魔物使いは志す (後編)

◆ ◆ ◆



どうして魔物を嫌うの?

こんなにカッコイイのに。
こんなに可愛いのに。


こんなに、人懐っこいのに。



◆ ◆ ◆



死が迫ったとき、過去の記憶が蘇った。

死ぬわけにはいかない。
人も魔物も、まだ、お互いに何も知らなさ過ぎる。


「は・・・・・あ・・・・・」


生きている。
走馬灯と言えるほどのものでもない、僅かな記憶だったからだろうか。
けれど大事なことを思い出した。

だが、ベスラの眼前には無惨な光景が広がっていた。
付き従っていた魔物たちが、息絶えていたのだ。

「らざははは! 死んだ? 冥王様が復活すれば、死族にしてあげる! 寂しくないなあ! よかったなあ!」

「ふざけるな・・・・・」

「おーい、無理すんなババア! 頼みの綱の魔物がいなくて、どうやってピルトに勝てるわけ? あ~きらめて死ね死ね死ね! 死んだらピルトの召使いにしてやるし? わひひひひ!」



だが、次の瞬間にピルトは凍りついた。

文字通りに、全身を凍らされて。


「ら・・・ざ・・・・・・?」


「死んだら、おしまいだろうが。」

ベスラは痩せ細っていた。
肉付きの良かった体は、服がぶかぶかになるほど消耗していた。

「死んだら何にも出来やしない。生きてる奴が、死者の悪あがきに付き合ってる暇は無いんだよ。」


「あ・・・・・まさか・・・・・」



ザオリク



「あんたに言われるまでもない、あたしは志半ばで死ぬのを恐れた。魔物たちが死ぬのを恐れた。けれど、どうしても逃れられない死は、やって来る。寿命で死ねる奴なんざ、この世界じゃ一握りだ。だから、あたしは“聖堂”で、魔物たちに精霊の祝福を受けさせた。究極蘇生呪文“ザオリク”は、精霊の加護ある者を、死の淵から蘇らせることが出来る。消耗は激しいがな。知らんわけではないな、冥王の右腕さん?」

「こ・・・・ふぁ・・・・・」

「虹孔雀の冷凍ガスで全身を凍らせた。さて、ここから何をすると思う?」

ピルトは言われて気が付いた。
これからベスラが何をするつもりなのか。

「らざああ! やめろババア! 老いぼれ!」

「口だけは威勢がいいねえ。やりな、メタルキング。ジゴスパーク だ。」

メタルキングは黒き光を呼び寄せた。
光は地獄の雷となり、全てを打ち砕く!

「ぎょひあああああ!! らざあああああ!! わひいいいいいい!!」

「流石の死族も、同じ地獄の稲妻にはダメージを受けるんだね。思った通りだ。」

「や、やめろババア! あ、いや、やめてくださいベスラおばさん! いや、おねえさん! ワンダフォー! ビューティフォー! いよっ、お若い! そのへんの小娘がガキ臭く見える!」

「その言葉が本心になるまで躾けてあげるよ! あたしの“魔物を従える眼力”に屈するがいいわ!」

ジゴスパーク
ジゴスパーク
ジゴスパーク
ジゴスパーク
ジゴスパーク
ジゴスパーク
ジゴスパーク
ジゴスパーク
ジゴスパーク
ジゴスパーク



◆ ◆ ◆



「さあ行くよ、みんなのところへ!」

「わ、わかりましたよベスラおばさん・・・。冥王なんか、けちょんけちょんにすればいいんですから。ピルトそういうの別に構わないと思いますから。」


かつての戦友と、まだ見ぬ仲間のところへ向かって。

人間と、魔物と、死族。奇妙なパーティーは旅を続ける。





   魔物使いは志す   完

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この記事へのコメント

2013年11月28日 17:02
火剣「勝ったか?」
ゴリーレッド「さすがはベスラ」
コング「おばさん」
火剣「魔物がみんな殺されたと思ったら蘇らせることができたか」
コング「魔法使いは何でもアリキック」
ゴリーレッド「ザオリク。ジコスパーク。ピルトも不死身ではなかったか」
火剣「将棋のように完全に殺さずに駒として自軍に引き入れたか」
コング「最初の問いは重要だ。どうして魔物を嫌う?」
火剣「ある意味人間はそういう面を持っている。幼いナウシカが虫の子を隠していたが、奪ってしまった」
ゴリーレッド「虫の恐ろしさを嫌というほど知っている大人たちは、それ以外の選択肢は浮かばない」
コング「つまり、外見だな。悪魔だって宇宙人だって美脚美ボディ、キュートなスマイルだったら殺されない」
火剣「殺さない代わりに生け捕りにされて、もっとヤバイ展開が待っていそうだ」
コング「ジゴボーのように結局人間がいちばんヤバイか。ククク」
ゴリーレッド「笑うところではない」
火剣「いい魔王もいれば悪い魔王もいるなんて、絶対にわからねえからな」
コング「トトロやネコバスを見たら大人は機関銃で撃つだろう」
ゴリーレッド「難しい」
コング「簡単だ。悪魔やオバケは人間の前に現れるときはセクシーな水着姿で・・・」
ゴリーレッド「くだらな過ぎる」
コング「最後まで聞け、ぼけなす大統領」
ゴリーレッド「ドロップキック!」
コング「ぎょひあああ!」
火剣「物語はまだまだ続くか。ついに冥王と遭遇するか」
2013年11月28日 20:30
白龍「勝った!しかも、魔物使いらしい勝ち方で。」
ツヲ「なるほど、仲間に引き入れるか。その発想はなかった。」
白龍「スープの出汁という発想はあったのにね。」
ツヲ「正確には思い浮かばなかった。あれを仲間にするの、なんか嫌じゃない?」
白龍「…まあ…。それに冥王の第一の刺客が寝返るというのもびっくり。忠誠度は高くないってことなのかな?それとも冥王に性格を変えられたから付き従っているだけで、元々は対冥王側だったとか?」
ツヲ「とにかく先達をゲットしたから今後の展開は楽になるだろうね。情報も色々持ってそうだし。」
白龍「土壇場での裏切りには気を付けないといけないかもしれませんが。」
2013年11月28日 23:11
>火剣さん
魔物使いらしく、自軍の駒としてゲットする勝利! 異形に対する感覚は、ナウシカと近いものがありますね。普通の大人なら、倒すことしか頭に無いです。
蘇生も肉体が残っていたからこそで、なかなか危ないところでした。抜け目ないベスラ。

佐久間「異形に対する偏見か。ブサイクに対する侮蔑と似ているな。」
山田「やや別物のような気もするが。」
八武「コングの言うことが正しい。美男美女に化ければいいんだ。特に美女だな。この世界は魔物が人に化けられるのがイイ。」
佐久間「やはり外見は大事だ。私も前世では死根也の奨めで人間に化けたが、だいぶマシになった。モンスターの姿だと、会話を始めることすら難しい。」
山田「トトロやネコバスも、大人たちの前に現れたらバケモノ扱いか・・・。」
佐久間「子供のロマンは、つまらない大人には理解されないな。面白い大人にならないと。」
山田「立派な大人じゃなくてか?」
佐久間「立派だ何だと言われる大人が、子供のロマンを踏んづけたりするもんだよ。」
八武「魔物だろうが幽霊だろうが、好みに合えばOK。この幅広い嗜好が大事。」
佐久間「でもお前、トトロは捕らえて実験材料にしようとするだろ。」
八武「いや、そもそもトトロって、捕まえられるのかね?」
山田「ススワタリは失敗してたよな。」
佐久間「なるほど。ネコバスも案外、機関銃の弾くらい、すり抜けるかもしれん。」
山田「さて、次は冥王か。」
佐久間「その前に“左腕”の出番。ピルトは冥王の“右腕”だからな。」
2013年11月28日 23:22
>千花白龍さん
スープの出汁にはならず、ちゃっかり(?)仲間に納まったピルト。調教されたので大丈夫かとは思いますが、油断は禁物ですね。
どこまで冥王の意思が入っているかは別にしても、死族は生前と性格が違ってきます。ハルカ然り・・・。何かを失ってしまうんですね。ピルトが失ったのは品性や一貫性でしょうか。

佐久間「無礼な男を調教するのって興奮するよね。」
山田「どうしてアッキーは調教モノが好きなんだ・・・。」
八武「仕方あるまい。佐久間と同一人格だから。」
山田「ピルトの忠誠が低いのは、一貫性を失っているせいなのか?」
佐久間「そもそも死族に忠誠という概念が薄いのもある。冥王は、極論すれば、死族にエネルギーを供給する装置みたいな位置付けだ。」
山田「裏切る前にモンスターじいさんに預けようぜ。」
佐久間「まあ、大した情報を持ってないのは確かだ。先述の通り、冥界は広くて暗い。ピルトも実は新入りだしな。」

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