佐久間と山田のけだるい日常 第七十三話 ~意識~(その2)

その星の名は、エイガトーミトス。
モンスターと人間が共存していた星だ。
「俺は佐久間と違って魂も丸々こっちに転生したし、前世のときから性格は変わってないと思っていたが、やっぱり人間になって色々と違うもんだと気付かされた。」
光の領域はオワリン・ビックスが支配し、その養子のマドウ・ビックスが首領補佐、そしてアストロン・ビックスはマドウの養子であり、山田太郎の前世である。
「前世の俺なら、こんな考え方をしただろうかって、思うときがある。そんなとき、やはりアストロン・ビックスという存在は死んでいて、俺は記憶を引き継いだだけの別の生き物じゃないかと思えてくるんだ。」
闇の領域はミクモウ(ウォルヘルザード)が支配し、その配下にゲオミスと八武死根也がいた。ミクモウはアストロンと共に様々な世界を巡り、見聞を広めた。
「それが自然なんだろう。それを受け入れられない俺は、人間として未熟なんだろう。佐久間が分裂してしまったのも、あいつは未だに子供だってことなんだろう。」
やがてミクモウとアストロンは、死を迎えることになる。それも寿命ではない。ミクモウが佐久間闇子として、アストロンが山田太郎として、地球に生まれてからも、あのときのことは忘れられない。
「うむ・・・。私からしてみれば、死んだミクモウとアストロンが、人間として生まれ変わってきただけでも喜ばしいものなんだがね。たとえ厳密には別の存在であっても、ミクモウやアストロン、そしてエイガトーミトスのことを語れるだけで、私は嬉しいのだよ。遍く知的生物は、常に変化の中に生きていると、私は感じている。」
「お前は大人だよな、死根也。・・・俺は大人になりきれない。」
「いやいや、そういうことではないんだ。私も、昔の自分はもっと凶暴で、今の自分と比べてしまうことはある。」
「そうなのか。」
「しかし、ここで重要な考え方は、どちらが良いとかではなく、どちらも良いってことなんだ。どちらでもいいわけではなく、どちらにも良さがあり、それぞれ相反するものでもない。」
八武は手を広げて肩を竦めた。
「・・・こういう心境になれるときは、まるで自分が大人になったように思える。大人だろってツッコミは無しね。“いい大人”でも、大人びた意識なんて僅かだ。」
しんみりとした、しかし心地良い空気が流れる。
穏やかという方が近いのかもしれない。
思いを吐き連ねた後は、こういう雰囲気になる。

「ククク、死根也。あっちの私と、この私、どちらも良いって言えるんだな?」
しばらく黙っていた佐久間が口を開いた。
「・・・ドチラモヨイデスヨ。」
急に八武の声から抑揚が消えた。
「ところで、佐久間が分裂した原因はわかったが、元に戻る方法も知ってるのか?」
「しばらく自由を満喫したら元に戻るだろ。満喫♪満喫♪マンコがキツキツ♪」
「しばらくって、どれくらいだ?」
「知らんなあ、そんなことは。」
「荒療治は無いのか!?」
「そんなものがあったら、とっくに私が実行している。大体お前、それが佐久間をレイプするのが条件でも、やるの? やれるの?」
「ぐ・・・・」
「やれねえよな? 童貞の山田くんには刺激が強いっしょ。いや、童貞でなくてもレイプは無理か。女を無理やり犯すなんて、山田には無理な話だ。レイプ♪レイプ♪ほのぼのレイプ♪」
「ちなみに、それは物の喩えなんだよな? 本当にそれが方法とかじゃないよな?」
「安心しろ。それは流石にないわ。」
青い顔で問いかける山田に、佐久間はトンガリコーンを食べながら答えた。



つづく

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この記事へのコメント

2014年08月17日 13:47
火剣「ミクモウとアストロンか」
コング「切っても切れない関係なのだ。諦めて挙式をあげよ。披露宴で相応しい歌をプレゼントしてあげる」
火剣「何だ?」
コング「♪女呼んで揉んで抱いていい気持t」
ゴリーレッド「延髄斬り!」
コング「だあああ!」
火剣「前世を覚えているというのは厄介だな」
ゴリーレッド「たまにそういう人間がいる。普通は生まれる時に全部記憶が飛ぶはずなんだが」
コング「アギャー、アギャー!」
火剣「八武医者は今よりも凶暴だったのか?」
ゴリーレッド「今は穏やかだが。行為は別にして」
コング「♪ほのぼのレイプ。山田太郎には無理でも八武院長には余裕のヨーコ」
火剣「余裕の男には言わないものだ。ホントに犯されたら困る」
コング「それを望んでいるかもよ。期待に応えて押し倒せ」
ゴリーレッド「頭打ったか?」
火剣「かごめは桔梗の生まれ変わりと言われているが、やはり二人は別な存在だ」
コング「火剣と短ライは過去世ではライオンだったのか」
火剣「知らねえ」
ゴリーレッド「そうだ。完練と賢吾は熊だし」
コング「この137億年の間には何があっても不思議ではない」
火剣「やはり過去世を知らないほうがいいな。上手くできてる」
コング「ちなみに僕も女を無理やり犯すなんて残酷なことはできない。ぐふふふ」
ゴリーレッド「・・・」
2014年08月17日 14:47
語られ始める山田さんと佐久間さんの前世。人間とモンスターが共存する世界、それはファンタジーのような世界か。佐久間さんの前世、ミクモウの話を読むとダークファンタジー的な世界観かもしれませんが。
濃密な時間、複雑な過去、それらを引き継いだ今がある。私もいつか死ぬ訳ですが出来ることなら今の記憶を持ったままもう一度人間に生まれ変わりたいなあ、と思うことがあります。もっとも、そのためにはまず今の人生を必死で生きることが必須な訳ですが。来世があろうとなかろうと、記憶を持っていけてもそうでなくても、まずは今を必死で生きたい。昔のことが語れる、同じ知識・経験を共有している、それは喜ばしいこと。語れる相手が他にいないからますます貴重。
そんな感動に、今まで水を差さずにいたのが佐久間さん(α)の優しさ。しかし、語り終わった後で確実に水を差しに来る、まさに佐久間さん。そして元に戻る方法が時間任せ!ドラえもんで、のび太の影が本人を乗っ取りそうになった話がありましたが、佐久間さん、大丈夫ですかね?
2014年08月17日 22:26
>火剣さん
傍から見れば、もう結婚すればいいのにと思いますが、そのあたりも前世を覚えている厄介さでしょうか。ただの男女なら、とっくに結ばれていたような気がします・・・。

維澄「生まれつきでなく、途中で前世の記憶が蘇っていたら、また違っていたかもしれないね。」
八武「うむ・・。意識が人間ベースなら、前世は夢か遠い過去として感じられるだろう。しかし佐久間と山田は、起きたら人間の体になっていたような感覚だろうねぃ。」
神邪「ところでレイプは実行されたんですか?」
八武「実行したかった・・・!」
維澄「されなかったんだ。」
神邪「しかしドクターのことだから、本当は実行したのでは。」
維澄「それは続きを追えばわかるか・・。」
八武「今でこそレイプ好きで通っている私だが、昔は解剖好きで通っていたのだ。」
神邪「・・・今の方が不名誉に聞こえるんですが。」
八武「いやいや、解剖というのは、人間を生きたまま解剖するというやつだ。」
維澄「ああ、リョナ的な。」
神邪「やっぱり本質は変わってないんですね。」
八武「佐久間と山田も、前世の頃から本質は変わってないように思える。性格はだいぶ変わったがね。」
2014年08月17日 22:44
>千花白龍さん
あのファンタジー世界、モンスターパラダイスが、「奇妙な世界」の根本を成していると言っても過言ではない・・・。全体的には、そんなにダークというわけでもないです。
記憶を持ったまま生まれ変わるというのは、私も考えますね。どちらにしても懸命に生きるのが必須だというのは頷けます。
さて、佐久間さんを元に戻すために懸命にならねばならない局面ですが、どうやって元に戻るのやら・・。どちらが本物というわけでもないので、時間と共に片方が消滅するオチは無いですが・・・。

八武「優し・・さ・・・?」
維澄「どちらの佐久間も良いじゃないか。」
八武「ソウデスネ。」
神邪「こっちの佐久間さんも、同じ感動を共有しているんでしょう。」
維澄「前世と今世、両方を知っているのはこっちの佐久間だからね。」

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