佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 決闘祭!   Act 145 色恋連邦(V)

<<   作成日時 : 2018/05/08 00:00   >>

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◆ ◆ ◆



ま、言ってしまえば私は月島カノンの奴隷人形だ。

もはや記憶も曖昧な遠い昔、存在の全てを奴に食い尽くされた。
砕けたガラスのような人生は、とっくに意味を失っている。
物語の展開を制御する為だけの、都合のいい駒。
それでいて心は駒になれない半端な存在。

リンネに勝つ為にも、カノンが楽しむ為にも、心まで駒であってはならないらしい。
私は前者を果たせなかった。後者も飽きられたときは容易く捨てられるだろう。
いっそ無情なスライムになって駒としての役割を全うしたいものだが、無為な妄想だ。

吹き飛んだ腕が、何事も無かったように元に戻っていたときの悍ましさ!
わかるか? これは、死にたくても死ねない、などという、生温い地獄ではない。
どうなっても蘇る。たとえ消滅したとしても復活させられる。
録音テープを再生するように、私という滑稽な人形劇は繰り返される。



いつか誰かが、リンネを倒してくれるだろうか?

そのときこそ私は、カノンに牙を剥いてやる。



◆ ◆ ◆



国会議事堂の屋根から、飛白さんのデュエルを見守る僕は、ある深刻な懸念を抱いていた。
未来において泰斗さんは、『デッキのカードを好きなだけドロー出来る』という壊れ能力を有していた。
それは果たして、いつの時点から持っていたのだろう。もしも今、このときに持っているとしたら?


「ふん、早速だけど、おでましよ。呪われし竜《カース・オブ・ドラゴン》の召喚!」

「おやおや、いいのかな? 既にのっぴきならない局面だぞ、それ・・・・・・」

そう言って泰斗さんは、勃起したペニスでカードを引いた。
なんということだ。僕はトランプを載せるだけで満足し、器用さを鍛えることを怠っていた。
やはり僕の変態性は、付け焼刃に過ぎない・・・。

「弟が無敵の盾を使うなら、私は無敵の矛を使う。出でよ、《クリアー・バイス・ドラゴン》!!」


クリアー・バイス・ドラゴン レベル8 闇属性・ドラゴン族
攻撃力??? 守備力0
攻撃時、相手モンスターの倍の攻撃力になる!



「・・・まずいっ!」

思わず僕は叫んでいた。
なんということだ。僕は能力を警戒し、基本的なカードによる戦術の恐さを忘れていたというのか。
クリアー・バイスは、相手が強ければ強いほど、その攻撃力を倍返しする!

「修羅だ。人類の歴史は修羅だ。怒りや憎しみが強ければ強いほど、倍の力で社会に捻じ伏せられる。無色で無慈悲なクリアー・バイスは、その象徴たるドラゴンだ!」


《クリアー・バイス・ドラゴン》 (攻???→4000)



「飛白さんっ!」

白色の竜が嵐を起こす。
飛白さんの姿が見えなくなる。

だけど飛白さんの、声が、聴こえる。

「慌てないでよ大将、どっしりと構えて私の勝利を信じていればいいわ。」

「むぅ、《クリボー》の機雷化か・・・」

良かった、飛白さん!

「月島泰斗、お前そうやって大きな力に反逆することを諦めたんだろ? 力ずくで捻じ伏せようとする雑な戦術は、男が気持ちいいだけの強姦と同じよね。」

「だが、強姦を否定する男はいない。強姦を憎む男は、自分の取り分が減ったから怒っているに過ぎない。真に女を尊重する男は、ファンタジーやメルヘンの中にしか存在しない。」

「ふん、そうだろうさ・・・だがよ・・・・・・私は現実の男に、見切りをつけちゃいない。月島泰斗、お前は世界中の男と知り合いなのか?」

「男など皆同じだ。一皮剥けば私と同じ、禍々しいチンポを女に捻じ込むだけの存在だ。」

そうかもしれない。
少なくとも僕は、それを否定できない。

だけど泰斗さんは男に捻じ込んでばかりな気がする。

「ふん、お前の極論は聞き飽きたわ。さあ死ね、《死者蘇生》で甦れ! 呪われし竜よ!」

「・・・むぅ?」

「無敵の矛とは、言い得て妙よね。攻撃時には相手の倍になるけど、迎撃時は・・・?」

「し、しまったーーーーーっ!!」

地獄の炎が、無色の竜を焼き尽くす!
飛白さんの勝ちだ!






