決闘都市   Act 38 ミヒャエル・エンデの夢を見る

◆ ◆ ◆



「Zork must be hated♪Zork must be♪Zork must be hated♪Zork must be・・・」

高度経済成長の真っ只中である1965年。
メアリー・カーネーションは白に近い金髪を揺らして日本の街を歩いていた。

近くの道路では、学生のデモ隊と機動隊が乱闘を繰り広げている。
けたたましい拡声器の音に混じって、打撲音や怒号、悲鳴や罵声が絶えない。

「みゃはははは、やってるねぇ。聖夜に降るのは血の雨だっ♪」

メアリーは微笑みながら路地裏に歩いていった。
もはや見慣れた光景。珍しくもないのだ。

「がーんばーろおー♪つっきあっげるっそらにー♪」

軽い調子で革命歌を唄いながら、メアリーは歩いていく。
薄汚れたビルの壁にもたれて座り、そのまま彼女は目を閉じた。

やがて夕方になり、夜になり、雪がチラホラ降ってくる。
メアリーは目を閉じたまま雪を舌で受け取った。

「ゆーきーのふーるまーちをー♪ゆーきーのふーるまーちをー♪」

唄いながらメアリーは再び歩き出した。

「じかんがこわーれたーのねー♪うごきだしたわーせかーいがー♪」

何となく歩いていった先に、ちょっと小奇麗な孤児院があった。
看板には“黒須(くろす)養護施設”と書かれてある。

その門の前に、汚い籠があった。
近寄ってみると、中に赤ん坊が入っていた。

「みゅ?」

声もあげない。動きもしない。
衰弱しているのか。そのようにメアリーは思った。

しかし赤ん坊はメアリーを見た途端、大声で泣き出した。

「ほぎゃああ! ほぎゃああ!」

「みゅふふふふ、凄いね。誰か助けが来るまで無駄な体力の消耗を抑えたのか。赤ん坊にそんな知恵があるわけもないし、生き延びようとする本能か。」

メアリーは目を赤く輝かせて笑みを浮かべた。

「ほぎゃああ! ほぎゃああ!」

「はいはい、助けてあげますよー。泣かない泣かない。」

メアリーは赤ん坊を抱き上げて、施設の呼び鈴を鳴らした。
すると赤ん坊は途端に泣き止んで、スヤスヤと寝息を立て始めた。

「Zork eyes see dark♪Zork eyes see♪Zork eyes see dark♪Zork eyes see・・・」

少しして、眠たい目を擦りながら50歳くらいの男性が歩いてきた。
彼はメアリーを見つけるなり、驚いて眠気が吹っ飛んだ。

「メアリー・・・? まさか・・・。」
「みゅふふふふ、25年ぶりかな黒須くん。」
「その声、その笑い方・・・間違いない・・・。でも、あれから25年も経ってるのに・・・。」
「みゃははは、黒須くんは貫禄ついたね。子供でも何でもない、正真正銘メアリー・カーネーションだよ。」
「・・・・・・。」
黒須は信じられない思いだったが、彼女が抱えている子供を見て我に返った。
「その子供は?」
「門の前に捨てられてた。このままじゃ死にそうだから黒須くんを呼んだの。」
「そうですか。それは僕の本分ですね。ここで預かります。」
「ん。」
「・・・ところで、この子の名前は?」
「知らない。籠の中を見たけどカードが1枚だけ。」

入っていたのは《真紅眼の黒竜》のカードだった。
1960年代は、M&W(マジック・アンド・ウィザーズ)の黎明期であり、《真紅眼の黒竜》は数十枚しか生産されなかったレアカードだ。
M&Wを元にしてデュエルモンスターズが歴史に登場するのは、これから約10年後のことである。

「そうですか。ではメアリーが名付け親になってくれませんか?」
「私が?」
「そうです。これも何かの縁でしょう。」

「にゃるほど。それじゃあ、“ヒトミ”ってのはどう?」

メアリーは先ほど唄っていた歌詞の一部を和訳して言った。

「ヒトミ。いい名前ですね。」



◆ ◆ ◆



俺:LP8000、手札5
場:
場:

安藤燈炉子:LP8000、手札5
場:
場:

竜堂眸:LP8000、手札5
場:
場:



