佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 決闘祭!   Act 25 無味

<<   作成日時 : 2016/11/29 00:00   >>

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◆ ◆ ◆



“火箭魔光閃”(フレイムウェーバー) レベル5能力(所有者:枡子丙)
任意のタイミングで、フィールド上のカウンター1つを取り除くことで、
プレイヤー1人に7000ダメージを与える。


“死神制御盤”(ファイナルボード) レベル5能力(所有者:御前霙)
エンドフェイズが5回経過したとき相手は敗北する。


“割土砂時計”(ワールドクロック) レベル5能力(所有者:月島水星)
プレイヤーのライフが変動したとき、ターンを終了することが出来る。


“誘導黒死帝”(アトラクション) レベル5能力(所有者:ヨシュア・ロッド)
プレイヤーが受けるダメージを、他のプレイヤーに代わりに受けさせることができる。


“灼熱太陽”(プロミネンス・ウイング) レベル5+能力(所有者:サン・レイティア)
自分フィールド上のシンクロモンスターが自分の場を離れたとき、そのモンスターを、
場を離れる前と同じ表示形式で自分の場に戻す。その際、元々の攻撃力・守備力は、
場を離れる前の元々の攻撃力・守備力に500ポイントを加えた値になる。
このとき、自分フィールドに他のモンスターがいなければ、元々の攻撃力分のダメージを相手に与える。


“月夜の支配”(リバースマスター) レベル5能力(所有者:アリアン・ロッド)
相手フィールド・墓地・除外ゾーンのカードは裏側になり、表側にすることは出来ない。


“闇の一手”(オンリーワンス) レベル5能力(所有者:呉星十字)
相手が手札からプレイできるカードは1ターンに1枚までとなる。


“節制の神域”(インビジブルウォール) レベル5能力(所有者:エウレカ・セデミクラ)
手札の枚数、フィールドのカードの枚数、ライフポイントにおいて、相手が自分以下である状態を維持する。
(自分によって生じた相手の超過分は、ライフは失われ、カードはランダムに墓地へ送る。)




◆ ◆ ◆



声変わりもしてない年齢の少女が、デュエルディスク以外の一切を身につけず、ナイフを突きつけられている。
可憐な顔を羞恥と恐怖で青くさせ、涙で濡らし、華奢な体躯を震わせている。
その彼女に容赦なく、拳が振るわれている。無表情で淡々と、嫌がる少女に刃と拳の選択を迫っている。

8人が部屋に乗り込んだとき、目に飛び込んできた光景は、どう見ても犯罪以外の何物でもなかった。


「皆さん、こんにちは。」

来訪者に気付いた竜堂が、どちらを向けばいいのか困惑しながら挨拶する。
その様子は、今しがたの光景が幻覚だと錯覚しそうになるほどだった。

絶句していた8人は、竜堂の挨拶に猶更、言葉を失った。


「ぅあ・・・・たす、けて・・・・・」

憐れっぽい声で、小さな声で、癒虫が哀願した。

それで8人も我に返った。
真っ先に呉星十字が、背中の大きな十字架を変形させて跳躍し、癒虫を庇って竜堂の前に立ち塞がる。
続けて十字架の白い打撃を、思いっきり竜堂にぶちかました。

