コレクター Act 2
古びた教会で、呉星十字(くれぼし・じゅうじ)は朝の祈りを捧げていた。
自分を拾って育ててくれた母・一美(かずみ)との絆。彼女が死んだ今でも、毎朝の祈りは欠かさない。
丸眼鏡のレンズの奥には、強く気高い意志を秘めた瞳がある。
「・・・さあ、行きましょうか。」
目を開けた呉星は、懺悔室から等身大の十字架を持ち出して、眼鏡を指で整えて、意気揚々と出発した。
彼女の頭の中は、“吸血鬼”のことで占められていた。
昨日の昼に、宇崎と名乗るサングラスの男がやって来て、告げた話。3体の“吸血鬼”が、レベル5能力者を狙っているという話。普通なら、にわかには信じがたいであろう話。
けれど呉星は、それが事実であることを知っていた。かつて裏社会でフリーの傭兵デュエリストとして活動していた母から、デュエルに関する様々な怪奇譚を聞かされていた。その中に旧海馬コーポレーションが開発していた生物兵器の話もあった。
――そんなキナ臭い話を事細かに話せるということは、母は何らかの形で深く関わっていたに違いない。
――おそらくは、それを潰す側として。
そのように考えた呉星は、同時に自らの行動に理由を与えた。
――これは、母がやり残したことだ。
――自分が引き継がなければならない。
(私が成すべきことは、邪悪で哀れな“吸血鬼”を退治することだ。)
母に関する推測は概ね当たっていたが、自身の行動についての判断は果たして正しかったのか。
それが彼女の正義感からして止むを得ないものとはいえ、戦いを選ぶということは危険を選ぶということでもある。
◆ ◆ ◆
童実野埠頭では、カモメの鳴く声が聞こえている。
ブルーの海から漂う潮の匂いを感じながら、呉星は十字架を背負って歩いていた。
(ちょっと早すぎたかしら。)
時計を見ると、まだ9時過ぎだった。約束の時間は10時半。1時間以上も開いている。
呉星は倉庫に十字架を立てかけて、空と海を抱き締めるように見渡した。
「すぅ・・・・・・はぁ・・・・・・。」
ゆっくりと深呼吸をして、彼女は手で直射日光を防ぎながら景色を堪能した。
早起きは三文の得だと昔のことわざにあるが、精神的なメリットはそれ以上かもしれない。
そんな彼女を、倉庫の陰から見つめる視線があった。
視線の主は、ゆっくりと、足音も立てずに歩いていく。
爽やかな景色を背景に佇む少女に、少しずつ、少しずつ、近寄っていく。
ふと、呉星は気配を感じて後ろを振り向いた。
視線の主は足を止め、上品な笑みを浮かべて挨拶した。
「おはようございます、呉星十字さん。」
厚手の服装に、縁の広い黒帽子。右目を隠す、青く長い髪の毛。腕にはデュエルディスク。
どことなく不気味な印象はあるが、悪い人ではないと呉星は思った。
「どちら様ですか?」
「レベル5能力者、泣笠葉継です。」
「YOUが・・・?」
デュエリスト能力者なら10代のはずだが、かなり大人びて見える。
しかし自分も18歳にしては大人びていると言われるので、呉星は納得した。
「えふん、おはようございます。泣笠さんも呼び集められたのですか?」
「その通り。天神さんと遠藤くんにも声がかかっているわ。」
「日本のレベル5能力者全員ですか・・・。」
大丈夫だろうかと呉星は思った。
(デュエルに関しては無類の強さを誇るレベル5能力者だけれども、生身の人間である以上は腕力的に“吸血鬼”に対抗する手段は無い。私のように、特別な力を持ってなければ危険すぎるわ。)
呉星は、相手を強制的に闇のデュエルに引きずりこむ力、すなわち“闇のゲーム”を行う能力を有している。しかしそれは、極めて特殊で稀な能力だ。
「天神さんは来ないと思うけれどね。」
泣笠が呑気な声で言った。
「どうしてですか?」
「彼女、精神的にデュエルできない状況にあるのよ。」
「精神的に・・・?」
「ええ。」
いつの間にか泣笠の声の調子が変わっていた。
どこか悲しそうな、または嬉しそうな響きだ。
「一方的すぎるデュエルは、勝った方も負けた方も楽しくない。だから20歳を過ぎて能力が消失するまでは誰ともデュエルしない。強すぎるが故の悩み。いえ、絶望。」
そう言ったときの泣笠の表情は、景色がモノトーンに見えるほど暗かった。
それを聞いて、呉星の頭に2つのことが同時に浮かんできた。
ひとつは、天神を危険なことに巻き込まずに済むという、安堵。
もうひとつは、怒りのような感情。
その後者が口を突いて出てきた。
「贅沢な悩みですね。強い力を持っているなら、正義の為に使えばいいんです。私は自分に宿ったデュエリスト能力を、神様からの贈り物だと思っています。弱きを助け、悪を挫き、世界を守る。それが強い人の責務です。」
「・・・・・・。」
