佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 呪われた森 10

<<   作成日時 : 2016/08/14 00:00   >>

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「依頼された品、確かに採集してきましたよ。」
新品の白衣に着替えた八武は、竜太郎と共に野座間製薬を訪れていた。
「ありがとうございます。」
茅菜は、相変わらず明るい笑顔で礼を述べた。
そして明るい顔のまま、続けて言った。
「・・・ご先祖様。」
「えっ?」
驚きの声を発したのは、竜太郎だった。
八武は変わらず笑顔のままでいる。
「驚かれないんですのね。」
「だから私は帰ってこれた。」
「先生、まさか・・・あの村は・・・」
「そのまさかさ。採集してきた植物は、現代では確認されていない。」
「あの森は、遠い過去と繋がっていた・・・。決定済みの歴史・・・だから男を寄せ付けず、なのに先生は入ることが出来た・・・。」
「そうです。この依頼は、ご先祖様、あなただからこそ出来たし、あなたでなければならなかった。」
「君は、酋長の娘の子孫、だね。」
「そのようです。言い伝えでしかありませんが。」
茅菜はクスッと笑った。
彼女にしてみれば、あの村の出来事は遠い昔の物語でしかない。八武が味わったような臨場感は無いだろう。
「呪いの正体は、先生を留めておく為のもの・・・。先生が酋長の娘と子供を作る歴史は決定しているから、それを為すまで閉鎖空間から逃げられなかった・・・。」
「ま、そうだね。ついでに言えば、それを私が閃いたこと自体が、歴史の力なのだろうねぃ。」
そう言って八武は、指を立てた。
「ひとつ訊いてもいいかね? 君の先祖が私であることを教えたのは、佐久間だね。」
「確信してるなら質問になってないですよ。その通りです。」
「え、どういうことですか先生?」
「簡単なことだよ。佐久間の先祖に、あの村の出身者がいるだけの話だ。」
「え・・・じゃあ、佐久間さんは先生の子孫・・・!」
「・・・かもしれん。」
人を食ったような笑みで、八武は答える。
「ま、集落の全員から血液サンプルを採ってるから、遺伝子を照合すればわかることだが・・・・・・そこまで調べるつもりはないね。」
「そ、そうですか。」
「自分のルーツに興味など無い。佐久間も同じことを言うさ。それより私は・・・」
いつの間にか八武は、茅菜の隣に立っていた。
「茅菜ちゃんの味に、物凄く興味があるねぃ。」
「わ、わたしが子孫だと知っても、その気になりますか?」
これまで落ち着いた態度を崩さなかった茅菜が、初めて動揺を見せた。
「むしろ興奮するよ。知らなかったのかね?」
「あの、実は、わたし、婚約者が・・」
「最高じゃないですか!」
「先生。」
「報酬は必ず支払わせる。これが私の流儀でね。」
「先生。」
「嫌がってもいいですよ。抵抗されると余計に燃える性質でね、ククク・・・。」
「先生。」
「何だね竜太郎く・・・・・・ん・・・・・・」
竜太郎の横に、見慣れた顔があった。
少女の瑞々しさを失わないままに、豊かな肉体を持つ妻。
長い黒髪は紫電を放ちながら逆立ち、双眸は銀色に輝いていた。
「や・・・・・・やあ、ミガロス。ただいま。」
「おかえりなさい、あなた。そして死ね。」
満面の笑顔に戻ったミガロスは、笑顔のまま拳を繰り出した。
八武の顔面が愉快な物体に変わっていくのを、竜太郎と茅菜は呆然と見つめていた。




   呪われた森   了

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八武死根也シリーズ小説目録
<収録作品> ...続きを見る
佐久間闇子と奇妙な世界
2016/08/15 00:06

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時

昏睡●イプ! 野獣と化した八武先生! ……元から野獣先生でした。
ドクターがなんだかいつもより美味しい思いをしていた気がしますが、真面目な八武先生も見れて面白かったです! こうなるとせっかくだから山田さんも八武ファミ……けふんけふん!
kunai
2016/08/14 03:52
>Kunaiさん
野獣の肉体と神技のメス、そして変態の頭脳を持つ男! その名はドクターY!
いつもより真面目な分だけ、いつもよりオイシイ思いをしていたのかもしれません。最後は制裁タイムでしたがw
しかし、もしかすると山田さんもドクターと血縁?

佐久間「ありえない話ではないな。」
山田「世界各地に子供がいそうだ。」
アッキー
2016/08/14 18:43

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