とある進撃の破壊天使 (その7)
むぎのんマジ原子
<第31話>
麦野 「浜面・・・。」
浜面 「・・・よぉ、麦野。」
麦野 「どうしたの・・・・・・?」
浜面 「この格好か? 荷運び人だ。・・・」
麦野 「そういう意味じゃないわ。」
浜面 「・・・麦野。大将を、上条を逃がすことに協力してくれねえか?」
麦野 「・・・・・・逃がすって、どこに? 壁の外の地獄に?」
浜面 「一時的に身を隠すだけさ。スキルアウトのアジトを転々とすれば、そうそう見つからない。」
麦野 「“滞空回線”が機能してないといっても、監視衛星は健在よ。悪いけど、話にならないわ。」
浜面 「頼む! 俺が言える義理じゃねえってことはわかってる! だが、このままじゃ上条は殺される! 何もわかっちゃいねえ理事会の連中が、自分たちの保身の為だけに動いている!」
麦野 「・・・・・・。」
浜面 「説得力が無えのはわかってる! 勝算が無えのはわかってる! それでも大きな賭けをするしかないんだ!」
麦野 「・・・はーまづらぁ、お前、私がそんな“いい奴”に見えるのかよ?」
浜面 「そうだな、都合のいい奴には見えねえな。・・・だが、イイ女だとは思ってるぜ。昔も今も・・・。」
麦野 「・・・・・・。・・・いいわ。乗った。」
- - - - - -
滝壺と絹旗を加え、浜面は麦野を連れて歩いていた。
浜面 「上条は、駒場のとこにいる。この施設を突っ切れば早い。」
そこは、能力者を閉じ込めておく為の施設で、常時キャパシティダウンが作動している。
麦野は思わず足を止めた。
浜面 「ん? どうした麦野。」
絹旗 「ああ、キャパシティダウンですか。超うざいから、さっさと通り抜けましょう。」
麦野 「・・・いいや、私は行かない。迂回しないなら協力しない。」
浜面 「な・・・何言ってんだ麦野!? さっさとこっちに来いよ!!」
滝壺 「はまづら、叫ばないで。」
麦野 「・・・大丈夫でしょ、滝壺。さっきから、このへんには、何故か全く人がいないから。」
麦野 「まったく・・・傷つくぜ。はーまづらぁ・・・・・・一体いつから、私をそんな目で見るようになったの?」
浜面 「・・・っ、麦野・・・なんで、あのとき俺を殺さなかった?」
麦野 「ああ、心底そう思うぜ。まさか浜面ごときに、ここまで追い詰められるとは・・・楽勝(ちょろい)な、レベル5も。」
絹旗 「麦野・・・・・・あんたが、超間の悪い馬鹿で、クソつまんない冗談で適当に話を合わせている可能性が、超・・・あるから・・・とにかくこっちへ来てくださいよ!!」
麦野 「そっちへは行けない。」
浜面 「麦野・・・っ!」
滝壺 「もういいよ、はまづら、きぬはた。」
絹旗 「!!」
滝壺 「不毛・・・。」
滝壺 「おまえのAIM拡散力場、ズタズタにしてやる、“雷装の天使”。」
麦野 「・・・・・・」
麦野 「はーまづらぁ・・・・・・イイ女だって言ってくれて、嬉しかったよ。」
麦野 「だけど・・・」
麦野 「お前は、滝壺を選んだじゃないか。」
<第32話>
“体晶”というアイテムが存在する。
能力者が摂取することで、その力を爆発的に増大させるというものだ。
しかし、肉体への負担も大きく、増大した能力が制御を失い暴走する危険性もある。
“置き去り”を使った実験のことを知っていれば、“雷装の天使”が暴走状態にある能力者だと―――
―――いや、そんな小難しい予備知識など、いらない。
雷を、あれほどの規模の電子の塊を、拡散させず、“その場に固定しておける”能力者など、麦野沈利を置いて他にはいないのだから。
滝壺も、絹旗も、話を聞いただけで即座に麦野を思い浮かべた。
思い浮かべてしまった。
そして、麦野なら、やりかねない。
人格破綻者のバーゲンセール、超能力者7名の中でも、最大の攻撃性。それと表裏一体の危うさ、脆さ。
それは能力そのものにも反映されており、最大の攻撃力を発揮すれば御坂美琴でさえ瞬殺できるが、そのときは自身の命も無い。
やりかねない。
本質的には御坂をも凌駕する、歪んだ愛の病んで病んで病んで病んで病んで病んで闇へ沈んだ成れの果て。
