「サトリン」 番外編 折れた十字架 1

渇いた咽を潤そうにも、水道水では物足りない。
オレは咽が渇いていた。
事の始まりは、そんな理由だった。

子供の頃から貧困は、重苦しい荷物で、息苦しい。
ジリジリと灼けつくような中を、帽子も被らず歩いていた。
冬の間は自分の足が、まるで丸太ん棒のようにキシキシ言う。
オレは果てしない道を歩いている気がした。
道の先には、悪いものが待っている気がした。
とんでもなく大きな怪物の口の中に、歩いている心地だった。
立ち止まっていると恐さは大きくなり、振り向けば後ろから小さな砂が迫ってくる。
オレは前へ進まなければならないと思った。
前へ進みながら、このままでは破滅が待っていると思っていた。
オレの嫌いな言葉は、「なんとかなる」だ。
なんとかなるわけがない。なんとかならない。
「なんとかなる」なんて後ろ向きな言葉は、言うな。
「なんとかする」なら言ってもいい。
その思いは、今でも変わらない。

高校を卒業した頃は、まだ世の中が「なんとかなる」で満ちていた。
重苦しい汗を流しながら、賑やかで騒がしい声を聞いていた。
思い荷物を運んでいる横を、楽しそうな人々が過ぎ去っていく。
その先にあるのは、とんでもなく大きな怪物だ。
オレは一足早く、その中に飛び込んでいた。
からっからに乾いていた。罅割れは心臓まで達しそうに思えた。
飲み物が欲しくて、自販機に小銭を入れた。
後で同じ飲み物が、10円安く売っている自販機を見つけて、嫌な気分になった。
こんなことでショックを受けている自分が嫌だった。
たかが10円で、心が揺れている自分が、小さくて、情けなかった。
このままでは駄目になる。もう駄目になっているのかもしれない。
些細な傷口から、今まで堆積していた土砂が噴き出す。
それに抗う努力もせずに、オレは目に付いた家に侵入した。
鍵がかかっていなかったのは、家ではない。オレの心だ。
古本屋で立ち読みした小説で、心の錠前に鍵をかける描写が印象深く残っている。
溢れ出したら、どうにもならないから。

オレは人を殺した。




つづく

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豆戦士
2016年04月07日 00:27
「能力と人間性は必ずしも比例しない」的なやつ、「お前は人間性が低い」という、まず定義からして謎な主観的極まりない罵倒を「能力は高いけど」という客観的な指標とならべて言うことによってさも正当な批判っぽくみせており、そのうえ能力の高さそれ自体にまでマイナスなイメージを植え付けるという極めて醜悪なテクニックよね(挨拶

というわけで豆戦士です。ブログの内容と挨拶はとくに関係ありません。


>Arc-V

遊矢vsジャックまではいかに凄い盛り上げてくれようとも、あくまで予定調和な王道展開の域を出なかったのですが(悪いわけではない)、長官があの2人を圧倒したのにはやられたぜ……。見たこともない奇っ怪な戦術を使うとか、永遠のデュエルとか、もうテンション上がりまくり。
さすがArc-Vは一味違う……。

で、今週。まさかのレベルマイナス能力とは思ってもみなかったよ!

逆転劇としてはけっこう凄いことをやっているはずのですが、演出的にはわりとあっさりしていたあたり、アッキーさんの決学番外とちょっぴり重なって見えました。真の強者は自らの成果をいたずらに見せびらかしたりしないものなのだ……。
これが決学本編だったらめっちゃ煽りに煽って伏線張りに張ってた。

ちなみに、私の想定していた永遠のレベルマイナス能力攻略法とは、30%くらい被っていたり。
豆戦士
2016年04月07日 00:28
>小説

私の勧めたやつらをけっこうな精度で継続的に読んでくれていて有難い限りです。
異能バトルに至ってはblu-ray買ってくれまでしているようだし……!

超刺さるように、本当にあるベクトルに全力で偏らせたものを勧めさせて頂いたのですが、「このラインナップが一方向に偏っている」ってことが伝わる時点でものすごくレアというか、伝わるんなら自動的にハマってくれる可能性が高いというか。

何度か言ってますが、この趣味が理解されるのは本当に希少。

次は方向性を変えて、私の趣味趣向を形作った作品群の別タイプ「病的なまでにこだわり抜いて作られた仕掛けの完成度に畏敬の念が止まらないミステリ編」とかはどうだろうか……?

