決闘都市 While 2-1 Duelist Taskforce
ボクは九亜千春(くあ・ちはる)17歳。デュエリストフォース日本支部に所属している。こんな名前だけど男ですよ。
どうも普通の高校に馴染めなくて、半年で中退。そこで、以前から憧れていたデュエリストフォースに志願し、専門学校に通って、晴れて一員となったわけだ。デュエリスト能力に関する情報は一般には制限されているから、デュエリストフォースの一員になるには、殆どの場合、専門学校で知識を仕入れておく必要があるのだ。
あ、デュエリストフォースというのは、正式名称“デュエリスト・タスクフォース・アビリティ・セクション”という、能力デュエリストの特殊部隊だ。巷ではデュエルモンスターズに関する犯罪が横行していて、闇のデュエル組織も跳梁跋扈している。そんな悪い奴らと戦うのが、我らデュエリストフォース!
日本支部は総勢2000人くらい。戦闘部隊と支援部隊が半々だ。
ボクは戦闘部隊の中でも最強の“ディグニティ”に所属している。“レベル4部隊”とも言われる、デュエリストフォースのエリート集団だ。メンバーはボクを含めて20人。レベル3であるボクが“ディグニティ”に所属できているのは、専門学校の講師だった鬱神隆哉(うつがみ・たかや)先生の推薦によるものだ。
精鋭部隊に所属していると、日本支部リーダーの佐野春彦(さの・はるひこ)さんとも会える機会が増える。
カックイイよなあ、佐野さん。レベルは3だけど、その強さはレベル5能力者にも劣らない。実際に、波佐間京介(はざま・きょうすけ)や呉星十字(くれぼし・じゅうじ)などのレベル5能力者に勝利したこともある。
現在の任務は、デュエル・シティとかいう地下都市に囚われている人々を救出すること。
3年くらい前からデュエリスト能力者が攫われてるって報告はあったんだけど、長らく入口が発見できなかった。けれど9月12日の今日、ついに地下都市への入口を突き止めたんだ。
といっても、突き止めたのはデュエリストフォースじゃないんだけどね。えーと、どこから話せばいいかな。
ボクが幼い頃に“グールズ”っていう闇のデュエル組織が日本で暗躍してたんだけど、首領のマリク・イリュタールが引き上げてしまったことで、事実上の解散となっていたんだ。
けど、3年前にパンドラという人物が残党を束ねてグールズ復活を企み、鷹野麗子(たかの・れいこ)という少女を誘拐した。あれ、誘拐だったかな。脅迫だったか。確か、誰かが誘拐されたと思うんだけど。松尾芭蕉・・・違うな。
・・・えーと、途中経過は詳しくないので置いとくとして、結論から言うと鷹野さんは逆にグールズの残党をデュエルと肉体言語で蹴散らして、ネオ・グールズという組織を作り上げたんだ。凄いよなあ。
流石に元・闇のデュエル組織のメンバーが揃ってるだけあって、ボクらのような健全な組織には無いネットワークを持っているんだろう、パンドラさんが“入口”の情報を持ってきてくれたんだ。
ところがぎっちょん、その入口は大勢の敵デュエリストが守っていたわけで・・・。
というわけで今、そいつらの1人とデュエル中なんだ。
ボク:LP16000、手札2
場:ビッグバンガール(攻1300)
場:
相手:LP1500、手札3
場:D.D.アサイラント(攻1700)
場:伏せ×1
「リバースカードオープン。」
相手のデュエリストが、機械的な口調で伏せカードを開けた。
なるほど、《和睦の使者》か・・・。でも残念。この2枚で終わりだよ。
「ボクは《オネスト》を召喚し、《死者蘇生》を発動する。蘇らせるのは―――――」
◆ ◆ ◆
「すいません、遅れま・・」
「おっせえぞ九亜! 雑魚相手に5分以上かけるな!」
あーあ、怒られちった。やっぱりレベル4能力者の中ではミソッカスだよねえ。
