亡霊たちへの鎮魂歌 79

「何なんだ、リョウのやつ・・・。こんな夜に呼び出して。」
訝しみながらも白石楷は、特に警戒せずに夜道へ繰り出した。
待ち合わせ場所へ着くと、既に花咲瞭は来ていた。
「ああ、カイ。大事な話って何だい?」
花咲瞭の顔は、少し上気しているように見えた。
「え? 大事な話があるからって呼び出したのは、リョウの方だろ?」
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
嫌な予感がして、2人は顔を見合わせた。
それぞれポケットから手紙を取り出して、広げて見せた。
書いた覚えなど無かった。
「――っ!?」
白石楷は、胸を押さえて倒れた。
「カイ? カイ!?」
止まっている。
なんて呆気ない。
「カイ!?」
世界が真っ黒になる。
ヒュンと風切音が耳を掠める。
「花咲か! そこのは白石か!? おい、大丈夫か!?」
血相を変えた顔で、十島育生が現れた。
「十島先生・・・?」
不幸中の幸いと言うべきか。黒月真由良を探している途中で、銃を構えている男を発見したのだ。
その男を重力蹴りで倒したはいいが、その先にある光景は、あまりに悲しいものだった。
「お前らの家を真由良に訊こうと思ってたんだ・・・。」
呆然とした口調で、十島育生は呟いた。
暗がりでも、白石楷が死んでいるのを見て取れた。
正確に心臓を撃ち抜かれていて、何が起こったのかもわからない顔のまま息を引き取っている。
「・・・っ、花咲!」
十島育生は涙を噛み潰した。
「若葉か海路の家を知ってるか!? いや、それだけじゃない、白石の家だ。」
「・・・・・・。」
花咲瞭は動けない。
そこへ十島育生が懇願するように叫ぶ。
「呆けてる場合じゃねえんだ! 後で幾らでも悲しんでろ! 後で幾らでも悲しむ権利があるから、今は耐えてくれ!」
「・・・!」
ようやく花咲瞭の顔に生気が戻る。
十島育生は白石楷の体を重力操作で持ち上げて、花咲瞭のナビゲートで走った。
「ちきしょうめ!」
大量の汗が服に染みていた。


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この記事へのコメント

2014年11月19日 17:36
火剣「・・・・・・何て悲劇だ」
コング「双方に嘘の手紙を見せて落ち合わせる。恋のおせっかいがよくやる手を殺しに使うなんて」
ゴリーレッド「何が目的だ?」
火剣「エス研まで狙う必要があるのか」
コング「無差別に等しい」
ゴリーレッド「真由良とソロウが危ない」
火剣「緑里とカイロと白石家も危ないのか」
コング「いきなり殺すならヒロピンにならない。せめて銃を向けて何か言い残すことはないかというシーンが1分は欲しい。哀願の言葉も言う暇がないんじゃ」
ゴリーレッド「何を言ってる不謹慎男」
火剣「渚は無事なのか?」
コング「まあ、かごめもジャスミンも常に殺される危機に直面していた。しかし、犯される危機に直面したことはなk」
ゴリーレッド「フェイスクラッシャー!」
コング「がっ・・・」
火剣「ふざけてる場合じゃねえ」

2014年11月19日 22:22
>火剣さん
始まってしまった悲劇は、加速し続けます。
別れの言葉を告げる間もなく、死はやって来る。

山田「なんということだ・・・・・・。」
佐久間「王蟲の群れも、動き出したら止まらない。」
山田「・・・襲撃した連中も、正気ではないのか。」
八武「正気で殺人は出来ない。人が人を殺すときは、狂気や激情に身を浸している。」
維澄「あるいは、人を人とも思わない愚鈍さ。」
神邪「エス研のメンバーを狙っているのか、それとも蛹田中佐の関係者を狙っているのか・・・?」
山田「確かに白石から狙われた。」
八武「カムフラージュなど、考えられることは幾つもあるが、考えるべきことは多くない。白石家に急げ!」
佐久間「緑里のピンチを期待してるわけじゃないよな?」
八武「多少は。」
山田「おい。」
維澄「真由良は心配ない・・・待てよ、記憶が途切れているということは、失神している・・・?」
八武「ほう。」
神邪「希揃さんが真由良さんの側にいないとも限らないですね。」
佐久間「そうなんだよ。」
維澄「やはり全員が危険。」

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