取り返すだけだよ? わたしの幸福は人の不幸! わたしは、もっともっと幸せになる! 2対1でもねェ、そろそろ夕方・・・日没も近い。おふたりさん、夜間戦闘は得意かな? 忘れてないと思うけど、透視能力は暗闇では便利だから。これから、お前らを殺し! 残りの奴らも殺し! いくらでも湧いてくる人間を、食って食って食いまくる! ああ! ああ! わたしったら! また幸せになっちゃうなァ〜!」

赤く染まりつつある太陽を背に、パラメーツォルティは両手を広げてゲラゲラ笑っていた。



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エスパー奇譚』長編小説 「千里」 NEKTAR 目録
□□□□□□□□□□ ...続きを見る
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2016/07/06 00:01

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
火剣「思わず絶句してしまう」
コング「ここまで悪い子とは思わなかった」
ゴリーレッド「人を不幸にして幸福になれる人間はいない」
火剣「ティム・タロニスとパラメッタは1966年に出会っていた」
コング「(4)てまさか」
ゴリーレッド「リッチ・モンド、無念過ぎる」
火剣「カームも悔しいだろう」
コング「泣かせる親子愛もパラメーツォルティには通用しない」
ゴリーレッド「完全に心を失っている」
火剣「頼れるコムザイン」
コング「何百時間でも戦えまっする」
ゴリーレッド「まさかコムザインまでが」
火剣「コムザインが負けるところを見たことがない」
コング「本部へ攻め入る気だ」
火剣「十戒を倒してもとんでもないのが残っていた。クレアは知っていたのか?」
コング「フィーの反応に喜ぶパラメーツォルティ」
火剣「この最強コンビに2対1で勝つ気か」
ゴリーレッド「フィーを激怒させたことが誤算になるか」
火剣「人権など最初からない孤児。笑っているけど地獄の日々は忘れてないだろう、パラメーツォルティ」
コング「みなしごでも真っすぐ育ったハッチが稀で、普通は歪むか」
ゴリーレッド「さっきから軽い」


火剣獣三郎
2016/07/06 17:23
>火剣さん
レックスの初恋の少女は見る影もなく、今や不幸を振り撒く悪鬼と化してしまいました。
この十戒を凌駕する強敵に、カタストロとコムザインのタッグが立ち向かいます。

山田「これがパラメッタの闇・・・。」
八武「レックスの恋した少女はもういない、か。」
山田「悲劇だ。悲劇としか言えない。」
佐久間「だが本人は楽しそうだ。」
山田「だから余計に悲劇なんだ。もう力ずくでしか止まらない。」
八武「壊れるというのは文字通り、人格が壊れるということ。連続性はあっても、元の人格は死んだようなものだ。」
神邪「記憶喪失は逆に、連続性を失っても人格は保持していることが多い・・・。」
維澄「いずれにしても想像を絶する世界だ。私は本当の意味で理解できてるわけじゃないね。」
佐久間「本当に理解できたら、それは同じ種類の体験をしてきた者だけだ。」
山田「コムザインは何百時間どころか何千時間でも戦えるが、それも消耗はあるか。あるいはパラメーツォルティが強すぎるのか。」
佐久間「どっちかというと後者。技量は並みだが、出力355万PKPだからな。」
神邪「並みというのは、標準ということですか。」
佐久間「そう。」
維澄「複数の能力を普通に使いこなしてくる。」
佐久間「その通り。」
八武「目が離せない戦いだねぃ。」
アッキー
2016/07/06 21:19

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「NEKTAR」 二十八、幸福 佐久間闇子と奇妙な世界/BIGLOBEウェブリブログ
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