でも高いレベルでのミソッカスって割と良い気分なんだよね。“鶏口となるとも牛後となるなかれ”なんて言葉もあるけれど、自分から進んで井の中の蛙になろうとするなんて理解できない。創作や芸能みたいな表現の世界じゃあるまいし、組織論で鶏口牛後なんて、人の上に立ちたいだけのイキがった思考じゃないかな。
世の中には、人を使う人間よりも、人に使われる人間の方が圧倒的に多い。そういう人たちは馬鹿なの? 駄目なの? そういう人たちが社会を支えてるんじゃないの? 時々そう言いたくなる。
まあ、決め付けるのも良くないよね。要は適材適所。少なくともボクは人の下にいる方が向いている。そういうわけさ。
「よし、引き上げだ!」
「はい!」
“入口”の上には巨大なビルが建っていて、内部はダンジョンのように複雑な構造になっている。
もちろん敵のデュエリストが徘徊していて、“入口”の正確な位置はわからない。ビルの地下は地上より遥かに広く深い。ボクたち“ディグニティ”は、奥深くまで侵入しては戻り、侵入しては戻り、内部の正確な地図を作る先遣隊として行動しているのだ。あわよくば“入口”が発見できればという期待も込みでね。
◆ ◆ ◆
作戦本部へ戻ると、指示を出したり報告を受け取ったりする佐野さんの姿があった。逞しい体が、きびきびと動いている。相変わらず忙しそうだな。
年下のボクが言うのも何だけど、佐野さんは愛嬌のある顔立ちをしている。しかし今は、その顔にも翳りがあった。大きな任務のプレッシャーでもなく、疲労してのことでもない。
えーと、“遊撃騎”って知ってる? 部隊行動が基本のデュエリストフォースの中で、単独で行動するゲリラ的メンバーなんだけど。もちろん実力は折り紙つきだよ。
それでね。日本支部には7人の遊撃騎がいるけど、そのうちの3人と連絡が取れなくなっているんだ。
遊撃騎の三、“タイヨウの騎士”ことサン・レイティア18歳。
外国人なんだけど、佐野さんの後輩に大恩があるとかで、日本支部のメンバーとして活動している。いっつも茶色のマントを羽織っている変な人だけど、それもチャームポイントかな。イケメンだし、強いし優しいし。
いろいろとヤバい連中に狙われているらしくて、デュエリストフォースに入ったのは彼にとってもメリットがあることだ。でも、特にメリットが無くても入ったんじゃないかと思うけどね。お人よしだから。
そんな彼には11歳の妹がいて、海馬コーポレーションの施設に匿われている。
遊撃騎の四、“フェイズバーナー”こと月島火月(つきしま・かげつ)19歳。
全身が包帯で覆われている奇怪な人。良くも悪くも、印象に残るって点では抜群だと思う。ぶっきらぼうで偏屈だけど、絶対に人を馬鹿にしたりしない、いい人だよ。たまにキレる変な人でもあるけど。
それは多分、5年前に妹もろとも焼き殺されそうになったというヘビーな過去を持っているからだと思う。その妹が現在、デュエル・シティに囚われているという話だ。
ちなみに上にも姉が2人いて、別の方面で活動していると聞いたことがある。
そして遊撃騎の五、“ガトリングボマー”こと朝比奈翔子(あさひなしょうこ)19歳。
佐野さんと同じ高校の出身で、生徒会長を務めていた実力者。人をグイグイ引っ張っていくリーダー気質の持ち主だ。けれど何故か日本支部のリーダーにはならず、遊撃騎なんかやってる変な人。
でも、可愛いんだよなあ。栗色のショートカットが凄く似合っている。元気はつらつとしたデュエリストだ。
父親に“朝比奈焦炬”と名付けられそうになって、母親が漢字を変えて役所に出したとかいう逸話がある。
ちなみに佐野さんとは恋人。・・・と思うんだけどなあ。絶対そうだと思うんだけどなあ。
・・・とと、呑気なことも言ってられないんだ。
連絡が取れないってことは、敵の手に落ちてデュエル・シティへ連れて行かれたかもしれないってことだ。
佐野さんの顔が曇ってるのもわかるでしょう?
「やっぱり、恋人が敵の手に落ちたかもしれないなんて、気が気じゃないですよね。」
「ん?」
ひと段落して伸びをしている佐野さんに不意打ちで話しかけてみたが、曖昧な返答が返ってきた。
ここは押しの一手だ。
「朝比奈さんのこと、心配じゃないですか?」
「むしろ敵の方が心配だな。翔子とデュエルする奴が気の毒だ。」
「ちょっとー、真面目に話しましょうよ。」
「ネオ・グールズからの情報で、デュエル・シティのシステムは把握している。翔子ほどの実力があれば大事には至らないだろう。」
「なーるほど、信頼してるんですねー。でも、それにしては顔色が悪いですよ? 口では強がっていても、やっぱり心配なんでしょう?」
「・・・懸念は他にある・・・・・・。」
「?」
その意味をボクが知ったのは、もう少し後のことだった。
「・・・で、朝比奈さんとはどこまで?」
ボクは、わざとらしく手で壁を作って小声で囁いた。
「何が?」
「もちろん、恋人関係の進展ですよ。」
「・・・想像に任せる。」
「え、いいんですか? ボクなんかに任せてたら、あんなことや、こんなことまで想像しちゃいますよ?」
「・・・・・・。」
佐野さんの目つきが険しくなった。・・・ような気がする。
「じょ、冗談ですよお。怒っちゃ嫌ですよ・・・。」
「別に怒ってない。」
◆ ◆ ◆
―――鬱神隆哉の報告より―――
デュエルモンスターズの企業であるインダストリアルイリュージョン社が、デュエリスト能力を発見したのは、およそ30年前、デュエルモンスターズの黎明期である。
デュエル中に何らかの効果を発生させる、謎の能力。これを有効活用しない手は無い。そのように判断した当時の会長ベール・ヘニルドは、デュエリスト能力者のみを集めた特殊部隊を作り上げた。デュエル犯罪に対抗する為と、利権に関することの為、主にそれらが目的だった。それが現在のデュエリストタスクフォースの原型である。
デュエリスト能力は原理も正体も一切が不明だったが、現実に存在する力である以上は使用すること自体に問題は無かった。太陽の輝く原理や正体が不明な古代においても、人々はその恩恵を享受してきた。
試行は論理に先行し、具体は抽象に先攻する。ミスティック・サイエンスが進歩すれば、いずれ解明されることだとされ、研究は運用法が中心となっていくことになった。
それから間もなくして、とある会社の測定装置が出回り、能力をレベルで区分できるようになる。基本的にレベルはメリットの数と一致しているとされるが、何をもってメリットとするかは装置の判断に任されており、その結果を研究者が後付で解釈するのみである。
デュエリスト能力に関する謎に、発生と消滅のシステムがある。10代のデュエリストに宿り、20歳を過ぎると消滅する。ただし一部の能力に限っては、このシステムに当てはまらないとされている。それについては翔武学園の2年生である吉井康助という少年の例が報告されている。
しかし、この報告には塗り潰された箇所が多く、インダストリアルイリュージョン社のデータベースにも彼の名前は載っていない。よほど癖のある能力だったのか、能力そのものに関する記述は一切が削除されている。
初めてデュエリスト能力が報告されてから33年目に、“リンネ”と名乗る謎の少女が、世界中の能力デュエリストを対象とした大会を開いた。それ以後、新たなデュエリスト能力者が出現したという報告は無い。
大会中にデュエリスト能力が発現した大河柾のような少数の例外を除き、全ての能力デュエリストがリンネを知っている。ある者は親愛を、ある者は疑念を、ある者は感謝を、ある者は恐怖を、ある者は崇拝を、ある者は憎悪を。
一体リンネとは何者なのか? どうしてここまで彼女に対する感情がバラバラなのか?
