佐久間闇子と奇妙な世界

アクセスカウンタ

zoom RSS 【とある】 第一位・御坂美琴 (三五) 【パラレル】

<<   作成日時 : 2017/04/14 00:00   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

◆ ◆ ◆



「ゥンまああ〜いっ!!」

金髪の少女が再びサバカレーを舌の上で踊らせていた。
惣菜として様々なサバ料理も用意されており、魅惑の時間だ。

痛みやすいので敬遠されがちなサバであるが、その用途は幅広い。
スイーツなどにも使われているというから驚きだ。

「結局、腹が減っては戦は出来ぬって訳よ!」ガフッングッ

「本当に来てくれるなんて思ってませんでしたよ。」

黒髪の少女は、心理的な意味ではなく物理的な意味で言う。
めいっぱいの安堵を込めて。

「結局サバがある限り私は死ねないって訳ね。」オカワリ

“メンバー”が壊滅し、ショチトルが重傷を負ったと知らされた。
そのとき、「暗部とは、そういう場所だ」と、頭ではなく実感として理解した。
そしてサバ好きな金髪少女にも、二度と会えないのかもしれないと、どこかで諦めていた。

事実として彼女は、またしても戦闘してきたのか、服はボロボロで傷だらけだ。
巻いている包帯には、真新しい血が滲んでいる。

「それにしても、今日の学園都市は嫌な予感がしますね。何が起こってるんですか?」

花飾りを頭に盛った少女が、サバの味噌煮をつまみながら尋ねる。

「暗部同士がドンパチやってるから、外出しない方が身の為って訳よ。」

「それだけではありませんの。外から侵入があったと報告されてますの。」

ツインテールの少女が物憂げに補足する。

「学園都市の人々が、次々と昏倒させられていますの。」

「それって、まさか“幻想御手”みたいな?」

「アレとも違うようですの。何でも、体内の酸素が著しく欠乏しているとか・・・」



◆ ◆ ◆



木原 「何者だ」

ヴェント 「前方のヴェント」

木原 「前方の弁当?」

ヴェント 「もっと早く侵蝕が進むものとばかり思ってたけど」

ヴェント 「構成員の大半が教員や学生なら」

ヴェント 「私の侵蝕速度も遅れて当然、か。」

木原 「殺す」

それは寒気がするほどに淡々とした言葉だった。
雑草を抜くのと同じ感覚で、「眠る」と同じような口調で、
殺意を漲らせながらも一切の敵意は無い。純粋な目的意識。

初めて会った相手に、向ける敵意も悪意も無い。
敵意や悪意を向けるほど親しくない。
彼が敵意や悪意を向ける相手は、一方通行ただひとりだ。

ヴェント 「・・・・・・」

ヴェント 「・・・アンタ」

ヴェント 「何者? それ、中に何人いる?」

木原 「・・・・・・」


木原? 「ば・れ・て・し・ま・っ・て・は、仕方がありマセーン↑(゚∀゚)!!!」


どろりと濁った“諦め”が、黒く黒く黒く黒く黒く黒く
“木原”の双眸を塗り潰して嗤った。

??? 「だったらちゃんと折らないと。」

??? 「こういうときは“木原”ならこうするんだよね?」

木原の体から、車椅子“のようなもの”に座った女と
黒いストッキングの少女が、ずるりと這い出てきた。

木原 「殺せ」

円周 「うん、うん、わかってるよ数多おじちゃん。」

円周 「戦わずに済むならそれが一番なんだけど・・・」

円周 「でも“木原”なんだから仕方ないよね。」

病理 「そうですよ。」

病理 「戦わずに済ませようなんて考え方は」

病理 「さっさと諦めてください。」

無邪気な本能と、邪気の諦念が、
ローマ正教の最終兵器と対峙する。

ヴェント 「・・・アンタらも、“敵意”が無いのね。」

病理 「そんなものはとっくの昔に“諦め”ましたから。」

病理 「だから」

病理 「あなたも“諦め”てください。」

病理 「学園都市を潰すことだけでなく」

病理 「これからの人生すべてを。」

ヴェント 「・・・・・・」

円周 「こういうとき当麻お兄ちゃんなら」

円周 「そのふざけた人生をブチコロシカクテイネって」

円周 「円周は円周は目の前のクソアマを思いっきり」

円周 「いったいナニしてしまうのでございますの?」アラアラ

ヴェント 「・・・っ」

このときヴェントが抱いた感情は、“気持ち悪い”だった。
とにかく圧倒的に気持ち悪い。

自身が他者の嫌悪感を誘発するようなスタイルだけに、
それが通じないことも含め、敗北感にも似た気持ち悪さを
ひしひしと感じてやまない。

病理 「ああ」

病理 「この子が気になりますか?」

病理 「円周ちゃんは“木原”としては“足りない”ので」

病理 「色々と諦めてもらいました。」

ヴェント 「・・・・・・」

もしもヴェントが科学知識に堪能であったならば、
木原数多から病理と円周が這い出してきた現象が
パウリの排他原理に抵触してないと、すぐに見当がついただろう。

もしもヴェントが木原病理の知識があったならば、
パウリの排他原理に抵触しない方法にも見当がついただろう。

もしもヴェントが複数の世界を知っていれば、
この世界の木原円周が、首から何も引っかけてないことに
気付いていたかもしれない。

病理 「円周ちゃんは特有の思考パターンを形成できず」

病理 「木原たりうる研究成果も出せていないので」

病理 「それを実現させることを“諦め”させました。」

ヴェント 「・・・・・・」

気持ち悪さの正体が見えてきた。
見た目で言えば、自分の方が他者に嫌悪感を与えると
ヴェントは自負している。

気怠い色気が魅力的な女と、愛くるしい天真爛漫な少女。
見た目で言えば、二人とも他者から好意を持たれる側だ。

しかし、言ってることがズレている。
普通の感覚からすると、文脈がおかしい。

外連味たっぷりのセリフを用いるヴェントでも、
他者から敵意を向けてもらう為に、
言ってることを理解してもらう為に、
文脈そのものは真っ当である。

だが、目の前の二人は、そもそも前提からして違う。
自分の言ってることを“理解してもらおう”などとは
微塵も思っていない。

まるで理解されることを“諦め”たかのように―――

病理 「今の円周ちゃんは」

病理 「“未元物質”の侵蝕を受けて」

病理 「明確な自我というものを持っていません。」

ヴェント 「ダークマター・・・?」

円周 「うん、うん、わかってるよ病理ちゃん。」

円周 「及第点が取れないなら全てを諦めればいいんだよね。」

円周 「誰でも思いつくことは“木原”らしくないなんて拘りも」

円周 「無数の思考パターンを“自分で”選択する“自由”も」

円周 「この戦いに勝つことも学園都市を守ることも」

円周 「“誰か”に対して“何か”を思うことも」

円周 「木原円周が木原円周であることも」

円周 「ぜんぶ諦めればいいんだよね?」

いじけも悲しみも絶望も無く、あっけらかんとした明るさで、
お団子に結った少女は満足そうに頷く。

病理 「それでは」

病理 「学園都市を諦める戦いを始めましょうか。」

車椅子“のようなもの”が変形し、
第九多様体を含んだ、描写しがたい構造になる。


ヴェント 「・・・・・・」

ヴェント 「・・・“神の右席”を舐めてんじゃねえぞ。」

すうっと縮まる目が、屍食鬼のように歪む。
“諦め”を司るというのなら、諦めさせてやるまでだ。

少々“気持ち悪さ”に当てられたが、
彼女として“神の右席”の一角、気丈さは並ではない。
早くも精神状態がニュートラルに戻っている。

ヴェント 「“戦闘”は得意じゃないんだケド」

ヴェント 「私の魔術は“天罰術式”だけじゃない―――」

巨大なハンマーが轟っと唸り声を発して
風の牙を周囲に撒き散らした。



◆ ◆ ◆



真っ二つになった垣根を地面に転がして、
麦野は座り込んで一息ついた。

正直ギリギリの戦いだった。
“0次元の極点”の演算が間に合わなければ
真っ二つになっていたのは麦野の方だった。

展開された“未元物質”をアスポートしつつ
垣根をアポーツするのは、
流石に麦野といえども骨が折れた。

元より演算能力に差がある対戦カード。
麦野の勝機は最初から“0次元の極点”に集約されていた。

麦野 「はーまづらぁ」

麦野 「また助けられたね。」


その

瞬間


轟っと唸り声を発して
殺人光線が周囲一帯を焼き尽くした。

麦野 「―――っ」

咄嗟に“0次元の極点”でテレポートし、
焦熱範囲の外から身構える。

爆心地に立っていたのは、六枚の羽を生やした青年。

垣根 「真っ二つにしたくらいで殺れると思ったか? この俺を、“未元物質”を―――」

麦野 「 」

垣根 「悪いが」


垣根 「俺の“未元物質”に常識は通用しねえ。」



テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
禁書SS 目録
自作まとめ ...続きを見る
佐久間闇子と奇妙な世界
2017/04/14 00:01

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文
【とある】 第一位・御坂美琴 (三五) 【パラレル】 佐久間闇子と奇妙な世界/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる