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zoom RSS 【とある】 第一位・御坂美琴 (四一) 【パラレル】

<<   作成日時 : 2017/04/20 00:00   >>

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◆ ◆ ◆



隠しても隠し切れない人格破綻者の集まり、レベル5。
しかしその中でも、垣根帝督だけは珍しく普通の少年だった。

人の話を真面目に聞き、至って普通の性癖で、夢見がちな男女観。
さりとて異性の汚さを受け止める度量もあり、依存心も並み程度。
理知的で、激昂したときも心を落ち着ける術を心得ていて、理性的。
人並みに、自分は特別な存在だと自意識を肥大させ、それを恥じる。
狂った恋心も、世界を守りたいという大層な志も無く、平穏を望む。

高レベルほど人格破綻者が多いのは、傾向であって絶対ではない。
“自分だけの現実”の強さは、人格破綻と正の相関関係にあるが、
それでも相関係数が1というわけではない。せいぜい0.8程度だろう。

幼い頃から研究所で実験漬けにされてきたが、それで歪むこともなかった。
ダーティーなイメージが強い、学園都市の研究施設だが、
実際のところ善良な科学者も多く、健全な施設も少なくない。
そこに打算が無かったわけではないにしろ、
打算的な大人に拒否感を覚えるほど、垣根は潔癖症ではなかった。


垣根の在籍していた研究所では、“未元物質”を利用して
怪我や病気の治療に応用しようという研究が進められていた。
それは献身的な研究であり、利益の大きな研究でもあった。

研究の傍流には、能力のレベルを向上する実験も行われていた。
その被験者の1人に、“心理目盛”(マイルハート)の少女がいた。

彼女の優しい笑顔に、垣根は胸の高鳴りを覚えた。
常識の通用しない能力を持つ少年は、常識の通用しないセリフを発した。

『お前(マイルハート)のスマイルに、ハートを奪われちまったぜ。』

やっちまった・・・と、すぐに思った。
自分のメルヘン系な中二センスを自覚しながらも、やめることは出来ない。
中二病とは、そういうものだ。病気の名を冠するのは伊達ではない。

だが、男が気恥ずかしいと思うセリフでも、受け取る女の側は
ロマンチックな、あるいは面白い奴だと思うことも多い。
まして垣根は、ハンサムな顔立ちである。メルヘンの似合う、甘いマスクだ。

“心理目盛”はクスッと笑って、「お友達から始めましょ」と、
後の悪女の素質を垣間見せながら垣根の手を取った。



◆ ◆ ◆



垣根05 「ひとりの人間の中には、実に様々な感情が存在しています。」

垣根05 「臆病な自分、短気な自分、見栄っ張りな自分。」

垣根05 「そして、誰かを愛しいと思う自分も。」

垣根05 「私は垣根帝督の、守りたい、作りたい、止めたいという心です。」

垣根2025 「なるほど理解した。」

垣根1936 「普段は見えなくなってるものが、引き延ばすことで具現化したってことか。」

垣根1600 「しかし何をトチ狂って女の恰好なんかしてやがる? 俺の性別を忘れたのか?」

垣根05 「性別などという常識に囚われているようでは」

垣根05 「どれだけ大勢いても私には勝てませんよ。」

垣根05 「性別どころか、場合によっては素敵な甲虫になることさえ可能です。」

垣根05 「今の私たちは、そこまで突き抜けた生き物になってしまったのですよ。」

垣根1681 「そうか理解した。そしてムカついた。」

垣根1089 「殺す」

垣根05 「無理です。」

さらりと透き通る声で、少女はロングヘアを風に晒す。
次の瞬間にも激突は始まっていた。

互いに“未元物質”を操る者同士、ならば数が多い方が有利。
しかし互いに“未元物質”を操る者同士、そんな常識は通用しない。

砕いても砕いても、木端微塵にしても、垣根05は再生する。
それは元の垣根ではないにしろ、同じ人格の泥人形だ。
目に見える数の多さなどは、垣根の本質ではない。
無限に再生を繰り返す“無尽蔵”は、どちらも同じ、互角だ。

だが、やがて勝負の天秤は垣根05の方へ傾いていく。
次第に垣根たちは、多勢にもかかわらず劣勢になっていく。

垣根216 (クソッタレ、徐々に押されていやがる)

垣根343 (能力の強度は互角、だったら―――)


男と女の、差。

正確に言えば、並列演算処理能力の性能差。

一般的な傾向として、男性は直列思考、女性は並列思考に長けている。
どちらが優れているかは抽象的には判定できず、具体的な状況で決まる。
ひとつの物事を深く追求するなら、直列思考、直列演算が有利だし、
複数の物事を同時に処理するならば、並列思考の方が有利だ。