「天神さんの力は、私よりもずっと強い。ビートダウンを完全封殺するレベル5能力。その他の戦術に対するメタカードを大量投入したデッキ。およそ勝てる要素が見当たらない・・・。それほどの力を正義の為に使わないなんて、間違ってます。」
すると泣笠は目を伏せて溜息をついた。
「呉星さんのレベルじゃわからないですか。強者の苦痛なんてものは。」
「・・・っ、聞き捨てなりませんね。そもそもYOUは本当に強いのですか?」
呉星は遠藤とは面識がある。天神とは面識は無いが、能力者の間では有名なので知っている。
しかし泣笠のことは名前くらいしか知らなかった。これが初対面であり、もちろん能力についての知識は無い。
「ならば、やってみます? 約束の時間まで、まだ少々ありますから。」
泣笠はディスクをデュエルモードに変形させる。
呉星も立てかけていた十字架を持ち上げ、ディスクに変形させた。
「「デュエル!」」
呉星十字:LP8000
泣笠葉継:LP8000
「私の先攻ね、ドロー。」
ゲームは泣笠の先攻で始まった。
「そうね、《異次元の女戦士》を召喚して、ターンを終了するわ。」
異次元の女戦士 レベル4 光属性・戦士族
攻撃力1500 守備力1600
このカードが相手モンスターと戦闘を行った時、そのモンスターとこのカードをゲームから除外する事ができる。
呉星十字のデュエリスト能力“闇の一手”(オンリーワンス)は、『相手が手札からプレイできるカードは1ターンに1枚までとなる。』という、極めて拘束力の高い行動封じだ。
モンスターの召喚、魔法・罠のセット、手札誘発カード、それら全てプレイとしてカウントされる。
そして呉星自身は、この能力の制約を受けない。だからこそのレベル5能力だ。
「行きますよ、私のターン、ドロー。フィールド魔法《死皇帝の陵墓》発動です。2000ライフを支払い、《ジャグ・オブ・ライド》の召喚! 効果で1枚ドロー!」
死皇帝の陵墓 (フィールド魔法)
お互いのプレイヤーは、アドバンス召喚に必要なモンスターの数×1000ライフポイントを払う事で、リリースなしでそのモンスターを通常召喚する事ができる。
ジャグ・オブ・ライド レベル7 地属性・岩石族
攻撃力3400 守備力300
このカードは戦闘で破壊されたとき、相手の手札に加えられる。
このカードは相手プレイヤーに直接攻撃できる。
1ターンに1度、カードを1枚ドローすることが出来る。
岩石で覆われた、猛々しい馬。
それは彫刻のようでもあり、剥製のようでもあった。
呉星十字:LP8000→6000、手札4→5
「直接攻撃、メテオ・スプリンター!」
石の塊を破り、中から燃え滾る馬が勢いよく飛び出した。
赤く逞しい蹄が泣笠めがけて躍動する。
泣笠葉継:LP8000→4600
ダメージを与えると、馬は後方へ下がり、その身を再び岩石で覆った。
「カードを1枚伏せて、ターンエンドです!」
呉星十字:LP6000、手札4
場:ジャグ・オブ・ライド(攻3400)
場:死皇帝の陵墓(フィールド魔法)、伏せ×1
泣笠葉継:LP4600、手札5
場:異次元の女戦士(攻1500)
場:
「私のターン、ドロー。《ジェリービーンズマン》を召喚。」
「リバースカードオープン、《奈落の落とし穴》!」
奈落の落とし穴 (罠カード)
相手が攻撃力1500以上のモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚した時に発動する事ができる。
その攻撃力1500以上のモンスターを破壊しゲームから除外する。
豆戦士が異次元の渦へ呑み込まれ、フィールドから姿を消す。
この単純な1:1交換が、呉星のレベル5能力を組み合わせれば極悪な威力を発揮するのだ。
――ただし、泣笠葉継にとっては取るに足らないことであるが。
「戻ってきて、Jelly・・・」
その言葉を発すると同時に、フィールドに光の粒子が集まっていた。
それはモンスターの形になる。
呉星十字:LP6000、手札4
場:ジャグ・オブ・ライド(攻3400)
場:死皇帝の陵墓(フィールド魔法)
泣笠葉継:LP4600、手札5
場:異次元の女戦士(攻1500)、ジェリービーンズマン(攻1750)
場:
ジェリーという名の豆戦士、堂々の帰還である。
その光景に呉星も驚愕を隠せない。
「無効化した・・・? いいえ、これは・・・!」
一度は消し去った。
それが戻ってきている。
「なかなか面白いモンスターだけれども。退場願うとしましょう。《異次元の女戦士》で《ジャグ・オブ・ライド》を攻撃。効果で2体をゲームから除外するわ。」
女戦士と岩石の馬が激突し、別の世界へ消えていく。
そして。
「戻れ、Warrior Lady・・・」
女戦士だけが何事も無かったかのように戻ってくる。
「・・・っ!」
それだけではない。
呉星十字:LP8000、手札3