麦野 「や、ヤベぇ。頭がくらくらする。こりゃあ『体晶』の・・・・・・た・い・しょ・う、の影響かもしんないわね。他にも体の駆動方式とか色々ありそうだが、ううん、そろそろ可憐に倒れてしまうかもしれないわ。」
麦野 「・・・・・・どうして、ここまでひどい怪物になっちゃったのかな。」
そして彼女は静かに、悲しく笑い、そしてカッと笑って言った。
麦野 「とか言ってほしかったか? はーまづらぁ・・・」
- - - - - -
滝壺 「はまづら、まだむぎのと戦うことを、躊躇してるの?」
浜面 「・・・!」
滝壺 「はまづらは、私を選んだんだよね。私を助ける為に、むぎのを二度も撃ったんだよね?」
滝壺 「わすれたの? まさかこの期に及んで、むぎのを助けるなんて言うの・・・?」
絹旗 「何か特別な感情が超妨げになってるんですか?」
浜面 「!? ・・・う・・・・・・」
絹旗 「作戦を超考えました。この超かわいい最愛ちゃんと滝壺で、何とか麦野を食い止めます。その間に超無能で超役立たずの浜面は、尻尾を巻いて逃げて、超さっさと増援を呼んできてください。」
滝壺 「それがいい。それが現段階で出来る最善。」
浜面 「なんっ・・・で・・・お前らは・・・戦えるんだよ・・・!」
滝壺 「しかたないでしょ、はまづら。この世界は、残酷なんだから。」
浜面 「―――!!」
いつか、夢を見たことがある。
天使なんていない世界で、フレンダが死ぬこともなくて。
ファミレスで他愛無い話をしながら、自分はドリンクバー往復係で。
ぶつくさ文句を言いながらも、どこか幸せで。
いつまでも、みんな仲良く―――
『お前は、滝壺を選んだじゃないか』
―――麦野の、喉から搾り出すような声が、聞こえた。
浜面 「―――・・・だよな。」
その日のうちに、麦野沈利は捕縛された。
戦闘で肉体は粉々になり、冷蔵庫のような機械の中に、脳を3つに分割して設置された。
―――“原子崩し”を吐き出すだけの装置として。
<第31話>
麦野 「浜面・・・。」
浜面 「・・・よぉ、麦野。」
麦野 「どうしたの・・・・・・?」
浜面 「この格好か? 荷運び人だ。・・・」
麦野 「そういう意味じゃないわ。」
浜面 「・・・麦野。大将を、上条を逃がすことに協力してくれねえか?」
麦野 「・・・・・・逃がすって、どこに? 壁の外の地獄に?」
浜面 「一時的に身を隠すだけさ。スキルアウトのアジトを転々とすれば、そうそう見つからない。」
麦野 「“滞空回線”が機能してないといっても、監視衛星は健在よ。悪いけど、話にならないわ。」
浜面 「頼む! 俺が言える義理じゃねえってことはわかってる! だが、このままじゃ上条は殺される! 何もわかっちゃいねえ理事会の連中が、自分たちの保身の為だけに動いている!」
麦野 「・・・・・・。」
浜面 「説得力が無えのはわかってる! 勝算が無えのはわかってる! それでも大きな賭けをするしかないんだ!」
麦野 「・・・はーまづらぁ、お前、私がそんな“いい奴”に見えるのかよ?」
浜面 「そうだな、都合のいい奴には見えねえな。・・・だが、イイ女だとは思ってるぜ。昔も今も・・・。」
麦野 「・・・・・・。・・・いいわ。乗った。」
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滝壺と絹旗を加え、浜面は麦野を連れて歩いていた。
浜面 「上条は、駒場のとこにいる。この施設を突っ切れば早い。」
そこは、能力者を閉じ込めておく為の施設で、常時キャパシティダウンが作動している。
麦野は思わず足を止めた。
浜面 「ん? どうした麦野。」
絹旗 「ああ、キャパシティダウンですか。超うざいから、さっさと通り抜けましょう。」
麦野 「・・・いいや、私は行かない。迂回しないなら協力しない。」
浜面 「な・・・何言ってんだ麦野!? さっさとこっちに来いよ!!」
滝壺 「はまづら、叫ばないで。」
麦野 「・・・大丈夫でしょ、滝壺。さっきから、このへんには、何故か全く人がいないから。」
麦野 「まったく・・・傷つくぜ。はーまづらぁ・・・・・・一体いつから、私をそんな目で見るようになったの?」
