亡霊たちへの鎮魂歌 65

「マユリの超能力は2つある。ひとつは攻撃力・・・光を束ね、レーザービームとして撃ち出すものじゃ。当時の技術でも、人を失明させるほどのレーザーはあったが、今の技術でも人を焼き殺せるようなものは無い。ましてマユリのように人体を貫通できるような熱線はSFじゃな。遥か未来の話じゃ。作ろうと思えば作れんこともないじゃろうが、費用と効果が全く噛み合っとらんのう。ゆえにマユリの能力は極めて有用じゃった。誰が想像するというのか、生きて歩く殺人光線など。たとえ知っていても防げんよ。マユリには、もうひとつ、瞬間移動があったからな。いかなる防衛とて、マユリの前では絵に描いた壁でしかない。白石たちが下調べして、物的状況を掌握すれば、どうにでもなった。まさに無敵の部隊じゃったよ。・・・それでも大局を覆すことは出来んかったがな。試みたことはないが、マユリならルーズベルトやチャーチルを暗殺することも可能じゃったろう。だが、そうしたところで戦争には勝てん。頭がすげかわるだけじゃ。わしらに出来ることは局地的な戦果を挙げることだけ・・・今から振り返ってみれば、昭和17年までには大勢は決していたのう。奇襲攻撃などに頼らざるを得ない時点で、長期戦に耐えうる余力を残してないと、大々的に告白したも同然じゃ。そして、昭和20年・・・4月14日・・・飛鳥井大佐も加わった作戦で、部隊は、米軍の爆撃を受けて・・・。」
「そのときに僕の祖父は死んだんですね。」
白石楷が、眼鏡を手で押さえながら、低い声で言った。涙声になってるようにも聞こえた。
「ああ。そうだ・・・。」
「けれど、“ムーン・シューター”黒月繭里は、生きていた。テレポートで爆撃を逃れたんでしょうね。」
「ああ、そうじゃろうな。ついぞ戻ってこんかったので、一緒に死んだとばかり思っておったが・・・。」
「すぐには戻ってこなかったんですか?」
「ああ。次に会ったのは8年後、昭和28年・・・。もっとも、話すことは出来なかったがな。」
「ええ、それって・・」
若葉緑里はピンときた。
「そうじゃ。忘れもしない25年前の秋・・・冷たい骸となったマユリに再会したのは、9月最後の日じゃった。“ムーン・シューター”黒月繭里は、死んでいるのじゃよ。」
その言葉に一同は戦慄した。
真っ先に言葉を発したのは、白石楷ではなく宮白希揃だった。
「馬鹿なっ!」

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この記事へのコメント

2014年11月05日 23:36
火剣「レーザービーム?」
コング「ウルトラビームみたいなものか。それともモー娘。のセクシービームか」
ゴリーレッド「デビルビームを食らいたいと?」
コング「言ってません」
火剣「ムーン・シュターに銃はいらないのか」
コング「ボケナス大統領に手錠がいらないように」
ゴリーレッド「ちょっと違う」
火剣「ムーン・シューターは死んだ。中佐は骸をハッキリ見たのか?」
コング「ムーン・シューターは生きている。希揃。嘆くのは早い」
ゴリーレッド「真実を知ったところでどうにもならないが」
火剣「昭和20年。28年。八武医者も生まれてないか」
コング「瞬間移動の能力は僕も欲っしい!」
ゴリーレッド「悪用にしか使わないからダメだ」
コング「マユリは悪用じゃないのか? 僕は犯すだけで殺しはしない」
ゴリーレッド「よし黙れ」
コング「あ、やっぱりレーザービームも欲しい。磔にして股に人差指を当て、コングビームと・・・待て、撃たない、脅すだけ脅すだけ」
ゴリーレッド「デビルビーム!」
コング「ぎゃあああああ!」
火剣「死んだな」
ゴリーレッド「このあと真由良は何を語る?」
2014年11月06日 00:09
>火剣さん
蛹田中佐の口から語られる過去ですが、何とムーン・シューターは死んでいた? 驚愕の一同です。
もちろんすぐ側で生きているわけですが、知る由もない状況。

佐久間「真由良の2つの能力は、実は本質的に同じものだったりする。」
山田「えらく違うように思えるが。」
八武「レーザーとテレポートなら後者の方が欲しいねぃ。」
佐久間「テレポートといっても、T2やフィリップとは違うんだ。レーザービームも、能力の応用。」
八武「真由良の能力も興味をそそられるが、その美貌と肉体に惹きつけられてやまない。」
神邪「蛹田中佐も、そうだったんでしょうね。彼女を兵器としてではなく、人間として見ていた。」
佐久間「そのあたりにも次回で触れる。」
八武「真由良の秘所に触れたい。」
山田「レーザービームを食らいたい?」
八武「撃てるのかね。」
佐久間「私は撃てる。」
八武「山田に撃ってくれ。」
維澄「ムーン・シューターの生死の謎・・・。色々と考えられることはあるけど・・・。」
佐久間「真相は未だ闇の中だ。」
2014年11月23日 22:08
本人がここにいるので、どう考えても偽死体。死んだと見せかける必要があった、ということでしょうね。そして、飛鳥井は状況的に見て絶対に噛んでいる。
さて、黒月さんの超能力は本質的に同じ、となるとやはり光に関する超能力か。自身を光に変えて高速移動するのをテレポートのように見せかけている、とか?光攻撃はそのまま。しかし、自分の体を光に変えて攻撃しているとなると、やはり攻撃回数には限界がありそうですね。消耗が激しそう。
希揃さんにしてみれば戦後も生き続けていると思われる形跡をたくさん見つけてきた訳だし、自分の母親が死んだきっかけがムーンシューターじゃなかったって話になりますもんね。次にどんな真実が飛び出すのか…。
2014年11月23日 22:29
>千花白龍さん
希揃からしてみれば、今まで感じてきたことが覆されたような思いですね。それに関しては修正がきく範囲ですが、もしも真由良がムーン・シューター本人だと知ったら、そのときはどうなるかわかりません。
45年の方は、飛鳥井も噛んでいますね。53年の方も含めて、死んだと見せかけたというよりは、結果的にそうなったという方が近いかもしれません。偶然に故意を絡めたような。
黒月の能力は、大体そんな感じです。後で出てきますが、光のみならず◎◎全般に干渉できる能力です。空間を歪めてテレポートしているのではなく、自身の状態を◎◎化して飛んでいるわけです。攻撃の際に自らを削っているわけではないので、消耗が激しいことはないですが、もちろん限界は存在します。「鉄腕アトム」のエプシロンよろしく無尽蔵にエネルギーを使えますが、最終的には精神の生理的限界が来ます。そのあたりが“成功作”であっても“完成体”ではない所以。“完成体”であるスカーレット・マーチは、そこを突破することを期待されています。

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