佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 呪われた森 3

<<   作成日時 : 2016/08/07 00:00   >>

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「呪い、ねぇ・・・。」
八武は首をかしげた。
自然に近い文明では、しばしば医者は呪術師と同一である。医者に解呪を求めるのは不自然ではない。
しかし問題は、これが本当に“呪い”の類だとしたら、八武には歯が立たないということだ。
「まあ、とにかく診せてもらいましょう。」
呪いとされている現象の大部分は、未知の病気である。
この集落においては“呪い”でも、医学の力で治療できる可能性はある。
「竜太郎くん、助手を頼むよ。」
「はい先生!」

ぬかるんだ道を歩き、植物の蔓で囲われた半球状の場所へ案内される。
敷き詰められた石畳は、程よく温かく、どうやら地下に温泉が通っているようだ。
(ほう、なかなかの器量ではないか。これは母親にも期待できそうだ。)
寝かされている少女は、見たところ12,3歳というところだろうか。
あどけない顔は苦痛で汗をかき、未成熟な体は不自然に・・・よじれていた。
「ふむ・・・。」
「ど、どうですか、お医者様。」
「!?」
呼びかけられるまで気配を感じなかった。
振り向いた八武の目に飛び込んできたのは、30代半ばの成熟した肢体。
そして、娘を心配して瞳を濡らしている、酋長の顔だった。
(美しい! 期待以上だ!)
褐色の肌に、黒く長い髪。黒曜石の瞳。さながら秘境に眠る宝石だ。
しかし八武は真剣な顔を崩さず、診察を開始した。
「いつから、こんな風に?」
「はい。半月ほど前、丁度、初めて月のものが来たときです。」
「なるほどねぃ。」
質疑応答しながら、少女の体を触診していく。
気温と湿度が高い地域だけに、ほぼ裸。日本では考えられない光景に、八武は感激していた。
自分の病院では、患者を自然に全裸へ持っていくのに、どれだけ苦労することか。
しかし今は、淫らなことを考えているときではない。
「ちなみに彼女、年齢は?」
「16歳になります。」
「うん?」
思わず八武は目を見開いた。
(それではむしろ、発育不良ではないか。しかも初潮を迎えたのが半月前・・・。)
それから2,3、質問し、八武はバッグから注射器を取り出した。
「とりあえず採血と、栄養注射を打っておきましょう。竜太郎くん、検査キットを。」
「はい。」
流れるような仕草で、その作業をこなしながら、八武は思考を巡らせていた。
(それに、不可解なことは他にも・・・・・・いや、それは今は置いておくか。)



つづく

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タイトル (本文) ブログ名/日時
八武死根也シリーズ小説目録
<収録作品> ...続きを見る
佐久間闇子と奇妙な世界
2016/08/15 00:06

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
八武先生の理性が本能に勝ちまくっとる…。やっぱり、医者の状態が八武先生の本来の姿(標準の姿?)なんだなあと思う次第です。

さて、もし本当の呪いだったら成長を阻害しているという非常に厄介な…。何ヶ月もかけてじわじわ苦しめる陰険なタイプの呪いだ!
しかし、もし呪いじゃなければ毒物とか…?森で採れるもので酋長やその家族しか食べてはいけないみたいな高級食材が実は工場廃液を吸収していて…とか。

とにかく、ここは八武先生のお手並み拝見ですね。
千花白龍
2016/08/07 21:22
>千花白龍さん

ドクターがいつになく真面目にドクターしている、異様(?)な光景ですが、仕事モードのときはこんな感じです。
やはり仕事に真面目な男性は素敵ですよね。

さて、酋長の娘を蝕んでいる呪いは、真に呪いなのか、はたまた毒物なのか。重金属を含んだ廃液とかであれば、検査キットで見つかる可能性が高いですが・・・。
具合が悪くなったのは半月前からでも、成長が阻害されているあたり、もっと以前から兆候はあったはず?

山田「セリフだけ聞くと真面目だな。」
神邪「内心でも真面目になりましたよ。」
維澄「いつもこれなら良いのにね。」
アッキー
2016/08/07 23:40

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