そういえば、生存を勧めたときに挙げたリストに「生徒会の祝日」が抜けていたことに今さら気づきました。
まあ読んでれば流石にラストそこだけ飛ばすってことはないでしょうが。

ただ、いくつかの巻にある、カバー外したところにある小説は見逃されていてもおかしくない……?


>年末までには「決闘祭!」を連載開始できればと考えています。

全力で「耐えたぞォーーーッ!」が言えるように、今は忍ぶのだ……。
だ、大丈夫、異能バトルだって今月の11巻が出るまで約1年かかったのだ……決して珍しい長さというわけじゃない……!


というわけで、適当に書き連ねたまとまりのないコメントでした。
ではまた、気が向いたときに!
2016年04月07日 03:21
>豆戦士さん

しょっぱながら何度も頷かされた・・・。若干ギクッとなったのもある。無自覚的に私もその手の主張をしてしまってないか心配。(私の小説だと人格破綻は褒め言葉であることが多いですが)
“能力”を“学歴”に変えても意味が通じますねぇ。
当たり前に正しいことを言ってるようでいて、その使い方が正しくないことって多いです。


◎アークV

遊矢とジャックの場合だと、盛り上がるけれど結末は予測できるよねって感じでしたが、まさか長官がやらかしてくれるとは思ってませんでした。素良のときといい、一度こっ酷く負けた人が、意外な勝利を収める展開は好きだ!
アークVのキャラは、負け癖がつかないんですねー。

今週のレベルマイナスにはホント昂ぶりまくりでした。
やはりどう考えてもアニメスタッフは原作HPを読んでいるとしか思えないアッキーです。
レイジングマスターさんの逆転劇は、こんなあっさり展開で使うのが勿体無いくらいでしたが、私も似たようなものだったのか・・・。どっちかというと、伏線を張って煽りまくる技術の方が欲しかったりするのですが、隣の芝生ですかね。
30パーセントということは、ダメージをループさせる部分が重なっているのでしょうか?
ちなみに乱入ペナルティの部分で、鷹野さんが嬉々として《うずまき》を張っている光景が浮かんできました。
2016年04月07日 03:21
◎小説

感想文は書いてないですが、ひもパンなども読破しております。
現代ファンタジーかと思って読んでいたら、突き抜けたフェチの話だった・・・実に私の好みだ・・・!

どのように偏ってるかを説明しろと言われても、なかなか言葉に詰まるのですが、偏っていることはわかる!
こう・・・自分の傷の部分と、楽しみの部分とで、かなり方向性が一致しているというか・・・うーん、上手く言えない。
片方だけならまだしも、両方とも一致するのが希少だというのは確か。

ミステリ編も興味あります!
基本的にミステリは好きなのですが、膨大な作品群の中から自分好みのものを発掘する作業が大変なので、またしても頼らせてもらいます。

あ、もちろん祝日は買ってますよー。
キー君は大変なハーレムを作っていきました・・・これを見てると、ハーレムって大変だなァと思う次第です。(半笑い
カバー裏の小説、そんなものがあったのかーと、確認してみましたが、あれ・・・? おかしい・・・見当たらない・・・?(ちなみにどの巻でしょうか?)


◎決闘祭!

異能バトル、ついに11巻が!? うおおおお!!
やきもきしながら待ち続け、それが不安に変わってから数ヶ月、このときを待ちわびたぜ・・・!

