佐久間と山田のけだるい日常 第七十三話 ~意識~(その5)

(分裂の話が本当なら、今の状況も記憶喪失で説明できてしまう。)
佐久間闇子(A)は、山田に言われたことを思い出していた。
あの逞しい顔つきと筋肉も同時に浮かんできて、体が疼いた。
(しかし罠という可能性は否定できない。)
(近くに私がいることは知っているとなれば、私が見聞きしていることも織り込み済み。)
(となると、偽者を用意して周到な芝居を打っている可能性は高い。)
何よりも、佐久間闇子(B)の言動が、自分自身とは思えなかった。
さっきから下品な発言を繰り返す彼女に、山田や八武も辟易している。
佐久間(A)は、顔を赤らめながら舌打ちした。

「そこにいたか。」

「っ!?」
瞬間、佐久間(A)の背後に佐久間(B)がテレポートしてきた。
そのとき(A)は、かまをかけられたことに気付いた。「そこにいたか」と聞いて、驚いたことで発せられた感情波を辿られたのだ。
(見聞きしていた・・)
「やはり偽者か!」
ミニスカートに純白のブラ、破いたシャツのリボンで、佐久間(A)は右手をミクモウの手に変形させた。
「どっちが本物ってこともないさ、今はな・・・。」
佐久間(B)は、黒いシャツとジーパン、前のボタンを外した格好で、首を傾けている。
その余裕とも油断ともつかない態度が、(A)にとっては不気味だった。
「それにしても、随分とエロエロな格好になっちゃって。しかもザーメンついてんぞ。男でも食ってたか?」
「ゲスがっ・・・!」
「顔を赤らめて可愛いなァ、おい。」
「偽者を用意するにしても、もう少しマシな奴は選べなかったのか?」
「迷いなく自分を本物だと言い切るあたり、ちゃんと“佐久間闇子”ではあるな。安心したぜ。」
話してる間に、カンカンと音がした。
山田と八武が階段を駆け登ってきたのだ。
「よォ、遅いじゃないか。」
「いきなりテレポートすんじゃねえよ!」
「まったくだねぃ。」
「なーに言ってんだ。山田とはテレパシーで繋がってるんだから、すぐに居場所わかっただろ?」
「そういう意味じゃねえよ! お前ら同士で傷つけ合って、何かあったらどうするんだ!」
その言葉を聞いて、佐久間(A)は心臓が高鳴った。
本気で自分を心配してることが伝わってきて、ドクドクと鼓動が収まらない。
(やだ・・・何これ・・・)
次の瞬間、(A)は天井を突き破って外へ飛び出していた。



つづく

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この記事へのコメント

2014年08月20日 18:10
コング「ついに遭遇か、佐久間Aと佐久間B」
火剣「佐久間Aは行動はミクモウでも心が乙女? 厄介だな。そしてその乙女の部分を認めたくないと心と体が反発する」
コング「喩えは悪いがサン状態か? 来るな!」
ゴリーレッド「適切な喩えとは言えない」
火剣「先が読めない展開だ。どっちを応援するべきかとなると、心情的に佐久間Aか」
コング「タイトルは意識か。何かヒントになるか」
ゴリーレッド「感情波を辿るなんてエスパーと同じだ」
火剣「エスパー以上だろう」
コング「ちなみに山田太郎と佐久間んのテレパシーは超能力ではなく愛情。ぐふふふ」
ゴリーレッド「他人事だと思って、余裕だな」
コング「裸にするならAか」
ゴリーレッド「アホか」
2014年08月20日 22:18
佐久間Aが飛び出した!?恥ずかしさのあまり壁を突き破って…。

ルビデ「普通に考えたらぶん殴られて外に吹き飛んだってことだろ?」
白龍「それがお前さんの普通基準かい?」
ルビデ「両方が佐久間ではあるがマイナスと逆マイナスで打ち消しあって零になるんじゃね?」
白龍「回りくどいことを言った上に、何気に消滅を望んでるだろ。」
ルビデ「俺は可能性の話をしているんだが?しかし、自分同士で喧嘩が出来るなら生涯退屈することはないな。」
白龍「相手も自分で、自分も自分…。なんか、訳が分からなくなってきた…。」
2014年08月20日 22:45
>火剣さん
佐久間Bが登場したことで、佐久間Aの乙女化が一気に進んだ気がします。どちらかというとAを応援したくなるのが自然な流れ・・・。やっぱり悪が栄える小説なのかも。

八武「大丈夫だよ、山田がいる限り。」
維澄「なるほど、佐久間も山田がいることで、安心して暴れられるのかもしれないね。愛情の成せる業。」
神邪「栞さん、それをボケ殺しって言います。」
八武「実は私も本来はツッコミ。前世の佐久間は意外とコメディ体質なのだよね。」
神邪「確かにラブコメになってます。もののけ姫はシリアスですが。」
維澄「そう言えば、佐久間と山田のテレパシーって、他の人とは出来ないんだったっけ。」
八武「そう。山田砲が撃てるのと同じ原理とか言ってたけど、なんのこっちゃ。」
維澄「愛だよ。」
八武「そっか。」
神邪「僕もそう思います。山田さんには聞かせられないなァ。」
2014年08月20日 22:55
>千花白龍さん
ラブコメというか、エロコメというか。Bはぶん殴るつもりだったようですが、山田さんの言葉にAが真っ赤。
ちなみにルビデは鋭い。マイナスというより、足してゼロになる複素数かもしれません、複雑怪奇な佐久間闇子。

神邪「プラスとマイナスでなく、マイナスと逆マイナスなんですか。」
維澄「赤と反赤みたいなものかな。」
八武「クォーク?」
神邪「-1の平方根が、iと-iの両方出るようなもの・・・? いずれにしても、ミクモウとも違うんでしょうね。」
八武「ああ、それはだいぶ違う。ミクモウ様は、絶対値みたいな存在。単純明快というか、シンプルというか。“佐久間闇子”でなければ、ルビデとも敵対しないんだろうねぃ。」

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