佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 決闘祭!   Act 57 美味

<<   作成日時 : 2017/03/19 00:00   >>

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◆ ◆ ◆



―――遡ること2年前。


小学生ほどの少女が、大きな枕をギュッと掴んでいた。
長く伸びたクリーム色の、自らの髪に腰かけて、宙に浮かんでいる。

「はぁん、リンネちゃんカワユイよぉ♪ ミニマムな体に短い黒髪、どこをどう切り取ってもトロットの好み♪」

A級喜席、“跳躍”のトロット・スロットは、あどけない顔を紅潮させて、切なく笑う。

「ダメよトロット、トロットには竜堂様というものが・・・はぁん、竜堂様えろカッコいいよぉ・・・!」

握り締める枕が、壊れそうなほどに形を変える。

「どうすればイイの、どうすればイイの、トロット困っちゃう!!!」

ぶんぶんと首を振るトロットの前に、背丈が2メートルを軽く超える女が現れた。
白いワンピースに、白い帽子を目深に被り、宙に浮いているトロットと目線が等しい。

「困ることないじゃないですか。竜堂様は42歳ですよ? 君の守備範囲からは外れてしまってるのでは?」

「はああああ!!? 何言ってんの!? 馬鹿じゃないの!? 竜堂様は“別格”なの! 年齢とか超越した美しさを持ってるんだから! そんなこともわからないゴミは死んで!」

枕を掴みながら、幼い顔は歪み、唾を吐く。
しかしワンピースの女、A級米席ダークネス・ハットーは、全く動じずに微笑みを浮かべる。

「もちろん私は竜堂様を尊敬してますよ。美味しそうですし。」

「変なこと考えてないでしょうね!? 何だかんだでハットー、あんた“最悪の五人”の中でも2番目に始末に負えない鬼畜だからなあ・・・・・・。」

「え、どう考えても2番目は君よね? 10歳未満しか受け付けないとか、“あの人”の次に最低じゃないですか。」

「トロットは一番まともだもん。綺麗なもの以外を認めないだけだもん。」

「そんな君自身が、取り返しのつかないレベルで汚れてると思いますけど・・・。それに、ある程度の汚れは味のスパイスですよ。ほら、純水ほど不味い水はないっていうでしょう?」

「・・・その理屈で言うと、ハットーは“あいつ”が嫌いなのかな?」

「別に嫌いじゃないですよ。生理的に受け付けないだけで。」

「それを嫌いっていうんだけどね。まあ、トロットも“あいつ”は嫌いだけど。」

そこへ竜堂眸そっくりな女が姿を現した。
気怠い様子で、ブラウスも乱れている。

「あ、星目さん。おはようございます。」

「さきぱてむりなこちて。」

「え、“あいつ”が嫌いって話だけど? 星目も“あいつ”嫌いでしょ?」

「りわおぬきは?」

A級白席、“虚心”の竜堂星目は、きょとんと首をかしげる。

「あー、そっか。星目は好きとか嫌いとかいう感情が無いんだっけ。つまんないの。」

「こら、そんなこと言っちゃダメよ。叩くなら陰口にしておきなさい。」

「はあ、やだやだハットーは、いい子ぶっちゃって。リアよりえげつない趣味してるくせに。」

「しゅ、趣味じゃありません! ただの生態ですから!」

「ゆたそぷみくれつ。」

「だよねー、えげつないよねー。」

「え、今そんなこと言ってました? 君、星目さんの言ってることわかるからって、私を担いでません?」

「わぁい、そんなことしてないよ。トロット嘘つかない。それよりもリアどこ?」

「こっこだよ〜〜〜! きゅ〜〜〜!」

トロットの後ろから、全裸の少女が抱きついた。

「ちょ、離れろ年増!」

「“あいつ”って、この私のこと〜?」

「んなわけねーだろ! “あいつ”って言ったら、あいつだよ! “最悪の五人”の中でも一番最低な!」

「あはははは、みんな彼女が恐いんだ! 私も恐いけどね、きゅ〜〜〜〜〜!!」

A級百席、“未来”のリアライズ・アポトーシスは、ちっとも恐がる素振りを見せずにトロットの首を絞める。

「やめっろおおお! 加齢臭がこびりつくだろうがあああああ!!」



◆ ◆ ◆



―――現在。


「わぁい、要塞から出るのは久しぶりだあ。」

身長より長い髪に腰かけて、小学生ほどに見える少女が空に浮かんでいた。
フリルのついたファンシーな服を着ていて、御伽噺から出てきたようだ。

「トロットは生まれてから色んな人を見てきた。だから品質の悪い奴は匂いでわかる・・・ぐ、うぐっ、げはっ!」

咳き込んだトロットは、ハンカチを口に当てて息をした。

「すぅ〜、ぐはっ! げほっ、こいつはくせえッ!! 賞味期限の切れた加齢臭がプンプンするぜッーーー!! これだから外には出たくなかったけど、嫌悪で闘争心を高めるには打ってつけだあーーーッ!!」