場:
場:死皇帝の陵墓(フィールド魔法)
泣笠葉継:LP8000、手札5
場:異次元の女戦士(攻1500)、ジェリービーンズマン(攻1750)
場:
ライフが8000に戻っている。それは泣笠だけでなく、呉星もだ。
そして呉星の手札が減っている。
「2体で直接攻撃。」
「くっ・・・!?」
呉星十字:LP8000→6500→4750
フィールドを離れたモンスターを呼び戻す・・・それだけの能力ではない。
それではライフや手札の変動が説明できない。
「ターンを終了するわ。」
泣笠の態度は落ち着き払っていて、どこか不気味だった。
悪人には見えないが、得体が知れない。
「・・・私のターン、ドロー。」
少し呼吸をおいて、呉星はカードをドローした。
謎に包まれた能力だが、何かしらの制約が存在するのは確かだ。
「2000ライフを支払い、《スカイラブ・ドラゴン》を召喚!」
スカイラブ・ドラゴン レベル8 地属性・ドラゴン族
攻撃力3800 守備力300
このカードは戦闘で破壊されたとき、相手の手札に加えられる。
このカードは攻撃するとき、攻撃力が1200ポイントアップする。
1ターンに1度、相手フィールドのカード1枚を破壊することが出来る。
天空を飛翔する褐色の竜。
狭っ苦しいデッキから解放されて、大喜びで躍動する。
それだけでショーの演目として通用しそうだ。
「効果で《異次元の女戦士》を破壊するわ!」
異次元の女戦士 (破壊)
今度はフィールドに戻ってこない。
やはり、モンスターをフィールドに戻す能力ではないのか。
「更に手札から装備魔法《巨大化》を発動!」
巨大化 (装備魔法)
自分のライフポイントが相手より下の場合、装備モンスターの攻撃力は元々の攻撃力を倍にした数値になる。
自分のライフポイントが相手より上の場合、装備モンスターの攻撃力は元々の攻撃力を半分にした数値になる。
スカイラブ・ドラゴン (攻3800→7600)
「そして《ジェリービーンズマン》に攻撃・・・クロスファイア!」
スカイラブ・ドラゴン (攻7600→8800)
豆戦士は炎に包まれて退場する。
やはり戻ってこない。
泣笠葉継:LP8000→950
「カードを2枚伏せて、ターンエンドするわ!」
呉星十字:LP2750、手札0
場:スカイラブ・ドラゴン(攻1900)
場:死皇帝の陵墓(フィールド魔法)、巨大化(装備魔法)、伏せ×2
泣笠葉継:LP950、手札5
場:
場:
「私のターン、ドロー。2枚目の・・・」
そこで泣笠の手が止まる。
「・・・いえ、速攻魔法《サイクロン》を発動。対象は《死皇帝の陵墓》よ。」
今更《死皇帝の陵墓》を破壊することに何の意味があるのが呉星は理解できない。
放っておいても支障は無いかとも思ったが、これをカウンターすれば相手は何も出来ないはずだと思い直した。
「罠カード《神の宣告》を発動!」
凛とした声で、伏せカードを開く。
神の裁きが突風を消し去った。
神の宣告 (カウンター罠)
ライフポイントを半分払って発動する。
魔法・罠カードの発動、モンスターの召喚・反転召喚・特殊召喚のどれか1つを無効にし破壊する。
――しかし。
呉星十字:LP4750、手札2
場:
場:伏せ×1
泣笠葉継:LP8000、手札6
場:異次元の女戦士(攻1500)、ジェリービーンズマン(攻1750)
場:
「え・・・?」
再び発生した突風が陵墓を吹き飛ばし、それと共に天空を舞っていたドラゴンも消えてしまった。
まるで最初から存在していなかったかのように。
自分のライフポイントが4750になっている。
《スカイラブ・ドラゴン》と《巨大化》が手札に戻っている。
破壊したはずのモンスターが復活している。
950まで減らしたはずのライフポイントが8000に戻ってしまっている。
《サイクロン》を使ったはずなのに泣笠の手札は減っていない。
「では、あらためて。《異次元の女戦士》2体目を召喚。」
もうわけがわからない。
既に《サイクロン》を発動したので、“闇の一手”の制約により、これ以上は手札からカードをプレイすることが出来るはずはない。
だが、《異次元の女戦士》は問題なくフィールドに出現している。
「3体で直接攻撃。」
総攻撃力は4750、すなわち呉星の残りライフポイントと同じだ。
この攻撃を通すわけにはいかない。
呉星は歯を食いしばって伏せカードを開いた。
「罠カード《聖なるバリア-ミラーフォース-》がYOUの全モンスターを打ち砕く!」
その言葉は実現された。
女戦士2体と豆戦士は、聖なる光によって掻き消された。
しかし泣笠は慌てない。
「ミラーフォースでしたか。」
「・・・?」
「戻れ、戻れ、戦士たちよ・・・♪ 黄泉の国から戻っておいで・・・♪」
