佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 決闘祭!   番外編 イシュタールの末裔 (前編)

<<   作成日時 : 2016/12/23 00:00   >>

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◆ ◆ ◆



目を閉じれば景色が浮かぶ

想像の中でボクは

あたたかい陽射しの下で

心地よい風を感じる



あの日に感じた世界を

ボクは忘れない



◆ ◆ ◆



「姉さん、リシド。・・・あの日ボクが見た幻想は今、現実になっているよ。」

遠いエジプトの地で活動している姉と腹心を想いながら、長身の青年は笑みを浮かべた。
暗い穴倉を出てからも、苦痛に自由を奪われ続けていた彼は、17年前に本当に自由になった。
あのときの倍の歳を数え、手にした自由は、大変だが、幾許も色褪せていない。むしろ鮮烈な景色だ。

(初めての太陽は眩しくて、綺麗だった。)
(手に入れた太陽は、禍々しくて恐かった。)

この童実野埠頭も、かつて訪れたときは、ゆっくりと眺めている気持ちの余裕も無かった。
今ここから眺める景色は穏やかで、潮の香りが心地よく鼻腔をくすぐる。

(武藤遊戯に負けて、久々に見た朝日は、初めて見た太陽の光と同じくらい綺麗だった。)

あれ以降、マリクは贖罪に人生を捧げてきた。
T2社の秘密組織で、事務処理から戦闘まで幅広く活動していた。


デュエルモンスターズは危険な力を秘めているが、世間への浸透度を考えると、発売中止には出来ない。
強引に中止にしたところで、かえってアンダーグラウンド化し、犯罪の温床となってしまうだろう。
そこでT2社は、ミスティック・サイエンスの研究と対処の為に、精鋭を集めて組織を作った。
マリクは幹部の末席として、様々な難事件に携わっており、その資料の一部はプロ炭酸(株)に収められている。

いかにもキナ臭い組織のように見えるが、カードゲームの流通は欠かせない重要な仕事を担っている。
特殊なカードに宿る闇の力を解析し、一般販売可能なカードを作り上げることが、日常的な作業だ。

ドラマで活躍したカードが、何年も経ってから一般販売されることに、疑問を抱いたことはないだろうか?
それはカードに宿る闇の力を解析するのに、時間を要するからである。


《ラーの翼神竜》の一般販売にも成功しているが、様々な意味で大変だった。
海馬コーポレーションの社員でもある珍札狩郎の協力を得て、闇の力を取り去ったカードを製作できたが、神威を失ったカードは、果てしなく弱体化してしまっていた。
おかげで多くのデュエリストたちから非難が殺到し、マリクもノイローゼから幼児退行していたほどだ。

リシドによってマリクは快復し、後に形態別カードとして《ラーの翼神竜−球体形》や《ラーの翼神竜−不死鳥》の販売に漕ぎつけたことによって、この一件は、ようやく収束へ向かった。
最終的にはカード名を、《ヲーの翼神竜》、《ヲーの翼神竜−球体形》、《ヲーの翼神竜−不死鳥》と変更することで、苦情を発していたデュエリストたちを納得させた。


事務処理と難事件に追われる、その傍ら、マリクは夢を抱いていた。
それは自身の素晴らしい体験であり、デュエルモンスターズの普及に努めるものであり、贖罪でもあることだ。

バイクに乗ったままデュエルをプレイする―――すなわち、“ライディングデュエル”の設立である。

不動博士の制作した旧モーメントが事故を起こして以降、新型モーメントの制作は重要課題となっていた。
そのプロジェクトに抜擢されていたのが、阿久津という科学者であるが、悲しいかな、彼は不動博士ほどの天才性を備えていなかった。新型モーメントの開発は暗礁に乗り上げていた。

そこへ颯爽と現れた光こそ、マリク・イシュタールであった。
かつて世界を闇へ沈めかけた男は、世界のエネルギー問題を解決するべく立ち上がったのである。
デュエルモンスターズの力を利用して、新たなるモーメント機構の制作に、陰ながら協力を惜しまなかった。

ミスティック・サイエンスと、モーメント。
その仲立ちとなるのが、“デュエル”と“回転”の両側面を備えた、「バイクによるデュエル」だ。
幼い頃の他愛無い“ごっこ遊び”が、思わぬところで役に立って、マリクは複雑な気分だった。



「なっはっは、おひとり様かね?」

爽やかな笑顔で無堂幻大が登場した。
姉と同じ年齢の彼とは、ビジネスライクの関係だが、10年来の知己でもある。

「ここからの景色が好きなんです。」
「わたしも好きだよ。自然と文明の調和だね。」
「・・・。」

「心配せずともいい。今夜にでも、3枚のSJ(スピードジョーカー)は戻ってくる。」
「・・・何も訊ねないんですね。」
「なはは、君が悪人でないことは知っているよ。」
「だけど善人でもない。ボクは罪人だ。」

