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zoom RSS 【とある】 第一位・御坂美琴 (四五) 【パラレル】

<<   作成日時 : 2017/04/24 00:00   >>

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◆ ◆ ◆



エピローグ



◆ ◆ ◆



垣根(冷蔵庫) (ふー、危ねえ。“ヒッグス障壁”を維持する演算も長くは持たねえからな。)

現出した“未元物質”を、亜光速でヒッグス場に
ぶつけることによって生じる、質量の障壁。
それだけ聞けば簡単そうに思えるが、
どっこい万有引力の罠が潜む。

ただ巨大質量を用意するだけでは、
そこへ周囲が高速で引き寄せられ、上条の命が危ない。
(“幻想殺し”はグラビトンを打ち消せない)

そこで垣根は“未元物質”ではない“ダークマター”よろしく
斥力を生じさせる“未元物質”を同時に生成し展開した。
扱う領域が亜光速である以上、演算精度は細心の注意が必要だ。

ついでに述べておくと、
宇宙の質量を凌駕するというのは、流石にハッタリである。
それはヒッグス場を100パーセント引き寄せた場合の話で、
そこまでする演算能力も無ければ、そこまでする必要も無い。


上条 「垣根、テッラを助けてやってくれ。」

垣根(冷蔵庫) 「いいのか?」

尋ねながらも垣根は、
“未元物質”でテッラの下半身を修復した。

アックアの体にも“未元物質”を投入し、
聖人としての身体的性質を崩すことで、単なる人間にした。

“光の処刑”も上条が術式を壊した。


インデックス 「とうまは甘いんだよ。」

上条 「やっぱ甘いかな・・・。」

上条 「だけどさ、あいつらも悪い奴じゃなかったんだよ。」

垣根(冷蔵庫) 「おいおい性善説か?」

上条 「そうじゃなくて、いや、上手く言えないんだけどさ・・・」

五和 「きっと、恐かったんでしょうね。」

垣根(冷蔵庫) 「恐かった?」

五和 「自分の存在価値を失うのが恐かった。」

五和 「私達も、自分たちの努力なんて何の価値も無いんだと、無気力感に苛まれたことがありましたから。」

だから、わかるんです・・・五和は、そう言って笑った。
かつて仲間を守れなかった女教皇が、天草十字凄教を去ったとき、
残された自分たちは二重の無力感に襲われた。

自分たちの無力さに苛まれ、無気力になる矮小さに苛まれ、
必死で心を奮い立たせようとしながらも、心が擦り切れていった。

五和 「だけど、そんなときに上条さんに会って、私達は救われました。」

上条 「お、俺?」

それは上条にとって意外な言葉だった。

結果的にオルソラを助けて万々歳だったが、
途中、誤解から足を引っ張ったのも事実で、
わだかまりこそイタリアの共闘で無くなったと思っていたが、
救ったなどという意識は微塵も無い。

上条 「救った、なんてのは大袈裟な気がするなー。」

上条 「天草のみんながいなければ、俺ひとりじゃ何も出来なかった。」

上条 「やっぱり上条さんは、ごく普通の高校生ですよ。」

垣根(冷蔵庫) 「普通だからだろうな。」

上条 「?」

垣根(冷蔵庫) 「どんな修羅場を潜り抜けても普通でいられるから」

垣根(冷蔵庫) 「それが“普通でいられない人間”にとっては」

垣根(冷蔵庫) 「時に眩しく、時には嫉妬の対象になる。」

垣根(冷蔵庫) 「何でお前はそんな目に遭ってるのに、普通でいられるんだ、ってな。」

垣根(冷蔵庫) 「・・・俺も正直、ちょっとはな。」

上条 「そうかな。」

上条 「垣根だって、普通の学生だと思うぜ。」

インデックス (普通の学生は冷蔵庫にはならないんだよ。)

五和 (理解しました。上条さんは“普通”の範囲が異常に広いんですね。)

そう、上条当麻という人間は、
多くの人間が“異常”と見なすような者も“普通”と見る。

多くの人間が、疫病神と見なすような自分も“普通”だと思う。
だから他人に対しても、簡単に普通じゃないと見なしたりしない。

10億ボルトの電撃を放つような“バケモノ”も、
ひとりの女の子として見る。


上条 「だから美琴だって、普通の女の子ですよ。」


垣根(冷蔵庫) 「―――っ」

垣根(冷蔵庫) 「お前まさか・・・」

上条 「そりゃあ流石に気付きますよ。上条さんだって鈍感じゃない。」

上条 「今の“美琴”が、あの実験の“第一位・御坂美琴”だってことも」

上条 「俺に好意を持ってくれていることも。」

インデックス 「・・・・・・」

五和 「・・・・・・・・・」

上条 「俺は普通の高校生だ。」

上条 「ヒーローを気取って人の心に、ずかずか入り込んだりしながら」

上条 「自分のことには干渉されたくない、独り善がりな態度の」

上条 「臆病で我儘な、他人の好意を信じられない、ただの“人間”ですよ。」

それは本当なら、御坂に言うべき告白だ。
しかし本人に向かって言うだけの勇気が無い。

何がヒーロー。何が“幻想殺し”。
俺はカッコつけたいだけの偽善者でしかない。
ただ自分自身を中心に据え置いた、駄々をこねる子供だ。

垣根(冷蔵庫) 「・・・そうか。」

垣根(冷蔵庫) 「だが、ひとつだけ言っておくぜ。」


垣根(冷蔵庫) 「俺の“通信物質”に常識は通用しねえ。」


上条 「 」

『知ってしまったのね、アンタ』

上条 「 」

せり出してきた未元電話機の向こうから、
彼女の声が聞こえてきた。

それは今にも崩れ落ちそうな、
呆然とした笑みを浮かべたような声。

『そうよ』

『私は“御坂美琴”』

『アンタが許せないって立ち向かってきた化物よ。』

上条 「 」

しばらく上条は呆然としていたが、
やがてゆっくりと唇を動かした。

それは笑みのようにも見えた。

上条 「あのさ」

上条 「確かに俺は、“妹達”が殺されていくのを許せないって」

上条 「絶対能力進化実験を止めようと立ち向かった。」

『・・・・・・』

上条 「でも、違うんだ。」

上条 「あのとき自分が何を思っていたかは、うろ覚えだけどさ」

上条 「美琴を責める為に、体を張ったわけじゃないってことくらいは覚えてるぜ。」

はっきりとした記憶は、徐々に薄れて消えていく。
だけど、抱いた思いは胸の奥に刻まれている。

上条 「俺は普通の高校生だから」

上条 「正直あんま難しいことは理解できてないんだ。」

上条 「世界は色々大変みたいだけどさ」

上条 「もっとシンプルな話―――」

上条 「美琴が“助けて”って言ったら、俺は助けに行くぞ。」

上条 「絶対能力進化実験のときは“たまたま”美琴が悪かったけど」

上条 「これからもずっと悪くあり続けなきゃいけないなんてルールは」

上条 「上条さんがぶち壊してあげますよ。」

『・・・・・・』///

『・・・・・・馬鹿』///

『だったら、早く帰ってきなさいよ。』

『ゲコ太ストラップ』

『ペアじゃないと契約できないんだから』

『助けてよ、当麻。』///



かくして少女は、狂気に歯止めをかけて、日常へ戻る。

お人好しと、狂人と、愚者しかいない世界は、回り続ける。

昏倒した人々も無事に目を覚まし、平穏な日々が戻ってくる。



けれどもそれは、束の間の話。

やがて、世界の根幹を揺るがすような、大きな試練が待ち受けている。

そのときまでの短い平穏を、どうかどうか大切に、噛み締めてください・・・。







   第一位・御坂美琴 〜暗部抗争編〜   了

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