「っ・・・」

竜堂は回避も出来ずに吹き飛び、椅子の群れに突っ込んだ。

「痛いなあ・・・。」

不機嫌な顔になりながら、竜堂は立ち上がった。
呉星は警戒を強める。

「十字さん。君は一美さんから、“暴力はいけません”と教えられたことはなかったのかい?」

「黙れ悪党っ! YOUがやっていたことは何だというのですかっ!?」

「何って・・・罰ゲーム。拷問。」

口調は淡々としているが、表情は鬱陶しそうに歪んでいる。

「最初から説明しよう。そこの癒虫――」

「悪党の戯言など聞くに値しない!」

「・・・・・・。」

言葉を遮られて、いっそう竜堂の表情は険しくなる。
凶暴に遮られるのは嫌なものだ。子供時代を思い出す。
今でも決して、大人になったとは思えないが。

「ブラックローズ様の親友が、こんな外道だなんて・・・。信じられませんわ。」

怒りと嫌悪、困惑と失望で、御前霙が呟く。

「マサキは、弱みを握られてるとしか思えないヨ。」

枡子丙が稀に見る真面目な顔で言う。

「ゲスめ。」

月島水星が、ぽつりと漏らした。

「許せない。」

ヨシュア・ロッドが静かな怒りを口にする。

「理解したくないものね。こんな人間がいるなんて。」

アリアン・ロッドは底冷えする声で言い放つ。

「・・・・・・。」

サン・レイティアは無言だったが、彼の脳裏には2年前の光景が浮かんでいた。
ある組織と戦っていたときに救出した少年少女。暴行を加えられて、怯えた瞳の幼い子供たち。

それに加え、服を剥ぎ取られて怯えている少女は、妹と同じ年頃だった。
怒りに任せて暴力を振るう代わりに、彼は無言のままデュエルディスクを展開した。

鎖が飛び出して、竜堂のデュエルディスクを捕まえた。

「これは・・・」

相手のデュエルディスクを捕らえる、特製デュエルディスク。
かつて潰した組織が使っていたものを、KCの技術でバージョンアップしたものだ。

「・・・話を聞かない人たちだね。敵対的な立場を取るにしても、対話を求めている相手に対して、最初から対話を放棄するべきではないと思うけどなァ。」

「そんな耳障りのいい一般論で、君の所業を覆い隠せると思っているのかい。君は悪だ。人間を、いくらでも替えのきく、コマ程度にしか思っていない。」

「・・・・・・。」

「このまま君を放置すれば、大袈裟でなく世界が破滅しかねない。今ここで倒させてもらうよ。」

「・・・・・・。」

竜堂は嫌な予感がした。

これが単に、自分が嫌われているというだけなら、まあいいだろう。良くはないが、マシだ。
しかし“タイヨウの騎士”ともあろう者が、そうそう簡単に対話を放棄するだろうか。

言ってることは間違ってないし、かつて同じようなセリフをリンネに向かって言ってたこともある。
自分は悪い奴だし、彼は正義感あふれる若者だ。だから矛盾は無いのだが・・・。

(まさか、無堂さんの差し金じゃあるまいな?)

そもそもレベル5能力者8人が、揃って登場すること事態、出来すぎている。明らかに偶然ではない。
無堂幻大が、何らかの手段で唆したのだとすれば。

(だとすれば、僕が何を言っても無駄だろう。あの人は僕の過去を知りすぎている。事実だけを述べても、僕に対して考えうる最悪の印象を与えることは容易い。)

癒虫に暴行を加えていたのを見れば、疑いようもなく確信するだろう。
竜堂を、話の通じないバケモノと見なすには、十分すぎる光景だ。

(どうりで全くメタになってない能力者なんかをぶつけてきたわけだ。重要なのは、能力ではなく性格。僕を精神的に痛めつけられれば、誰でもよかったんだ。そうしたら、勝利した僕が何をするかなんて、考えるまでもない。またしても僕は、無堂さんの罠に嵌まったわけか・・・。)

ある“おぞましい計画”に加担したことを思い返しながら、竜堂は心の中で天を仰いだ。


「何を考えているのですかーーーーー? 何を考えても無駄ですよーーーーー! 何を言っても、誤魔化されませんよーーーーー! わたくしたちは、とっくに貴方の正体を知っているんですからーーーーー!」

エウレカ・セデミクラが、胡乱な目つきで宣言する。
そして口調を戻し、神女の二つ名に相応しい、威厳ある表情で言った。

「そうでしょう、“カンサー”A級零席、“真紅新星”(クリムゾン・ノヴァ・クリア)!!!

「・・・・・・。」

竜堂の脳裏に、“カンサー”におけるA級戦力の、上位10名が持つ二つ名が浮かんだ。
もっとも、既に半分以上が離脱ないしは死亡している、古いデータではあるが・・・。


A級主席:決死敗蟲 (バグハウス)
A級次席:光来幸箱 (ラッキー・ボックス)
A級参席:土塊恐竜 (マッド・ザウルス)
A級肆席:蛭谷標星 (シルベスター)
A級伍席:選択術師 (チョイス・ウィザード)

A級六席:闇電磁砲 (ダーク・レールガン)
A級七席:亡霊船長 (ファントム・キャプテン)
A級八席:鏡夜魔女 (ミラーナイト・ソーサレス)
A級九席:灰塵天使 (グレイ・エンジェル)
A級十席:暗黒爆魔 (ダーク・ボンバー)



“カンサー”のA級戦力は、66名。
竜堂は、その66名に属していない、員数外のプラスアルファだった。
あくまで主席は、“絶望”を冠する男、グレゴリー・カトラスであり、零席というのは員数外を示す意味である。

しかしエウレカは、どうやら竜堂が、主席を超えた位置にいると思っているようだ。

(ある意味それは正しいが、殆ど間違ってる。だいたい今は、カンサーに反する身だ。)

“anti-Cancer United-front Basic Extra”(反カンサー統一戦線)・・・略して“CUBE”・・・そのうち“壱の面”。
それが現在の竜堂の所属であり、7年も前から心は“カンサー”に無い。
まして去年に、はっきりと反旗を翻したのだ。そのことを8人の誰も知らないとは思えない。

とはいえ“カンサー”の仕事や計画に手を染めてきたのは事実だ。
他人から見れば、今でも竜堂は、闇のデュエル組織“カンサー”の所属なのである。


「仕方ないな。」


竜堂はデュエルディスクを展開した。


「8人同時にかかってくるかい?」

「その手には乗らないよ。」

タイヨウと呉星に続いて、枡子と水星がデュエルディスクを展開した。
4人がかりで戦おうというようだ。

(いい判断だ・・・。)

内心で竜堂は、思わず唸った。

客観的に言えば、8人が1人ずつ戦うのが、竜堂相手には最も効果的である。
しかし、客観的な判断を下せる状態でなければ、求められるのは妥当性。

同じく絶対能力者である竜堂眸との対決を踏まえて、リスクと効果を天秤にかけた場合、4人ずつかかるという判断は、妥当性の高いものだ。


(・・・まァ、それでも僕は勝つけどね。)


胡乱な目つきをしながら、竜堂は闇の瘴気を展開した。
広い部屋を、うっすらと黒い靄が充填する。



「「「「「デュエル!」」」」」


竜堂神邪:LP8000

枡子丙:LP8000
月島水星:LP8000
サン・レイティア:LP8000
呉星十字:LP8000



「ボクのターン、ドロー!」

「ドローロック。」

枡子の先攻に、竜堂の声が割り込む。

「僕の絶対能力は、『数字を元の値から±1出来る』・・・『ドローフェイズに1枚ドロー』をシフトして、『ドローフェイズに0枚ドロー』にした。」

「・・・っ、そんなことマデ出来るのか・・・。」

「それだけじゃない。初期手札も5枚から4枚にしてある。これで間違ってもエクゾディアは揃わない。」

「ならば、《ヴェノム――」


枡子が手札からフィールド魔法を発動しようとしたとき、デュエルディスクから警告音が鳴り響いた。


「――っ!?」


見れば、ターンプレイヤーを示すランプは、次のプレイヤーである水星に移っていた。

「ど、どういうこと・・・?」

背筋に冷たいものを感じながら、水星はデッキに手をかける。

「わたしのターン! ドロー、は出来ないんでしたね。」

「そうだよ。」

「・・・その絶対能力、カードゾーンまで干渉できる、とか?」

水星は恐る恐る推測を口にする。
それに対して竜堂は、無表情のまま同じセリフを口にした。

「そうだよ。」

「・・・ならば、わたしは伏せカードを2枚――」


しかし再び警告音が鳴り響いた。


「―――っ!!?」


「何をそんなに驚いてるんだい。君の能力だって、大概なものだろう?」

苛立ちすら含まれているような様子で、竜堂は目を細めた。



「僕の絶対能力は、進法を変えられる。1ターンの思考時間は180秒・・・2進法では10110100秒、位の数字をシフトして0秒。名付けるならば、“No−Taste”・・・無味乾燥な応用戦術だ。」



その後は、オートコンボ加速システムで、タイヨウと呉星のターンは飛ばされ、竜堂のターンに移った。

ゆっくりカードを引いて、竜堂は、終焉を告げる1枚のカードを発動した。



終焉のカウントダウン (魔法カード・シフト1適用)
0000ライフポイント払う。
発動ターンより00ターン後、自分はデュエルに勝利する。




「くっ・・・《緑光の宣告者》!」

枡子が手札から、魔法カードを無効にするモンスターを使ってくる。

しかし、それも竜堂の絶対能力の影響を受けている。


緑光の宣告者(シフト1適用) レベル2 光属性・天使族
攻撃力300 守備力500
自分の手札からこのカードと天使族モンスター3体を墓地に送って発動する。
相手の魔法カードの発動を無効にし、そのカードを破壊する。
この効果は相手ターンでも発動する事ができる。