そして新たなデュエリスト能力者が出現しなくなったことと、あの世界大会とは何か関係があるのか?
能力デュエリスト特殊部隊“デュエリストタスクフォース”の日本支部長である佐野春彦は、そのことについて相当な核心まで辿り着いたと言われているが、その内容は極秘とされ(この続きは削除されている)
どうも普通の高校に馴染めなくて、半年で中退。そこで、以前から憧れていたデュエリストフォースに志願し、専門学校に通って、晴れて一員となったわけだ。デュエリスト能力に関する情報は一般には制限されているから、デュエリストフォースの一員になるには、殆どの場合、専門学校で知識を仕入れておく必要があるのだ。
あ、デュエリストフォースというのは、正式名称“デュエリスト・タスクフォース・アビリティ・セクション”という、能力デュエリストの特殊部隊だ。巷ではデュエルモンスターズに関する犯罪が横行していて、闇のデュエル組織も跳梁跋扈している。そんな悪い奴らと戦うのが、我らデュエリストフォース!
日本支部は総勢2000人くらい。戦闘部隊と支援部隊が半々だ。
ボクは戦闘部隊の中でも最強の“ディグニティ”に所属している。“レベル4部隊”とも言われる、デュエリストフォースのエリート集団だ。メンバーはボクを含めて20人。レベル3であるボクが“ディグニティ”に所属できているのは、専門学校の講師だった鬱神隆哉(うつがみ・たかや)先生の推薦によるものだ。
精鋭部隊に所属していると、日本支部リーダーの佐野春彦(さの・はるひこ)さんとも会える機会が増える。
カックイイよなあ、佐野さん。レベルは3だけど、その強さはレベル5能力者にも劣らない。実際に、波佐間京介(はざま・きょうすけ)や呉星十字(くれぼし・じゅうじ)などのレベル5能力者に勝利したこともある。
現在の任務は、デュエル・シティとかいう地下都市に囚われている人々を救出すること。
3年くらい前からデュエリスト能力者が攫われてるって報告はあったんだけど、長らく入口が発見できなかった。けれど9月12日の今日、ついに地下都市への入口を突き止めたんだ。
といっても、突き止めたのはデュエリストフォースじゃないんだけどね。えーと、どこから話せばいいかな。
ボクが幼い頃に“グールズ”っていう闇のデュエル組織が日本で暗躍してたんだけど、首領のマリク・イリュタールが引き上げてしまったことで、事実上の解散となっていたんだ。
けど、3年前にパンドラという人物が残党を束ねてグールズ復活を企み、鷹野麗子(たかの・れいこ)という少女を誘拐した。あれ、誘拐だったかな。脅迫だったか。確か、誰かが誘拐されたと思うんだけど。松尾芭蕉・・・違うな。
・・・えーと、途中経過は詳しくないので置いとくとして、結論から言うと鷹野さんは逆にグールズの残党をデュエルと肉体言語で蹴散らして、ネオ・グールズという組織を作り上げたんだ。凄いよなあ。
流石に元・闇のデュエル組織のメンバーが揃ってるだけあって、ボクらのような健全な組織には無いネットワークを持っているんだろう、パンドラさんが“入口”の情報を持ってきてくれたんだ。
ところがぎっちょん、その入口は大勢の敵デュエリストが守っていたわけで・・・。
というわけで今、そいつらの1人とデュエル中なんだ。
ボク:LP16000、手札2
場:ビッグバンガール(攻1300)
場:
相手:LP1500、手札3
場:D.D.アサイラント(攻1700)
場:伏せ×1
「リバースカードオープン。」
相手のデュエリストが、機械的な口調で伏せカードを開けた。
なるほど、《和睦の使者》か・・・。でも残念。この2枚で終わりだよ。
「ボクは《オネスト》を召喚し、《死者蘇生》を発動する。蘇らせるのは―――――」
◆ ◆ ◆
「すいません、遅れま・・」
「おっせえぞ九亜! 雑魚相手に5分以上かけるな!」
あーあ、怒られちった。やっぱりレベル4能力者の中ではミソッカスだよねえ。