「なあんちゃって・・・」

月島泰斗:手札5→39


「―――っ!!」

あっ・・・やっぱり・・・この時代から持っていた、ぶっ壊れ能力!
デッキから任意にカードを引く、“果てしなき未来の可能性”(ワンダーホープ)を!

「驚いて声も出ないかい? 私のデュエリスト能力は、さしずめ『デッキを手札に変える能力』。地獄の業火を無間倍にお返しだ! 怒りの業火、エクゾードフレイム!!


封印されしエクゾディア レベル7 闇属性・魔法使い族
攻撃力1000 守備力1000
但し、神の四肢たるカード4枚を加え5体を復活させし者
あらゆる敵を一瞬にして葬り去る。



くそっ、エクゾディアまで!

「飛白、さん・・・!!」






「だから慌てるなって言ってる。そんなに私は弱く見えるの?」


獄炎の隙間から、飛白さんの凛と澄んだ声がモリンフェン様のように響いてきた。

「か、飛白さん!?」

「ふん、くだらないデュエルだったわ。」


月島泰斗:LP2000→0



「ぶぁ・・・ぶぁ、か、な・・・・・・!?」

焼け爛れた肉体で、泰斗さんは膝をつきながら顔をあげていた。

「種明かしが欲しい? 可哀想だから、くれてやるわ。」

飛白さんが指差したのは、《魂の牢獄》・・・いや、鈴昌さんだった。
この感覚は、デュエリスト能力が発動している!?

そういえば鈴昌さんのデュエリスト能力って・・・?

「“一攫千金”(マイティライター)は、デュエル中にテキストを1文字だけ削るわ。」

まるで“回帰の力”を最低出力まで落としたような能力だ。
それでも相当な強さを・・・あれ? だとしたら泰斗さんとの直接対決で何故それを使わなかったんだろう。
もしかして、そうか、『文章として意味が通ってなければならない』とかいう制約か何かあるのか。

それでもエクゾディアなら、例えばテキストの「封印されし者の右腕」を「印されし者の右腕」にすれば、文章としては意味が通りつつ、エクゾディアを無効化できる。
「」内の固有名詞は、何であっても全体の文章の意味は通っているからだ。

・・・あれ?

そこまで考えて、僕は気付いた。
この時代はルールが違う。エクゾディアのテキストも・・・・・・


封印されしエクゾディア レベル7 闇属性・魔法使い族
攻撃力1000 守備力1000
但し、神の四肢たるカード4枚を加え5体を復活させし者
あらゆる敵を一瞬にして葬り去る。



「―――っ、そういうことか!」

やったことは「5」を消しただけ・・・それで文章の意味は、がらりと変わる。

エクゾディアの頭部パーツカードには、胸までしか描かれていない。
体を復活させることが出来なければ効果が適用されないということだ。

「体の無いエクゾディアに吐ける焔は無い。私の勝ちよ。」

カッコよすぎる。まるでモリンフェン様のようだ。

「ふぐぅ・・・負けた・・・これが、愛の力か! 私は愛の力に負けたのか!」
「な、何言ってんのよ。」

あれ? 途端に飛白さんが慌てはじめた。
何故かチラッと僕の方を見た気がする。

「大河飛白・・・弟を、鈴昌を、頼んだよ。」
「だがテメェは死ね。」

泰斗さんから《魂の牢獄》を受け取るなり、飛白さんに殺気が宿る。
僕には、彼女を止める感情が微塵も湧いてこない。

「ぬう・・・嫌だ、死にたくない! か、かくなるうえは、我がアナルにロケット花火を装填! ファイア!」

敗北した泰斗さんが、《ロケット戦士》のように飛んでいく。
なんて汚い花火なんだろう・・・。精神が無敵モードな恥知らずだ。

「逃がすかボケ」

すかさず飛白さんが《魂の牢獄》を翳した。

「ふぐあああああああああああチンポがキュッとなるうううううううう・・・・・・」

鈴昌さんが出てきて、ほとんど同時に泰斗さんが腰から吸い込まれた。

「・・・ふん、お前は現実を正しく捉えているさ。だが、そういう男が女から見て魅力的だと思ったら大間違い。建前や綺麗事を抜かす男が、その信念を貫く姿に、女は惚れて、貫かれたいと思うのよ。」

それは頷ける。認識の正しさと、行動の正しさは、別物だ。
だいたい僕は、「正しい認識」なんてものを、あまり信じていない。でも「正しい行動」はあるはずだって思う。

「面目ない。俺としたことが。」

「ふん、まったく情けない奴。・・・だがよ、お前のおかげで勝てたのも確かね。誰もが笑顔になれる平和など、くだらない幻想に過ぎないが、お前はそれでいい。甘ったるいままでいい。」



甘酸っぱい光景だったが、その余韻も続かない。

「さっきから聞いてれば、随分と自分勝手なことばかり・・・!」

一つ目小僧、修堂朋樹。
飛白さんの産み捨てた、子供・・・。

「お前が、そうやって幸せを掴む為に、いったいどれだけの人間を犠牲にした!? 知らないだろうな! そんなこと、これっぽっちも考えたことはないだろうからな!」

彼が飛白さんを怨むのは無理ない。
だけど飛白さんは、どこ吹く風だ。

「子供? “おとなPTA”の兵隊なのに?」
「僕の単眼を見ろ! お前が下水に捨てた子供だ!」
「ああ、生きてたのかクソガキ。」
「それだけか!?」
「何が・・・?」

さっさとデュエルを始めたいという態度の飛白さん。
精神的には優位だけど、僕としては胸が痛い。
隣を見れば、一美さんも青い顔をしている。

「自分が捨てた子供に、言うことはそれだけか!?」
「どこの誰とも知れない男の種なんて、糞尿と同じよ。」

飛白さん、それは言っちゃいけない! ・・・いけないけど、言葉が喉に詰まって吐き出せない。
文字通りに「便器」として、精液を排泄されてきた飛白さんに、僕が何を反論できるっていうんだ?

「覚えておけクソガキ、私が子供と呼べるのは、愛する男の種だけよ。そもそも今はデュエル中ってことを忘れたわけではなかろうな。お前がどこの誰だろうと、今ここにおいては刃向かう敵で、ただひとりの決闘者よ!」

やっぱり飛白さんはカッコいい。敬意を払うべき、ひとりの女性だ。
だけど僕は、どうしても胸が痛くてたまらないんだ。



  “白虎の霊牙”大河飛白

                    VS

                         S級殺席:修堂朋樹



「闇に魂を売り渡した奴なんかに、僕は負けない! 負けるわけがない! いけえ《スピリット・ドラゴン》!」


スピリット・ドラゴン レベル4 風属性・ドラゴン族
攻撃力1000 守備力1000
手札のドラゴン族モンスター1体を捨てるごとに
攻撃力・守備力は、バトル終了時まで1000ポイントアップ!



「出でよ《王虎ワンフー》! 一千四百の死線を刻め!」


王虎ワンフー レベル4 地属性・獣族
攻撃力1700 守備力1000
王虎ワンフーが場にいる限り、
攻撃力1400以下のモンスターは全て破壊される!



デュエルが始まった。



大河飛白:LP2000、手札5
場:王虎ワンフー(攻1700)

修堂朋樹:LP2000、手札4
場:スピリット・ドラゴン(攻1000)、伏せカード





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