贖罪と言いながら、自分のしていることは罪悪感からの逃避に過ぎないのではと、悩んだことは数知れない。
父親を殺したことは、闇人格が下手人であることや、根本原因が父親の過剰な折檻によるものだとしても、大勢の人々を洗脳して意のままに操り、カードの強奪や偽造を行ったのは、紛れもなく彼の意思だ。

「ふむ、君の過去については、とりあえず置いておこう。君が新たな“神”を製造したことは、私利私欲ではないし、むしろ気前のいい話だ。若者を戦わせることが罪であるならば、せめてデュエルであるべきだろうよ。」

天雷のフォーシェル
地裂のトゥームベル
無尽のライゼル

マリク・イシュタールの制作した、次世代の“神”は、自らを託す者を求めている。
少なからず闇の力に身を浸したマリクには、カードが発する闇の鼓動が聞こえている。

「大いなる力には、大いなる責任が伴う。あれらの“神”の所有者に、万一のことがあれば、ボクは自害を以って神の怒りを鎮めるつもりだ。」
「ねへへ、そのストイックさは好ましいけど、あまり利口な選択ではないな・・・。愚者と賢者の境界線を、自らの命で引くつもりかね? 血染めのラインが未来に通じていると思うかい?」

無堂はデュエルディスクを広げた。

「・・・!」
「なはは、わたしが勝ったら自殺で逃げようなんて思わないことだ。」


「「デュエル!」」


マリク・イシュタール:LP8000
無堂幻大:LP8000



「ボクの先攻、ドロー。カードを2枚セットし、ターンエンドだ。」

「なはは、大胆な出方だな。では、わたしのターンといこうじゃないか。ドローカード。」

幻大は舐めるような目つきで手札を眺め、1枚を摘み出した。

「うむ、《ワイズ・コア》を召喚する。」

「・・・!」

「なはは、装備魔法《プロミネンス》! これを《ワイズ・コア》に装備する・・・ほら、破裂だ。」


プロミネンス (装備魔法)
「プロミネンス」は自分モンスターにしか装備できない。
(1):装備モンスターを破壊できる。
この効果で破壊したとき、相手フィールド上の全てのカードを破壊し、
破壊したモンスターの数×500ポイントのダメージを与える。



「これで君の伏せカードは全滅。ダメージは与えられないが、ワイゼルと愉快なパーツたちを特殊召喚する! なはははははは、出でよ《機皇帝ワイゼル∞》! 《ワイゼルT》! 《ワイゼルA》! 《ワイゼルG》! 《ワイゼルC》!」


機皇帝ワイゼル∞ レベル1 闇属性・機械族
攻撃力0 守備力0
「∞」モンスターは自分フィールド上に1体しか表側表示で存在できない。
(1):このカードの攻撃力・守備力は、このカード以外の自分フィールド上に
表側表示で存在する機皇帝パーツの攻撃力分アップする。
(2):このカードは相手のカードの効果の対象にならない。
(3):1ターンに1度、相手フィールド上に表側表示で存在するシンクロモンスターを
装備カード扱いとしてこのカードに1体のみ装備することができる。
このカードの攻撃力は、この効果で装備したモンスターの攻撃力分アップする。


ワイゼルT レベル1 闇属性・機械族・機皇帝パーツ
攻撃力500 守備力0
フィールド上に「∞」と名のついたモンスターが
表側表示で存在しない場合、このカードを破壊する。


ワイゼルA レベル1 闇属性・機械族・機皇帝パーツ
攻撃力1200 守備力0
フィールド上に「∞」と名のついたモンスターが
表側表示で存在しない場合、このカードを破壊する。


ワイゼルG レベル1 闇属性・機械族・機皇帝パーツ
攻撃力0 守備力1200
フィールド上に「∞」と名のついたモンスターが
表側表示で存在しない場合、このカードを破壊する。
自分フィールド上に存在するモンスターが攻撃対象に選択された時、
このカードに攻撃対象を変更する事ができる。


ワイゼルC レベル1 闇属性・機械族・機皇帝パーツ
攻撃力800 守備力600
フィール上に「∞」と名のついたモンスターが
表側表示で存在しない場合、このカードを破壊する。
このカードは相手のカードの効果では破壊されない。



ぎぃん、と軋む音が鳴り、ワイゼルが覚醒する。

《機皇帝ワイゼル∞》 (攻0→2500)



「更に、にひひ、《一族の結束》を発動。」


一族の結束 (永続魔法)
自分の墓地の全てのモンスターの元々の種族が同じ場合、
自分フィールドのその種族のモンスターの攻撃力は800アップする。



《ワイゼルT》 (攻500→1300)
《ワイゼルA》 (攻1200→2000)
《ワイゼルG》 (攻0→800)
《ワイゼルC》 (攻800→1600)

《機皇帝ワイゼル∞》 (攻2500→3300→6500)



「なはっ! それでは行くとしよう、攻撃だ! 手札誘発の用意は出来ているかね!?」

機皇帝の5連撃が開始される。その総攻撃力は、実に12200!
だが、マリクの目は、ぎらりと輝く。

「いいや、ボクが発動するのは墓地の《クロス・カウンター・トラップ》だ! このカードが相手によって墓地に送られたターン、手札から罠カード1枚を発動できる・・・《グレイドル・パラサイト》第1の効果!」

