佐久間闇子と奇妙な世界

アクセスカウンタ

zoom RSS ようこそ New World

<<   作成日時 : 2016/11/11 00:00   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

「式で書けるものは全て等しく存在する」(byアラン・カーミラ)


いやー、「4D」何度読んでも面白いなー。
「七夕の国」と「数学ガール」を足して2で割ったような面白さ、
と言えば、何となく伝わるでしょうか?

・・・うん、まあ、数学とか物理が好きな人だけ面白い、
理系以外お呼びでない作品だとは思うのですが、
いいんだ別に、理解されなくたって(膝を丸めながら)


「妄想少女」が刺激的で面白かったので作者買いなのですが、
期待を損なわず、そして期待以上だった・・・!

ちょっとエッチで自粛しない、汐里テイスト全開かつ、
異能バトルとか謎解きとか位相幾何とか好きな人には
たまんねえ・・・私の為に、私の為になんだね!(落ち着け


宮田秀行が素敵すぎて困る。
自らは全く4D能力を持たないが、問題を知恵で切り開く。
“能力”と“知恵”がタッグを組むカタルシス!

なんか最初は、アルキメデスのアレコレとかガロアの決闘に
代表されるような、“天才の奇行”を面白おかしく描いた系の
キャラだと思っていたわけですが、きっちり数学やっていて感動。

・・・いやまあ、某たかみね君や鈴科さん(仮)に
含むところは(あんまり)無いのですが、
異能バトルにおける数学的なセンス・オブ・ワンダーは
作者の数学的(自然科学的)教養に左右されるよねって話。

もちろん宮田は変人には違いないというか、
日常的にクスリやってたり、自宅では基本的に全裸で
尋ねてきた女子高生の前にも平気で裸を晒す、
もはや性癖ではないかと思えるアレな人ではありますが。

まあ、ヒロインの御崎沙也だって、
必要があるとはいえ、宮田さんの前で裸になってるし、
屋外でもパンツ一丁が基本の愚道とかいう人もいるわけで、
あんまり変態でもないかなァ。どういうマンガだ。


光速を超えたニュートリノとか、何気に時事問題が入ってるw
実際には光速を超えたわけではなかったんだけど、
もしも実験結果が本当だとしたらと考えることで、ようこそSFの世界へ!
ここで、「相対性理論が間違ってる」と安易に考えずに
「四次元が存在する」という発想に至るのが素晴らしい。

がっかり系の雑学を述べると、物理学における「光速」というのは
「設定上の限界」というだけで、厳密には光が光速に達することはない。

理由は2つあって、1つは単純に「完全なる真空」が存在しないこと。
どこかには存在するのかもしれないけど、人間が観測可能な場所にはない。
光は空気中よりも水中を通る方が遅くなる。(ゆえに“屈折”という現象がある)
そして空気中でも、真空よりは、わずかに遅い。

もう1つの理由は、どうやらフォトンにも、ほんの少しだけ質量があるらしい
という話があって、ゆえに、ほんの少しだが速さが光速より減衰される。
たとえ質量があったとしても、それは電子より遥かに小さいのだけれど、
それでも質量を持つ以上は、ヒッグス場にぶつかって遅くなる。

ゆえに光は「光速」に達しない。
光なのに光速に達しないのは、文学的には全く意味不明だが、
物理学の用語は、意味が変わっても名前は据え置きなのでして。


・・・がっかりする話は、このくらいにしてと。

とかく数学的な正しさを追求する姿勢が素晴らしい。
危機的状況も、それを乗り越える手段も、数学に基づいている。
だからこそ面白い。だからこそ興奮する。

異能バトルって、割と幾らでも“設定”を追加できる面があって、
考え無しに描くと必ず突き当たる壁が出てくるんです。
作者が「ひっくり返してやったぜ、どうだ!」と思っていても、
読者は「なーんだ、作者の匙加減なのね」と萎えていることも多く。

喩えるならば、どんな大きな自然数を言っても
それより大きな自然数を言うことが容易いようなものです。
「後攻だから勝つのが当たり前でしょ」となる。感動が無い。

これは個々の作者の責任というよりは、
異能バトルが孕む構造的な問題であると思っています。
不文律を破ることを王道とすれば、必ず突き当たります。
突き当たるまでの段階で名作は多いですが、
現代作家が異能バトルを描くときは避けられません。


