これが最後の戦いか (後編)

◆ ◆ ◆



「・・・とまあ、これが私と妻の馴れ初めだよ。」

現代。
首だけになった魔王が、勇者パーティー、竜王、ハルを集めて語っていた。

魔法使いは赤くなっており、戦士とハルも気まずい顔をしている。
賢者は微笑んでいるが、勇者と竜王は苦笑いを浮かべていた。

「どうした、みんな。」

「お父様、それって人間界では強姦というものですわ。」

ハルが首を振りながら言った。

「あー、昔は人間社会の法律に疎くて・・・。それに、幸せな家庭だったと思うよ?」

「そうですわね。お母様が悲しんでおられるときは、お父様が慰めておられました。あのときはわかりませんでしたが、多くの魔物を殺したことで悲しんでおられたのですね。」

「まあ他にも色々あったよ。」

魔王は無い肩を竦めた。

「懐かしいですわね。お母様が死んだときの悲しみは忘れられないですが、お母様と過ごした幸せな時間こそ忘れられませんわ。ああ、二百年も前のことが鮮明に浮かんできます・・・。」

「「「二百?」」」

勇者、戦士、魔法使いが、揃って反応した。

「どうされましたか?」

ハルは思い出に浸るのを中断して、きょとんとした顔で訊き返した。
そこへ竜王が会話の先を読んで話し出す。

「魔族は人間より寿命が長いのよ。並みの魔族ならともかく、魔王級なら千年以上はザラにいるわ。魔王は1068歳だったよね?」

「よくそんな細かく覚えてるなあ。」

「お前が忘れっぽいだけよ。」

「いやいや、4桁になると数えるの億劫にならないか?」

「それでも自分の年齢くらい把握しておきなさいよ・・・。」


「ハルさんって何歳なんですか?」

勇者が訊いた。

「今年で301歳でございますわ。」

「うーん、すっごい姉さん女房だな。」

戦士は驚きつつも嬉しそうだ。

「けれども、先に死なれるのは嫌ですわ。」

ハルは悲しそうな顔だ。
魔王の娘である彼女も、千年くらいは生きるのだろうか。

「魔力が強ければ、人間も魔族みたいに長生きするよ。妻も出会ってから死ぬまで150年、殆ど外見が変わらなかった。邪竜との戦いが無ければ、千年くらい生きたんじゃないかなあ。」

「彼女がいなかったらと思うとゾッとするわ。わたしも魔王も、九百年前の冥王との戦いで力の半分以上を失った。彼女の封印術が無ければ、おそらく邪竜に勝てなかった・・・。」

「封印術はワシも魔法使いも無理じゃからのう。あれは特別な才能じゃ。」

やや悔しそうに賢者が同調する。
いつもは寡黙だが、竜王の感情に引きずられたのだろうか。

「じいさん、封印術って、そんなに珍しいのか?」

「そうじゃよ。あれは“導師の特性”じゃからのう。魔王殿が人間と変わらぬ姿をしているのも、“導師の特性”と無関係ではないじゃろう。」

「そうだったのか・・・。思わぬところで長年の謎が解けたな。私もハルカも、歴史が違えば導師になっていたのかね。」

「ハルカ?」

その名前に勇者が反応する。

「ああ。紫藤ハルカ。娘の名前は、妻から取ったんだ。」

「それ・・・」

勇者は困惑する。
それは、戦士も、賢者も、魔法使いも同様だった。


「第46導師と同じ名前だ。」



◆ ◆ ◆



どこか。

誰も知らない場所。


「ようやく封印が解ける・・・・・・。」


白いローブに身を包んだ、亜麻色の髪の女が、ゾッとするような声で呟いた。


「お待たせ致しました、我が主・・・・・・




冥王ゾーマ様・・・







   これが最後の戦いか   完

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この記事へのコメント

2013年11月22日 21:42
火剣「魔王の馴れ初め?」
コング「人間の僕の思考でついていけるか」
火剣「ここに人間じゃねえのが一人いるから頼ろう」
ゴリーレッド「ん?」
火剣「麒麟は死なずに永遠に宇宙と共に彷徨っているのか?」
ゴリーレッド「キリン?」
コング「強姦が馴れ初めは威張れない」
火剣「普通の会話で200年前とか900年前とか言われたら焦るな」
コング「ハルは301歳か。でもテーガンのようにみんな魔法で若い。それが大事」
火剣「人間でも150歳まで生きられるのか」
ゴリーレッド「魔力だな。出会った時からだから150年以上」
コング「魔王は1068歳ということは麒麟と違って不死身ではないのか」
火剣「ラストのほうは解説が必要かもな。ハルカ・・・冥王ゾーマ」
コング「人間じゃない佐久間んに聞こう」
ゴリーレッド「人間だ」
火剣「いずれにしても『完』という感じではないな」
コング「まだ英雄が出て来ない」
ゴリーレッド「出なくていい」
コング「よし、練習。ゾーマ君! 君は英雄だ。素晴らしい功績だ!」
ゴリーレッド「バキュン、バキュン、バキュン!」
コング「だあああ!」
 
2013年11月22日 22:42
白龍「話を整理すると、勇者パーティは魔王の奥さんとも戦わないといけなくなるのかな。嫌だな…。」
ツヲ「そうだ、愛の力でハルカちゃんを引き抜こう。」
チュルーリ「オルフェウスの竪琴、という話があってだな…。」
白龍「止めて!不吉過ぎる!」
ツヲ「死んでも愛す。それが紳士道。」
白龍「愛が重い…。」
ツヲ「で、ついにゾーマルの出番か。」
白龍「ゾーマです。」
ツヲ「次回はエスタークン登場。」
白龍「あり得ない。」
ツヲ「ひ・か・り・の・玉!」
白龍「伯方の塩のCM風に言うんじゃない。」
2013年11月22日 22:55
>火剣さん
というわけで魔王の過去語りでした。彼の主観で語られているので、ハルカが何を思っていたか正確に描写されているとは限りません。
そして冥王復活へ・・・。英雄の称号を手にすることが、もとい、ちゃんと復活することが出来るでしょうか?

佐久間「経緯を簡単にまとめよう。魔王と竜王が仲間たちと共に、900年ほど前に冥王を封印した。300年ほど前が魔王と先代勇者の馴れ初め。150年くらい前に邪竜と戦ってハルカは死んだ。それから現代に至るまで、徐々に封印を壊していったわけだが、ハルカに何があったのかは次の話で語られる。」
八武「魔王は実に人間らしい。人間はレイプをするものだからな。」
山田「人間の美醜それぞれを持っているわけか・・・。」
八武「人間離れした年齢であっても、若々しく。これぞファンタジーの王道。」
アッキー「いかにも何百年も生きてるような皺くちゃのキャラも好きですけどね。」
山田「老成の趣というやつだな。」
八武「常人の私の思考で付いていける話だろうか。」
佐久間「別に性的な意味じゃないだろう。」
八武「やはりゾーマに期待しよう。まんまドラクエのネーミングが出てくるとか、そういう意味でも期待せざるを得ない。」
佐久間「名前が出てきてるのは、ちょっとした伏線だ。もちろん原作のゾーマではない。これこそ同姓同名の別物。」
山田「しかし強いんだろうな・・・。」
八武「そしてエロいといいなあ。」
山田「そう言えば冥王の性別は不明だが。」
八武「男ならハルカを責める鬼畜、女なら若々しい女子。これね!」
佐久間「んー、外れてはいないかな。」
2013年11月22日 23:07
>千花白龍さん
その予感は、当たらずとも遠からずかもしれません。そして光の玉のことを覚えておくと、頷ける場面が出てくるはず・・?
ちなみにエスタークと対応するキャラは既に出ています。1対1の対応ではないですが。

佐久間「ああ、ネクロフィリア。」
八武「ほほう!」(ガタッ
山田「そう言えば、死根也はネクロフィリアだったっけ。」
八武「妻が冥府へ連れ去られたら、むしろ冥府で暮らしたいね。わざわざ生き返らせようとして、危ない橋を渡る必要もあるまい。試みに問う・・・生きた妻を愛する為にリスクを背負うか? 死んだ妻を愛する為に自分も冥府の住民となるか? ククク、私はダンゼン後者ということだ。」
山田「・・重いというより、狂気を感じる。」
佐久間「やたらとエロいな。」
八武「ありがとう。」

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