置き去りにされた四天王 (前編)

待っている。

ずっと待っている。
待つのは嫌い。
待つのは悔しい。
待つのは辛い。
待つのは楽しい。

待つのは飽きた。
魔王様の帰りを待つのは飽きた。
けれど、どうすればいいんだろう。
今まで魔王様の言う通りに動いてきたから、わからないんだ。

魔王様は自分の命を捨てて戦争を終わらせようとした。
けれど戦争は終わらなかった。
人間のせいで。

人間が嫌い。
だけど好き。
魔王様が生き延びたのは、人間の愚かさ故に。

人間が羨ましい。
だけど愚かしい。
まるで私と鏡写しに、よく似ている。

人間は良い。
人間は悪い。
ボクは人間が好きかもしれない。

人間は貪欲だ。
愛し合い殺し合う。
のんびりと生きていければ幸せとは思えないのかな。


我々は魔王様の配下として、これからどうするべきだろうか?



◆ ◆ ◆



「勘違いしないでよね! あたしは人間のことなんか大っ嫌いなんだからね!」

ネコミミの少女が顔を真っ赤にしながら叫ぶ。
彼女は魔王軍の四天王のうち、先鋒たる獣魔将軍イヴィルヘイト。
露出の多い服装が、柔らかくメリハリのある体つきを強調している。

「私に言わせれば、それって好きって言ってるのと同じことよ。ああ悔しい羨ましい。その乳と尻が羨ましい。」

野暮ったい服を着込んだ長身の女性が、ムッとした顔で言う。
魔王軍の四天王のうち、次鋒たる水魔将軍イヴィルジェラシー。
言葉通りのスレンダーな体型で、何かと他者を羨ましがる。

「えー、どれどれー?」

小柄な少年がイヴィルヘイトの後ろから胸を鷲掴みにした。

「きゃっ!? 何すんのよマリス!」

虎が尾を振るように振り払うイヴィルヘイトだったが、四天王の人魔将軍イヴィルマリスは既に攻撃圏外に逃れている。その実力差は歴然だ。

「あははー、今日も良い胸だよねー。ボク興奮しそうー。」

「バカっ、あんたなんか大っ嫌い! 呪ってやる!」

イヴィルヘイトは真っ赤な顔で祈りを込めて十字を切った。
しかしイヴィルマリスの姿は消えていた。
次の瞬間には後ろから首に手をかけられて、そのまま空中へ飛翔、ちきゅうなげが決まった。

「・・・・だいっきらい・・・・・・・」

ばたんきゅーしながらイヴィルヘイトは呪いの言葉を呟いた。
呪いにかかったイヴィルジェラシーは、険しい顔で言った。

「リア充ども、爆発しろ。」

「あー、ジェラシーも同じことしてほしいんだー?」

言うが早いか、イヴィルマリスはイヴィルジェラシーの背後に回りこみ、服の中に手を入れた。

「あ、やぁ・・・どこ触って・・・・・・ううっ、悔しい・・・でも感じちゃう・・・・」

羞恥と快楽に身を震わせるイヴィルジェラシーだったが、気を確かにしてイヴィルマリスの頭を掴み、フェイスクラッシャーからストンピングクラッシュ。上空へ飛翔して祈りを込めて十字を切った。
強大な真空の刃がイヴィルマリスを襲う。

「やべー!」

イヴィルマリスは咄嗟にメラゾーマを唱えて上昇気流を作り出し、グランドクロスを弱めた。

そして爆発が起こる。
いつも通りだ。

煙が晴れたときには、落下して地面に激突した衝撃で意識朦朧としたイヴィルジェラシーが、イヴィルマリスに柔道の寝技で固められていた。

「あはー、ボクの勝ちー。」

「うううっ、悔しい! 私が貧乳でさえなければ!」

「いやー、胸の大きさとか関係ないんじゃないかなー。それにボクは貧乳派だしー。」

ドサクサ紛れに再びイヴィルジェラシーの服の中に手を入れるイヴィルマリス。
彼の強さは圧倒的だった。

しかしイヴィルマリスが四天王の大将というわけではない。

「こぉら、じゃれ合うのも大概にせんと。そろそろ出発すんべ。」

モンペに身を包み、土のついた顔で、鍬を持って、いかにも百姓という風貌の中年女が呑気な声を出した。
彼女こそが四天王の大将、食料将軍イヴィルパンプキンだ。
とりわけ美人というわけではないが、穏やかな顔立ちと雰囲気で、見ているだけで和んでしまう。

「あんた、女だったの?」

「知らなかった・・・。」

ホイミで回復して起きてきたイヴィルヘイトと、ロックを解かれたイヴィルジェラシーが、驚きの顔になる。

驚いているのはイヴィルマリスも同じことだった。
彼の場合は驚きよりも不満だったが。

「どうせ人間に変身するならー、美人で床上手な農婦さんになればいいのにー。」

「オラのキャラで美人さんは似合わねえべ。」

「そんなことないのにー。そんなことないのにー。」


“嫌悪”のイヴィルヘイト。
“羨望”のイヴィルジェラシー。
“悪意”のイヴィルマリス。
“草食”のイヴィルパンプキン。

これから魔王に会いに行く。
だが、その前にやるべきことがあった。その為に人間に変身する必要があったのだ。





つづく

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この記事へのコメント

2013年11月14日 17:07
火剣「置き去りにされた四天王か」
コング「新連ドラだ。さあ、四人で番宣へ行こう。ひるおび、笑っていいとも、王様のブランチ」
ゴリーレッド「ちきゅうなげの練習をしてもいいか?」
コング「暴言なんか吐いていない」
火剣「人間に変身するということは、人間に遭遇する場所へ行くってことか」
ゴリーレッド「ミクモウや竜王のように人間の格好でないと人間は驚く」
コング「魔獣将軍イヴィルヘイトはネコミミ少女で露出度が高いのか。サービス精神旺盛なのはポイント高い。ヒロピン候補だ」
火剣「人魔将軍イヴィルマリスは悪戯好きか。強さで女を組み伏せたりして良くねえな」
ゴリーレッド「平成の人間界ならセクハラだ」
コング「マリス君! 僕から英雄の称号を受ける活躍をしたまえ」
ゴリーレッド「フェイスクラシャー!」
コング「ゴオオオ!」
火剣「狙ってたな」
ゴリーレッド「食料将軍イヴィルパンプキン。彼女が大将か」
火剣「確かに美人が邪魔するキャラというのはある。お笑い芸人も顔がすでに面白いほうが有利だ」
コング「水魔将軍イヴィルジェラシー。スレンダーなのか。他人を羨む必要はない。胸の大小は関係ない。大事なのは美脚美ボディ、キュートなスマイルだ」
ゴリーレッド「大事なのはハートだとなぜ言えない?」
コング「ハートとやるわけじゃないから」
ゴリーレッド「ちきゅうなげ!」
コング「NO!」
ゴリーレッド「ストンピングラッシャ!」
コング「申し訳あり閃光j」
ゴリーレッド「エルボードロップ!」
コング「がっ・・・・・・」
火剣「のんびりか。たまには安らぎもいいが、毎日安らいでいたら、何のために生まれて来たかわからねえ。人間は皆ハカイダーと同じように、果たさねばならねえ使命があるのよ」
ゴリーレッド「素晴らしい」
2013年11月14日 23:07
>火剣さん
新章スタート! ややシリアスなモノローグから、一転してセクハラな光景です。これが魔界の日常・・・。
しかしずっと安らいでるわけにもいきません。人間に変身し、魔王からの命令でなく自分の使命を果たそうと行動します。

山田「どこからツッコミを入れればいいのか。」
八武「まずはイヴィルヘイトに突っ込んでユサユサ、続いてイヴィルジェラシーに後ろからガンガンいこうぜ!」
山田「ちきゅうなげ!」
八武「ごわっ!?」
佐久間「山田のツッコミは暴力的だ。私も気をつけよう。」
山田「女を組み伏せるって、セクハラを通り越して強制猥褻な気が。」
佐久間「イヴィルマリスは魔王軍の猥褻将軍だからな。」
山田「人魔将軍だ。」
八武「人はやらしいもの。英雄的だ。」
佐久間「完練?」
山田「完練は紳士。ドエス魔人と間違えてはいけない。」
佐久間「ところで猫の交尾は中で引っ掛けるところがあって、その痛みで排卵するという話があるわけだが。」
八武「ほほう。」
山田「おい佐久間、気をつけるんじゃなかったのか?」
佐久間「お前の攻撃をかわせるようにな。」
山田「てめえ・・。」
八武「イヴィルヘイトは痛くすると排卵する?」
佐久間「そうだ。」
山田「2人まとめてフェイス・・」
佐久間「エルボー!」
八武「水面蹴り!」
山田「ごっ・・!」
佐久間「まあ、イヴィルパンプキンがいる限りは大丈夫さ。」
八武「うむ、平穏だ。」
山田「暴走しているわい!」
2013年11月14日 23:34
ルビデ「人間は醜い。人間は汚い。こうして心傷ついた冬未は魔王となる。人間が悪を産み、悪魔を産み、魔王を産んだ…。素晴らしい…。だから、人間って、大好きなんだよ…。クックックッ。」
白龍「いけしゃあしゃあと…。そう言えば、冬未さんの特性が勇者と魔王、両方あるな…。しかも二個ずつ。」
ルビデ「人間の勇者として産まれたが、人間の悪意を吸収し勇者役を幼馴染に押し付け、自分は魔王となった。オーケー、それでいい。」

チュルーリ「かかかかかっ。部隊長の技がせこすぎて笑える。小物もここまで来ると逆に清々しいな。かかっ。」
白龍「そんでもって、始まった魔王四天王によるシリアスパート…と思ったらギャグ回だった。」
ツヲ「強力なメンバーだ。キャラ的に。」
ミッド「キャラ…的…?」
白龍「しかし、いつまでもギャグモードという訳ではないようですね。これから魔王を迎えに行くようですが、その魔王って、どっちの魔王?」
2013年11月14日 23:54
>千花白龍さん
第1作だと、おおよそルビデの言う展開かもしれません。勇者にもなれるし魔王にもなれる冬未の明日はどっちだ?
部隊長のセコ技は考えていて楽しかったです。何気に実力はあるんですが、性格が小物すぎますね(笑)。
そして新たに始まるギャグパート。第1作では名前だけだった四天王、ようやく出すことが出来ました。コンセプトは、あざとさです。

山田「あざとさ・・?」
佐久間「パンプキンだけアッキーの趣味で、他3体は読者サービスだそうだ。」
山田「全部アッキーの趣味な気がする。」
八武「イヴィルヘイト、イヴィルジェラシー。私の醜い欲望の餌食となるがいい。そして人間の子供を産む。うむ、それでいい。」
山田「俺は祈りを込めて十字を切った。」
八武「はい?」
山田「グランドクロス!」
八武「ぎゃあああああ!?」
佐久間「何で山田がグランドクロスを使えるんだ・・・。」
山田「ついノリで。」
佐久間「それなら仕方ない。」
山田「しかし、迎えに行くのが冬未という可能性もあるのか。第1作に繋がってるとしたら、まさか・・・。」
佐久間「なかなか鋭い。」

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