佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 決闘祭!   インターバルまたは昼食休憩 (前編)

<<   作成日時 : 2016/11/16 00:00   >>

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◆ ◆ ◆



「おにぎりー!」

バスケットから丸型の握り飯を取り出して、安藤は目を輝かせた。
ほっぺたに飯粒をつけながら、次々と頬張っていく。

「比呂子ちゃん、そんなに急いで食べたら危ないよ。」
「もぎゅもぎゅ・・・それよりもムー君、わたしと燈炉子ちゃんのデュエル、どうだった?」
「うん、まるでモリンフェン様のようにカッコよかったよ!」
「モリンフェン様と言えば、ムー君はフェイシンと戦ったことがあるんだっけ。」
「うん、完敗だった。相手フィールドへ降臨させたら、無限大になってドカン。」
「そっか。相手が出したのでも、自分フィールドにいれば能力を受けるんだ。」
「流石は全世界230万人のモリンフェン様デュエリストの頂点・・・ミラーマッチ対策も万全だったよ。」

そう言って風森は、2つ目の握り飯を口に運んだ。

「あ、ムー君、ご飯粒ついてるよ?」

安藤が風森の頬を舐め取る。

「・・・っ!」
「どしたの?」

焦る風森を見て、安藤は首をかしげる。

そのタイミングで5人の少年少女が小走りにやって来た。
デュエルモンスターズ部の仲間。熊井、平田、栗間、平野、リスティーだ。

「あ、みんな遅いよー! もう食べ始めちゃってるよ?」
「いやいや、安藤さんが場所を教えなかったんじゃないか。」
「え? 立夏ちゃんに地図渡したけど。」
「あれ、いっけなーい! そうだった! すっかり忘れてた!」
「リッカてめー、この場で犯したろか!?」
「ったく、これだから女ってやつぁ・・・。」
「べ、別に地図が読めないわけじゃないわよ? ただ存在を忘れてただけで・・・。」
「余計に悪いんだよ!」
「むう、平和だねー。」
「そうだねリスティーちゃん。」



◆ ◆ ◆



「佐野先輩、お久しぶりです!」

華奢な体躯の少年が、笑顔で手を振る。
この光景を見て作者は、ペロペロしたいと思った。とても思った。

「久しぶりだな、吉井。」

高校時代よりひときわ逞しくなった肉体。
社会人としての経験が、佐野を一回り大きな男に成長させているようだ。

「朝比奈さんは、どうしたんですか?」
「ああ、翔子は勝手にどこか行った。」

「どこにも行ってないわよ。」

Talk of the Devil ・・・・・・噂をすれば何とやらである。
悪魔ならぬ小悪魔、朝比奈翔子が現れた。

「翔子・・・何だその格好は。」
「あたしの格好が何かおかしい?」

バニーガールのようなウサミミに、首輪と鈴。
胸元を開いた薄手のシャツは、胸を覆うだけの面積しかない短さ。
派手な色のミニスカートからは、ストッキングに包まれた脚線美が主張されている。

どこのディーラーだ。
正直、目のやり場に困る。

「ほら、海馬コーポレーションが能力者を記念して、プロモーションカードを製作したじゃない? 特殊フィールドで、あたしとのデュエルに勝てたら、プロモーションパック1つと写真撮影って企画があるのよ。」
「聞いてないぞ、そんなの・・・。海馬コーポレーションは何を考えてるんだ。」
「プロモーションカードって、そんなのあるんですか?」
「そうよ。ほら、あたしたちのがコレ。」

艶かしい手袋を嵌めた手で、朝比奈は5枚のカードを提示する。


天空の門番ミツキ レベル5 光属性・天使族
攻撃力2600 守備力800
天使族モンスターが召喚・特殊召喚・リバースしたとき、
相手フィールドのカード1枚を手札に戻す。
この効果にチェーンすることは出来ない。


十指の炎姫ショウコ レベル4 炎属性・炎族
攻撃力1000 守備力1000
1ターンに10回まで、自分のメインフェイズに、
相手に100ポイントのダメージを与えることが出来る。
このカードの攻撃力は、表側攻撃表示で存在する限り、
相手がダメージを受けるたびに100ポイントアップする。