金色に逆立った髪の毛の中から、その容積に収まり切らない巨大なデュエルディスクが出てきた。
カードゾーンが電気の鎖で繋がれながら展開し、あどけない顔は決闘者の闘志を帯びる。

「人間は年齢を重ねるほどに、悪い部分が増えていくなあ! 老いは醜い! ぶっ殺しても! ぶっ殺しても! 足りない足りない足りない罪だーーーッ!! トロットは宣言する! この世に存在を許されているのは、揺りかごから毛が生えるまで! 生えていい毛は、髪の毛、睫毛、眉毛だけだ! その他は絶対に許さん! 異論を発する者は皆殺し! 10歳以上のジジイは皆殺し! 10歳未満でも不細工は皆殺し! 死ね死ね死ねッッ!!!」

叫びながらトロットは、兎耳帽子を被った幼女を繰り出した。


「世界の窓から、おはようじょ! 鞭でしばいてスタンバイ! 通常召喚! 《黒魔導師クラン》!!」


黒魔導師クラン レベル2 闇属性・魔法使い族
攻撃力1200 守備力0
自分のスタンバイフェイズ時、相手のフィールド上に存在する
モンスターの数×300ポイントダメージを相手ライフに与える。



更に、もう1体。
羊の帽子を被った幼女が現れる。


「世界の窓から、おはようじょ! 杖を握ってスタンバイ! 通常召喚! 《白魔導士ピケル》!!」


白魔導士ピケル レベル2 光属性・魔法使い族
攻撃力1200 守備力0
自分のスタンバイフェイズ時、自分のフィールド上に存在する
モンスターの数×400ライフポイント回復する。



「さぁ、どっからでもかかってこーい!」

デュエルディスクの一部が奇妙に変形し、数十もの乳母車となってコースに降り立った。

『かかってこい!』

ぷるぷる震えながら、クランが鞭を振るう。


「うぁ・・・この変態があ! あああ、《ギガンテック・ファイター/バスター》の攻撃!」

真っ先にDホイールで向かったのは、ハイジーンだった。

(なるんだ・・・英雄に・・・!)

相手はA級戦力の一角、自分では勝てないことなどわかっている。
とっくにわかっている。自分が何も成せないことなど。

それでも、それを認めてしまったら、潰れてしまう。
何もしないまま潰れるのは嫌だ。
たとえ死んだとしても、死ぬまで立ち向かう。



「ぐげええええ!! 深刻な加齢臭が漂って来る、来る、来るああああ!! デュエリスト能力、発動!



トロット・スロット:LP8000→29600
ハイジーン:LP8000→0




「―――っ」



ハイジーンの体が縮んでいく。

「あ、あ・・・あ・・・・・・」

年齢が逆行する。
記憶が消えていく。


嫌な思い出が消えていく。


「・・・・・・あ・・・だあ、だあ・・・」

ろくでもない人生で刻まれた苦悩を取り去れば、そこには無垢な赤子が残っていた。

彼は宙を舞い、トロットのDホイールのへ吸い込まれた。
すっぽりと乳母車に収まり、透明なカバーが閉じられる。

「罰ゲーム♪ あ、罰ゲーム♪ トュラトュラトュラトュラ罰ゲームっ♪ 皆こんにちは罰ゲームっ♪ ろりこんにちは罰ゲームっ♪ わたしがマ〜マ〜よ〜♪」

トロットのDホイールが変形していく。
闇のソリッドビジョンが質量を増やしていく。
マシンアームが人々を捕まえていく。

「出でよ、《ボーガニアン》♪ ぼーがにあーん♪ ぼーがにあん♪ ぼーがに、ぼーがにあんっ♪」

デュエリストはライフを0にされて赤子になる。
デュエリストでなければ即座に赤子になる。



(彼女の能力は、《時の飛躍》を能力化したもの・・・?)

Dホイールを走らせながら、エルスは推測を立てていた。
それなら通常召喚を2回行えたことにも説明がつく。

だが、だとすれば最低27ターンを吹っ飛ばしたことになる。
ライフ回復量が21600であることからしても、それは正しそうだ。

(あの竜堂神邪をして“最悪”と言わせしめる1人、吹っ飛ばせるターン数に上限など無いと考えるべきだわ。)

だとしてもフィールドに出ているのは、どちらもスタンバイフェイズに効果を発動するモンスター。
互いのスタンバイフェイズをスキップするエルスの能力なら、封殺できる。

「・・・《時械神サンダイオン》! そして《うずまき》!!」


エルス・レッスル:LP8000→4000
トロット・スロット:LP29600→14800



(行ける・・・! “最悪の五人”といえども、要はデュエリスト! デュエルに従えば―――)

サンダイオンは4000ポイントの攻撃力を持ち、戦闘を行ったとき相手に4000ダメージを与える。
時械神の中でも、セフィロンに次ぐ地位と思われる、好戦的な男性の顔だ。