浜面 「・・・っ、麦野・・・なんで、あのとき俺を殺さなかった?」
麦野 「ああ、心底そう思うぜ。まさか浜面ごときに、ここまで追い詰められるとは・・・楽勝(ちょろい)な、レベル5も。」
絹旗 「麦野・・・・・・あんたが、超間の悪い馬鹿で、クソつまんない冗談で適当に話を合わせている可能性が、超・・・あるから・・・とにかくこっちへ来てくださいよ!!」
麦野 「そっちへは行けない。」
浜面 「麦野・・・っ!」
滝壺 「もういいよ、はまづら、きぬはた。」
絹旗 「!!」
滝壺 「不毛・・・。」
滝壺 「おまえのAIM拡散力場、ズタズタにしてやる、“雷装の天使”。」
麦野 「・・・・・・」
麦野 「はーまづらぁ・・・・・・イイ女だって言ってくれて、嬉しかったよ。」
麦野 「だけど・・・」
麦野 「お前は、滝壺を選んだじゃないか。」
<第32話>
“体晶”というアイテムが存在する。
能力者が摂取することで、その力を爆発的に増大させるというものだ。
しかし、肉体への負担も大きく、増大した能力が制御を失い暴走する危険性もある。
“置き去り”を使った実験のことを知っていれば、“雷装の天使”が暴走状態にある能力者だと―――
―――いや、そんな小難しい予備知識など、いらない。
雷を、あれほどの規模の電子の塊を、拡散させず、“その場に固定しておける”能力者など、麦野沈利を置いて他にはいないのだから。
滝壺も、絹旗も、話を聞いただけで即座に麦野を思い浮かべた。
思い浮かべてしまった。
そして、麦野なら、やりかねない。
人格破綻者のバーゲンセール、超能力者7名の中でも、最大の攻撃性。それと表裏一体の危うさ、脆さ。
それは能力そのものにも反映されており、最大の攻撃力を発揮すれば御坂美琴でさえ瞬殺できるが、そのときは自身の命も無い。
やりかねない。
本質的には御坂をも凌駕する、歪んだ愛の病んで病んで病んで病んで病んで病んで闇へ沈んだ成れの果て。
麦野 「や、ヤベぇ。頭がくらくらする。こりゃあ『体晶』の・・・・・・た・い・しょ・う、の影響かもしんないわね。他にも体の駆動方式とか色々ありそうだが、ううん、そろそろ可憐に倒れてしまうかもしれないわ。」
麦野 「・・・・・・どうして、ここまでひどい怪物になっちゃったのかな。」
そして彼女は静かに、悲しく笑い、そしてカッと笑って言った。
麦野 「とか言ってほしかったか? はーまづらぁ・・・」
- - - - - -
滝壺 「はまづら、まだむぎのと戦うことを、躊躇してるの?」
浜面 「・・・!」
滝壺 「はまづらは、私を選んだんだよね。私を助ける為に、むぎのを二度も撃ったんだよね?」
滝壺 「わすれたの? まさかこの期に及んで、むぎのを助けるなんて言うの・・・?」
絹旗 「何か特別な感情が超妨げになってるんですか?」
浜面 「!? ・・・う・・・・・・」
絹旗 「作戦を超考えました。この超かわいい最愛ちゃんと滝壺で、何とか麦野を食い止めます。その間に超無能で超役立たずの浜面は、尻尾を巻いて逃げて、超さっさと増援を呼んできてください。」
滝壺 「それがいい。それが現段階で出来る最善。」
浜面 「なんっ・・・で・・・お前らは・・・戦えるんだよ・・・!」
滝壺 「しかたないでしょ、はまづら。この世界は、残酷なんだから。」
浜面 「―――!!」
いつか、夢を見たことがある。
天使なんていない世界で、フレンダが死ぬこともなくて。
ファミレスで他愛無い話をしながら、自分はドリンクバー往復係で。
ぶつくさ文句を言いながらも、どこか幸せで。
いつまでも、みんな仲良く―――
『お前は、滝壺を選んだじゃないか』
―――麦野の、喉から搾り出すような声が、聞こえた。
浜面 「―――・・・だよな。」
その日のうちに、麦野沈利は捕縛された。
戦闘で肉体は粉々になり、冷蔵庫のような機械の中に、脳を3つに分割して設置された。
―――“原子崩し”を吐き出すだけの装置として。

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