佐久間と山田のけだるい日常 第七十話 ~喪失~(その8)

「さて、どうやって元に戻そうか。」
佐久間は、ロバート・スミスの結界に閉じ込められて、暗い顔で座り込んでいた。
闇の力はホーリーシャイニングライトスパークワンダフルが光の力で中和し、魔力や霊力など、闇以外の力はK介とQ介が乳力で中和している。
「待て山田。」
八武が言った。
「元に戻す前に、楽しまないか。」
「は?」
「いや、いっそのこと、この機会に佐久間を育て直すというのはどうだ。」
「何を馬鹿なことを言ってるんだ。」
「馬鹿なことではない。今の佐久間は、日頃の下品さなど、萎える要素が抜き取られている。別人と言っていい。」
「・・・・・・。」
山田は、佐久間と肉体が入れ替わったときのことを思い出して苦い顔をした。
「元に戻す方法が思いつかないから、そんなことを言って誤魔化そうとしているのか?」
「ああん? 確かにそれもあるけどな、この素材を目の前にして、あの下品な佐久間に戻そうなどと血迷ったことを言い出す貴様の正気を疑うぞ!」
「お前こそ正気を失ってるように見えるが。」
「山田、よく考えろ。今の佐久間は、お前が戻ってほしいと願った昔の佐久間に近い。そうだろう?」
「近いようで遠いんだよな。」
「いや、近い! ミクモウっぽい!」
「ミクモウと昔の佐久間も違うんだが。」
「本質は同じだ、同じ人間だ! 後は萌えるかどうかだ、違うか。」
八武は山田の肩を掴んだ。
「だいたい、育て直すのも無理だろ。」
「無理じゃない。反抗心を残したまま、快楽に逆らえない肉体に育て上げてみせる。世界が失敗した佐久間育成を、私が成功させてみせる!」
「何か違うんだよな。」
「黙れ黙れ、この話を聞いて心が躍らないとはゾウリムシ以下! ミジンコからやり直せ!」
八武は半ば錯乱していた。日頃から佐久間に酷い目に遭わされている意趣返しもあるのだろうと、山田は思った。
「それで、元に戻す方法は思いつかないのか?」
「たった今ナイスアイデアを思いついた。ここで悪戯すれば、ドSの人格が復活するかもしれん。」
「お前・・・・。」
山田は呆れ顔で八武を見た。
「これしか思いつかなかったんだ。笑ってくれ。」
「・・・・・・・・・・・・。」
山田は八武の背後に回った。
「きゅう。」
慣れた手つきで八武を締め落とすと、山田はあらためて佐久間を見た。
暗い顔で俯いて、ぺたんを膝を床につけて動かない。
「佐久間。」
「・・・。」
山田の呼びかけに佐久間の視線が動く。
「どうしたら元に戻ってくれる?」
「ククッ・・・」
佐久間は俯いたまま笑った。
「その男が言ったように、私を犯してみるか? それが男の本性だろ・・・?」
俯いたまま、口元は震えながらも笑っている。
髪の毛の隙間から、眼光が暗い輝きを放っている。
「だが所詮は人間の体・・・乱暴に扱われても痛くも痒くもない。」
「・・・何を企んでる?」
「あ?」
山田は結界の中へ入った。
「お前が喋るときは罠を張ってるときだ。」
佐久間の顎を掴んで顔を上に向かせると、山田は上から睨みつけた。
しかし佐久間も負けずに睨み返す。
「流石と言いたいが、貴様を結界の中へ入れることが目的だとは気付かなかったか?」
「なっ?」
山田は慌てて佐久間から離れた。
「あ、ヤマーダ、急に動くと術式が・・」
「遅い。」
佐久間は闇エネルギーの刃で結界を切り裂き、床を蹴って天井へ跳んだ。
だが、天井には山田が待ち構えていた。
「!?」
「お前の真似をしたのさ。」
佐久間の体は後ろから山田に羽交い絞めにされた。
そのまま落下して、再び結界の中に2人は落ちた。
「くそ・・・!」
這いつくばった状態で、佐久間は歯軋りしながら目を剥いて山田を睨んでいた。
「本当に犯してやろうか?」
「ひっ・・・!」
佐久間は慌てた顔で床に目を向けた。
腰に感触が当たっている。
「やめて・・・・・やだ・・・・人間なんかに・・・・・!」
涙が溢れていた。
床に雫が落ちていく。



つづく

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この記事へのコメント

2014年07月29日 10:17
コング「萌えるか萎えるか。萌えさせるか、萎えさせるか。これは180度違う。全く異なる人生を歩むほど天地水火の差だ!」
ゴリーレッド「力説するな」
火剣「佐久間んが『やめて』と哀願。信じられない。これは相手を油断させる演技か?」
コング「八武院長の方針で皆が幸せになれたのに、山田太郎はなぜ邪魔をした?」
ゴリーレッド「佐久間んへの愛情と友情を感じる」
火剣「八武医者は友情よりも欲望のほうが勝ってるからな」
コング「友情と欲望? 欲望のほうが勝つでしょう、普通?」
火剣「改造というと言葉は良くないが、開発というのはSMでよく使われる言葉だ」
コング「美しき強気のヒロインが、全裸で手足を拘束されて完全に無抵抗。白衣を着た究極のサディストに、『観念しろ。おまえの体をドMに開発してやるから』『やめなさいよそういうことは!』『やめないよん』」
ゴリーレッド「羽交い絞めからドラゴンスープレックス!」
コング「があああ!」
ゴリーレッド「荒らしかっ」
火剣「山田太郎は佐久間んを組み伏し、ここからどうする気だ?」
コング「屈強な男に組み伏せられると、女の本能が疼く。頸が効いているか」
火剣「結末が全く予想できない」
2014年07月29日 23:30
>火剣さん
およそ佐久間を知る者であれば誰もが驚く哀願。普段の彼女なら100パーセント演技ですが、今の彼女ならどうでしょうか?
欲望に忠実なドクターと、理性の山田太郎。あるいは友情か、はたまた愛情か・・・。

八武「まったくコングの言う通りだ! どうして山田は邪魔をするのだ!?」
維澄「誰かの思うように育った佐久間など、偽者でしかない。たとえ自分の思い通りであっても・・・それが山田の気持ちだろう。」
神邪「萌えるかどうかは重要ですが、媚びるようでは良くないということですか。」
八武「媚びてない! これは学術的に重要な実験だ!」
維澄「確かに私も興味あるけど、佐久間の性質からして、戦闘の快楽が全てに優先するような気がするけどね。」
八武「そんなこと、やってみなくちゃわからないさ!」
神邪「やってみないとわからない時点で、既に無理がありますよ。」
八武「しかし試す価値はあると思わないかね? 成果が出なくても役得だからな。開発というのは、それ自体が楽しいものだ! 山田の奴め、私を気絶させて自分だけオイシイ思いをしやがってからに!」
維澄「確かに、腰に感触が当たってるって・・」
神邪「やっぱり巨根なんですね。ワクワクしてきました。」
八武「そうだろうとも。屈しない美女が大男の巨根に突っ込まれ喘ぐ、この光景に芸術的美を感じる紳士淑女は決して少なくないはずだ!」
維澄「実際どうなるんだろう・・・。八武も気絶してるということは、思い出す記憶が無いということ。何があっても不思議ではない。」
2014年07月29日 23:31
完全に佐久間さんを押さえ込んでいる…。一瞬、反撃開始かと思いきや、山田さんの方が一枚上手。八武さんは相変わらず過ぎて謎の安心感。世界が失敗した佐久間育成…。しかし、完成された佐久間さんってどんな感じなんでしょうねえ…。
散々暴力を振るっていても自分がやられるとなると弱気に。戦闘狂や凶暴性はこの弱さを隠すためのものなのか…?中々元に戻らない佐久間さん。そもそも原因が分からないとどうしようもない。さて、今までの中で原因となりそうなもの、もしくはそのヒントはやっぱり佐久間さんの記憶の中に…?このまま羽交い絞めにしていても元には戻りそうにないようですが。
2014年07月29日 23:43
>千花白龍さん
そうそう何度も引っかかりません。行動パターンを読んで押さえ込みました。これも愛ゆえか・・・?
ドクターは安定のドクターですが、紳士・山田は普段と違う様相です。佐久間が変われば山田も変わるという関係。
この弱気な態度が罠という説もありますが、いずれにしても元に戻す方法が見つからない以上は、ドクターの案も現実味を帯びていますね。

八武「だから私の案が正しいと言っておるだろう!」
神邪「落ち着いてください、ドクター!」
維澄「凶暴なのは弱さを隠す為の鎧か・・。確かに佐久間には、そういうところがある。」
八武「いや、前世の無敵だった頃から凶暴だから、多分それは関係ない。むしろ弱体化した分だけ大人しくなったくらいだ。私でも対等に渡り合える程度にね・・・。」
神邪「確かに前世の彼女は次元が違いますね。」
維澄「ヒントは前世の記憶にあり?」
八武「うーむ、前世でコスプレさせすぎたかなぁ・・・。」
維澄「それが原因だったら泣くよ。」

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