真理は常に具体的。優秀さは対象を定めて規定される。
この学園都市における演算能力とは、“樹形図の設計者”よろしく
並列演算能力の速さと精度である。(能力は複数の事象を同時に扱う)

高レベル能力者に女性が多いのも、これが理由だ。
華やかな女子が多い方が見栄えが良いなどという、恣意的な操作ではなく、
並列演算処理能力の傾向的格差から生じる、必然的な結果である。

垣根05 「“ながら勉強”している気分です。」

垣根05 「ぼんやりと考え事をしながら」

垣根05 「片手間で戦っていますよ。」

女性脳の方が有利に戦えるなら、男であることなど捨ててやる。
くだらないプライドや常識に縛られて、また大切な人を守れなかったら
今度こそ自分は存在意義を失い、文字通りに崩壊する。

守りたいという意思が具現化した垣根05は、
元の性別どころか、人間であることさえも捨てる覚悟を持っている。
さっき甲虫と言ったのは、冗談でも何でもなく今ここで可能だ。

群がってくる男どもを、見下してすらいない。
今度は垣根05が、怠惰な勝利を貪る番だ。

そして“緩やか”な化学反応を待っていられない触媒が動き出す。

御坂 「そろそろ決着つけようかしら。」

その言葉と共に、御坂のフェイズが進む。
彼女とて危険な領域、フェイズ5.2へ。


御坂 「“ガルダ”」


再び具現化されるアンシンメトリーの美。
額から生えた角と、黒い目玉。

手足に物質化したAIM拡散力場と、電熱溶解した金属を纏い、
右手から、美しく煌く翼が指の指し示す方向へ伸びる。


御坂 「アーンド」

御坂 「“黄金練成”」


途端に垣根たちの肉体が、眩く輝く金塊となり、
御坂の翼へ吸い込まれ、その一部となっていく。

垣根512 「ま、さか・・・・・・」

垣根1331 「俺の“未元物質”を金に変えたっていうのか・・・?」

御坂 「驚いたかしら、垣根さん。」

御坂 「これが“魔術”よ。」

大覇星祭のときに、御坂はインデックスの記憶を操作したことがあった。
その本当の目的は、10万3000冊の情報を手に入れることにあった。

御坂 「能力者が魔術を使うと、体が壊れる。」

御坂 「だったら式の組み立ては他の媒体に任せればいい。」

垣根1728 「“残骸”か・・・!」

御坂 「“原典”による精神汚染も、機械には通じない。」

御坂 「いかなる原典もコンピューターの中では0と1の集合に過ぎない。」

御坂 「アンタも私の一部にしてあげる。」

垣根2197 「―――ッ」

“黄金練成”は、イメージを具現化する魔術だ。
しかし全てのイメージを具現化するのは、アウレオルスの二の舞だ。
そこで御坂は、文章を書き込むような方式を用いている。

ゆえにアウレオルスほどの威力は発揮しないが、
相手を金塊に変えるだけなら容易いことだ。
魔術の世界では、時代遅れとまで言われた技術なのだから。

次々と白い翼が黄金の塊に変質していく。
金を隷属させる白い翼が、その質量を増していく。
それと共に御坂の纏うAIM拡散力場が様相を変えていく。

御坂 「ありがとう垣根さん」

御坂 「アンタのおかげで、またフェイズを進めることが出来るわ。」


御坂 「フェイズ5.3―――」


もはや肉体は人間ではなく、頭部に光輪を浮かべた御坂は
頭部から胸にかけて真っ暗な宇宙空間を展開していた。

胸から下は、かろうじて人らしい形状ではあるものの、
異形と呼んで差支えない畸形の手足を構築している。


御坂 「“ホルス”」


ぽっかりと開いた虚無は、常識の通用しない男たちを
幾らでも幾らでも吸い込んでいく。無尽蔵に。

この光景を垣根は、どこかで見たような気がしていた。
それは死んだ分身が、打ち止めに見たのと同じ光景。
いや、それより遥かに大きく禍々しい、これこそ完全版。

持ち前の電磁気力操作とミサカネットワークによる補助、
菱形論文を元にした質量増大を実現する“黄金練成”、
その餌となる無尽蔵の質量を生み出せる垣根帝督。
全てが揃ったとき、御坂は新たなる扉を開き入る。

後は虐殺が始まるだけだった。

虐殺と呼べるものですらなかった。

吸収した質量で、出力と安定性を大幅に強化した御坂は
学園都市全域に闇を広げて、垣根05以外の垣根を
ひとり残らず、“未元物質”一粒も残さず吸収した。


食蜂 「・・・まったく御坂さんってば、どこまで底なしになれば気が済むのかしらぁ?」

弓箭 「こんな物凄い戦いを一緒に目撃した私達は、もはや一生の友人ですよね!」


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