これが最後の戦いか (中編)

◆ ◆ ◆



どうして自分は人間そっくりなのだろう。
人魔族でさえ、角があったり、羽根が生えていたり、違うところに耳があったりする。

どうして自分は人間そっくりなんだろう。
部下に訊いても困惑されるばかりだった。

どうして自分は人間そっくりなんだろう。
姿形だけなく、心まで。



◆ ◆ ◆



「やめて! 許して! わたし、まだなの! 嫌ああ!!」

必死に抵抗する勇者だったが、全ての魔力を使い果たした状態で魔王に敵うはずもない。
魔王とてダメージは受けているはずだったが、回復魔法と魔王の特性で徐々に元に戻っている。

ただし、マダンテで吹き飛んだ服までは元に戻らない。
それは今の魔王にとっては、手間が省けたことを意味している。

「そうかい、私も始めてでね。やり方がわからないから、痛い思いをさせてしまうかもしれない。」

「っ!?」

勇者は身震いした。

「やめて・・・・痛いのは嫌・・・・・痛いのは、やだ・・・・・・優しくして・・・・・優しく・・・・・うう・・・・・」

それは魔王に対する恐怖というよりは、何か別のものに対する恐怖に見えた。
魔王は何となく勇者の過去を理解しながらも、本能に任せて行動した。

「ひぎっ!」

勇者が悲鳴を発して痙攣する。

「い・・・痛い・・・・・やめて・・・・・・・」

もはや彼女の表情は、勇者のそれではなくなっている。
身も心も、歳相応の少女だ。

そもそも魔王は、最初から疑問だったのだ。
どうして勇者は独りなのか。仲間がいないのか。
何となく理由がわかっていながら、魔王は敢えて質問してみた。

「ねえ勇者、どうして君は独りで私と戦いに来たんだい? 仲間はいないのかい?」

勇者に仲間がいたという報告は入っていない。

「そんなの・・・・・いない・・・・・わたしに仲間なんて・・・・・・わたしは・・・ずっと・・・・ひとりぼっちだった・・・・・!」

「・・・・・・。」

「みなしごで・・・・・仲間はずれで・・・・・ひとりで生きてきた・・・・・。勇者なんて・・・なりたくなかった・・・・。勇者の資質とか・・・・そんなの・・・・欲しくなかった・・・・。うっ、ううっ・・・どうして資質があるからって勇者にならなくちゃいけないの! 魔族がいるから!? だったら魔族を皆殺しにすれば、わたしは受け入れてもらえる!? あは、そんなことないってホントはわかってたんだ! それなのに何匹も何匹も数え切れないほど魔物を殺して・・・・・・ごめんなさい・・・・・ごめんなさい・・・・・・・・許して・・・・・・・・・・・・・」


「そうか、勇者は悪いことをしてきたんだ。じゃあ、罰を受けないとね。これが罰だよ。」

「うっ・・・・ぐっ・・・・・」

ゆさゆさと動かされ、勇者は苦痛に喘ぐ。
魔力の奔流を感じる。

「そらっ!」

「ああーーーーーっ!!?」



◆ ◆ ◆



交合が一段落した頃には、既に日が傾いていた。
肉体的には殆ど普通の少女である勇者は、ひっきりなしの魔王のスタミナ相手に、完全にグロッキー状態だった。

「あちゃあ・・・やりすぎちゃった。」

魔王は舌を出して、拳で自分の頭をコツンと叩いた。

「勇者が可愛いからいけないんだよ。今日から君は私の妻だからね。明日からも、たっぷりと可愛がってあげる。」

すると勇者は少し意識を取り戻したようで、小声で尋ねてきた。

「妻、って・・・・」

その表情から、勇者の言いたいことを魔王は察した。

「本気だよ。私は嘘が嫌いなんだ。人間社会が嫌いなら、魔族の社会で暮らそうじゃないか。」

「わたし・・・・美人でもないし・・・・」

「は、君は何を言ってるんだい。どうやら鏡を見たことが無いらしい。しかし我が家は粉々になってしまったから、私が君の鏡になるしかないな。美しい。綺麗だ。可愛い。いやマジで。」

「わ、わたし・・・・」

「うん、戦う君の姿は美しいけれど、そうやって照れる姿も美しいね。」





つづく

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この記事へのコメント

2013年11月21日 16:34
火剣「勇者の哀願は通じなかったか」
コング「やめて、許して、わたし、まだだの、嫌ああ!」
火剣「で、魔王は英雄の称号を手に入れたか?」
コング「うーん、ちょっと優し過ぎる」
ゴリーレッド「犯したのは事実だ。優しいという言葉はおかしい」
コング「でも、言葉責めも行為も優し過ぎるので英雄の称号は保留」
ゴリーレッド「意味がわからない」
火剣「コングの思考を理解できるのは三人だけだ」
ゴリーレッド「佐久間んとドクター八武と、あとは誰だ?」
コング「栞ん」
火剣「アッキー監督もか?」
ゴリーレッド「増やすな」
コング「痛いのが嫌ではなく、体を奪われてしまうこと自体が死んでも嫌だと激しく抵抗するところを容赦なくバッコン、バッコン、バッコン・・・」
ゴリーレッド「延髄斬り!」
コング「NO!」
火剣「魔王はなぜ外見も内面も人に近いのか」
ゴリーレッド「勇者はなぜ独りなのか」
火剣「このまま結ばれるのか。様子を見よう」
ゴリーレッド「コングの鬼畜化が進んでいる」
火剣「前から根っからのヒロピンファンだ。しかも条件が厳しいという面倒くささがある」
ゴリーレッド「そろそろ葬るか?」
火剣「排除の理論は良くねえ。腐ったみかんの方程式には反対だ」

2013年11月21日 22:00
ツヲ「魔王は大変なものを奪っていきました。少女の、心です。」
白龍「ルパンのパロディを言いたかっただけだろ。」
ツヲ「おお、勇者よ。毒気を抜かれてしまうとは情けない。」
白龍「毒…気…?」
ツヲ「ビンタは基本。この馬鹿!エッチ!変態!と罵るのも基本。」
白龍「こいつの毒気は消えないな。この変態紳士。」
ツヲ「ありがとう、最高の褒め言葉だ。」
チュルーリ「この変態紳士が。」
ツヲ「ありがとうございます!」
2013年11月21日 22:42
>火剣さん
逆にコングからは優しすぎると不評? これが創作の難しさ・・。次の話なら期待に添えるかどうか。
何気に伏線が張られている回でもありますが、今シリーズで回収されるかどうかはわかりません。ちゃんと裏設定はありますが。

山田「これで鬼畜ではないのか?」
八武「イヴィルマリスの延長線上と見た。基本は紳士。」
山田「俺には鬼畜にしか見えないな。」
佐久間「こうやって意見が分かれるのは世の常だ。書きたいもんを書けばいいんだよ。」
八武「そう、もっとエロいのを。」
山田「それだけが書きたいものではないはず。」
佐久間「まあ、話の本質は、この勇者が何者かってことだけどな。結ばれることは結ばれるんだが・・」
山田「尻に敷かれるのか。」
八武「待ちたまえ。」
山田「現代にも出てきてるということか? だとすれば、魔王軍の誰か・・・昔の話だから、イヴィルパンプキンとか。」
八武「待て、流石にそれはない。キャラ崩壊ってレベルじゃねえぞ。」
佐久間「そうだったら面白いんだが、残念ながらパンプキンではない。」
八武「安心したぜ。」
山田「俺は不安だ。」
佐久間「過去編は今話と次話の2本立てだからな。」
八武「そう、ヒロピン編。」
山田「それは冗談じゃなかったのか?」
佐久間「半分くらいは。」
2013年11月21日 22:56
>千花白龍さん
毒気というと、最初の魔法連発あたり・・? なまじマダンテを使ったせいで、ビンタする気力も残りませんでした。ごめんなさい(殴
しかし果たして、毒気は抜けたのでしょうか。次回!

八武「確かに毒気が抜けると味気ない。」
山田「どういう思考だ。」
佐久間「変態嗜好。だが、わかる。」
維澄「弱い者いじめはしたくないという思考も入っているのだろうね。」
八武「うーん、どうだろう。そのへんは曖昧。」
佐久間「罵りは痛すぎて無理だったようだ。」
八武「ちゃんと濡らさないと。」
佐久間「どうした、そんな優しい物言いを。きれいな死根也か?」
山田「何が優しいんだ。やらしいの間違いだ。」

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