亡霊たちへの鎮魂歌 78

ふらりと夜風に当たりに出ていた十島育生は、妙な気配を感じた。
(誰だ?)
急に6年前のことを思い出した。
両親を失った、忌まわしい同時多発テロ。
戦場の空気は、日常と違うことを知った。それを吸うのは軍人だけじゃない。
「誰だ?」
呟くように、彼は言った。
その途端に、気配が膨れ上がった。
(!?)
咄嗟に彼は体をひねった。
左腕に熱い痛みがはしった。
ナイフか。違う。銃弾だ。
腕を押さえて、地面に転がる。
そして重力操作で身を起こして、そのまま高く跳躍する。
(重力蹴りだ!)
相手は銃を構えていた。
あとコンマ何秒か遅ければ、ヘッドショットを食らっていた。
2発目の銃弾は髪の毛と皮膚の一部をえぐり、血を飛ばす。
十島育生は、もう一撃。
それで相手の男は動かなくなった。
「何モンだテメー!? 何モンですか!?」
口調が混乱する。
とにかく銃を拾って、念の為に、もう一撃。骨の砕ける音がした。
「はあ、はあ・・・」
警察へ行くか。
しかし不吉な直感がはたらく。
(警察?)
手に取った銃を見て、そして相手の男をよく見て、十島育生はゾッとした。
骨を砕かれてヒュウヒュウと息を発している男は、警官の服を着ていた。
「・・・っ!?」
2年ほどまえに読んだSF小説が脳裏をよぎる。
(美少女エスパー)(子供)(青年)(黒人と)(それから)(時間)(さかのぼる)(そうだ)(全員が能力者)(どうなった?)
結末を思い出して身震いした。
あれはSF、サイエンス・フィクションで、現実とは別物だと思っていた。
(甘かった。)
伊達にアメリカで暮らしてきたわけではない。
クー・クラックス・クラン。
鳥の鳴き声が聞こえてくる。
黒人を差別する集団は、どこにでもいるし、同じ牙を超能力者にも向けるだろう。
似たような組織が、集団が、日本にいないと言えるのか?
差別の度合いにおいて、日本はアメリカに劣らない。奥ゆかしい日本人は、重大な事実を矮小化することに長けているだけだ。
(真由良!)
咄嗟に彼女の安否が気にかかったが、すぐに気付いた。
危険が迫っているのは。
「ちくしょうめ! オレは何て馬鹿だったんだ!」
彼は走り出した。


ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

2014年11月18日 13:10
コング「あれ、真由良とソロウは?」
ゴリーレッド「あ、せ、ら、な、い」
火剣「パッと場面が変わるのはドラマでもよくあることだ」
コング「気になる。指以外は全部的中。敬え!」
火剣「十島育生を襲ったのは、まさかあの数人。あるいは墓場の数人とは別の者だとしたら、かなりの集団というわけか?」
ゴリーレッド「狙いはエスパーか。確かに警視庁にはニノマエらエスパーを撲滅する特殊班がいたが」
火剣「七瀬と同じか。エスパーは普通人に害をなす者と勝手に決めつける」
ゴリーレッド「差別の度合いにおいて、日本はアメリカに劣らない」
火剣「日本人は、黒人を差別する白人を見て酷いと言うが、自分たちも結構他の民族を差別している。しかも無意識だから気づかない」
コング「社会科の時間は終わり。あれからの真由良とソロウについて熱く語り合おう」
ゴリーレッド「いらない」
コング「いる。過ちを犯してはいけない人に犯された。これぞ官能ロマン」
火剣「待てよ。済んでしまったことは仕方ないと、真由良は観念してソロウの腕枕で天井を見上げている」
コング「ぐふふふ、二人とも一糸まとわぬ姿でベッドの上。そこへ飛び込む十島育生! 修羅場だ修羅場だ修羅シュシュシュ!」
ゴリーレッド「シュミット流バックブリーカー!」
コング「ぎゃあああ!」
火剣「それは墓場の数人よりも育生のほうが危険だ」
2014年11月18日 22:50
>火剣さん
場面変わって、こちらも大変なことになっています。推測の通り、墓場の数人とは別働隊。小規模ではない集団です。
真由良とソロウの方も気になるところですが、ここからも場面は転々と。クライマックスの連続へ。

佐久間「流石は賢者コング。」
山田「呑気に褒めてる場合か。育生まで襲撃されたということは、エス研のみんなは?」
八武「エスパーではないが、あれ? 確か、自覚してないエスパー説もあったような。」
山田「七瀬の戦った連中も、一般人を巻き込んでいた。」
維澄「フィクションは常に現実の反映。エスパーが迫害されている描写は、現実における迫害と通ずる。」
八武「では真由良のサイレントな描写は?」
維澄「そこで気になるのは、育生だけでなく渚も同時に駆けつけると、襲撃されるよりも恐ろしいことになるのではと。」
佐久間「・・・つまり4P?」
山田「フェイスクラッシャー!」
佐久間「ぐはっ!?」
神邪「4Pはさておき、4人ともエスパー。超能力戦が始まってしまうのでしょうか。」
山田「ソロウもエスパーなのか?」
佐久間「素質はあるが目覚めてはいない。」
八武「NTRの素質かね。」
山田「ラリアット!」
八武「痛い!」
佐久間「真由良は4Pは動きにくいとか言っていたが、それはプレイのみの話。全員が知り合いの4Pは、そのシチュエーションだけで興奮させてくれる。」
八武「なるほど、気の強い美女にフェ・・」
山田「フェイスクラッシャー!」
八武「ぎゃああああ!」
維澄「うーむ、界隈も危険。」

この記事へのトラックバック

2019年11月
               1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

過去ログ

テーマ別記事

最近の記事

最近のコメント

QRコード