亡霊たちへの鎮魂歌 63

40年前。
日中戦争開始の翌年、1938年。蛹田蛭巳は34歳の誕生日を迎えていた。
誰に祝われるでもなく、しかし彼の生涯で最も大きな出会いが、この日にあった。
『飛鳥井大佐の紹介で配属されました、黒月繭里と申します。』
軍服に身を包み、黒髪を青いリボンで束ねた少女は、冷たく淫らな目つきで敬礼した。
『少女ではないですよ。成人しています。』
『そうか。』
確かに、姿こそ瑞々しい少女であるが、この目つきは子供には出来ないだろう。
蛹田蛭巳は彼女の体を引き寄せると、その唇を貪り舌を吸った。その間、彼女は感じる様子も無く、リボンの色と同じ青い瞳を見開いていた。
男としてのプライドを刺激された彼は、机に彼女を押し倒し、服を脱がせた。
今まで見た中で、紛れもなく最高の肉体だった。冷めた目つきとは裏腹に、準備が出来上がっていた。
黒月繭里は閉じていた口を開いて、赤い舌を覗かせた。
蛹田蛭巳は、すぐに事に及ぼうとせず、彼女の様子を見ていた。彼女の息が次第に荒くなるのを見ながら、自分も意気を高めた。男が奮い立つには女が必要だと確信を深めながら、体を前のめりに動かした。
『マユリ。』
『中佐。』
「中佐。・・・蛹田中佐?」
艶かしくも冷たさの抜けない声が、快活な少女の声と重なり、蛹田蛭巳は現在へ立ち戻った。
「・・・同じ声でも、別人の声じゃな。」
「は?」
「いや失礼、年甲斐も無く若い頃を思い出してしまったわい。」
若い頃の、情欲を。
「黒月繭里。君らが“ムーン・シューター”と呼んどる超能力者の名前じゃ。」
みなの視線が黒月真由良に集まる。
白石楷と花咲瞭は驚きが半分、もう半分は今までの疑問が解消され、しかも予想以上だったことの喜びと興奮。
若葉緑里と海路宣夫は、ただただ驚き、同情とも困惑ともつかない気分で口を開けないでいた。
宮白希揃は目を大きく見開いて、頭の中が真っ白になって固まっていた。
十島育生は流石に落ち着いていて、それなりに驚いているものの、冷静に彼女の言葉を待っていた。


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この記事へのコメント

2014年11月03日 17:11
火剣「40年前か。真由良が生まれる前と思うだろう」
コング「蛹田蛭巳、34歳現役バリバリ」
ゴリーレッド「いきなり襲うってどうなのか?」
コング「ドウドウ」
ゴリーレッド「男が奮い立つには女が必要か。公式発言だったらアウトだ」
火剣「独白だ」
コング「ドクハラは八武院長に任せておこう」
ゴリーレッド「ムーン・シューターの名前は黒月繭里。同じ黒月。そりゃ驚くだろう」
火剣「それぞれの驚きと喜び。絶句。しかし真実を見抜ける者はいない」
コング「女子の軍服姿って萌える」
ゴリーレッド「不謹慎発言」
コング「男が奮い立つには女が必要」
ゴリーレッド「貴様」
火剣「同じ声でも別人の声?」
コング「準備が出来上がってたってすで股がb」
ゴリーレッド「かかと落とし!」
コング「ぎゃっ」
火剣「若い頃の欲情か。いきなり裸にされた繭里は予想内のことなのか?」
ゴリーレッド「反則は反則」
コング「淫らな目が答えだ。まさか期待感に満ちた目はできん。ぐひひひ」
ゴリーレッド「軽い」
コング「僕としては、『待って、何をするのですか?』というセリフを推奨」
ゴリーレッド「繭里はそういうタイプじゃなさそう」



2014年11月03日 22:36
>火剣さん
かつての彼女と変わらぬ顔を見て、蛹田中佐の記憶が蓋を開けます。40年前と現在、繭里の声と真由良の声がオーバーラップ。
彼の言葉に各自が感情を隠せませんが、この状況に真由良は、何を言うのか、言うべきなのか? 次回!

佐久間「山田もこれくらい積極的ならいいのにな。」
山田「殆どレイプじゃねえか!」
八武「しかし軍服姿の美少女が目の前に現れたら、もう襲うしか選択肢はあるまい。」
維澄「ミリタリーコスいいねぇ。」
山田「維澄さんまで・・。」
佐久間「確かに殆どコスプレだ。実用面でも。」
神邪「真由良さんは、昔からコスプレが好きなんですね。」
八武「うむ、良い趣味だ。」
山田「環境に溶け込む為だと思うが。」
佐久間「むしろ違和感。」
八武「そう、繭里の美貌で環境に溶け込むのは不可能。」
神邪「ゴルゴ13も周囲には溶け込めないですね。」
佐久間「大物の宿命だな。」
維澄「というわけで佐久間も軍服を・・」
佐久間「しつこいな貴様も。事あるごとに私に軍服を着せようとしてくるのは何故だ?」
八武「じゃ、しおりんとダブルで。」
山田「もう着ればいいんじゃないか。」
佐久間「貴様らまで・・。」
神邪「ちなみに軍服姿と制服姿では、どっちがいいですか?」
八武「ぬうっ、いきなり突きつけられる究極の2択!?」

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