「む・・・!」


金色の鷲がデッキから飛翔し、無機質な機械に果敢にも立ち向かう。
その真価は、破壊されたときに発揮される。

グレイドル・イーグル レベル3 水属性・水族
攻撃力1500 守備力500
(1):自分のモンスターゾーンのこのカードが
戦闘またはモンスターの効果で破壊され墓地へ送られた場合、
相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
このカードを装備カード扱いとしてその相手モンスターに装備する。
(2):このカードの効果でこのカードが装備されている場合、
装備モンスターのコントロールを得る。
このカードがフィールドから離れた時に装備モンスターは破壊される。



(ふむ、どの道このターンで仕留めることは出来なかったのだが・・・。)

幻大は少し考えて、攻撃を続行した。

「ワイゼル・インフィニティの攻撃!」


《グレイドル・アリゲーター》 (破壊)
マリク・イシュタール:LP8000→5500



「・・・? ボクのライフが・・・?」

「なはは、デュエリスト能力だよ。互いの受けるダメージは半減する。」


減痛空間(ペインクリニック) レベル2能力(所有者:無堂幻大)
互いの受けるダメージは半分になる。



「安心したかな?」

「まあね。ボクは効果で《ワイゼルA》をいただくよ。」

「では、残るパーツたちで総攻撃をかけよう。」


《ワイゼルA》 (破壊)
マリク・イシュタール:LP5500→5450→5050→4250



「ふむ、カードを1枚伏せてターンエンドしよう。」


マリク・イシュタール:LP4250、手札3
場:
場:グレイドル・パラサイト(永続罠)

無堂幻大:LP8000、手札2
場:機皇帝ワイゼル∞(攻4500)、ワイゼルT(攻1300)、ワイゼルG(攻800)、ワイゼルC(攻1600)
場:一族の結束(永続魔法)、伏せ×1



グレイドル・パラサイト (永続罠)
「グレイドル・パラサイト」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):相手モンスターの直接攻撃宣言時にこの効果を発動できる。
自分フィールドにモンスターが存在しない場合、
デッキから「グレイドル」モンスター1体を攻撃表示で特殊召喚する。
(2):自分の「グレイドル」モンスターの直接攻撃宣言時に、
相手の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。
相手フィールドにモンスターが存在しない場合、そのモンスターを相手フィールドに特殊召喚する。



「ボクのターンで、《グレイドル・スライムJr.》を召喚する。」


グレイドル・スライムJr. レベル2 水属性・水族・チューナー
攻撃力0 守備力2000
(1):このカードが召喚に成功した時、
自分の墓地の「グレイドル」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを特殊召喚する。
その後、この効果で特殊召喚したモンスターと同じレベルの
水族モンスター1体を手札から特殊召喚できる。
この効果の発動後、ターン終了時まで自分は水属性モンスターしか特殊召喚できない。
(2):このカードが戦闘で破壊され墓地へ送られた時に発動できる。
デッキから「グレイドル」モンスター1体を特殊召喚する。



「効果で《グレイドル・イーグル》を蘇らせる・・・更に、手札から《グレイドル・コブラ》を特殊召喚する。イーグルとコブラに、スライム・ジュニアをチューニング!」

グレイドルの切り札、下級グレイドルをくっつけただけのようなドラゴンが出現。
ふざけた姿をしているが、その効果は強力だ。


《ワイゼルT》 (破壊)
《ワイゼルG》 (破壊)
《ワイゼルC》 (破壊)
《機皇帝ワイゼル∞》 (攻4500→800)



グレイドル・ドラゴン(???適用) レベル8 水属性・水族・シンクロ
攻撃力3000 守備力2000 水族チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
「グレイドル・ドラゴン」の(1)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードがS召喚に成功した時、
そのS素材とした水属性モンスターの数まで相手フィールドのカードを対象として発動できる。
そのカードを破壊する。
(2):このカードが戦闘・効果で破壊され墓地へ送られた場合、
このカード以外の自分の墓地の水属性モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。



「残った中枢を攻撃だ!」

《機皇帝ワイゼル∞》 (破壊)
無堂幻大:LP8000→6900


「カードを2枚伏せて、ターンエンド!」


マリク・イシュタール:LP4250、手札0
場:グレイドル・ドラゴン(攻3000)
場:グレイドル・パラサイト(永続罠)、伏せ×2

無堂幻大:LP6900、手札2
場:
場:一族の結束(永続魔法)、伏せ×1



「ではでは、わたくしのターンに。ドロー、ふむ、まずは《グラン・コア》を召喚。そして伏せカードを開こうかな。」


セルフ・ボム (罠カード)
自分フィールド上のモンスターを全て破壊する。



《グラン・コア》 (破壊)



「グランエルと愉快なパーツたちを特殊召喚する! 出でよ、《機皇帝グランエル∞》! 《グランエルT》! 《グランエルA》! 《グランエルG》! 《グランエルC》!」




つづく

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2016/12/24 00:03

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