「デュエリスト能力は、本人の性質や思想、人生における出会いや経験に影響されて発現する。」
竜堂眸はカードを引く手を止めて降ろした。
「くひっ、お得意の講釈ですかァ?」
ヒロコは肩を竦めて笑ってみせる。
もちろん目は笑ってない。

「フランツ・ヴァイルは人よりも優位に立ちたいと思い、イブ・ステアは贅沢な暮らしを望み、マリー・ネーブルはある男の妻に成り代わろうとしていた。サン・レイティアは陽の当たる場所を歩きたいと願い、アリアン・ロッドは世界の醜悪さから目を背けたかった。燈炉子は主人格の裏返しだろう。マサキ、お前は“喪失”かな?」
「・・・・・・?」
どういう意味だ?

「シルベスターの能力は、思想そのもの。そして四天王の中でも他の3人とは違い、純粋な力量だけで十分強い。シルベスターの能力封じは中和アイテムも通用しない。能力を封じられれば、この街でシルベスターに勝てる者など存在しない。」
「べらべらと喋ってないで、さっさとカードを引いたらどうだ?」
すると竜堂眸は肩を竦めた。
「ここまで言ってもわからないのか?」
「あん?」
「私とシルベスター、両方と直接対決した割には察しが悪いんだな。能力を除いた純粋なデュエルの力量なら、シルベスターは私を凌駕している。そのシルベスターが何故、私に従っていると思う?」
「心を操ってるんじゃねえのかよ?」
「そんなことはしていない。心を操られていたらデュエリスト能力など使えるはずはなかろう。シルベスターは間違いなく自分の意思で私に従っている。」
「脅迫でもしてんのか?」
「あまり私を舐めないことだな。脅迫など必要ない。シルベスターのような生粋のデュエリストを従わせるのに、デュエルの強さ以外は何も要らないよ。」
「・・・・・・。」

「しかし前にも言った通り、私の引きは決して強くない。切り札を引けたことはない。プレイングも大したことはない。そんな私がゲームマスターとして君臨しているのは何故かわかるか?」
「・・・お前のデュエリスト能力は、そこまで強いとでもいうのか?」
「その通り・・・。」
竜堂眸が嗜虐的な笑みを浮かべた。
その瞬間、俺の脳裏に禍々しい炎の鳥がよぎった。

「No phase kill・・・No card kill・・・」


「・・・・・・っ?」


「デュエリスト能力、発動。」



安藤燈炉子:LP0



「は・・・?」

え、何・・・?
何が起こった・・・?



ヒロコが苦しげな笑みを浮かべて、音も無く倒れた。



俺:LP8000、手札5
場:
場:

安藤燈炉子:LP0、手札5
場:
場:

竜堂眸:LP7000、手札5
場:
場:



「てめぇ・・・・・・今・・・・・・何した・・・・・・?」

「“神炎”(ゴッドフェニックス)・・・ライフを1000支払うことで相手ライフを0にする、絶対能力だ。名前の通り、《ラーの翼神竜》最終形態と同じ性質を持っている。任意のタイミングで発動し、あらゆる効果に優先し、防御も回避も不可能。」

「・・・な・・・・・・!? そ・・・そんなメチャクチャな能力があってたまるか!」
「ふ・・・だからこそ、この街の頂点に立ってるわけだが?」
「ふ、ふざけんな!」
俺は無闇に感情をぶつけるしかなかった。
我ながらカッコ悪い。
だが、どうしても納得できなかった。
攻略できないカードは無い。
攻略できない戦術は無い。
それがデュエルモンスターズというゲームだからだ。
だから、どんなデュエリスト能力でも、攻略できないなんてことはないはずだ。
だから、こんなふざけた能力が存在しちゃならねえんだ!

「ククッ、お前はデュエリスト能力というものを、どれくらい理解しているというのだ?」
「・・・・・・っ!」
「絶対能力・・・そう言ったはずだ。私の能力はレベル6・・・その性能はレベル5までの比ではない。」
「レベル6!? 馬鹿な、デュエリスト能力のレベルは5までのはず・・・だ・・・」
途中で俺は気付いた。
だったらシルベスターさんの能力はどうなる。
「そうだな。測定器の設定上はレベル5までしかない。レベル6というのは便宜上の話だ。」
絶対能力。
レベル6能力。
俺は混乱していた。
「既存レベルの枠に収まらないという点では、“掌握の力”や“回帰の力”、レベルE能力と同じ部類だろう。だが、“神炎”は元々レベル5だったのを、私が進化させた。」
「・・・・・・!」
そうだ、麗子ちゃんも能力を自力でレベル2に進化させていた。
「お前の魔術能力、自分自身にも使えるのか!」
竜堂眸は、四天王やサン・レイティアにやったように、デュエリスト能力を限界まで上げることが出来る。“神炎”のポテンシャルがレベル5の枠内に収まらないとしたら。
・・・いや、だとしても、攻略できない能力なんて、そんな馬鹿な!
神様、あんた何て能力を作っちまったんだよ!

「いい質問だ、マサキ。確かに私は他人の能力しか引き上げることが出来ない。限界まで引き上げるというのは、私と同じレベル6相当まで引き上げるという意味だ。殆どのデュエリスト能力はレベル6の器が無いからレベル5止まりだがね。サン・レイティアは結構いいとこまでいったんだが・・・。さしずめ“レベル5+”といったところかな。」
「・・・だったら、どうやってレベル6まで上げた?」
「ククク、聞かない方がいいと思うが?」
「お前が喋らないなら後で麗子ちゃんに訊くまでだ。」
「ハハハハ、おそらく方法が違うと思うぞ? 鷹野麗子ほどの天才なら、レベルを1から2に上げる程度は修練を積むだけで成し遂げるだろう。時間に干渉できる魔術師でもあるしな。私のように人を犠牲にはしないだろう。」

「・・・あ?」

今こいつ、何て言った?

「お前は能力に目覚めるのが遅かったから知らんだろうがね、かつて世界中の能力者を対象にした大会があった。その予選で採用されたルールが、一度も敗北せずにポイントを10ポイント集めること。倒した能力者のレベル分だけポイントを加算するという方式でね。・・・私のレベルアップ方法も似たようなものだ。能力者にデュエルで勝利し、その魂を食らい、そのレベル分だけポイントを得る。」

「わ、悪い冗談はよせよ・・・!」

「ゲームマスターは嘘をつかない。・・・嘘でないことは、とっくにわかってると思うが?」

「・・・っ! 馬鹿げてるぜ! 一体どれだけのデュエリストを犠牲にしてきた・・・?」

「“神炎”を得るまでに食ったデュエリストの数は、ジャスト2万。ポイントにして65536だ。」

予想を遥かに上回る数に、俺は戦慄を禁じえなかった。
そして、それを事も無げに言ってのける竜堂眸という女に恐怖し、怒りを抑え切れなかった。

「ふざけんじゃねえ!! レベルアップの為に、2万人もの人間を犠牲にしたってのかよ!?」

「ふ・・・そこらへんの貧弱な雑魚共が、我が最強の力の一部となれたのは光栄なことだと思うがねぇ? だいたい、デュエルに負けた者が何されようが、文句は言えないはずだろう?」

ゾッとするほど淡々とした声。
恐怖と憤怒で腹が痛いほどなのは俺だけじゃない。
目に映る観客たちも、俺と同じ眼をしてる。

「何故だ!? たかがデュエリスト能力なんかの為に人の命を奪えるのか!? てめぇは狂ってる! 狂ってやがる!」

「私が狂ってることは否定しないが、強さを求めるのはデュエリストとして自然なことだと思うぞ? お前こそ“たかがデュエリスト能力”なんて、能力者の言葉とは思えんな。」

「他人を犠牲にしてまで強さを得るのがデュエリストかよ!?」

「それが私の性質であり、私のデュエリストとしての哲学だ。多くの人間は、食って、出して、子孫を残して、老いて、死ぬだけ。そんなくだらないモノ、どう使おうが私の勝手だ。」

「違う・・・! 誰も他人の命を好き勝手にしていいわけない!!」

「お前がどう考えようと勝手だが、世界はそういう風には出来ていない。保護も蹂躙も、強者の恣意で行われることには変わりない。強者の気まぐれで弱者は簡単に踏み躙られる。この世界で一体どれだけの人間が理不尽に死んでいると思ってる? 世界中で何千万人が死のうと大して心を動かさないのに、私が2万人を殺したと聞いて激昂するのは何故だ? わけがわからないね。私が殺した中に、お前の親しい人間はいなかったと思うが?」

