佐久間と山田のけだるい日常 第七十三話 ~意識~(その1)



「男ども、チンポおっ立ててるか?」
突然、佐久間そっくりの女が現れた。
艶やかな長い髪、あどけなさと妖艶さを備えた容貌、均整の取れたプロポーション。
どう見ても佐久間だが、しかし決して佐久間ではないはずだった。
山田太郎と八武死根也は、警戒心MAXで身構えた。
「そう硬くなんなって。硬いのはチンポだけで十分だっての。ああ、紛れもなく私も佐久間闇子だ。要するに分裂してしまったんだ。それが真相。マン毛剃るより簡単だろ? あァ、佐久間は剃るまでもなく全身つるつるだけどな!」
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
真相は判明したが、いつもにも増して酷い佐久間の暴言に、山田と八武は言葉を失った。
先立って、あの佐久間を見ているだけに、いっそう酷い何かに思えた。
美味しい食事をした後で、吐瀉物が過度に汚らしく思える、そういう現象だ。
「どうしたお前ら。勃ちっぱなしで立てないのか? はーん、あっちの佐久間は、そんなにエロいのか。ビッチ♪ビッチ♪ビッチ♪股の下からこんにちは♪売女の具合は数子天井♪」
「・・・。」
たまらず山田は佐久間の顔面に拳骨を入れた。
しかし佐久間は跳躍して山田の拳に乗り、そのまま顔面に蹴りを入れる。ついでに八武も薙ぎ払った。
「ぐああ!? なぜ私まで・・・!」
「その場のノリだ!」
佐久間は眼をギョロギョロさせて、舌を出して笑った。
この憎らしさに山田と八武は思わず拳を握った。
「あー、うん、真面目に話そっか。」
急に真剣な顔になった佐久間は、座り込んで腕を組んだ。
「分裂といっても、分身を作って使役するとかじゃない。正真正銘の分裂だ。お前らと親しい方は、私が受け継いでるから心配すんな。」
「あっちの方に親しい記憶があれば、こっちの佐久間を殺してハッピーなんだがねぃ。」
八武は物凄く残念そうに呟いた。
それを聞いて山田も、気持ちはわかると頷いた。
「そんな都合のいい分裂があると思ってるのかチンポ野郎ども。あっちの佐久間は、人間としての不自由から逃れたいという意思なんだ。私は、というより元の佐久間闇子は、人間らしくなりすぎた。人間として過ごし、人間としての自覚を深めるにつれて、“こうじゃない”って思う気持ちが強くなってきた。わかるだろう? わからないか?」
「んーむ、私にはねぃ。理解は出来ても、感じることは難しいね。」
「俺は・・・わからんでもない。」
山田が、ぼそりと言った。



つづく

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この記事へのコメント

2014年08月16日 12:44
火剣「改めて思うが」
コング「何をだ?」
火剣「言葉にもチラリズムがある」
コング「大事でーす」
火剣「女に放送禁止用語をサバサバ連発されると怯むな」
コング「分裂とはどういう意味だ?」
火剣「分身の術とも違うようだ」
コング「バイオレンスはそのまんまだが」
火剣「人間らしくなり過ぎて戸惑うとは、それが佐久間闇子なのか?」
コング「火剣も正統派になり過ぎて『これでいいのか?』とか思わないのか」
火剣「うるせえ」
コング「ゴリーレッドも思っているはず」
火剣「山田太郎もか?」
ゴリーレッド「全部コングのせいだ。自覚あるのか」
火剣「相手が誰であれ変わらないというのが佐久間んの強味か」
コング「栞んも登場当時はハイテンションだったと思いまっする」
ゴリーレッド「やめなさい」
火剣「コングは変わらないな」
ゴリーレッド「成長がないんだ」
コング「何を言う気ビバーチェ。進化してるぞ」
火剣「ヒロインがベーと舌を出すのも高度な萌え要素だ」
コング「時代劇であったな。ヒロインが敵の手に堕ち、牢屋で酒を無理やり飲まされてあわや売られるところを男に助けられて、女は敵にベーと舌を出す。萌える!」
ゴリーレッド「山田殿とドクター八武は萌えなかったようだが」
火剣「今後の展開が心配だ」
2014年08月16日 21:22
山田さんが無言で殴り飛ばしたくなる程のいやらしさ。分裂したことによって偏ってしまったか。残念美人という言葉が脳裏をよぎったことはさておき、そもそもなんで分裂したのかには一切触れない佐久間さん。現状把握が一歩進んでも、まだまだ謎は多い。どうすれば元に戻るのか、元に戻ったら人格はどうなるのか、そもそも元に戻れるのか。しかし、今のままで放っておくことが出来ないのは確実。何とかしなければ。…何とか、出来るのか…?
2014年08月16日 22:44
>火剣さん
ドン引きされてからが本番、それが佐久間闇子です!
・・・というのは半ば冗談としても、この下品さも含めて変に人間味が出てしまった誤算がありまして。
元々のキャラクターからすれば、明らかに見せている面が偏っていると、常日頃から歯痒く思っています。

八武「思い出したくなかった。」
神邪「それでドクター、頭が痛くなってたんですね。」
維澄「忘れよう、黒歴史。」
八武「舌を出すのは、あっちの佐久間にやってほしかった! そしたら萌えたのになぁ!」
維澄「私はこっちでも萌えるけど。」
神邪「え・・・普段から佐久間さんと、どんな会話してるんですか?」
維澄「赤裸々な話も様々。このくらいは序の口。」
八武「うーむ、女子会の実態が恐ろしくなってきた。」
神邪「確かに僕も、アルドと際どい話をしてましたが・・・。」
八武「際どさの意味が違う。」
維澄「まあ、それをここで話さない羞恥心はあるよ。佐久間にも。」
八武「しおりんにはあっても、佐久間にあるとは思えない。」
維澄「よく顔を赤くするけどな。」
神邪「それは酒に酔ってるのではないかと・・。」
八武「まあ、佐久間も真面目なときは真面目。それは知ってる。」
神邪「普段から真面目なテンションを維持できれば、モテモテだと思うんですけどねー。」
維澄「そうでもない。真面目さや真剣さを嫌う、冷笑主義者が多いからね。真面目な話や重い話が出来る相手は少ないって言ってた。」
神邪「なるほど、わかります。普段は笑って過ごしたいですが、胸の内を晒したときに、どう反応されるかで決まりますね。」
2014年08月16日 22:55
>千花白龍さん
偏ってます。向こうに上品さが行ってしまって、こちらには下品さが沈殿。残念美人どころではないかも・・・。
分裂と聞いただけで「真相が判明した」と感じる2人も大概ですが、多分それくらいでないと頭がもたない。
ようやく元に戻る(?)話に入りました。分裂強化月間と言ってもいいくらい、長く続きましたねー。

八武「戻ったら戻ったで地獄が目に見えている。」
維澄「今のままでも一粒で二度オイシイ気がする。」
神邪「ドクター、栞さん・・・。」

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