工房の職人ハルヒコ レベル3 地属性・戦士族
攻撃力1000 守備力2000
自分は「融合」カードなしで融合召喚を行うことが出来る。
このカードを融合素材1体の代わりとすることが出来る。
その場合、他の素材は正規ものでなくてはならない。


炸裂の闘士カオル レベル2 光属性・獣族
攻撃力0 守備力1000
自分のメインフェイズに、手札を任意の枚数だけ捨てることで、
捨てた枚数×500ダメージを相手に与える。


掌握するコースケ レベル0 地属性・植物族
攻撃力1750 守備力0
コースケという名のデュエリスト。
世界を救ったと噂されているが、その真偽のほどは定かではない。



「何で僕だけ通常モンスターなんですか・・・。」

再現の難しい“掌握の力”とはいえ、サイドデッキのカードに干渉する効果があっても良さそうなものである。
そこはリンネの力や目的を隠しておきたい、KCやI2の意向が絡んでいるのだろうか。

「しかも翔子は《ミスティック・ゴーレム》みたいな効果が・・・。」
「そんなことより、天神と見城はどうしたの?」
「あ、その、見城さんが迷子になったみたいで、天神さんがスタッフルームに迎えに行ってます。」



◆ ◆ ◆



「チッキショオオオ!!」

パラコンボーイは叫んでいた。叫ぶことが彼のアイデンティティーの一部を形成してると言っても過言ではない。
彼のニックネームも、《寄生虫パラサイド》をデッキに混入した行為から成る、アイデンティティーの発露だ。
鷹野には微妙と評されているが、カイゼル髭のような髪型は、遊戯王シリーズの主人公に相応しいとまでは言えなくとも、小数第一位を四捨五入すれば主人公に近似されるほどの髪型と言えるだろう。

だが、そんな彼にも悩みがあった。人間とは悩む存在なのだ。

「何で僕がひとり寂しく便所飯なんか食わなくちゃいけないんだ!! これも全部クソ女のせいだ!!」

焼き鮭と漬物を口の中にかき込み、パラコンは涙を流しながら鷹野を呪った。
そう、こうなったのも全ては鷹野麗子による完璧な計略の結果なのである。

話は15分前に遡る―――

・・・と、ここで回想に入ろうとして作者は、これを語り始めると文庫に換算して100ページを下らないことに気付き、泣く泣く割愛した。

「ふざけんな作者ぁああ!! 貴様には、鷹野さんが僕にした残酷な仕打ちの数々を白日の下に晒し、それによって鷹野さんが史上最低最悪のクソ女であることを明らかにするという、崇高な使命があるだろうがあ!!」

あんまり崇高とは思えないんですが・・・。
それに、明らかにしたところで、「残念な美人だ、だがそれがいい」って言われるに決まってますよ?

「チッキショオオオオオオ!!! 人は見た目とデュエルが9割ってことかよおおお!!?」

その理屈でいけば、パラコンボーイもイイ線いってますけどね。
鷹野麗子を相手に互角に近い戦いを繰り広げるデュエルタクティクスは言わずもがな。
見た目だって、変な緊張感を与えないけれど不快感を与えない顔立ちに、特徴的な髪型。
ハンサムを自称しているのは、少なくとも50パーセントは正しいと思うんです。

「お前にデレられても嬉しくないんだよっっ!!」

そう、パラコンボーイの悩みとは、どうして自分はモテないのかということだった。
パラコンは、可愛い彼女を欲していた。喩えるならば、バレンタインデーに手作り猪口をプレゼントしてくれるような。

「陶芸家かよっ!」

切れのいいツッコミだ。流石はパラコンボーイ。

「お前は鷹野さんの親戚か何かか!?」

だったら嬉しいんですけどね。



◆ ◆ ◆



「おのれカトリーヌ! ロシアンルーレットおにぎりを食うときに“サーチ”をして何が悪いというのだ! 闇雲にかぶりついて激辛ハバネロおにぎりを引き当てたときの屈辱が何故わからん!」

ひりひりする唇から、妻への怒号が放たれる。
辛さのあまり、涙目になりながら。

「冷静になれシルベスター! 真のデュエリストなら“サーチ”など使わなくてもシーチキンプラス馬肉おにぎりを引き当てることが出来るはずだ! そもそも激辛ハバネロおにぎりも意外と美味いんだZE! おにぎりの声に耳を傾けるんだシルベスター!」