「くだんねえ理屈こねてんじゃねえ! 大勢死んでるから2万人くらい大したことは無いだァ!? 大勢殺して高みの見物してる金持ちが目の前に出てきたら即座にブン殴ってやんよ! 何千万でも、2万でも、1人でも! 人間ぶっ殺して笑ってる奴を目の前にしたら理屈抜きで殴る! それが人間ってもんだろうが!? ヒューマニズムなんて小難しいことじゃねえ! 誰の心にも自然に息づいているものなんだ!」

「うるせぇよ坊や。正義の味方ゴッコは独りでやってろ・・・。理屈を抜きにするというのなら、私はヒューマニストが嫌いだ。“女を愛せなくなったら男をやめる”・・・20世紀最大のヒューマニストと呼ばれた男の言葉だよ。幼い頃に読んだ本に、“名言”として書かれていた。それを聞いたゲイが何と思うかも想像できなかったのか? ガッカリしたね。私は女だが、こういう感情は理屈じゃないんだろ、大河柾くんよ。」

「・・・・・・っ・・・・」

「ククッ・・・。汚い世界に生まれながら、世界を超越して人類愛を語ろうなんざ虫が良すぎるんだよ。ヒューマニスト・・・何それ? 悪いものでも食ったのか?」

「・・・・・・間違ってる・・・・・・てめぇが何と言おうが、人を殺していい理屈は無え! ・・・そりゃあ俺だってムカツク奴を殺したいって思うときはある。誇りを踏み躙られた人間が、復讐で人を殺すのは理解できる。だがな、てめぇのように何の罪も無い人間を殺して平気な奴は絶対に認めねえ!」

「そうだね、お前にとっては・・・多くの人間にとっては間違っているだろう。だからどうした? それが何? 私が泣いて許しを請えば、お前の気は晴れるのか? どうやって私を哀願させる? 悪党に対して言葉で戦うのが、正義の味方のやり方か? 弱者を殺すには言葉ひとつで十分だが、強者には傷ひとつ付けられんよ。」


「・・・っ、そうだな・・・。お前相手に言葉は無力だ。だがな・・・“ことば”ってのは味方を集めるんだぜ?


竜堂眸の周りを、何十人もの男たちが囲んでいた。
汚らしいカッコして、冴えなくて、頭も悪そうで・・・。
でも、サイコーに頼もしい味方だ!

「おらぁ!」「ごらぁ!」「うるああ!」「ああ!」「かー!」「※※※じゃねえぞ!」「ぐらあ!」「し※※ぎゃれ!」「※※ぎょ※※あああ!」「おー!」「るあお!」「※※じゃあ!」「びゃあ!」「うおおおお!」「※※ったれ!」「犯せ!」

何を言ってるのか聞き取れないような怒号が重なり合う。
どうだ、竜堂眸。怖ぇだろ。たかが数十人でも怖ぇだろ。
2万人の死を軽んじるてめぇでも、生きてる数十人は怖えだろうがよ!

