佐久間闇子と奇妙な世界

アクセスカウンタ

zoom RSS 決闘祭!   次元竜 (後編)

<<   作成日時 : 2017/09/14 00:00   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

◆ ◆ ◆



渦巻く肉体の変質者を



◆ ◆ ◆



「ただの決闘者には興味ありません! この中に、精霊、未来人、異世界人、能力者がいたら、あたしとデュエルしなさい!」

ハクアが消えた校庭に、1人の少女が降り立った。
ねじれた腕と渦巻く瞳が、享楽的に蠢いている。

「あははー、どっかのラノベ主人公みたいだー。」
「貴方は誰ですこと?」

魚眼レンズの少女と、痩せぎすの少女は、警戒しながらも言葉を紡ぐ。
只者でないことは確かだが、敵か味方かも定かではない。

「あ・せ・ら・な・い。あたしたちの物語は始まったばかりよ。」

ポニーテールを結んだ少女は、セーラー服をなびかせてウインクする。
仕草だけは可愛らしいが、へしゃげて蠢く眼が互いに違和感を増幅させる。
ねじれた腕の先から、螺旋の糸が出てきて歪んだデュエルディスクを構築した。

「渦宮、夏生・・・!」

赤い髪の少女は、冷たい顔で前を向いたままディスクを変形させる。
その言葉に、魚眼レンズと痩せぎすが驚きで目を見開く。
少女が口にした、その名前は、“カンサー”S級の瑞席―――!

「あんた、ツインテールやめたの? 似合ってたのに。」
「無々を取り戻したら、また伸ばします。」
「へぇ、願掛けってヤツ? だったらアンティデュエルにするわ、いい?」
「なるほど、最短距離ですね。」

魚眼レンズと痩せぎす―――闇坂紐里と殺霧敷衍には、何のことかわからない。
それを見て、渦宮はクスッと笑って言った。

「あたしのデッキワンカードを使えば、風森無々を呼び戻せるわ。」

「・・・っ、貴方、風森さんを呼び戻せると言ったですこと?」
「あははー、やっぱり無々さんは死んでないってことかなー? それとも罠?」

「だからこのデュエルでは使わない。あんたが勝てば、適当な相手とデュエルして使いなさい。恋の病を患っているような奴に、あたしが負けるとは思えないけど―――」

「闇坂、殺霧、わたしは渦宮と戦うので、無々を頼みます。」

「此方たちに道を譲るですこと?」
「どっちの意味かなー?」

「どのみちS級相手に物量戦など通じません。1対1のデュエルでなければ、参加者の全員が了承しない限り無効になります。そして、わたしは渦宮夏生にデュエルを挑みます。

「・・・ふーん、まあいいわ。広大な次元の中で迷子になってなさい。闇に沈むよりはマシだと思うから。」



- - - - - -



暗堂妃路子:LP8000
渦宮夏生:LP8000



「あたしの先行、ドローっと。」

ポニーテールを揺らして、渦宮はデッキからカードを引いた。

「さっきのデュエリスト能力は使わないのかしら?」
「使うタイミングは自分で決めます。」
「ふーん、即死反射でも警戒してるのか知らないけど、意味ないと思うわよ。さあ、おいで。」

渦宮はペロリと舌を出して、ウインクしてみせた。
ねじれた腕と、渦巻く瞳が、可視化の困難な図形を組みあげていく。

「手札を全て捨てて、《次元竜スパイラ・ニイラ》・・・どこまでも・・・・・・」

それは竜と形容していいのか定かではない、渦だらけの魔物だった。
円盤のような渦が大小あわせて、見えるだけで千は浮かんでいるだろうか。
ただそれだけのモンスター。それらが竜の形に並んでいるだけ。
ドラゴン曲線のような、直線で構成された曲線の、いびつさと似ている。



「極苦が蝕む我が脳へ、きゅるきゅると双眸を巻きつけや! 限界を知れ! 僻む世界へ逆螺子を食らわせろ!」



次元竜スパイラ・ニイラ レベル11 闇属性・ドラゴン・魔法使い・悪魔族
攻撃力4000 守備力4000
通常召喚できない。任意のタイミングで手札を全て捨てることでのみ、あらゆる場所から特殊召喚する。
(1):このカードは相手のカードの効果を受けない。
(2):相手のライフポイントの上限は4000になる。
(3):相手は魔法・罠を、1ターンに1枚までしか発動・セットできない。
(4):相手の特殊召喚したモンスターは攻撃できず、効果も無効になる。
(5):このカードがフィールド・墓地に存在する限り、自分は魔法カードの効果でダメージを受けない。




暗堂妃路子:LP8000→4000



「召喚コストとして捨てた《インターフェイス》の効果発動。デッキから《インターフェイス》を手札に加えるわ。」


インターフェイス レベル3 闇属性・機械族
攻撃力0 守備力0
このカードが墓地に送られたとき、デッキから
「インターフェイス」1枚を手札に加える。



「ターンエンドよ。」


暗堂妃路子:LP4000、手札5
場:
場:

渦宮夏生:LP8000、手札1(インターフェイス)
場:次元竜スパイラ・ニイラ(攻4000)
場:



「わたしのターン、ドロー。《時械神サンダイオン》を召喚します。」

「残念だけど、それ無理♪」


“排撃結界”(リジェクタ) レベルE能力(所有者:渦宮夏生)
相手の場には、能力レベルの倍以上のレベルのモンスターしか出せず、
それ以外の相手モンスターは効果も無効になる。



「・・・っ」

ヒロコは眉を顰めた。
なまじ虚数能力を持ったことで、自分のモンスターカードは無力化された。

だが、ヒロコが動揺した理由は、それで不利になったからではない。

(弱すぎる・・・?)

通常の尺度で考えれば、エクシーズとリンクは完全封殺、ダークシンクロも危うい。
レベルEとしては、ドリー・ドゥーギルの引き分け能力よりも更に例外的だ。

しかしヒロコの“ワースミーティア”に対しては、全くの無力である。
にもかかわらず、渦宮は余裕の笑みを浮かべている。

(どういうこと・・・?)

確かにレベルE能力というのは、基本的に相手が能力者でなければ効果を発揮しない。
ゆえに、いわゆる“強い”能力でないのは、当たり前と言えば当たり前である。

(ハッタリか、それとも・・・いずれにしても、“ワースミーティア”を撃つべき局面―――)


渦宮夏生:LP8000→7000→6000→5000→4000→3000→2000→1000→0



「かはっ・・・」

渦宮は血を吐いて倒れた。
壊滅した校庭に、ヒロコだけが立っていた。



◆ ◆ ◆



“U改”では、執事服の女が、眼鏡をかけた白衣の女に訊き返していた。

「寿命・・・ですか? ピンと来ないですが。」
「生き物が死ぬのは当たり前のことよ。プリンうめえ。」
「それが当たり前でないのが、リンネの血族ではないのですか?」
「だけどニルエ、そのリンネも死んだのよ。」

白衣の女、モルフィーナ・コカイは、プリンを食べきって口を拭いた。
周囲にはプリンの容器が幾つも散乱している。

「デュエリストはデュエル以外では死なない。その性質は、裏を返せばデュエルなら死ぬってことよ。リンネはデュエルで敗北する以外の、あらゆる死の要因が存在せず、定義も出来ないけれど、血族は少し緩いわ。」

ドヤァと擬音が聞こえてきそうなモルフィーナの顔。
執事服のニルエ・キルコは、しかし首をかしげて再び訊ねる。

「・・・デュエルでの敗北以外に死の要因があると?」
「城之内克也の件を知らないわけでもないわよね。あんた実年齢は彼らの親世代でしょ。」
「闇の力によるノックアウトデュエルですか? ますます無理そうに聞こえますが・・・。」
「それは勿論、相手からの攻撃においてはね。あたいが言ってるのは、渦宮夏生、彼女自身の力のことよ。」

リンネの子供たちは、それぞれ神の力を持っている。
天神美月はテキストを覆い隠す“光の霧”。
修堂朋樹は敗者を奴隷にする“隷属の力”。
間山月人は対戦相手を能力者にする“親方の力”。
ユダは敗者の能力を消失させる“円環の力”。

「渦宮のは、“変性の力”でしたね。“掌握の力”や“回帰の力”と同じく、神の力の一端。」
「そう、一端。つまり不完全。完全無欠のリンネと違って、“変性の力”は使うほど肉体を蝕むわ。」
「ああ、なるほど。リンネには“肉体”がありませんから、肉体を蝕むデメリットは無意味というわけですか。」
「“変性の力”は、自分の意思で発動しなくても少しずつ体を蝕む。このまま大人しくしていても半年が限度。タイムリミットが訪れたとき、彼女は自らの渦に呑み込まれて消えて無くなる。世界は平和になるわね。」
「・・・・・・それまで、人類が残っていれば、ですが。」
「ニルエってば、つくづく分析が早いわ。現実が見えすぎるのはつらいでしょ。」
「つらいですが、慣れました。」
「慣れたんじゃなくて、諦めたんでしょ。あたいと一緒に、生き残りを模索する気は無い?」
「あっても無理です。短命と引き換えに、渦宮夏生は生きている間は無敵ですから。」
「軽々しく無敵とか言うもんじゃないわよ。リンクス制圧に行ってるけど、案外ヒロコあたりに倒されるかもよ。」
「任意のタイミングで貫通1000ダメージを無尽蔵に撃てる“ワースミーティア”ですか・・・。」

ニルエは複雑な顔で肩を竦めた。
そこにあるのは、諦めと寂しさ。

「途轍もないデュエリスト能力ですが、渦宮夏生の“変性の力”は桁が違います。残念ながら、いかにパワーアップを繰り返そうと、安藤さんに勝ち目はありません。希望に縋らず、諦めて滅びを受け容れましょう、モルフィーナ。」



テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
決闘祭!   目録 (第6章〜)
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ...続きを見る
佐久間闇子と奇妙な世界
2017/09/14 00:01

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
決闘祭!   次元竜 (後編) 佐久間闇子と奇妙な世界/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる