佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 決闘祭!   Act 15 無限

<<   作成日時 : 2016/11/19 00:00   >>

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◆ ◆ ◆



「天神と見城、遅いわね。」

朝比奈が何となしに言う。
まだ不審というほどではないが、気にかかっている様子だ。

「まさか2人して迷ってるなんてことはないと思うが・・・。」

佐野も訝しむ。
遅いとは思っていたが、朝比奈のセリフでいっそう気になった。

「ちょっと行ってきましょうか?」

「いや待て吉井。3人一緒に行こう。」



◆ ◆ ◆



天神美月:LP2000、手札1
場:
場:神の居城−ヴァルハラ(永続魔法)

題座千天:LP7500、手札5(このうち3枚はカンサーカイズ)
場:
場:波動キャノン(永続魔法・スタンバイ1・カウンター1)



“拒絶の神門”(ヘブンズゲート) レベル5能力(所有者:天神美月)
相手の場にモンスターが現われたとき、一切の効果を発動させずに、
そのモンスターをそのまま持ち主の手札に戻す。



“平等の枷”(イコライザー) レベルE能力(所有者:題座千天)
相手のデュエリスト能力によって自分が受ける制限は、相手も受ける。




「私のターン、ドロー!」

「最後のドローに、せいぜい希望を託すことっすね・・・。」

題座の手札にある正体不明の2枚は、《緑光の宣告者》と《紫光の宣告者》だ。
たとえ《貪欲な壺》を引いていたとしても、無効にしてしまえる。

理論だけで言えば、1枚のカードから幾らでも展開できるが、そんなものは机上の空論に過ぎない。
あくまで理論だけの話だ。

逆に言えば、それを空論でなく現実にしてしまえるからこそ、“掌握の力”は特別な能力なのである。
いわゆる“能力”ではなく、リンネという生命の“生態”に属するもの。
理論で可能なことを全て現実たらしめる、ロマンティックかつリアリスティックな力なのだ。



そしてリンネは、天神美月に、恐ろしい遺産を残していた。



天神美月:LP2000、手札1
場:
場:神の居城−ヴァルハラ(永続魔法)、オレイカルコスの結界(フィールド魔法)

題座千天:LP7500、手札5(邪竜カンサーカイズ×3、緑光の宣告者、紫光の宣告者)
場:
場:波動キャノン(永続魔法・スタンバイ1・カウンター1)




「はっ、ンなものでレベルE能力を封じられるとでも―――」

闇のカードはデュエリスト能力を封じる性質がある。
しかし、《オレイカルコスの結界》が封じることが出来るのは、レベル1〜5の能力に限られている。
その性質は、数直線の1〜5までの部分に、ホワイトマーカーを塗りたくるようなものだ。



つまり、天神が封印したかったのは、相手の能力ではなく、自分の能力。

「―――っ、あ・・・」

それに気付いた題座の背筋に、今まで味わったこともないような寒気が襲ってきた。

「あなたの能力がコピーであれば、私の能力を封印しても無駄だったわ。」

闇のカードは、あくまで能力を封じるだけで、それもデュエル中に限られる。“消失ではない”。
それは封印という大袈裟な表現よりは、容器に蓋をする感覚に近い。

魔法や罠を多用する天神のデッキに、《星見獣ガリス》など入っていない。
コピー能力だと偽装していれば、それを見抜く手立てなど無く、このような結末を迎えることはなかった。



天神のフィールドに、終焉を告げる神が降り立った。



天神美月:LP2000、手札0
場:蛇神ゲー(攻∞)
場:神の居城−ヴァルハラ(永続魔法)、オレイカルコスの結界(フィールド魔法)

題座千天:LP7500、手札5(邪竜カンサーカイズ×3、緑光の宣告者、紫光の宣告者)
場:
場:波動キャノン(永続魔法・スタンバイ1・カウンター1)




神が死んでも、神の力は死なない。



蛇神ゲー(“回帰の力”適用) レベル4 神属性・幻神獣族
攻撃力∞ 守備力∞
このカードは「オレイカルコス」と名のついたカード以外の魔法・罠・モンスターカードの効果を受けない。
このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、
自分はライフポイントが0になってもデュエルに敗北しない。
このカードがフィールド上から離れた時、相手はデュエルに勝利する。
このカードは、自分のデッキの上からカードを10枚墓地に送らなければ、攻撃宣言を行う事ができない。




2年前、天神はリンネから【オレイカルコス】を貰い、柊、佐野、吉井とデュエルした。
そのとき、デッキをリンネは回収していない。
【オレイカルコス】は天神のもとへ残り、彼女の力の一部となったのだ。

その吉井とのデュエルで、フィールドを《クリボー》に埋め尽くされて、手も足も出なかった。
考えてみれば、それは少し変であると気付けるだろう。

デュエルモンスターズの創造神たるリンネが、【オレイカルコス】の弱点に気付いていないはずはない。
現に佐野が考え抜いた攻略法さえ、リンネの掌だったのだ。

あの状況は《D−HERO Bloo−D》でも出せば、容易く膠着が解ける。
だからこそ吉井は、クリボーコンボを決めた後も油断なくデュエルを続けていた。
《手札抹殺》が決まったときは、やけにあっさりしたものだと感じたほどだ。


手札に何のカードを持っていたとしても。
デッキにどんな戦術を用意していたとしても。
今の天神美月にとれる行動は、何もない。



当たり前だ。
天神のデッキのモンスターカードは全て、“回帰の力”によって召喚条件を消去されていたのだから。


D−HERO Bloo−D(“回帰の力”適用) レベル4 闇属性・戦士族
攻撃力1900 守備力600
1ターンに1度、相手フィールド上のモンスターを装備カード扱いとしてこのカードに1体のみ装備できる。
このカードの攻撃力は、このカードの効果で装備したモンスターの攻撃力の半分の数値分アップする。
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
相手フィールド上に表側表示で存在するモンスターの効果は無効化される。



一般的には、とんでもないパワーアップである「回帰・究極のD」も、クリボーコンボを食らった後では話が違う。
【トランス】を《天よりの宝札》で突破できるのと同じく、コストを支払うことに価値がある状況では、なまじ容易く召喚できるようになったことが仇となる。

もちろん、これはリンネの失策などではない。
ただ、“想像以上”ではあった。


「ふふっ。すごいなヨシイくんは。たったの3ターンでアマガミさんを完封しちゃうなんてね。正直に言って、わたしの想像以上だよ。」
完全に行動を封じられたはずのリンネは、しかし動揺することもなく、康助に賞賛の言葉をかける。



それは、リンネが思いつかなかった攻略法を使用したという意味ではない。
想像以上ではあっても、予想外ではない。想像以上なのは、「たったの3ターンで」という部分。現時点で最速である攻略法を、最短距離で完成させたという意味での、“想像以上”だ。
だからこそ微塵も動揺しない。その美しさに対して、悪意なき称賛を送るのみだ。


「ちょっとした余興になればと思って、このデッキをアマガミさんに使わせてみたけど、まさか、こんな攻略法を見せてくれるとはね。」


このデッキに対して自分が考えていた攻略法の中でも、“こんなリスペクトした攻略法”を見せてくれるとは。

《クリボー》に、《増殖》に、《エクスチェンジ》・・・それは吉井と天神が使っていたというだけでなく、かつて【オレイカルコス】を打ち破ったデュエリストの1人が愛用していたカードなのだ。

ついでに言えば、《無限の手札》は、そのデュエリストが相手モンスターを倒さずに勝利したデュエルで使われていたカードでもある。

吉井康助は殆どのデュエルで、相手のモンスターを倒していない。マスタールールのエクゾディアは相手モンスターを破壊しないし、山本戦、渡辺戦、遠山戦は言うまでもないし、タイヨウとのデュエルでも、結局は相手フィールドにモンスターを残している。(その後のリンネ戦でも)

こうした芸術的なシナジーに、デュエルモンスターズの神たるリンネが感動を覚えないはずがない。
デュエル以外の一切合財に興味が無いリンネだが、デュエルに関しては子供のように純真だ。

