佐久間闇子と奇妙な世界

アクセスカウンタ

zoom RSS 決闘祭!   Act 18 粘着

<<   作成日時 : 2016/11/22 00:00   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

◆ ◆ ◆



「え、えっへへ、ぼく、ネバネバ大好き。納豆、オクラ、山芋、食べるの好き。」

小太りの少年が、デッキをシャッフルしながらニタニタ笑う。
見てるだけで吐き気を催しそうだ。

「糊で遊ぶの、好き。ボンドでネチャネチャするのも、好き。鼻水も痰も、ねちゃねちゃするの、好き。」

見れば少年の手には、乾いた糊のようなものが付着している。ろくに手も洗ってないのだろうか。
全体的に不潔な雰囲気があり、どことなく異臭が漂っている。

しかし泣笠にしてみれば、この程度のことは何でもない。
淵乃井が入院していた頃の悪臭に比べれば、どうということはない。

もっとも、愛ゆえに下の世話まで出来た淵乃井と違って、こいつには触れたくもないが。


「「デュエル!」」


泣笠葉継:LP8000
無堂勝:LP8000



「私のターン、ドロー!」

先攻が回ってきたのは幸運だった。
一気にカタをつけてやると言わんばかりに、泣笠は手札から《火の粉》を発動した。

たかだか200ダメージを与えるだけの、使いきり魔法カード。
ところが泣笠にかかれば、使いきりなどではなくなる。

状況を任意選択して遡及できるレベル5能力“レトロスペクティブ”は、数あるデュエリスト能力の中でもトップクラスに異質かつ凶悪だ。
その気になれば、《成金ゴブリン》を使いまわして、エクゾディアを揃えてしまうことさえ出来てしまう。


だが、無堂勝の能力は、そんな彼女の天敵と言っても過言ではない。



泣笠葉継:LP8000、手札5
場:
場:火の粉(魔法カード)

無堂勝:LP7800、手札5
場:
場:




(遡及、できない・・・!? いいえ、場を離れない・・・??)


見れば、ボンドのような糊のような、べっとりとねばりつくソリッドビジョンが展開されていた。
それがカードをフィールドに固定し、離れなくしている。


「ぼ、ぼくのっ、レベル3能力。“粘着空間”(アンダーボンド)は、『カードはフィールドを離れない』って。えへっ。」


“粘着空間”(アンダーボンド) レベル3能力(所有者:無堂勝)
お互いのカードは置いた場所を離れない。



一般的には、互いにメリットとしてもデメリットとしてもはたらく能力。
耐性の貧弱なモンスターに、フィールドを離れない効果をプレゼントしてくれるのだから、喜ぶ相手もいるだろう。

しかし泣笠にとっては、自身の能力を封殺されたに等しい。
フィールドを離れなければ、“レトロスペクティブ”は発動しない。

そして、大河、タイヨウ、ゼロサムを相手取るよう指示されたことからもわかる通り、破壊であろうがシンクロであろうが、フィールドから離すこと全てが、無効化されてしまう。


(・・・っ、まずい・・・・・・。)

泣笠の手札は、《成金ゴブリン》、《サイクロン》、《サンダー・ブレイク》、《プラズマ・ボール》、《おろかな埋葬》だ。
デッキには《邪神イレイザー》も存在しており、本来ならフィールドを一掃することさえ出来る。

しかしデュエリスト能力は、たとえレベル1であろうとも、カードの効果に対して絶対的に優先する。
イレイザーの凶悪な墓地送り効果も、デュエリスト能力の絶対性を覆すことは出来ない。


「カードを1枚伏せて、モンスターをセット。ターンエンドよ。」


泣笠葉継:LP8000、手札3
場:伏せ×1(プラズマ・ボール)
場:火の粉(魔法カード)、伏せ×1

無堂勝:LP7800、手札5
場:
場:



