佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 決闘祭!   Act 127 闇の旋風(U)

<<   作成日時 : 2018/04/17 00:00   >>

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◆ ◆ ◆



ま、言ってしまえば名前は記号だと思う。

それは「記号に過ぎない」些細なことではなくて、「記号だからこそ」拘るべきなんだ。
僕は風森無々、あるいはモリン・モリン、あるいは無堂無有。
モリン・モリンであることも、無堂無有であることも、まだ慣れない。

早く慣れないといけないと思う一方で、どこか得体の知れない不安が付き纏う。
僕は何故か思ってるんだ。

「慣れてしまったらどうしよう」って―――



◆ ◆ ◆



「わたひが童実野町に来たのは17年前、1948年の夏だったっけ。」

それから紐里さんは、ぽつぽつと語り始めた。

目覚めたらデッキを失っていたこと。
戦う手段どころか生きる手段すら危うい彼女は、干し魚を盗んで捕まり、米軍基地に送られた。
そこで何をされたかは、あまり話さなかった。僕も聞きたくない。

六角狩人は、彼女を身請けしてくれたという。
安堵する反面、それは真実の全てでもないだろうと思った。
他に選択肢なんてあったはずはない。

「今更だろうけど、わたひは君のことが好きだったよ。基地にいる間も、それは変わらなかった。君を想うことで、わたひは狂気の淵へ堕ちずにいられたんだなーーー。」

紐里さんが僕のことを?

意外だったけど、不思議と驚かなかった。
こんなことを言うと、自信過剰の勘違い野郎みたいだけど、しっくり来たんだ。
彼女が僕に対して抱いている感情に、名前は付けられないけど、中身が理解できた。

「でもねぇ、過去形で語っているのに気付いてる?」

むしろ紐里さんの、次に言った言葉こそが、僕の臓腑を抉った。

「どんな想いも時間が経てば薄まるわ。」

ほんの僅かに、声色と口調が変わった。
闇坂紐里ではない、メメント・モリンの声。

「他に選択肢なんて無かったけれど、それでも選んだのは自分。わたし自身だから。六角狩人を愛したことに、後悔も何も無いわよ。あなたも時間が経てば、いずれ気付くわ。」

それは考えまいとしていたことだった。
ヒロコちゃんが生まれるのは、この時代から27年も後のことだ。

肉体年齢は17歳、人生経験としては3歳。
あまりに僕は世界を、人生を知らな過ぎる。

「あなたはヒロコを、ずっと想い続けていられる自信はある?」

あると断言したい。だけど言葉に出来ない。
口に出した瞬間、陳腐になってしまう恐怖があったから。

「ありません。」

だから僕は正直に答えた。
だけど僕は諦めるつもりはない。

自信なんて無意味だ。必要なことは―――



- - - - - -



「・・・・・・・・・ふぅ・・・」

必要なことはオナニーだ。

僕は妄想力を極限まで高め、比呂子ちゃんに跨られながら締めつけられる夢を見た。
気弱で心優しい比呂子ちゃんが、優しいままに淫らな腰遣いで、瞬く間に白濁が夜空を彩った。
まだ怒張は収まりそうにない。望むところだ。Sな燈炉子さんを逆に攻める? 違うな。
むしろ恥ずかしくなるようなラブラブで、僕も恥ずかしい、燈炉子さんはもっと恥ずかしい。そんな夢。

「星空は、44年前も変わらないよね。」

全裸で船に仰向けになりながら、僕は泣いた。世界に僕ひとり。そんな気がして。
宇宙レベルで考えたら、僕の心細さなど取るに足らない。ここは地球だ。
そう考えていると、ごく自然にヒロコちゃんを愛せる自信が湧いてくる。

メメント・モリンのアドバイスを受けていなければ、きっと僕は愛を失っていた。
心で想っているだけの愛は脆いって、彼女はモリンフェン様のような聡明さで警告してくれていたんだ。
愛し続けようと思うほどに、心が渇いていって、いつしか流されていく。そんな結末を味わったからこそ。

