ゲシュペンストについて(その5)

前回の続き


さて、それではいよいよゲシュペンストの正体に迫ろう。つまり、ゲシュペンストは何者かということだ。
一つ気になったのが、ゲシュペンストは乗り移った人間の人格に応じて口調を変えているということである。表面的にだけならば演技ともとれるが、内心の口調も変わってるし、表層意識と本体とでも異なっている。これが性別不明の理由だろう。

男と女、どちらが優れているかなどといった議論は無意味どころか害悪だが、ゲシュペンストが男女どちらなのかということを研究するのは学術的に一定の意義があるものだろう。

ではゲシュペンストは男か女か?
それを判断するには手がかりが少なすぎる。だいたい、精神体であるゲシュペンストに男女の区別があるのだろうかという話にもなってくる。

それなら、最初はどちらであったのか。
そういうことを考えているうちに、私は第三の選択肢に気づいた。すなわち、〝どちらでもない”ということだ。
人間ならばたとえ両性具有であっても染色体は雌雄のいずれかになる(正確には、XとYの様々な組み合わせが存在するが、ここでは割愛する)。しかし、原始の生命体には、雌雄の別が無いものもあったのだ。
そもそも性別というのは、異なる二つの生命の融合によって第三の生命を生み出す、という為のものである。〝性”というのはそのようにして発生した。

では、ゲシュペンストの正体は単細胞生物ということになる。
これは別におかしな話ではない。エスパーは人間だけだと限ったものではない。
魔物とか出てくるのはファンタジーとかの世界だが、超能力ものでは現実に存在する生物をエスパー化したものは他にもある。「超少女明日香」のミック、「海の闇、月の影」の心(シン)、「サイボーグ009」のクビクロ、「絶対可憐チルドレン」の伊号(いごう)などだ。(純粋な超能力ものでない作品も混じっているが、超能力ものといえる部分だけを抜粋したと理解してほしい)

哺乳動物に限るではないか、などとケチくさいことを言ってはいけない。超能力ものにおいては、いかなる生物がエスパーであってもおかしくないのである。
とはいっても、流石に単細胞生物というのは奇抜な推理だろうが、そう考えるといろいろと辻褄が合ってくるのだ。

生物は主に三種類の感情を操作するホルモンを体内で生成し、それぞれ、〝快楽のホルモン”、〝興奮のホルモン”、〝恐怖のホルモン”という。正式な呼び名は別にあるが、要するにこういう効果を持つホルモンというわけだ。

この三種類のホルモンのバランスによってさまざまな感情のバリエーションが生み出されるわけだが、下等な生物になると、まず快楽のホルモンが生み出されにくくなる。次に、興奮のホルモンも生み出されにくくなっていき、ついには恐怖のホルモンしか生み出さなくなっていく。つまり、下等な生物ほどより恐怖を感じると推測される(恐怖を強く感じるからといって下等だとは限らないが)。

このことから、ゲシュペンストが常に得体の知れない恐怖に苦しめられているその根源がわかる。
下等な生物ほど恐怖による危機感を持っていなければならないので、自身の存在が恐怖によって成り立っているといっても過言ではない。精神は肉体に影響されるから、ゲシュペンストの精神は最初から恐怖一色で染まっていたのだと思われる。
ゲシュペンストが不幸だったのは、憑依能力を持ったために恐怖が持続・増幅していったということである。単細胞生物は思考が単純だから、憑依もし易かったのだろう。生命活動の成すままに、自動的に憑依していったに違いない。そして高等な生命に憑依していくごとに知能は高くなり、恐怖も増大していき、気づいたときには死ねなくなってしまったのだ。

ゲシュペンストは憑依能力の他にテレパシーと肉体強化サイコキネシスの能力を持っている。テレパシー能力は憑依能力と同系列の能力だから、ある程度思考回路が整地化されたら自然とできるようになったのだろうが、問題は肉体強化のサイコキネシスである。これは後天的に何らかの形で焼きついた能力だと思われるがその詳細は不明である。

これでゲシュペンストに関する研究はいったん終了する。しかしまだすべてが終わったわけではない。また新たな発見があるだろうし、新たな研究もするだろう。それについてはまた後ほど、機会があったら。
ここまで読んでくれて、ありがとう。

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この記事へのコメント

2007年06月14日 11:16
いやあ、なかなか深い考察でしたね。作者の柴田昌弘氏もびっくりするのではないでしょうか。(この設定にそった外伝を描いてくれるかも?)
2007年06月14日 22:49
「物語はしばしば作者の意図を超えて展開する」
私の好きな言葉です。作者が物語の全てを理解しているわけではないのです。ちなみに私はこの設定で現在4本の外伝を製作しました。送ったらマンガ化してくれたりして。

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