「ぼくのターン、ドロー。うへ、葉継ちゃんと、ボンドでネチャネチャになって、遊ぶんだ。うへっへ。」

「気安く下の名前で呼ばないでくれる? 貴様ごときに許した覚えは無いわ。」

「はあああああん!? そんなこと言わないで葉継ちゃああああんん!! クランちゃん召喚するからあ! こうゆう可愛いカード、女の子は大好きでしょお!」

激昂した無堂は、唾を撒き散らしながらモンスターを召喚した。


黒魔導師クラン レベル2 闇属性・魔法使い族
攻撃力1200 守備力0
自分のスタンバイフェイズ時、相手フィールド上に存在する
モンスターの数×300ポイントダメージを相手ライフに与える。



「ぼくは、クランちゃんで、その伏せモンスターを攻撃!」

「・・・・・・。」

伏せられていたのは、守備力900の《プラズマ・ボール》だ。
“アンダーボンド”の効果で、戦闘によっても破壊されない。


「ふはっ、装備魔法、発動!」


魔界の足枷 (装備魔法)
装備モンスターは攻撃する事ができず、攻撃力・守備力は100になる。
また、自分のスタンバイフェイズ毎に、
装備モンスターのコントローラーに500ポイントダメージを与える。



《プラズマ・ボール》の攻守が100になる。

そして闇のゲームの汎用性、闇マリクVS孔雀舞のデュエルのように、泣笠の足に枷が嵌められる。

「くっ・・・いやらしい真似を・・・!」

泣笠の表情が嫌悪で歪む。
それを見て無堂は興奮する。

「カードを1枚伏せて、ターンエンド! えへへへへ。」


泣笠葉継:LP8000、手札3
場:プラズマ・ボール(守100)
場:火の粉(魔法カード)、伏せ×1

無堂勝:LP7800、手札3
場:黒魔導師クラン(攻1200)
場:魔界の足枷(装備魔法)、伏せ×1



「私のターン、ドロー!」

「罠カード《おジャマトリオ》発動なんだな! おジャマトークン3体出るんだな! ねへっ。」


おジャマトリオ (罠カード)
相手フィールド上に「おジャマトークン」(獣族・光・星2・攻0/守1000)を
3体守備表示で特殊召喚する(生け贄召喚のための生け贄にはできない)。
「おジャマトークン」が破壊された時、
このトークンのコントローラーは1体につき300ポイントダメージを受ける。



『『『どうも〜〜〜!』』』


3体のおジャマたちが、尻を向けてくる。
どうにも嫌な気分だ。

「伏せカード、《成金ゴブリン》を発動するわ。カードを1枚ドロー。」

普通なら《成金ゴブリン》をブラフに使うことはない。
だが、“アンダーボンド”の効果が適用されている今、破壊される心配は無い。

これで手札は5枚。
《サイクロン》と《サンダー・ブレイク》は役に立たないが、《おろかな埋葬》と、引いた2枚がある。


泣笠葉継:LP8000、手札5(サイクロン、サンダー・ブレイク、おろかな埋葬、?、?)
場:プラズマ・ボール(守100)、おジャマトークン(守1000)、おジャマトークン(守1000)、おジャマトークン(守1000)
場:火の粉(魔法カード)、成金ゴブリン(魔法カード)

無堂勝:LP7800、手札3
場:黒魔導師クラン(攻1200)
場:魔界の足枷(装備魔法)、おジャマトリオ(罠カード)



(まだ早い、か・・・。)

「ターンエンドよ。」

今ここで動くのは尚早・・・この判断が正しいかどうかはわからないが、デュエルとはそういうものだ。
客観的正解を知りえないときでも判断を下さねばならない。結果が出た後で「ああすれば良かったのに」なんて言う野次馬根性は、勝負の場には無用の長物だ。