童顔の妻が、おにぎり片手に反論する。
ほっぺたには飯粒がついていて、夫に取ってもらうのを今か今かと待っている。

「ふぅん、貴様の言うことは所詮、精神論に過ぎぬ! 辛いだけのおにぎりなど何の意味も無い! 貴様の戯言を聞いてるとムシズが走るわ! 俺は次のおにぎりを食う・・・無論、“サーチ”をしてな。ククク・・・」

そう言ってシルベスターは、おにぎりを手に取って2つに割り、中身を見てから食べ始めた。

「シルベスター貴様、俺が丹精込めて握った愛情の塊を真っ二つに引き裂くとは・・・! 貴様は俺が認めた数少ないデュエリストだが、少々ガッカリしたぜ!」

頬の飯粒を自分で取って口に運び、カトリーヌは不敵に笑う。

「何だと!? おのれぇ・・・この俺を愚弄するとは・・・!! カードを構えろ! デュエルで貴様を叩きのめし、二度とその口叩けぬようにしてやるわ!」
「フ・・・! 望むところだぜシルベスター! 貴様の持ちえる最高の戦術で挑んできな! だが・・・俺のデッキが粉砕するぜ!」

子供たちの見てる前で、夫婦ゲンカが始まった。

「お姉ちゃん・・・お父さんとお母さんは、どうして争ってるの?」
「私にもわからないわ・・・。作者に聞いて。」

すいません、作者にもわかりません。
原作者・あっぷるぱいさんに聞いてください。

「安心しろ2人とも! 昔から、ケンカするほど仲が良いっていうだろ!」

兄の威厳を見せて、長男が2人の妹を抱き締めた。
ちなみに彼は、城之内の友人である。

「お兄ちゃん・・・」「大好き!」

2人の妹から不安が消えた。

そう、3人目の子供が生まれていることこそ、夫婦仲が良い証。
プロジェクトシリーズと決闘学園シリーズの時間差を利用して成長した赤ん坊は、立派な幼女になっていた。
この幼女(8歳くらい)の名前は、あっぷるぱいさんに付けてもらうことにしよう。



◆ ◆ ◆



スタッフルームにて、見城は天神を待ち構えていた。

「よお、天神! 早かったな。」

悠然とパイプ椅子に座って、麦茶を飲んでいる。
とても迷子になった人間の態度とは思えない。

「吉井は一緒じゃないのか?」
「ええ。吉井君なら、待ち合わせ場所で待ってもらってるわ。」
「そっか・・・。ま、とにかく天神が無事なら結果オーライだな。」
「私?」
「ああ。これはまだ未確認情報なんだが―――」





つづく

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2016/11/16 00:12

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
平和だなー。各人のほのぼのパート、いいですねえ。闇のゲームとか息詰まるデュエルの駆け引きの後はこういう和やかな時間がある。それを大切に出来るっていいですね。

って、プロモーションカード欲しい!
闇道化師と化かしたマサヒロシリーズみたいな感じに仕上がってる?

パラコンボーイはいつものパラコン。ゴキブリ乱舞が懐かしい…。

シルベスターさんは何だかんだで日常(?)に戻ってきていますね。訳の分からない痴話喧嘩も、日の当たる場所だからこそ出来る事。

しかし和やかな時間にも少しずつ影が迫ってきているようで…。天神さんに魔の手が…?
千花白龍
2017/01/06 23:24
>千花白龍さん

各章の間には、こんな感じでインターバルを設けます。
和やかな昼食休憩は、いつまでも続いてほしい平和。

プロモーションカードは、以前に原作HPの掲示板(チャットだったかも?)で出したかもしれませんが、ちょっとした理由から再録です。若干効果を変えています。

パラコンの冒険譚を外伝的に語る日は多分来ないw
彼を見ていると色んな意味で安心します。
そして自分でも何を書いてるのかわからなくなってきた夫婦喧嘩ですが、以前と違って、ケンカップル萌えな光景ですね。

しかしながら、いつまでも平和なままではない、お約束の。
第2章は、大会の裏で陰謀が暗躍します。お楽しみに!
アッキー
2017/01/07 04:02

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