優しげに奏でられた旋律と共に、3体のモンスターはフィールドに舞い戻る。
そして、デュエルは決着した。
呉星十字:LP4750→3250→1750→0
決着までに要したのは6ターン。
呉星のライフが0になったとき、泣笠のライフは8000。
ライフを削ったことさえ、今となっては疑わしいくらいに思えてしまった。
「・・・っ、同じ・・・レベル5で・・・これだけの差が・・・ある・・・なんて・・・!」
このデュエルで泣笠が使用したカードは4枚。
《異次元の女戦士》が2枚と、《ジェリービーンズマン》、《サイクロン》。
「初心者相手にでも・・・デュエルしてるつもり・・・?」
呉星は冷や汗をかきながら、呟くように言った。
自分の呼吸が速くなっているのがわかった。
「何とか・・・言ってよ・・・!」
眼鏡の奥で涙が滲む。
心がバラバラになりそうな苦しさだった。
ソリッドビジョンが消え、泣笠は無言でディスクを畳む。
彼女は、すぐには何も言わなかった。遠い目で海を見つめていた。
けれど何かを思い出したように、冷たい笑みを浮かべて喋り出した。
「・・・数学は、正しいと証明されたものは永遠に正しい。」
「・・・・・・?」
「ある公理のもとで証明された定理は、絶対的な真実として存在し続ける。」
「何を、言って・・・?」
「レベル5能力“遡及定理”(レトロスペクティブ)。デュエルという公理のもとでは私の定理は絶対。虚構たるソリッドビジョンが私に傷を付けられるとでも思ったか?」
「―――っ!?」
景色が黒く濁り、聞こえない音が聞こえてくる。
凄まじい重圧が呉星を恐怖せしめた。
(こいつ・・・人間か・・・?)
「・・・YOUは何者ですか?」
呉星は十字架を握り締め、冷たい目で泣笠を睨んだ。
「さぁて、何だろうねぇ・・・?」
泣笠は人を食ったような笑みを見せる。
その口調も、どこか貴婦人らしからぬ響きがある。
「呉星さんこそ、自分が何者なのかわかっているの? 万人に対して自分が何者であるか説明できる?」
「・・・っ、私は“聖女”呉星十字! 闇の番人にして正義の執行者! 人々を正しい方向へ導く存在よ!」
「“聖女”はあなた以外にもいる。“闇の番人”も大勢いる。正義の執行者も、指導者も、あなた以外に幾らでもいる。聖女で闇の番人で正義の執行者で指導者で18歳の女性であれば、“呉星十字”になるの?」
「わ、私には思い出があるわ!」
「記憶や人格は捏造も改変も創造も可能。」
「私はレベル5のデュエリスト能力を持っている!」
「同一のデュエリスト能力が複数存在することは確認されている。“闇の一手”が固有能力である証明は成されていない。さァ・・・あなたって、何者?」
「私は私よ、呉星十字よ! この体と心で生きてきた! そのことを誰にも否定されない!」
「ならば・・・・・・あなたと同じ肉体を持ち、あなたと同じ声を持ち、あなたと同じように話し、あなたと同じように行動し、あなたと同じようにデュエルし、あなたと同じように生きれば、それは呉星さんになるのかしら?」
「・・・っ!」
「わかっているはずよ呉星さん。外見と行動が同じなら、周囲はそれを本人と認識する。その中身が何を考えていようとも、周囲にとっては関係ない。“吸血鬼”は、血を吸った人間に化けることが出来るのよ・・・?」
つづく
自分を拾って育ててくれた母・一美(かずみ)との絆。彼女が死んだ今でも、毎朝の祈りは欠かさない。
丸眼鏡のレンズの奥には、強く気高い意志を秘めた瞳がある。
「・・・さあ、行きましょうか。」
目を開けた呉星は、懺悔室から等身大の十字架を持ち出して、眼鏡を指で整えて、意気揚々と出発した。
彼女の頭の中は、“吸血鬼”のことで占められていた。
昨日の昼に、宇崎と名乗るサングラスの男がやって来て、告げた話。3体の“吸血鬼”が、レベル5能力者を狙っているという話。普通なら、にわかには信じがたいであろう話。
けれど呉星は、それが事実であることを知っていた。かつて裏社会でフリーの傭兵デュエリストとして活動していた母から、デュエルに関する様々な怪奇譚を聞かされていた。その中に旧海馬コーポレーションが開発していた生物兵器の話もあった。
――そんなキナ臭い話を事細かに話せるということは、母は何らかの形で深く関わっていたに違いない。
――おそらくは、それを潰す側として。
そのように考えた呉星は、同時に自らの行動に理由を与えた。
――これは、母がやり残したことだ。
――自分が引き継がなければならない。
(私が成すべきことは、邪悪で哀れな“吸血鬼”を退治することだ。)
母に関する推測は概ね当たっていたが、自身の行動についての判断は果たして正しかったのか。
それが彼女の正義感からして止むを得ないものとはいえ、戦いを選ぶということは危険を選ぶということでもある。
◆ ◆ ◆