「おほっ、ぼくのターン、ドロー。スタンバイフェイズに、クランちゃんの効果、発動。うへへ。」

「っ・・・」

泣笠葉継:LP8000→6800


「そ、そいで、ぼく、永続魔法《魔力無力化の仮面》、発動しちゃうんだな。」


魔力無力化の仮面 (永続魔法)
フィールド上に表側表示で存在する魔法カード1枚を選択して発動する。
自分のスタンバイフェイズ毎に、
選択した魔法カードのコントローラーに500ポイントダメージを与える。
選択したカードがフィールド上に存在しなくなった時、このカードを破壊する。



意味もなく残り続けている《火の粉》を対象に、《魔力無力化の仮面》が発動する。
その仮面は、無堂が自分で被った。

「うっほ、うっほ、うっほっほ〜! お猿のお尻はマッカーサー〜!」

仮面を被ると性格が変わるのだろうか。
気持ちが悪いことには違いないが、表情が見えなくなったせいもあり、不気味さが増している。

「あ、《プロミネンス・ドラゴン》、召喚するんだな。カードを1枚伏せて、ターンエンド。」


泣笠葉継:LP6800→6300



「熱っ・・・!」

ソリッドビジョンとはいえ、闇のゲームだ。
火球の熱さは本物である。


泣笠葉継:LP6300、手札5(サイクロン、サンダー・ブレイク、おろかな埋葬、?、?)
場:プラズマ・ボール(守100)、おジャマトークン(守1000)、おジャマトークン(守1000)、おジャマトークン(守1000)
場:火の粉(魔法カード)、成金ゴブリン(魔法カード)

無堂勝:LP7800、手札1
場:黒魔導師クラン(攻1200)、プロミネンス・ドラゴン(攻1500)
場:魔界の足枷(装備魔法)、おジャマトリオ(罠カード)、魔力無力化の仮面(永続魔法)、伏せ×1



「私のターン、ドロー!」

「うっほっほ! 永続罠カード《拷問車輪》を発動するんだな! ぐるぐる回すんだな〜〜〜〜!!」


拷問車輪 (永続罠)
相手フィールド上のモンスター1体を選択して発動できる。
このカードがフィールド上に存在する限り、
選択したモンスターは攻撃できず、表示形式の変更もできない。
選択したモンスターがフィールド上に存在する限り、
自分のスタンバイフェイズ毎に、相手ライフに500ポイントダメージを与える。
そのモンスターがフィールド上から離れた時、このカードを破壊する。



泣笠の背後にトゲのついた車輪が出現し、足枷を嵌められたまま彼女は車輪に縛られる。

「うぐっ・・・!」

だが、そんなことで闘志が折れる彼女ではない。
以前には、もっと酷い傷から復活したこともあるくらいだ。

「魔法カード《おろかな埋葬》で、《邪神イレイザー》を墓地へ送るわ!」

「うへへへへ、そんなの効かないいいいい!!」

フィールド全体を、生臭く黒い血液が蹂躙するが、ねばりついたボンドがカードを離さない。



「効かないのは承知・・・! 《死者蘇生》発動! 蘇れ、《邪神イレイザー》!!」



邪神イレイザー レベル10 神・闇属性・邪神獣族
攻撃力X000 守備力X000
このカードが墓地へ送られるとき、フィールド上の全てのカードを道連れにする。
このカードの攻守は相手フィールドのカードの数×1000ポイントになる。





《邪神イレイザー》 (攻0→6000)




「うおおおお!!?」

「イレイザーで、クランを攻撃! ダイジェスティブ・ブレス!!」


『きゃあああ!?』

暴虐のブレスに焼き尽くされ、幼女クランが悲鳴を発する。
これが普通なら、すぐさま戦闘破壊されて墓地へ送られるところだが、“アンダーボンド”はクランを地に縛る。
イレイザーの火炎が止むまで、クランは灼熱地獄に耐え続けた。