「3枚っ・・・!?」



「僕の絶対能力は、“元の値”から数字をシフトできる。それは自身のテキストであっても例外じゃない。」



1枚の魔法カードを封じるのと引き換えに、枡子は手札4枚を失った。

そして竜堂は事も無げに、2枚目の《終焉のカウントダウン》を発動する。


“闇の一手”(オンリーワンス・シフト1適用) レベル5能力(所有者:呉星十字)
相手が手札からプレイできるカードは1ターンに3枚までとなる。




無味乾燥なデュエルは、竜堂の勝利によって幕を下ろした。

4人は気を失い、その場に倒れ伏した。

「ヒノエ・・・!」
「水星さん!?」
「タイヨウさん!」
「呉星さん・・・。」

残る4人が、一斉に竜堂を睨む。
険しい顔に、竜堂はたじろいだ。

「・・・・・・かかって、くるかい?」

デュエルディスクの拘束は外されたが、このまま逃げるわけにもいかないだろう。
物理的にも、心理的にも、殆ど不可能なことだ。
竜堂はデッキを変えて、あらためてデュエルディスクを展開した。

それに応じて、御前、ヨシュア、アリアン、エウレカは、流れるような手つきでデュエルディスクを展開する。
その双眸を、竜堂に向けたまま。



「「「「「デュエル!」」」」」



その途端、竜堂のフィールドに五芒星が出現し、そこから巨大な手足が飛び出してきた。



「デッキは40枚から60枚の束から構成される。それをシフトして、0枚から182枚に拡張した。僕のデッキは5枚しかない。初期手札でエクゾディアを揃えた。」



だが、五芒星が出現したのは、エウレカのフィールドも同じだった。

先程と違い、竜堂の手札が5枚なら、エウレカの手札も5枚あるのだ。


“節制の神域”(インビジブルウォール) レベル5能力(所有者:エウレカ・セデミクラ)
手札の枚数、フィールドのカードの枚数、ライフポイントにおいて、相手が自分以下である状態を維持する。
(自分によって生じた相手の超過分は、ライフは失われ、カードはランダムに墓地へ送る。)



古代においては、およそ有り得ぬであろう、両陣営エクゾディアの衝突。

怒りの業火が放たれ、部屋を炎で食い尽くした。



「・・・・・・これで引いてくれないか?」

焼け爛れた肉体を、逆刻で元通りにしながら、竜堂は提案した。

部屋中は焦げだらけで、エウレカがバリアを張っていなければ、8人の身も無事では済まなかっただろう。
更には、このまま続ければ、被害は部屋の外にまで拡大しかねない。そう考えての提案だった。

しかしエウレカは、きょとんとして、そして笑った。

「何を言ってるんですかーーーーー!? ここからが本番じゃないですかーーーーー! わたくしは何度でも初手に、エクゾディアを揃えてみせますよーーーーーー!!」

「・・・・・・。」

竜堂は思わず天を仰いだ。

確かにエウレカの引き運の強さに、自分の引き運の悪さ・・・相手に良い手札を揃えてしまえるほどの引き運の悪さを加えれば、およそ100パーセントの確率で、初手にエクゾディアを揃えることが出来るだろう。

「わたくしはーーーー大量破壊兵器が大好きですよーーーーー! 核爆弾が大好きなんですよーーーーー!!」

言わんとすることは理解できる。
このまま引き分けを繰り返せば、先に死ぬのは竜堂の方だ。

竜堂の魔力は37万、エウレカの魔力は12万だが、魔術師としての力量に圧倒的な違いがある。
たとえ竜堂の魔力が12億あったとしても、リアルファイトでエウレカに勝つことは出来ないだろう。
それは万倍強いとかいう話ではなく、根本的に次元が違うのだ。それこそ実数と複素数のように。

(・・・・・・仕方ない、な。)

竜堂は再びデュエルディスクを構えた。


「「「「「デュエル!」」」」」


『ライフポイントが0になったら敗北する』をシフトして、『ライフポイントが1になったら敗北する』に書き換えた。

初期ライフ8000を、2進法で0と1の塊にして、自分の初期ライフを0に、相手4人の初期ライフを1にした。



そしてデュエルは、終了した。

勝利の味は、甘くも辛くもなく、無味乾燥なものだった。

まだ煙の燻る部屋の中央で、竜堂は沈んだ気分で煤を払った。





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