童実野埠頭では、カモメの鳴く声が聞こえている。
ブルーの海から漂う潮の匂いを感じながら、呉星は十字架を背負って歩いていた。
(ちょっと早すぎたかしら。)
時計を見ると、まだ9時過ぎだった。約束の時間は10時半。1時間以上も開いている。
呉星は倉庫に十字架を立てかけて、空と海を抱き締めるように見渡した。
「すぅ・・・・・・はぁ・・・・・・。」
ゆっくりと深呼吸をして、彼女は手で直射日光を防ぎながら景色を堪能した。
早起きは三文の得だと昔のことわざにあるが、精神的なメリットはそれ以上かもしれない。
そんな彼女を、倉庫の陰から見つめる視線があった。
視線の主は、ゆっくりと、足音も立てずに歩いていく。
爽やかな景色を背景に佇む少女に、少しずつ、少しずつ、近寄っていく。
ふと、呉星は気配を感じて後ろを振り向いた。
視線の主は足を止め、上品な笑みを浮かべて挨拶した。
「おはようございます、呉星十字さん。」
厚手の服装に、縁の広い黒帽子。右目を隠す、青く長い髪の毛。腕にはデュエルディスク。
どことなく不気味な印象はあるが、悪い人ではないと呉星は思った。
「どちら様ですか?」
「レベル5能力者、泣笠葉継です。」
「YOUが・・・?」
デュエリスト能力者なら10代のはずだが、かなり大人びて見える。
しかし自分も18歳にしては大人びていると言われるので、呉星は納得した。
「えふん、おはようございます。泣笠さんも呼び集められたのですか?」
「その通り。天神さんと遠藤くんにも声がかかっているわ。」
「日本のレベル5能力者全員ですか・・・。」
大丈夫だろうかと呉星は思った。
(デュエルに関しては無類の強さを誇るレベル5能力者だけれども、生身の人間である以上は腕力的に“吸血鬼”に対抗する手段は無い。私のように、特別な力を持ってなければ危険すぎるわ。)
呉星は、相手を強制的に闇のデュエルに引きずりこむ力、すなわち“闇のゲーム”を行う能力を有している。しかしそれは、極めて特殊で稀な能力だ。
「天神さんは来ないと思うけれどね。」
泣笠が呑気な声で言った。
「どうしてですか?」
「彼女、精神的にデュエルできない状況にあるのよ。」
「精神的に・・・?」
「ええ。」
いつの間にか泣笠の声の調子が変わっていた。
どこか悲しそうな、または嬉しそうな響きだ。
「一方的すぎるデュエルは、勝った方も負けた方も楽しくない。だから20歳を過ぎて能力が消失するまでは誰ともデュエルしない。強すぎるが故の悩み。いえ、絶望。」
そう言ったときの泣笠の表情は、景色がモノトーンに見えるほど暗かった。
それを聞いて、呉星の頭に2つのことが同時に浮かんできた。
ひとつは、天神を危険なことに巻き込まずに済むという、安堵。
もうひとつは、怒りのような感情。
その後者が口を突いて出てきた。
「贅沢な悩みですね。強い力を持っているなら、正義の為に使えばいいんです。私は自分に宿ったデュエリスト能力を、神様からの贈り物だと思っています。弱きを助け、悪を挫き、世界を守る。それが強い人の責務です。」
「・・・・・・。」
「天神さんの力は、私よりもずっと強い。ビートダウンを完全封殺するレベル5能力。その他の戦術に対するメタカードを大量投入したデッキ。およそ勝てる要素が見当たらない・・・。それほどの力を正義の為に使わないなんて、間違ってます。」
すると泣笠は目を伏せて溜息をついた。
「呉星さんのレベルじゃわからないですか。強者の苦痛なんてものは。」
「・・・っ、聞き捨てなりませんね。そもそもYOUは本当に強いのですか?」
呉星は遠藤とは面識がある。天神とは面識は無いが、能力者の間では有名なので知っている。
しかし泣笠のことは名前くらいしか知らなかった。これが初対面であり、もちろん能力についての知識は無い。
「ならば、やってみます? 約束の時間まで、まだ少々ありますから。」
泣笠はディスクをデュエルモードに変形させる。
呉星も立てかけていた十字架を持ち上げ、ディスクに変形させた。
「「デュエル!」」
呉星十字:LP8000
泣笠葉継:LP8000
「私の先攻ね、ドロー。」
ゲームは泣笠の先攻で始まった。
「そうね、《異次元の女戦士》を召喚して、ターンを終了するわ。」
異次元の女戦士 レベル4 光属性・戦士族
攻撃力1500 守備力1600
このカードが相手モンスターと戦闘を行った時、そのモンスターとこのカードをゲームから除外する事ができる。
呉星十字のデュエリスト能力“闇の一手”(オンリーワンス)は、『相手が手札からプレイできるカードは1ターンに1枚までとなる。』という、極めて拘束力の高い行動封じだ。
モンスターの召喚、魔法・罠のセット、手札誘発カード、それら全てプレイとしてカウントされる。
そして呉星自身は、この能力の制約を受けない。だからこそのレベル5能力だ。
「行きますよ、私のターン、ドロー。フィールド魔法《死皇帝の陵墓》発動です。2000ライフを支払い、《ジャグ・オブ・ライド》の召喚! 効果で1枚ドロー!」
死皇帝の陵墓 (フィールド魔法)
お互いのプレイヤーは、アドバンス召喚に必要なモンスターの数×1000ライフポイントを払う事で、リリースなしでそのモンスターを通常召喚する事ができる。
ジャグ・オブ・ライド レベル7 地属性・岩石族
攻撃力3400 守備力300
このカードは戦闘で破壊されたとき、相手の手札に加えられる。
このカードは相手プレイヤーに直接攻撃できる。
1ターンに1度、カードを1枚ドローすることが出来る。
岩石で覆われた、猛々しい馬。
それは彫刻のようでもあり、剥製のようでもあった。
呉星十字:LP8000→6000、手札4→5
「直接攻撃、メテオ・スプリンター!」
石の塊を破り、中から燃え滾る馬が勢いよく飛び出した。
赤く逞しい蹄が泣笠めがけて躍動する。
泣笠葉継:LP8000→4600
ダメージを与えると、馬は後方へ下がり、その身を再び岩石で覆った。
「カードを1枚伏せて、ターンエンドです!」
呉星十字:LP6000、手札4
場:ジャグ・オブ・ライド(攻3400)
場:死皇帝の陵墓(フィールド魔法)、伏せ×1
泣笠葉継:LP4600、手札5
場:異次元の女戦士(攻1500)
場:
「私のターン、ドロー。《ジェリービーンズマン》を召喚。」
「リバースカードオープン、《奈落の落とし穴》!」
奈落の落とし穴 (罠カード)
相手が攻撃力1500以上のモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚した時に発動する事ができる。
その攻撃力1500以上のモンスターを破壊しゲームから除外する。
豆戦士が異次元の渦へ呑み込まれ、フィールドから姿を消す。
この単純な1:1交換が、呉星のレベル5能力を組み合わせれば極悪な威力を発揮するのだ。
――ただし、泣笠葉継にとっては取るに足らないことであるが。
「戻ってきて、Jelly・・・」
その言葉を発すると同時に、フィールドに光の粒子が集まっていた。
それはモンスターの形になる。
呉星十字:LP6000、手札4
場:ジャグ・オブ・ライド(攻3400)
場:死皇帝の陵墓(フィールド魔法)
泣笠葉継:LP4600、手札5
場:異次元の女戦士(攻1500)、ジェリービーンズマン(攻1750)
場:
ジェリーという名の豆戦士、堂々の帰還である。
その光景に呉星も驚愕を隠せない。
「無効化した・・・? いいえ、これは・・・!」
一度は消し去った。
それが戻ってきている。
「なかなか面白いモンスターだけれども。退場願うとしましょう。《異次元の女戦士》で《ジャグ・オブ・ライド》を攻撃。効果で2体をゲームから除外するわ。」
女戦士と岩石の馬が激突し、別の世界へ消えていく。
そして。
「戻れ、Warrior Lady・・・」
女戦士だけが何事も無かったかのように戻ってくる。
「・・・っ!」
それだけではない。
呉星十字:LP8000、手札3
場:
場:死皇帝の陵墓(フィールド魔法)
泣笠葉継:LP8000、手札5
場:異次元の女戦士(攻1500)、ジェリービーンズマン(攻1750)
場:
ライフが8000に戻っている。それは泣笠だけでなく、呉星もだ。
そして呉星の手札が減っている。
「2体で直接攻撃。」
「くっ・・・!?」
呉星十字:LP8000→6500→4750
フィールドを離れたモンスターを呼び戻す・・・それだけの能力ではない。
それではライフや手札の変動が説明できない。
「ターンを終了するわ。」
泣笠の態度は落ち着き払っていて、どこか不気味だった。
悪人には見えないが、得体が知れない。
「・・・私のターン、ドロー。」
少し呼吸をおいて、呉星はカードをドローした。
謎に包まれた能力だが、何かしらの制約が存在するのは確かだ。
「2000ライフを支払い、《スカイラブ・ドラゴン》を召喚!」
スカイラブ・ドラゴン レベル8 地属性・ドラゴン族
攻撃力3800 守備力300
このカードは戦闘で破壊されたとき、相手の手札に加えられる。
このカードは攻撃するとき、攻撃力が1200ポイントアップする。
1ターンに1度、相手フィールドのカード1枚を破壊することが出来る。
天空を飛翔する褐色の竜。
狭っ苦しいデッキから解放されて、大喜びで躍動する。
それだけでショーの演目として通用しそうだ。
「効果で《異次元の女戦士》を破壊するわ!」
異次元の女戦士 (破壊)
今度はフィールドに戻ってこない。
やはり、モンスターをフィールドに戻す能力ではないのか。
「更に手札から装備魔法《巨大化》を発動!」
巨大化 (装備魔法)
自分のライフポイントが相手より下の場合、装備モンスターの攻撃力は元々の攻撃力を倍にした数値になる。
自分のライフポイントが相手より上の場合、装備モンスターの攻撃力は元々の攻撃力を半分にした数値になる。
スカイラブ・ドラゴン (攻3800→7600)
「そして《ジェリービーンズマン》に攻撃・・・クロスファイア!」
スカイラブ・ドラゴン (攻7600→8800)
豆戦士は炎に包まれて退場する。
やはり戻ってこない。
泣笠葉継:LP8000→950
「カードを2枚伏せて、ターンエンドするわ!」
呉星十字:LP2750、手札0
場:スカイラブ・ドラゴン(攻1900)
場:死皇帝の陵墓(フィールド魔法)、巨大化(装備魔法)、伏せ×2
泣笠葉継:LP950、手札5
場:
場:
「私のターン、ドロー。2枚目の・・・」
そこで泣笠の手が止まる。
「・・・いえ、速攻魔法《サイクロン》を発動。対象は《死皇帝の陵墓》よ。」
今更《死皇帝の陵墓》を破壊することに何の意味があるのが呉星は理解できない。
放っておいても支障は無いかとも思ったが、これをカウンターすれば相手は何も出来ないはずだと思い直した。
「罠カード《神の宣告》を発動!」
凛とした声で、伏せカードを開く。
神の裁きが突風を消し去った。
神の宣告 (カウンター罠)
ライフポイントを半分払って発動する。
魔法・罠カードの発動、モンスターの召喚・反転召喚・特殊召喚のどれか1つを無効にし破壊する。
――しかし。
呉星十字:LP4750、手札2
場:
場:伏せ×1
泣笠葉継:LP8000、手札6
場:異次元の女戦士(攻1500)、ジェリービーンズマン(攻1750)
場:
「え・・・?」
再び発生した突風が陵墓を吹き飛ばし、それと共に天空を舞っていたドラゴンも消えてしまった。
まるで最初から存在していなかったかのように。
自分のライフポイントが4750になっている。
《スカイラブ・ドラゴン》と《巨大化》が手札に戻っている。
破壊したはずのモンスターが復活している。
950まで減らしたはずのライフポイントが8000に戻ってしまっている。
《サイクロン》を使ったはずなのに泣笠の手札は減っていない。
「では、あらためて。《異次元の女戦士》2体目を召喚。」
もうわけがわからない。
既に《サイクロン》を発動したので、“闇の一手”の制約により、これ以上は手札からカードをプレイすることが出来るはずはない。
だが、《異次元の女戦士》は問題なくフィールドに出現している。
「3体で直接攻撃。」
総攻撃力は4750、すなわち呉星の残りライフポイントと同じだ。
この攻撃を通すわけにはいかない。
呉星は歯を食いしばって伏せカードを開いた。
「罠カード《聖なるバリア-ミラーフォース-》がYOUの全モンスターを打ち砕く!」
その言葉は実現された。
女戦士2体と豆戦士は、聖なる光によって掻き消された。
しかし泣笠は慌てない。
「ミラーフォースでしたか。」
「・・・?」
「戻れ、戻れ、戦士たちよ・・・♪ 黄泉の国から戻っておいで・・・♪」
優しげに奏でられた旋律と共に、3体のモンスターはフィールドに舞い戻る。
そして、デュエルは決着した。
呉星十字:LP4750→3250→1750→0
決着までに要したのは6ターン。
呉星のライフが0になったとき、泣笠のライフは8000。
ライフを削ったことさえ、今となっては疑わしいくらいに思えてしまった。
「・・・っ、同じ・・・レベル5で・・・これだけの差が・・・ある・・・なんて・・・!」
このデュエルで泣笠が使用したカードは4枚。
《異次元の女戦士》が2枚と、《ジェリービーンズマン》、《サイクロン》。
「初心者相手にでも・・・デュエルしてるつもり・・・?」
呉星は冷や汗をかきながら、呟くように言った。
自分の呼吸が速くなっているのがわかった。
「何とか・・・言ってよ・・・!」
眼鏡の奥で涙が滲む。
心がバラバラになりそうな苦しさだった。
ソリッドビジョンが消え、泣笠は無言でディスクを畳む。
彼女は、すぐには何も言わなかった。遠い目で海を見つめていた。
けれど何かを思い出したように、冷たい笑みを浮かべて喋り出した。
「・・・数学は、正しいと証明されたものは永遠に正しい。」
「・・・・・・?」
「ある公理のもとで証明された定理は、絶対的な真実として存在し続ける。」
「何を、言って・・・?」
「レベル5能力“遡及定理”(レトロスペクティブ)。デュエルという公理のもとでは私の定理は絶対。虚構たるソリッドビジョンが私に傷を付けられるとでも思ったか?」
「―――っ!?」
景色が黒く濁り、聞こえない音が聞こえてくる。
凄まじい重圧が呉星を恐怖せしめた。
(こいつ・・・人間か・・・?)
「・・・YOUは何者ですか?」
呉星は十字架を握り締め、冷たい目で泣笠を睨んだ。
「さぁて、何だろうねぇ・・・?」
泣笠は人を食ったような笑みを見せる。
その口調も、どこか貴婦人らしからぬ響きがある。
「呉星さんこそ、自分が何者なのかわかっているの? 万人に対して自分が何者であるか説明できる?」
「・・・っ、私は“聖女”呉星十字! 闇の番人にして正義の執行者! 人々を正しい方向へ導く存在よ!」
「“聖女”はあなた以外にもいる。“闇の番人”も大勢いる。正義の執行者も、指導者も、あなた以外に幾らでもいる。聖女で闇の番人で正義の執行者で指導者で18歳の女性であれば、“呉星十字”になるの?」
「わ、私には思い出があるわ!」
「記憶や人格は捏造も改変も創造も可能。」
「私はレベル5のデュエリスト能力を持っている!」
「同一のデュエリスト能力が複数存在することは確認されている。“闇の一手”が固有能力である証明は成されていない。さァ・・・あなたって、何者?」
「私は私よ、呉星十字よ! この体と心で生きてきた! そのことを誰にも否定されない!」
「ならば・・・・・・あなたと同じ肉体を持ち、あなたと同じ声を持ち、あなたと同じように話し、あなたと同じように行動し、あなたと同じようにデュエルし、あなたと同じように生きれば、それは呉星さんになるのかしら?」
「・・・っ!」
「わかっているはずよ呉星さん。外見と行動が同じなら、周囲はそれを本人と認識する。その中身が何を考えていようとも、周囲にとっては関係ない。“吸血鬼”は、血を吸った人間に化けることが出来るのよ・・・?」
つづく

この記事へのコメント
コング「不快?」
火剣「ヒロインとして危険を選ぶのは正しい」
コング「全く正しい、全然正しい」
ゴリーレッド「確かに崇高な使命に生きる女性は美しい」
火剣「正義のヒロインだからこそ大ピンチに燃える」
ゴリーレッド「はい?」
コング「すぅ、はぁ、すぅ、はぁ」
火剣「何をしてる?」
コング「呉星のこの呼吸は、万が一敵に孕ましプレイをされたときの練習か?」
ゴリーレッド「くだらな過ぎる」
コング「世界の平和を守るためー、GO! GO! レッツゴー!」
火剣「呉星十字は仮面ライダーみたいだ」
コング「強気を助け、弱きをくじく」
ゴリーレッド「逆だ」
コング「早起きは十六文の得」
ゴリーレッド「十六文キック!」
コング「があああああ!」
火剣「しかし、おまえは何者だと聞かれたら焦るな」
ゴリーレッド「吸血鬼は血を吸った人間に化ける? これはヘタしたら疑心暗鬼で仲間割れを引き起こす」
火剣「そのときはオンリーワンスだ」
ゴリーレッド「はい?」
火剣「極めて拘束力の高い触手でぐるぐる巻きにして尋問」
ゴリーレッド「コングかっ」
火剣「数学は正しいと証明されたものは永遠に正しい。名言連発だ」
コング「佐久間闇子も名言を語った」
ゴリーレッド「出てないぞ」
コング「欲望は時として論理に基づく推理を上回る」
火剣「さすがは山田の奥さん」
ゴリーレッド「それだけはやめなさい」
戦いを選ぶのが界隈の正解・・・いや、界隈に限らずでしょうか。問題は戦い方。自分の実力を如何なく発揮できるように戦えるか、呉星十字。
敵は胸中にもあり。疑心暗鬼と戦う為には・・・?
佐久間「そう、私は山田の嫁。異論は認めない。」
山田「意義あり。」
八武「シスターが孕むって聞くと血が騒がないか?」
山田「やめい。」
佐久間「ちなみに、何者だと言われたら、どう答える?」
山田「人間。」
八武「何者でもいい。そこに幸せがあるのなら。」
佐久間「ボケとツッコミが入れ替わったか。」
山田「俺は真面目だが。どのくらい真面目かというと、普段の佐久間と同じくらい真面目だ。」
佐久間「てめぇ。」
八武「Wヒロインは、少なくとも一方はピンチになるのが世の常。」
佐久間「なるほど、数学的だ。」
山田「どこが・・・。」
八武「出来ることなら両方とも。むしろ私がいただきます!」
山田「成敗されてしまえ。」
佐久間「輝くドクター。」
山田「変態色にな。」
佐久間「仮面ライダーと聞くと血が騒がないか?」
山田「それはわかる。」
八武「ライダースーツは?」
山田「嫌いじゃないが。」
佐久間「流石は私の夫。」
山田「ライダーキック!」
佐久間「がはっ!?」
八武「大変だ、佐久間の首が変な方向に曲がったぞ。」
山田「しっかりしろー、傷は深いぞー。」(棒読み)
佐久間「スペシューム光線!」
山田「ぐわっ!? それはウルトラマンだ・・・!」
八武「スペ・・」
山田「その先を言うな。」