『これにて“闇坂紐里”は御退場。わたしを二度と、その名前で呼ばないでね。』

そのつもりだ。僕から切り出すべき言葉だった。

僕と彼女だけの葬式。
彼女が涙を流すのも、これで最後な気がしていた。
二度と見ることのない美しい雫を、僕は忘れることはない。

「ありがとう。これから僕は毎日、ヒロコちゃんでオナニーするよ。」

これまで僕は、色欲を抑えることばかり考えていた。
いやらしい、下卑た欲望だと決めつけて、それを利用することを考えなかった。思考停止だ。

そんなことでは駄目なんだ。追いつけないんだ。
僕の目指す決闘者たちは、みんな色欲に塗れている。

『いい!!バスケ!』

武藤さん・・・

『ボッキンパラダイス』

僕は・・・

『杏子の必殺ダイナマイトボディーの破壊力の前には、あの爆弾魔だって真っ青だぜ!』

目的の為なら色欲を惜しまないです。
性欲を見下すのは今日が最後です。

ヒロコちゃんに再び会えるなら、どんな喜劇の主人公だって演じてみせます!





「いやーーーーーっ!! 変態ーーーーーっ!!」

決意を新たにした途端に、近くで少女の悲鳴が聞こえた。
この近くに変態がいるというのか。治安が悪いからな・・・。

「なんで裸なのよ!? 変態!変態!変態!変態!」

どうやら変態は僕だった。僕が治安の悪さに一票を投じていてしまったなんて。
しかし同時に安心した。女の子に危機が生じているわけではなかった。

「冬の夜にマッパとは、中々やるじゃねえか。オレ様は最臨堂真黒(もりんどう・まくろ)! 人読んで!」

「まさか、“冥府皇帝”マグナム・モリン!?」

しまった、思わず興奮して叫んでしまった。

「へぇ、オレ様の二つ名を知ってるとは、ゼットを倒したのはマグレじゃねえようだな。だが、ゼットはオレたち四天王の中で一番の雑魚・・・奴を倒した程度で、いい気にならない方がいいと、今のうちに忠告しとくぜ?」

ウインクしながらカードを掲げる男の子は、ゼット君と同い年くらいに見えた。
た、楽しい。子供時代のマグナム・モリンと戦えるなんて光栄だ。

「いいよ、始めよう。」
「その前に、オレ様も服を脱がねえとな。」
「何でよ!? バッカじゃないの!?バッカじゃないの!?」

傍にいる女の子が赤面しながら叫んでいる。
もしかして彼女は、ミクロ・モリンだろうか・・・?

考えているうちに、マグナム・モリンは全裸になった。

「くぅーっ、寒空が肌に染みるぜーーっ!」
「だったら服を着やがれーーーーっ!!」

女の子の男らしい叫びが夜空へ響き渡った。


「「デュエル!」」


モリン・モリン:LP2000
マグナム・モリン:LP2000



「オレ様の先攻、ドロー!まずは小手調べに《マグナム・リリィ》だ。もちろん攻撃表示ィ!」


マグナム・リリィ レベル3 地属性・植物族
攻撃力1100 守備力600
いわゆるてっぽうユリ。
花粉の弾を飛ばし相手を攻撃する。



攻撃力1100か。それなら《ハーピィ・レディ》で倒せるな。

「僕のカードは《ハーピィ・レディ》だ。《マグナム・リリィ》を攻撃!」

たとえマグナム・モリンといえども、この時代は一介の子供。
どこかで僕は侮っていたのだろうか。

いや、そうではないだろう。

見誤っていただけだ。
忘れていただけだ。
見えるけど見えないものを。



《マグナム・リリィ》 (攻1100・守600→攻1430・守780)
《ハーピィ・レディ》 (攻1300・守1400→攻910・守980)




43年後に、1年前の僕たちと戦う彼女の、変わらない声が響き渡った。


「おりの“テリトリー”へ、ようこそ♪」


3年後に弟に犯されて闇坂の“御神体”に取り込まれる運命の少女は、少し幼い顔で笑っていた。


広界書式(テリトリージェム) レベル4@能力(所有者:闇坂折春)
デュエルフィールドの範囲を操作できる。







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