でも高いレベルでのミソッカスって割と良い気分なんだよね。“鶏口となるとも牛後となるなかれ”なんて言葉もあるけれど、自分から進んで井の中の蛙になろうとするなんて理解できない。創作や芸能みたいな表現の世界じゃあるまいし、組織論で鶏口牛後なんて、人の上に立ちたいだけのイキがった思考じゃないかな。
世の中には、人を使う人間よりも、人に使われる人間の方が圧倒的に多い。そういう人たちは馬鹿なの? 駄目なの? そういう人たちが社会を支えてるんじゃないの? 時々そう言いたくなる。
まあ、決め付けるのも良くないよね。要は適材適所。少なくともボクは人の下にいる方が向いている。そういうわけさ。
「よし、引き上げだ!」
「はい!」
“入口”の上には巨大なビルが建っていて、内部はダンジョンのように複雑な構造になっている。
もちろん敵のデュエリストが徘徊していて、“入口”の正確な位置はわからない。ビルの地下は地上より遥かに広く深い。ボクたち“ディグニティ”は、奥深くまで侵入しては戻り、侵入しては戻り、内部の正確な地図を作る先遣隊として行動しているのだ。あわよくば“入口”が発見できればという期待も込みでね。
◆ ◆ ◆
作戦本部へ戻ると、指示を出したり報告を受け取ったりする佐野さんの姿があった。逞しい体が、きびきびと動いている。相変わらず忙しそうだな。
年下のボクが言うのも何だけど、佐野さんは愛嬌のある顔立ちをしている。しかし今は、その顔にも翳りがあった。大きな任務のプレッシャーでもなく、疲労してのことでもない。
えーと、“遊撃騎”って知ってる? 部隊行動が基本のデュエリストフォースの中で、単独で行動するゲリラ的メンバーなんだけど。もちろん実力は折り紙つきだよ。
それでね。日本支部には7人の遊撃騎がいるけど、そのうちの3人と連絡が取れなくなっているんだ。
遊撃騎の三、“タイヨウの騎士”ことサン・レイティア18歳。
外国人なんだけど、佐野さんの後輩に大恩があるとかで、日本支部のメンバーとして活動している。いっつも茶色のマントを羽織っている変な人だけど、それもチャームポイントかな。イケメンだし、強いし優しいし。
いろいろとヤバい連中に狙われているらしくて、デュエリストフォースに入ったのは彼にとってもメリットがあることだ。でも、特にメリットが無くても入ったんじゃないかと思うけどね。お人よしだから。
そんな彼には11歳の妹がいて、海馬コーポレーションの施設に匿われている。
遊撃騎の四、“フェイズバーナー”こと月島火月(つきしま・かげつ)19歳。
全身が包帯で覆われている奇怪な人。良くも悪くも、印象に残るって点では抜群だと思う。ぶっきらぼうで偏屈だけど、絶対に人を馬鹿にしたりしない、いい人だよ。たまにキレる変な人でもあるけど。
それは多分、5年前に妹もろとも焼き殺されそうになったというヘビーな過去を持っているからだと思う。その妹が現在、デュエル・シティに囚われているという話だ。
ちなみに上にも姉が2人いて、別の方面で活動していると聞いたことがある。
そして遊撃騎の五、“ガトリングボマー”こと朝比奈翔子(あさひなしょうこ)19歳。
佐野さんと同じ高校の出身で、生徒会長を務めていた実力者。人をグイグイ引っ張っていくリーダー気質の持ち主だ。けれど何故か日本支部のリーダーにはならず、遊撃騎なんかやってる変な人。
でも、可愛いんだよなあ。栗色のショートカットが凄く似合っている。元気はつらつとしたデュエリストだ。
父親に“朝比奈焦炬”と名付けられそうになって、母親が漢字を変えて役所に出したとかいう逸話がある。
ちなみに佐野さんとは恋人。・・・と思うんだけどなあ。絶対そうだと思うんだけどなあ。
・・・とと、呑気なことも言ってられないんだ。
連絡が取れないってことは、敵の手に落ちてデュエル・シティへ連れて行かれたかもしれないってことだ。
佐野さんの顔が曇ってるのもわかるでしょう?