「何かと思えば・・・デュエルで勝てないものだから暴力に頼るか。下卑た発想だ。」

てっきり震えているかと思えば、まだ強気でいやがる。

「これも世界の一部だろ? デュエルで人を殺すのは良くて、直接的暴力は駄目だってか? てめぇの身勝手な理屈が通るほど、世界ってのは甘いのか?」

俺の言葉に呼応するように、男の1人が叫ぶ。

「うおおおお! たかが女1人だ、こんだけいりゃあ倒せるぜ!」
「全員で犯せ!」
「おおおおお!」

男たちが一斉に竜堂眸に突撃した。

このとき俺は激昂していて、スタッフの誰一人として動かないことの不自然さに気付いていなかった。
シルベスターさんが笑っていることに気付いていなかった。


俺の見てる前で、男の1人が消えた。


「なっ・・・?」


2人、3人・・・次々と消えていく。

何だこれは。
・・・何が起こっている。

危険。キケン。
頭の中で警鐘が鳴り響く。

「も、戻れ、みんなぁ!!」

俺は叫んだ。

「戻れ戻れ戻れ戻れ戻れーっ!!」

その声で、ようやく男たちは気付いた。
しかし、そのときは遅かった。

反撃が始まった。
彼女の手が触れた者から消えていく。

竜堂眸の髪は真紅に染まって逆立ち、眼光も同じく真紅に彩られていた。
思わず見惚れた自分に怒りが湧いた。
美しいって思った自分が情けなかった。

数十人の男たちは、綺麗さっぱり消えてしまった。

「デュエリスト能力が消失し、デュエルに勝つことが出来なくなって・・・仲間内でDMを賄ったり、強請りタカリで生計を立てているような連中・・・増えすぎると街が汚れる。たまには間引いておかないとな。」

俺は言葉が出なかった。

「私の腕力は見かけ通りだがね、それを補って余りある魔術の能力を備えているのだよ。“たかが女1人”が、裏の世界を渡っていくのに、暴力の対策くらいしてないと思ったのか・・・? こんな初歩中の初歩を、ルールの抜け道のように思い込む・・・その安易な発想が下卑た雑魚の思考だというのだ。間抜けめが。」

「・・・・・・・・・。」

「醜い豚共は私の肌に触れることすら出来ない。時間を奪われて、朽ちて消える。」

「・・・時間を・・・・・・奪う・・・・・・?」

やっと声が出た。

「月並みな話になるがね、人間は平等じゃない・・・。腕力、知力、財力、権力、運、容貌、技量、精神力、環境、寿命・・・そして、時間の流れさえも平等ではない。マサキ、それから諸君も気をつけたまえ。この街では貧弱な魂の者ほど早く老いる。お前のような強いデュエリストからは1日に数秒しか吸わないが、デュエルの弱さを暴力で補おうとする者は1日で数十日や数百日は吸い取る。あの連中、何歳だと思う? この街が出来てから3年しか経ってないわけだが・・・。」

「・・・・・・お前・・は・・・人間じゃねえ・・・・・・!」

恐怖で足が震える。

「そんなに怖がるな。お前にかけられた賞金は現在455000DM・・・1日に吸われるのは2秒強ってとこだ。」

「・・・・・・っ!」

戦慄するのは何度目か。
賞金額って、そういう・・・!

「この街の賞金首デュエリストが1日に吸われる時間は、100万を賞金額で割った秒数になる。賞金額の最低は1000だが、それでも1日1000秒・・・1パーセントと少しだ。しかし、賞金首でないデュエリストは1日に最低1日程度は吸われる。つまり倍の速さで老いる。素行が悪ければ数十数百倍、今のように下卑た行動に出れば数十万倍も有り得る。だから夜中のパトロールとか必要ないんだよねぇ・・・。」

「・・・だったら、俺がてめぇを攻撃すればどうなる?」

「殴る前に質問するあたり、やはり頭が回るなァお前は。その様子だと、わかってるんだろう? 吸い取った時間を魔力に変えて、半殺しにしてから魂を食う。」

「・・・・・・っ!」

「ちなみに四天王になれば賞金額は100万で固定される。プラス、この街の住人のうち3人まで、1日に吸い取られる時間を1秒にすることが出来る。・・・四天王になりたくなったか?」

「誰が・・・てめぇなんかの配下になるかよっ!」

一瞬でも心が揺れた自分を殴りたい。

「それは残念だな。欠員が3人も出てるから、そろそろ補充したいんだがな・・・。レベル5能力者ってのは、どいつもこいつも頑なだね。お前や安藤燈炉子は激昂して取り付く島もない。波佐間京介やゼロサムは自殺しようとする。サン・レイティアもアリアン・ロッドも、心の一部を壊されながら決して首を縦には振らない。四天王になれば地上の家族や友人に会えるとか、この街に知り合いがいるとか、いろいろ言ってみたんだけどねぇ。」

「悪魔め・・・。プライドの高いデュエリストなら決して首を縦に振らないとわかっていて、心を弄んで楽しんでるんだろ。生憎だが、てめぇに尻尾を振るレベル5なんざ、この世のどこにもいねぇんだよ! わかってるぜ、フランツJrのデュエリスト能力も、どうせてめぇが発現させたんだろ!」