『うっ・・・ううっ・・・・・あ・・・・・』

服がボロボロになったクランは、殆ど放心状態になっていた。
それを見て無堂は、やはり興奮する。

「ふはっ、クランちゃん、レイプ目!」

「・・・・・・。」

泣笠でさえ多少の罪悪感を覚える光景なのだが、無堂は一向に構わないどころか、悦んでいる。



泣笠葉継:LP6300、手札5(サイクロン、サンダー・ブレイク、おろかな埋葬、?)
場:邪神イレイザー(攻6000)、プラズマ・ボール(守100)、おジャマトークン(守1000)、おジャマトークン(守1000)、おジャマトークン(守1000)
場:火の粉(魔法カード)、成金ゴブリン(魔法カード)、おろかな埋葬(魔法カード)、死者蘇生(魔法カード)

無堂勝:LP3000、手札1
場:黒魔導師クラン(攻1200)、プロミネンス・ドラゴン(攻1500)
場:魔界の足枷(装備魔法)、おジャマトリオ(罠カード)、魔力無力化の仮面(永続魔法)、拷問車輪(永続罠)




「ターン終了よ。」


このとき、泣笠の手札には、《H−ヒートハート》があった。


H−ヒートハート (魔法カード)
自分フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで500アップし、
このターンそのモンスターが守備表示モンスターを攻撃した場合、
その守備力を攻撃力が超えた分だけ相手に戦闘ダメージを与える。



無堂のデッキは【ロックバーン】だ。次のターンでは、6300のライフを削ることは不可能だろう。
返しのターンで、このカードをイレイザーに発動し、勝負を決める。
本来ならば無尽蔵に攻撃力を高めることが出来るのだが、今は1回だけで十分だ。


「うへっ、ぼくの、ターン! ドロー! スタンバイフェイズに、クランちゃん、足枷、仮面、車輪の効果発動!」

「ぐっ・・・・・・あああ・・・・・・・・・・」

足枷が締めつけられ、トゲのついた車輪が回転する。


泣笠葉継:LP6300→4800→4300→3800→3300



「そして、ぼくはっ、このモンスターを召喚するんだな!」


それは泣笠にとっては、ある忌まわしい記憶を蘇らせるモンスター。


ボーガニアン レベル3 闇属性・機械族
攻撃力1300 守備力1000
自分のスタンバイフェイズ毎に相手ライフに600ポイントダメージを与える。



(朽葉を殺したモンスターか。)

正確に言えば、彼女の父親の記憶。
それゆえに、泣笠自身は、これを見ても激昂することはない。


「カードを1枚伏せて、ターンエンドなんだな!」


エンドフェイズに、《プロミネンス・ドラゴン》が火球を放つ。



泣笠葉継:LP2800、手札5(サイクロン、サンダー・ブレイク、おろかな埋葬、H−ヒートハート)
場:邪神イレイザー(攻8000)、プラズマ・ボール(守100)、おジャマトークン(守1000)、おジャマトークン(守1000)、おジャマトークン(守1000)
場:火の粉(魔法カード)、成金ゴブリン(魔法カード)、おろかな埋葬(魔法カード)、死者蘇生(魔法カード)

無堂勝:LP3000、手札0
場:黒魔導師クラン(攻1200)、プロミネンス・ドラゴン(攻1500)、ボーガニアン(攻1300)
場:魔界の足枷(装備魔法)、おジャマトリオ(罠カード)、魔力無力化の仮面(永続魔法)、拷問車輪(永続罠)、伏せ×1




耐え切った。

これで後は、《邪神イレイザー》で、攻げ―――


(―――あれ?)


おかしい。

車輪に括りつけられていても、それがわかるだけの思考力は残っている。



攻撃されてライフが0になることを、無堂が失念していないはずがない。

それが正しいことを、彼のフィールドで表になったカードが示していた。



スピリットバリア (永続罠)
自分フィールド上にモンスターが存在する限り、
このカードのコントローラーへの戦闘ダメージは0になる。




そして泣笠が引いたカードは、2枚目の《H−ヒートハート》だった。







つづく

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
決闘祭!   目録
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ...続きを見る
佐久間闇子と奇妙な世界
2016/11/22 00:01

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
決闘祭!   Act 18 粘着 佐久間闇子と奇妙な世界/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる