佐久間と山田のけだるい日常 第七十話 ~喪失~(その9)

「佐久間・・・。」
山田が力を緩めた瞬間、佐久間の唇が淫らに歪んだ。
「!?」
次の瞬間には結界は丸ごと破壊され、ロバートたち4人は魔力の刃で切り裂かれていた。
山田は力を緩めていたおかげで、攻撃圏外に飛び退くことが出来た。
緩めたせいではない。むしろ、緩めたおかげで命拾いした。
「種明かしをする義理など本来は無いんだが・・・」
机の上に片足で立って、佐久間は肩を竦めて笑う。
「ここまで私を追い詰めたことへの敬意として、特別に答えてやろう。私の肉体の動きは結界で、闇の力は光の力で、それ以外の雑多な力は乳力で、それぞれ中和していた。だが、私は戦いの中でも学習し、戦いの中でも成長するんだ。乳力とかいう、わけのわからない下品なエネルギー、わからないながらも不完全ながらも会得した。それによって、2人の乳力を相殺し、密かに魔力を溜め続けたというわけさ。」
「く・・・意味が・・・・わからん・・・・!」
確かに筋は通っているが、理解するのを脳が拒んでいる。
「だから言っただろうが、あれほどレイプしろと!」
復活した八武が、山田に怒鳴る。
「そんなことしてたら、それこそ切り刻まれてただろうが。全てが罠だったんだよ。何もかも時間稼ぎだ。」
「ぐぬぬ。」
冷静というより達観気味の山田と、悔しがる八武。
それを見ながら佐久間は優しく微笑む。
「どうする? ここで死ぬまで戦うか?」
「く・・」
「ぐぬ・・・こいつ・・・」
「いやいや、寛大な私は、君たちの健闘を称えてやろうというのだ。今週は人類を滅ぼすのはやめておこう。また来週、バッハハ~イ。」
と言ってから、佐久間はタンスを開けた。
「山田だっけ? お前のシャツ1枚貰っていくぜ。」
佐久間は上機嫌な様子でシャツを着て、ぶかぶかの部分を楽しげに手で掴んだりしてみせた。
「ん~、男のシャツを着てみたかったんだ。思っていた以上の感触だ。」
19という歳相応の少女のような笑顔で、佐久間は玄関から出て行った。

残された山田は、この1日で取り返しのつかない色々なものを失った気がして、気絶するように寝てしまった。




   第七十話   了

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2014年07月30日 21:28
火剣「佐久間んの完勝か」
コング「フィニッシュは彼シャツ」
火剣「山田太郎は決して悩殺されて気絶したわけではない」
コング「名誉のための弁解か?」
ゴリーレッド「あ、佐久間ん」
コング「わあああああ! バカモン、脅すな」
火剣「19歳年相応の美少女の彼シャツだから、悩殺されても別に不思議ではない」
コング「バトルに意味があったのか?」
ゴリーレッド「もちろん意味があった。ここまで追い詰めたことに敬意を表すると。これは本音だろう。だから山田殿とドクター八武は助かった」
火剣「もっと弱かったり、月島泰斗みたいに変態丸出し攻撃をしたらあの世行きだったか」
コング「犯さなくて正解だったのか」
ゴリーレッド「強過ぎて無敗の強者の特徴として、強敵と出会うのは喜びだ」
火剣「いつも秒殺ばかりの呂布が巨漢の足軽と戦場で遭遇。いつものように一撃必殺・・・と思ったら斬り返してくる。こしゃくなと本腰を入れても刀を払い、大矛が呂布の冠をかする。そして互角の死闘。周囲は呆然。この時の呂布の独白が印象的だ。『何でこんな素晴らしい男が足軽をやっているんだ?』」
ゴリーレッド「張飛にしてみても実は同じで、自分と互角に渡り合う男とはこの呂布が初遭遇で、興奮していた」
コング「男と戦って興奮したことはないが」
ゴリーレッド「せっかく真剣な話でまとめたのに」
火剣「次回作は?」
コング「蘇ったジャスティス」
ゴリーレッド「ないない」
2014年07月30日 22:11
白龍「今日…人類の寿命が一週間伸びたよ…。」
ルビデ「短けえ時間だぜ…。佐久間ぁ!」
プリスター「残念無念また来週~。」
チュルーリ「毎週遊び相手がいる幸せを噛み締めて眠るが良い。かかっ。」
白龍「お前ら…。」
ルビデ「超☆展☆開。まさか佐久間が元に戻らず70話が終わってしまった。このまま来週で人類は滅びてしまうのか!?次回、人類滅亡の日。」
プリスター「チャンネルは、そ・の・ま・ま。」
白龍「いやいや…。なぜに次回予告風?」
チュルーリ「佐久間と山田は惹かれ合う。どんな姿をしていても、どれほど記憶が変わろうとも、その本質の魂までは変わらず、その魂同士が共鳴する。いやあ、中々にロマンチックじゃないか。かかっ。」
白龍「山田さんの苦労が忍ばれる…。」
2014年07月30日 23:00
>火剣さん
やってそうで意外とやってなかった彼シャツ。この天真爛漫さには、不落城・山田もクラクラ?
天真爛漫よりは傍若無人の方が近そうですが、強敵と戦えた喜びに機嫌を良くした佐久間さんでした。

八武「美少女の彼シャツ。山田は幸せ者だなぁ。」
神邪「まったくですね。気絶したのは、やっぱり悩殺されたのもあったのでは?」
維澄「そうだと思う。否定するのは本人のみ。」
八武「密かな注目ポイントは、あのまま裸足であることだ。彼シャツで裸足のまま外出、この佐久間のセンスはっ!」
維澄「良いセンス。」
神邪「しかし体力回復したんですかね?」
八武「してない。見かけだけだ。街中で男たちに襲われても、我々と戦ったときほどのポテンシャルは望めまい。うっふっふ・・・。」
維澄「それも佐久間の望むところなのかな。」
神邪「不利な勝負に燃えるんですね。わかります。」
維澄「互角の戦いの緊張感や、不利な勝負を覆す快感は、勝ち続ける喜びを凌駕するからね。」
八武「うむ。敢えて相手の攻撃を食らうのも、覆す快感の追求。」
神邪「リスクは快楽の起爆剤・・・でしたっけ?」
八武「もっと広く言えば、不安は努力の勲章というやつだ。」
維澄「無理やりイイハナシにまとめようとしてない?」
アッキー「第七十一話では変態が出る予定です。」
維澄「変態が出ない回ってあったっけ。」
2014年07月30日 23:16
>千花白龍さん
猶予はたったの1週間!? それを過ぎたら佐久間による人類虐殺が始まってしまうのか・・・?
そんなわけで、元に戻らないまま波乱は続きます。一話読みきりから始まったはずなのに、どんどん長大化していくという。
山田さんを心配しつつも、私もやっぱりロマンチックだなぁと。

八武「いやまったく、随分と可愛くなっちゃってまあ・・。このまま元に戻らなくてもいいんじゃないかな。マジで。」
神邪「そもそも元に戻るんですか? ここから元に戻る展開がイメージしづらいんですが・・・。」
維澄「今がアレだから、元に戻ってはいるんだろうけどね。」
八武「過去を変えることで、今の佐久間も素敵人格にならないかな。」
神邪「そうですね。この世界は因果律とか平気で覆しそうです。」
八武「タイムマシンを作りたいっ♪」

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