「察しが良い子は好きだよ。・・・その魂は、さぞかし美味かろう。齧るだけなのが残念だ。」

微笑みを浮かべたすぐ後に悪魔の嬌笑。
今更ながらゾッとした。

動けない。
何か魔術で体の動きを封じられている。
時間を操作しているのか。
そんなことを考えてる場合じゃない。
しかし何も出来ない。
ああ。
あああ。

コマ送りのように竜堂眸の6本指が近付いてきて―――



俺:LP8000→0



俺の意識は消えた。



ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

豆戦士
2012年02月26日 00:21
絶対能力進化きたあああああああ!
確かにこれは、挑もうとすら思わないレベル。

やばい、なんだこれ、最強すぎる。震えが止まらない。
リンネとは別ベクトルの、強さと悪。

眸が油断しているうちなら《魂のリレー》やら《インフェルニティ・ゼロ》を使う手もありましたが……全力を出してくるとなると……。

これを回避できるカードは、《リンネ-永劫回帰の支配者》くらいしかないですが……。
手に入るのか?(作者もよく分かってない)

2012年02月26日 00:53
火剣「負けた。やはり勝ちようがない相手だったか」
ゴリーレッド「1965年。今から47年前か」
火剣「神炎って、どうにもならないだろ」
ゴリーレッド「ほぎゃああ! ほぎゃああ!」
火剣「コングかっ?」
ゴリーレッド「え?」
火剣「コングかっ!」
ゴリーレッド「違う、アギャー、ほぎゃああ。そうだな、ほぎゃああ、ならわかる。でも赤んぼはオギャーとは泣いていないと思う」
コング「にゃるほど」
火剣「しかし竜堂眸の言うように初歩的なミスだ。これだけ超人的な女に暴力が通じると思うのは甘過ぎた」
コング「それよりアリアンロッドの心の一部が壊されたって?」
ゴリーレッド「燈炉子も倒れた」
コング「ヤッターマン2号のような苦悶の表情が見れなかった。サービス精神に欠けるな竜堂」
火剣「最初のシーンのメアリーも何か関係がありそうだ」
コング「ほぎゃああ! ほぎゃああ!」
ゴリーレッド「・・・・・・」






kunai
2012年02月26日 12:19
ダメだ……おしまいだぁ……
勝てるわけが無い…… あいつは伝説のスーパーサイヤ人なんだぞ……
っという枠でも収まらないくらい、全く勝てる気がしません!

「決闘都市Ⅲ」くらいになるとレベル80くらいの超パワーインフレバトルになるんです、きっと…。(既にケタが壊れている!?)
クローバー
2012年02月26日 21:24
どうもクローバーです。
なんだかんだでこの決闘都市に見入っていて、今までコメントしていなかったです。

にしても竜堂眸さん、強いなんてレベルじゃねぇぇぇ!! たしかにこれは心が簡単に折れるレベル。
この能力を聞いた後、鷹野さんが「勝てるかもしれない……」って言ってるのは、やっぱり攻略法が存在するからなんですよね??

ところでこの『神炎』という能力、初手エクゾディアよりも早く発動して相手を倒せるという設定認識でよろしいのでしょうか??
2012年02月26日 22:11
>豆戦士さん
今までレベル5にしては弱い能力が出てきたりと、レベル5が安売りされていたのは、全てこの為の伏線だったのだー!(←おい)
というわけで、ついに出てきました絶対能力。あらゆるレベル5を凌駕する、レベル6の領域。
リンネは完全無欠なので、敢えて人殺しをする意思も理由も無い。けれど竜堂眸は、不完全であるが故に・・・。
佐久間「竜堂は今まで食ったパンの枚数を覚えているのか。」
山田「お前、最悪!」

《魂のリレー》も《インフェルニティ・ゼロ》も、確かに彼女相手には実用レベルではないですね。
しかし《リンネ-永劫回帰の支配者》は、例によって神様のデッキ内にあるので、“掌握の力”を持たないマサキたちには手の届かない攻略法ですね。(そもそも私が“神炎”を考えた時点で決闘学園3巻は始まっていなかった)
2012年02月26日 22:53
>火剣さん
いわゆる、“負けイベント”でございました。この如何ともしがたい能力ですが、(想定された)攻略法は単純なものです。
赤ん坊の泣き声でゴリーレッドが反応。懐かしいネタ。魔王様も元気かなー。