解決法は幾つかありますが、私が好きなのは3つあって
「その構造を追及」「伏線を張る」「ルールの厳密化」です。

1つ目は「めだかボックス」の安心院なじみとか。
構造を真っ向から追求し、盛大に皮肉る。
「なんでもアリなら、これもアリでしょ?」ということです。

それは例えるなら、「より大きな自然数を言った方が勝つゲーム」で
先攻の勝つ方法として「言い続ける戦法」を採用するようなものです。
数を言う制限時間が設けられてないことを利用して、
「10の10乗の10乗の・・・」とか言い続けるのです。
「まだ言い終えてない」と宣言することで、
相手が数を言うこと自体を封じれば、先攻の勝ちです。
人生は有限なので、いつかは死にますが、
死んだとしても「言い終えてない」宣言は有効なので勝利が確定します。

沙也 「ひとついい? 数学者って一日中そんなことばかり考えてるの?」


2つ目は言うまでもなく猫耳猫とかで、
それについては他の記事で語っているので割愛。
まあ、一言だけ述べれば、もはや伏線の無い生活なんて考えられませんね。

3つ目は「七夕の国」や「4D」、他には「亜人」などが、これに該当します。
“公理”を追加せず、徹底的に理詰めで、しかし意外な展開が待っている。

囲碁や将棋などの、二人零和有限確定完全情報ゲームの面白さに
通じるものがあると思っています。それらを扱った作品ではなく、ゲーム自体の。
これらのゲームが好きな理由は、現実逃避できるから。
後から勝手にルールが追加されるのって、
どんなに面白くても、現実の理不尽さを感じてしまってさ・・・。


・・・まあアレだ、あんまり脱線した話は、このあたりにしておいて。

大貫公平が刑事に語ったセリフが、かなり印象的。
天才の魅力を描いた話も好きだけど、こういう話も良いよね!

もちろん世の中は、そんな天才だけで回ってるわけじゃない。
1900年代に、ジョン・フォン・ノイマンという数学者がいた。
一度読んだものは決して忘れぬ記憶力と、
コンピューターとの暗算勝負に勝つほどの計算能力をもった人物だ。
何かを新しく生み出す能力に欠けていたなどと揶揄されることもある彼だが、
蓄えた膨大な知識を土台にした着想展開力と問題解決力は他の追随を許さず、
あらゆる分野の人間が彼の協力を仰ぎ、結果、多大な成果を上げた。


私自身が“秀才タイプ”なので、心に響くんですよね・・・。
ゼロから何かを生み出すクリエイティブな才能を失ってしまい、
かつて出来ていたことの、多くが出来なくなりましたが、
そこで諦めずに、色々やってきたことで、
天才を手助けすることは上手くなったように思います。


愚道は強敵から、お助けキャラになるという萌え展開。
うーむ、イカれた殺人鬼だと思わせておいて、ツンデレとは・・・!
いや、ツン部分が恐ろしすぎるというのはありますが、
だからこそデレが輝くのではないでしょうか。
それにイケメンだしな・・・(結局そこか

この名前は自虐や戒めとかいうよりは、
井上有一の“愚徹”とかに通じる思想なんだろうか?
作中でも“卒意の書”に通じる考え方をしているように思える。

そういう意味では、宮田さんや私は“作為”の人なんだろうけど、
作為を突き詰めた先にある美しさを求めているのさ・・・。


まだまだ色々と語りたいことはありますが、
あまり長くなるのも読み疲れそうですし、そろそろキリにします。

最終章は少々駆け足だったかと感じましたが、
概ね円満な結末で、最後まで数学が関わっているのが良い!
今までの事件の、全ての原因は、
異種微分構造による四次元の特異性にあったんだよ!

・・・うん、何を言ってるかわからないと思うので、
作中の能力者が“不自由”な例を1つ。

次元が高くなると、それに応じて自由度が高くなるが、
実は次元が高くなると失われる自由度もある。
例えば、二次元においては正多角形は無数に存在するが、
三次元において正多面体は5種類しかない。
(四次元において正多胞体は6種類、五次元以上では3種類)

次元が高くなると失われる自由度もある、と聞けば、
四次元で無数に存在する異種微分構造が、
五次元以上では有限になるのも納得できるのではないでしょうか。

そして、“ガブリエルのラッパ”とか聞くと
中二マインドが刺激されるのではないでしょうか。

それこそが、新たなる世界への入り口なのです。


テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
なるほど(納得、参考になった、ヘー)

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
カオス・ウィザードと悪魔のしもべ 〜魔法陣グルグルへの挑戦〜
...続きを見る
佐久間闇子と奇妙な世界
2017/08/17 00:00

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
ようこそ New World 佐久間闇子と奇妙な世界/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる