亡霊たちへの鎮魂歌 66

“ムーン・シューター”黒月繭里は、25年前に死んでいる。1953年の9月30日に。
それは、にわかには信じることの出来ない話だった。
「・・・確かに、死んだんですか?」
白石楷は、青い顔で訊いた。
「間違いない。この目で死体を確認しておる。」
「替え玉ってことは考えられないですか?」
「その可能性を、わしも真っ先に考えたよ。そう簡単にマユリが死ぬはずがない・・・死体を目の前にしても、しばらくは現実感が薄かった。出会ったときから7年、そして更に8年経っても、瑞々しい少女の姿をしておったしの。まるで時を止めたように・・・。超能力者の年齢はわからんというのは、何よりもマユリを見てるから、思うんじゃ。」
蛹田蛭巳は、やや嫉妬の混じった顔になる。
あるいは、情欲。
「そもそも、わしがマユリの死体を確認したのは、奴らに呼び出されてのことじゃった。」
ガウス・ゴール。
グラハム・ボッシュ。
スクルージ・パープル。
挙げられた3名に、黒月真由良だけは心当たりがあった。ありすぎた。吐き気がするほどに。
(忘れもしない。)
人間の心の弱さを巧みに操る悪魔。
敵の過失を引き出し容赦なく叩く鬼。
極めて特殊な超能力を持つ魔人。
この3人が組めば、“ムーン・シューター”などは蜘蛛の巣にかかった蝶でしかなかった。
25年前の9月30日。あのとき―――
(わたしは、奴らに、・・・・・・)
その思考は蛹田蛭巳の言葉により遮られた。
「行方不明になってからの8年間、マユリが何をしていたかは知らん・・・。が、あれは正義感の強い女だ、ゲームのように戦争を引き起こす奴らと相容れることはないじゃろう。どこかで不可避な衝突が生じたことは容易に察しがついた。じゃが、それを問うべき相手は既に冥府の住人。奴らから事の次第を聞きだす気は起きんかったわい。」
聞きながら黒月真由良は、心の中で苦笑いをしていた。
(正義感? わたしに正義などありはしない。所詮は血塗られた道、冷酷外道の暗殺者よ。みんなを守ってやるなんてヒロイズムも、ただ愛すべき仲間を守りたいだけのヒューマニズムも、現実の前に打ち砕かれてきた。ねえラプソディア、それでもわたしは、幸せになれる?)


ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

2014年11月06日 15:25
コング「いつまでも瑞々しい少女のままか。最高」
火剣「人間の弱さを操る悪魔」
コング「ブルーサンダーか」
ゴリーレッド「敵の過失を引き出し容赦なく叩く鬼」
火剣「極めて特殊な超能力を持つ魔人」
コング「西尾雅架」
火剣「わたしは、奴らに・・・」
コング「奴らに何をされた?」
ゴリーレッド「急に目覚めるな」
コング「まさかまさかにしおまさか。スッポンポンにひん剥かれて代わる代わる、代わる代わる」
ゴリーレッド「ジャンピングニーパット!」
コング「だあああ!」
火剣「所詮血塗られた道か」
コング「情欲。素敵な言葉だ」
2014年11月06日 21:36
>火剣さん
それぞれが断片的に語り、あるいは想う、謎に包まれた過去。極めて不穏な言葉が展開されていますが、真相は闇の中。いずれ明かされるときは来るのでしょうか。

八武「少女のように瑞々しいマユリの遺体。欲しい!」
山田「拳骨!」
八武「痛い!」
佐久間「ある意味で女のロマンだな。」
維澄「そうかもしれない。」
山田「実際に死体があったとはいえ、こうして真由良は生きている。屍人形とか、そういう?」
八武「それなら中身を調べればわかるが・・。」
神邪「真由良さんが形容した通りの人たちなら、容赦なく切り刻むでしょうね。」
八武「その前に楽しむ。」
佐久間「もちろん中身も正常。」
山田「替え玉か。あるいは双子?」
八武「重要なのは、マユリが何をされたのか。」
佐久間「想像力をはたらかせてみよう。」
山田「殺されそうになったが、こうして生きている。」
神邪「よってたかって犯された。」
山田「おい。」
佐久間「どっちが正解に近いかな?」

この記事へのトラックバック

2019年11月
               1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

過去ログ

テーマ別記事

最近の記事

最近のコメント

QRコード