当然ながら、トロットにとってはマインドクラッシュ同然である。

「オエーーーッ!! 賞味期限の切れたオッサンが弩アップで迫って来る・・・来る・・・来る来る来るああああ!!」



・・・だが、次の瞬間、サンダイオンは忽然とフィールドから姿を眩ました。

「・・・っ!?」

「フゥ〜〜〜、危ない危ない。もう少しで気絶するところだったあ・・・。相手の嫌がる造形のソリッドビジョンで、思考を狂わせ、戦意を挫く・・・古典的な手だけど、実際やられてみると厳しいものがあるなあ。」

「な、何で・・・」

「何でって、自分の姿を見てごらんよ、エルスちゃん♪」

「―――っ」

カードを持つ手は、まるで幼稚園児のように縮んでいた。
そして服も脱げ落ち、エルスはトロットの手の中へ納まる。

「ハァ、ハァ・・・赤ん坊カワユイよおおおお!」

「ひぃ・・・ッ!」

「むっはぁ〜〜あああん! この乳臭い香り! ちっちゃいお手て! ぷっくりした肌! 無垢な顔! 幼児ハァハァ幼児ハァハァ幼児ハァハァ! むっふおおお〜〜〜ん! この子の匂いで飯が食える! おかわりください!」

もがくエルスを引き寄せて、トロットは膨らんでもいない胸に顔を寄せた。
そのまま桜色の突起に唇を付けて、一気に吸い上げた。

「ちゅぱちゅぱちゅぱちゅぱ! ペロペロペロペロ!」

「嫌ああああああっっ!!???」

「ハァ〜〜〜、もう片方もペロペロペロペロ!」

「ひいいいいいいいいっっ!!!??」

「そして皆さんお待ちかね! ハァ・・・ハァ・・・幼児の・・・・・・」

トロットは幼女エルスの脚を広げて、そこへ顔を埋めた。
蕩けた目で、しゃぶり、しゃぶり、しゃぶりまくる。


「むっはあああああんっっ!! 美味ッ!! 幼稚園児のオマンコ〜〜〜ッ!!」



- - - - - -



《た、大変なことになってきました! チーム・レトセリーは、ドラマ5Dsよろしく本当に未来から人類を滅ぼす為にやって来たのか!? そして仲間と思しき変態どもが大暴れ! ・・・や、山本総理、どうします!?》

《うーん、法律ではどうしようもないから、デュエルモンスターズで対処するしかないね。さっき国会で審議して可決した“緊急決闘法案”を施行し、このデュエルにおける違法行為は全て処罰の対象にならないことが決定したから、デュエリストのみんな、えげつない手段を幾らでも使ってくれて構わないよ。絆の力で敵を倒そう!》

《では、解説の私、独身33歳も、及ばずながら力に―――お前は、ダークネス・ハットー!? デュエル!》

《なに!? そこにハットーがいるのか! 俺もデュエルしに行くぞ! 俺は餓えている! デュエルに!》

《馬鹿な、手札からダークシンクロモンスターが出てきただと!? こ、これがダークネス・ハットーのデュエリスト能力なのか!? 解説の私、独身33歳、長身女のワガママボディに見惚れながらもプレイ続行―――》

《けしからん! 俺が行くまで待ってろ!》

《あ、あっあっ、どうして手札からエクシーズモンスターが!? レベルを持たないのとレベル0は、ちが・・・あ、そんなモンスターまで!? 待ってくれ、私には夢がある! 可愛い女の子と結婚するという夢が!》

《どうした!? ピンチなのか!?》

《あ、あっあっ、そんな、ふわふわおっぱい・・・がっ、ぎぃやあああああ!!!??? ガリガリガリッ!! 嫌だああ助けてええええぎゃああああああ!! ひぎぃいいいい!!? んー♪美味しっ♪ バリバリバリッ!! やだああああ食べないでバリッ食べないでいぎゃああああああ!! んーっ♪ちょっと旬は過ぎてるけど、30代の男の子も悪くないなあ♪ あああああ!!いだいよおおお!! 助けてボリボリッ! バキバキ!! ぐちゃ・・・ぐちゃ・・・べちょ・・・》

解説者の悲鳴が聞こえなくなる。

何か固いものを噛み砕くような音と、柔らかいものを啜る音が響き渡る。
音声だけのグロテスクは、世界中へと配信される。

《あっん♪ とっても美味しかったよ♪ お腹いっぱい・・・あ・・・来る・・・来ちゃう・・・にんしんしちゃうっ♪ ボコッボコボコボコ!! ぐちゅ・・・あ♪産まれる♪ぐちゃあ・・・出産アクメ来る来る来る来ちゃいますんはああああ!!》

趣味ではない、生態。
尋常ならざる手段と速さで妊娠し、出産。

そこから生まれたものは。

《こんにちは赤ちゃん♪もうひとりの私♪》
《おはようママ、もうひとりの私。》

同じ声同士が会話する。
狂言でなければ、ダークネス・ハットーは2人に増えたことになる。

《また美味しい男の子を食べに行くよ♪》
《うん、私も美味しい男の子を食べに行くよ!》
《罪深いね♪》
《罪深いね!》


その後に響いてきた、背筋も凍るような笑い声は、確かに2人分あった。


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