「やっぱり、恋人が敵の手に落ちたかもしれないなんて、気が気じゃないですよね。」
「ん?」
ひと段落して伸びをしている佐野さんに不意打ちで話しかけてみたが、曖昧な返答が返ってきた。
ここは押しの一手だ。
「朝比奈さんのこと、心配じゃないですか?」
「むしろ敵の方が心配だな。翔子とデュエルする奴が気の毒だ。」
「ちょっとー、真面目に話しましょうよ。」
「ネオ・グールズからの情報で、デュエル・シティのシステムは把握している。翔子ほどの実力があれば大事には至らないだろう。」
「なーるほど、信頼してるんですねー。でも、それにしては顔色が悪いですよ? 口では強がっていても、やっぱり心配なんでしょう?」
「・・・懸念は他にある・・・・・・。」
「?」
その意味をボクが知ったのは、もう少し後のことだった。
「・・・で、朝比奈さんとはどこまで?」
ボクは、わざとらしく手で壁を作って小声で囁いた。
「何が?」
「もちろん、恋人関係の進展ですよ。」
「・・・想像に任せる。」
「え、いいんですか? ボクなんかに任せてたら、あんなことや、こんなことまで想像しちゃいますよ?」
「・・・・・・。」
佐野さんの目つきが険しくなった。・・・ような気がする。
「じょ、冗談ですよお。怒っちゃ嫌ですよ・・・。」
「別に怒ってない。」
◆ ◆ ◆
―――鬱神隆哉の報告より―――
デュエルモンスターズの企業であるインダストリアルイリュージョン社が、デュエリスト能力を発見したのは、およそ30年前、デュエルモンスターズの黎明期である。
デュエル中に何らかの効果を発生させる、謎の能力。これを有効活用しない手は無い。そのように判断した当時の会長ベール・ヘニルドは、デュエリスト能力者のみを集めた特殊部隊を作り上げた。デュエル犯罪に対抗する為と、利権に関することの為、主にそれらが目的だった。それが現在のデュエリストタスクフォースの原型である。
デュエリスト能力は原理も正体も一切が不明だったが、現実に存在する力である以上は使用すること自体に問題は無かった。太陽の輝く原理や正体が不明な古代においても、人々はその恩恵を享受してきた。
試行は論理に先行し、具体は抽象に先攻する。ミスティック・サイエンスが進歩すれば、いずれ解明されることだとされ、研究は運用法が中心となっていくことになった。
それから間もなくして、とある会社の測定装置が出回り、能力をレベルで区分できるようになる。基本的にレベルはメリットの数と一致しているとされるが、何をもってメリットとするかは装置の判断に任されており、その結果を研究者が後付で解釈するのみである。
デュエリスト能力に関する謎に、発生と消滅のシステムがある。10代のデュエリストに宿り、20歳を過ぎると消滅する。ただし一部の能力に限っては、このシステムに当てはまらないとされている。それについては翔武学園の2年生である吉井康助という少年の例が報告されている。
しかし、この報告には塗り潰された箇所が多く、インダストリアルイリュージョン社のデータベースにも彼の名前は載っていない。よほど癖のある能力だったのか、能力そのものに関する記述は一切が削除されている。
初めてデュエリスト能力が報告されてから33年目に、“リンネ”と名乗る謎の少女が、世界中の能力デュエリストを対象とした大会を開いた。それ以後、新たなデュエリスト能力者が出現したという報告は無い。
大会中にデュエリスト能力が発現した大河柾のような少数の例外を除き、全ての能力デュエリストがリンネを知っている。ある者は親愛を、ある者は疑念を、ある者は感謝を、ある者は恐怖を、ある者は崇拝を、ある者は憎悪を。
一体リンネとは何者なのか? どうしてここまで彼女に対する感情がバラバラなのか?