八武「むしろ燈炉子が頑張って耐えて、読者サービスをしてくれないと。」
山田「やらねえよ。」
八武「竜堂は手加減が無さ過ぎる。炎に焼かれながら達する燈炉子の恍惚と苦悶の表情を、毒者は待ち望んでいたというのに!」
山田「お前とコングだけだ。」
佐久間「そんなことはない。人間が焼かれていく様子は、いつ見ても気持ちが良いものだぞ。2分だ、2分で焼け死ぬ。」
山田「や・め・ろ。」
佐久間「ちなみに作中の時期は2008年。今から4年前だ。」
八武「竜堂は43歳か・・・私は56歳だ。」
山田「お前らホント若すぎるな。化物だ。」
佐久間「バカすぎる? 馬鹿者?」
山田「耳の穴を穿られたいか貴様。」
佐久間「どうぞ。」
山田「・・・やっぱやめる。」
八武「暴力が通じないなら快楽攻撃はどうだ。」
佐久間「竜堂は真性の変態デュエリストだから、デュエル絡み以外では快楽を感じない体質なんだ。残念。」
山田「また適当なデマカセを・・・。」
2012年02月26日 23:18
>Kunaiさん
レベル80ってwwwwその発想は無かったwwwwwww
きっと、それくらいになると、「超絶対究極完全強靱無敵最強ウルトラスーパーファイナルグレートハイパーマスターシークレットワンダフルエキサイティング・・・・・・能力」みたいになるんでしょうねー。
山田「何かの技名か?」
佐久間「サイバーパンクウルトラスーパー打ったら誰も立てないからダウンするしかないぞハイパー・ブロー・ショット!」
山田「痛い!」

恐怖と絶望を与えまくりの絶対能力。
これに対抗する手段は“愛の力”だ!
ヒトミ「ククッ、2人まとめて相手してやろう。発動せよ“神炎”!」
竜堂眸:LP8000→7000→6000
不死鳥が舞い、2人が炎に包まれる。そしてライフが削り取られる。
???:LP8000→0
???:LP8000→0
ヒトミ「我が絶対能力の前に、敵は無い。」
しかし、炎の中から2人が手を繋いで現れる。まだデュエルは終わっていなかった。
ヒトミ「・・・!?」
賢治「レベル1能力“比翼の片羽”(ハッピーフラワー)・・・『平見幸恵とタッグを組んでいる限り、デュエルに敗北しない。』」
幸恵「レベル1能力“連理の小枝”(ハッピーフラワー)・・・『藤原賢治とタッグを組んでいる限りデュエルで敗北しない。』」
ヒトミ「!!!!???? ・・そ・・・そんなメチャクチャな能力があってたまるか!」
賢治「だからこそ原作HPでベストカップルに認定されているわけですが?」
幸恵「たとえライフを0にされても、わたしたちの愛は不滅です!」
2012年02月26日 23:48
>クローバーさん
やっほう、クローバーさんも見ててくれた! こんばんはです。
あまりの絶対的な壁に、マサキも心がバッキバキに折られています。この先の更なる真実を知ったら、もう立ち直れないかも・・・?
鷹野さんの考え付いた攻略法は、あくまで“神炎”の「攻略法」であって「勝利方法」ではないあたりがポイントです。勝てるかもしれない、というのは、負ける可能性の方が高いという意味も含んでいます。(あっぷるぱいさんの作り出した攻略法とは別です)
ちなみに想定外の攻略法と言えば、アダムの例の能力もありましたね。まだ全貌が明かされていないので、攻略法として成立しているのかは不確定ですが。
初手エクゾディアよりも早いという認識でOKです。初手エクゾディアはデュエル開始時ではなく、開始直後に勝利が成立するので、そのタイミングで“神炎”を撃てば、先んじて相手のライフを0にして勝利します。(あらゆる効果に優先されるので“神炎”の方が早く適用される)

この記事へのトラックバック

  • 決闘都市   目録

    Excerpt: ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ Weblog: 佐久間闇子と奇妙な世界 racked: 2012-02-26 00:01
2022年10月
                  1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31               

過去ログ

テーマ別記事

最近の記事

最近のコメント

QRコード