ちょっとした余興というのは、すなわち“回帰の力”を先んじて披露するという意味合いも含まれていた。

“回帰の力”が明かされたとき、吉井は天神にあっさり勝てた理由をも理解したのだった。



「インフィニティ・エンド。」

今度は自分の意思で、蛇神の攻撃宣言を行う。

と同時に、コストとしてデッキから10枚のカードが墓地へ送られる。
《パワー・ウォール》や《シュトロームベルクの金の城》と並ぶ、墓地肥やし三大神器。
それこそが《蛇神ゲー》第3の凶悪能力なのだ。


「くそっ、おれは《邪竜カンサーカイズ》を守備表示でバトルに参加させて盾にするっす!」


《邪竜カンサーカイズ》 (破壊)



手札からバトルフェイズを行える、稀有なモンスターも、攻撃力∞の蛇神には勝てない。
あっさりと紙細工のように消し去られてしまった。

「ターンエンドよ。」



天神美月:LP2000、手札0
場:蛇神ゲー(攻∞)
場:神の居城−ヴァルハラ(永続魔法)、オレイカルコスの結界(フィールド魔法)

題座千天:LP7500、手札4(邪竜カンサーカイズ×2、緑光の宣告者、紫光の宣告者)
場:
場:波動キャノン(永続魔法・スタンバイ1・カウンター1)




「おれのターン、ドロー!」

言うまでもなく、題座のデッキは対天神デッキとしてカスタマイズされている。
そして“イコライザー”によって相手フィールドのモンスターを一掃できる手はずの為に、《ヴォルカニック・クイーン》などのモンスター除去を一切投入していない。

天神のデッキが天神自身を想定した構築になってないならば、題座のデッキは天神以外を想定した構築になっていない。そして“イコライザー”が機能しない状況も、想定していないのだ。
どこの誰が、好き好んで自分の能力を封印するというのか。
勝利の為なら自分の個性すら捨てる天神の破綻ぶりに、題座は少なからず戦慄を覚えた。

(・・・くそっ、次に《オレイカルコス−蛇神の進化》を引かれたら終わりだ!)


オレイカルコス−蛇神の進化 (永続魔法)
このカードの発動と効果は無効化されない。
このカードは他のカードの効果を受けず、自分の場を離れない。
自分は「蛇神ゲー」の攻撃宣言のためにデッキからカードを墓地に送る必要がなくなる。
自分フィールド上に表側表示で存在する「蛇神ゲー」は、次の効果を得る。
●このカードは1度のバトルフェイズ中に3回攻撃する事ができる。



厳密に言えば、宣告者をセットすれば1ターンを防ぐことは出来る。
しかしそれでは、もう1体の宣告者が死に札だし、延命策としても下策である。

「おれは《打ち出の小槌》を発動するっす! 2枚をデッキに戻して2枚ドロー!」

素早くカンサーカイズを引き当てる為に、題座のデッキにはドローカードが多い。
一縷の望みを託し、2枚のカードを引く。


しかし、“掌握の力”を持たぬ彼に、デッキに存在しないカードは引けない。


「・・・っ、《波動キャノン》の効果発動・・・。カードを2枚伏せて、ターンエンドっす!」

2枚とも通常魔法。ただのブラフ。


「私のターン、ドロー。」

落ち着きを取り戻した天神が、静かな声でカードを引く。
題座は不覚にも、敵に対して荘厳な美しさを感じた。

(・・・ああ、そういや、何で天神に敵意を向けてたんだっけか・・・・・・。)

嫉妬や僻み。最初は、そんなものだった。
しかしデュエルをしているうちに、いつの間にかデュエルそのものが楽しくなっていた。

(そっか、吉井さん。吉井さんはホントは、こんな気持ちだったんすね。お互いに楽しくデュエルがしたいって、そんな気持ちで、天神に―――)





天神美月:LP0、手札0
場:蛇神ゲー(攻∞)、堕天使スペルビア(攻3400)、アテナ(攻3100)、アテナ(攻3100)、アテナ(攻3100)
場:ウィクトーリア(攻2300)、邪竜カンサーカイズ(攻3500)、オレイカルコスの結界(フィールド魔法)、神の居城−ヴァルハラ(永続魔法)

題座千天:LP300、手札4(邪竜カンサーカイズ×2)
場:
場:伏せ×2(ブラフ)




最後まで緩まない、念には念を入れたオーバーキルの図式。



そして無限の神威が放たれ―――




―――デュエルの神は、天神に微笑んだ。







つづく

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