そして新たなデュエリスト能力者が出現しなくなったことと、あの世界大会とは何か関係があるのか?
能力デュエリスト特殊部隊“デュエリストタスクフォース”の日本支部長である佐野春彦は、そのことについて相当な核心まで辿り着いたと言われているが、その内容は極秘とされ(この続きは削除されている)

この記事へのコメント
佐野&朝比奈は高校卒業後、そういう進路に進むのかー。
(私が何を想定していたかはあえて書かない)
しかし竜堂眸さん、デュエリスト能力者だったとは。びっくりです。
(能力者を集めた街の頂点なのだから、あえて無能力者だと思っていた)
(本編のラスボスが「能力者の頂点」だったので、あえて無能力者だと思っていた)
ゴリーレッド「恥ずかしいから喋るな」
コング「舘ひろしも怪しい」
火剣「舘ひろし?」
コング「クールス」
ゴリーレッド「もういい」
火剣「でも懐かしい名前が何人か出て来たな」
ゴリーレッド「いよいよシティに救出に行くのか。でも皆が救出して欲しいと思っているわけではないから、そこが難しい」
火剣「それよりこれほどの世界観がまるで現実のように頭の中に入っているアッキー監督。これは数学力と無関係ではないな」
ゴリーレッド「本当に錯覚する。これって本当じゃないよねって」
火剣「ゴリーレッド主演の『魔』もそうだ」
ゴリーレッド「何を言う早見優。『魔』で語られていることはすべて本当のこと」
コング「シティも本当だったりして」
火剣「アルカディアもか?」
ゴリーレッド「コングと八武さえ嘘ならいいや」
コング「何てことを」
せっかくの長編なので、本編キャラもたくさん出していきます。次回は、とある低レベル能力者が登場。
2人の進路は、こちらで勝手に決めてしまいました。まあ、パロディということで・・・。いずれにしろ、(能力なしでも)デュエルが強くて成績優秀なので、将来は明るいでしょう。
個人的には、山本&渡辺あたりが心配。まあ、ある意味で神だから意外と大丈夫かもしれませんが。
山田「それ、“森あいの能力は最強だ”と同じ意味だよねえ?」
ラスボスが敢えて無能力者。やはり発想が似ているというか、鋭いところを突いてきますね。
とりあえず今作での竜堂眸は、「わたしのかんがえたさいきょうののうりょくしゃ」です。(ただし決闘学園2巻の時点で)
むしろリンネは、能力者の頂点というよりもデュエリストの頂点という認識です。“回帰の力”と“黒い霧”よりも、“始まりの1枚”と“神引き”の方が恐ろしいというか。
鬱神隆哉、月島火月、呉星十字。前の作品から引っ張ってきたようでいて、実は火月と十字は今作の構想過程で生み出されたキャラクターだったりします。おかえり、2人とも。
今までは殆ど地下の様子ばかりでしたが、これからは地上の方も描いていきます。「魔」では現世と魔界の二重構造が描かれていましたが、まさしくあの手法を真似ています。地下と地上の二重構造は書いていて楽しいですね。
数学的に小説を描くという点で、私と豆戦士さんは似ていると思います。だからこんなに三次創作が書きやすいのか・・・。
八武「私とコングが男の主流派。それを否定することは男の否定。」
山田「それは界隈だけの話。」
佐久間「確かに山田やゴリーレッドは少数派。」
山田「そんなはずはない。」
維澄「しかし八武やコングも少数派だろうね。」
八武「そんなはずはない。」
山田「佐久間が少数派なのは間違いないが。」
佐久間「そんなはずはない。」
維澄「多数派が必ずしも正しいと限ったものではないよ。」
八武「いいこと言うね、しおりん。」
佐久間「エルモか?」