というわけで、しばらくお待ち下さいませ。
デュエルの火種を切らさず、希咲会長のように頑張ります!
2016年04月07日 10:21
火剣「折れた十字架。かなりヤバそうな始まりだ」
コング「渇望はプラスにもマイナスにも働く」
ゴリーレッド「貧富の格差は人々のやる気を奪う。まさに奪命者の働き。生命力を奪う。神邪も言っていた通り、だからこそ世の中を変えるしかないという大感情を湧き立たせるのが革命家」
火剣「批判やぼやきは誰でもできる。三国志の英傑も自分が天下をひっくり返してみせるという心意気、野望野心が旺盛で、子供心に魅力的に映ったな。張飛、関羽、曹操」
コング「董卓」
ゴリーレッド「董卓?」
コング「間違えた呂布だ」
火剣「金がないから歩くしかない。歩き疲れると人は危ない思考になる。これ以上歩くことはできないと思った時が危ない。ユゴーは裕福な家庭に生まれたのに、『貧困の終着駅は自殺か犯罪』と。貧しさを体験していなくても、人の心がわかることが素晴らしい」
ゴリーレッド「19年の亡命生活で得たものが大きいのかもしれない。あとは娘の死。しかもヨット転覆の溺死なんて、取り返しのつかない悲劇だ」
火剣「10円で後悔するのは決して情けなくねえ。庶民は近くのコンビニよりも遠くのスーパーまで行く。同じ商品がコンビニで125円、スーパーで70円だからな」
コング「コンビニは冷えているがスーパーは冷えてない」
ゴリーレッド「1円でも安くという庶民の心は、1食1万円の国会議員にはわからないかもしれない」
コング「ドウドウ」
火剣「家に侵入。やはり鍵は締めないといけない。ちょっと買い物でも締めないと」
コング「鍵を開けたままシャワーを浴びてスリルを楽しむ神聖M子」
ゴリーレッド「ふざけた話をする場面ではないと思うが」
火剣「殺ってしまったか」
コング「犯るにとどめるべきだった」
ゴリーレッド「何か言ったか?」
コング「独り言だ」
豆戦士
2016年04月07日 22:11
返信への返信。


>30パーセントということは、ダメージをループさせる部分が重なっているのでしょうか?

「あんな感じで、相手がいくら蘇って来ようとも何もさせずに自動で倒してしまえばいい!」が共通してますね。まあこの作戦は最初にやって失敗するやつなんですが。
今回のArc-Vとはまた条件が違うので、成功するやつは長官に対しては適用不可能です。


>カバー裏の小説、そんなものがあったのかーと、確認してみましたが、あれ・・・? おかしい・・・見当たらない・・・?(ちなみにどの巻でしょうか?)

木陰と土産にありますね。
あれです。カバーと本を分離したときの、本側じゃなくてカバー側のほうです。トラップ!
豆戦士
2016年04月07日 22:11
>ミステリ編も興味あります!

言質をとったので行ってしまうか!(誘導尋問)

「賭博覇王伝とかうえきの法則とかの、知略バトル漫画」「生存とか異能バトルとかの、なんかそういうライトノベル(※一言で説明しづらい)」に並んで、私の趣向を大きく形づくっているカテゴリの1つ、
「完成度が高すぎてただただ作者に畏敬の念を表さざるを得ないミステリ」編!


・上級編(初級編~中級編はどうしたというツッコミは受けつけない)

『トランプ殺人事件(竹本健治)』(※同名の別小説があるので注意)

ちなみに、「完成度が高すぎて」の主語は「作品の」ではないです。
じゃあ何なのかは読めば分かる。


・ハイエンド編

『三崎黒鳥館白鳥館連続密室殺人(倉阪鬼一郎)』

ちなみに、「完成度が高すぎて」の主語は「作品の」ではないですが、ここまで来ると「作品の」であっても何ら間違ってないです。
意味が分からないと思うが読めば分かる。とにかくやばい。頭おかしい。病的。やヴぁい。


最初にして最大というか、とりあえずこのあたりでしょうな!
多くの漫画やライトノベルと違って、どちらも1冊完結なので、お手軽に手を出せます。

特に後者は読んだことがないと人生損してるレベルであれなのでぜひ!


私もこういうの書くの好きなんだけど、先駆者たちのレヴェルが高すぎるせいで、やっても劣化コピーにしかならないんだよなぁ……。
2016年04月07日 22:22
>火剣さん
ある男の番外編が始まりました。体の疲れは心の疲れと、体の渇きは心の乾きと連動する。彼の行き先は、殺人でした。

山田「なんということだ。」
佐久間「貧困を簡潔に定義すると、貧乏プラス疎外だ。」
維澄「労働疎外。」
佐久間「それもあるが、疎外感そのものだ。貧乏だけ見れば、かつてより豊かかもしれないが、疎外の面で厳しい。ゆえにトータルで、貧乏より厳しい貧困がある。」
維澄「董卓も、野心家ではあったけど、朝廷から蛮族扱いされていなければ、ああまで暴虐になったかどうか。」
八武「ふぅむ。」
神邪「魏延も反骨の相があるなんて言われて冷遇されましたね。」
山田「孔明を悪く言うわけじゃないが、あれは疑問だな。裏切り者扱いされ続けて、裏切ったから予言的中ってのは、酷い。」
維澄「当時は封建主義社会で、孔明も漢王朝の家臣として保守的な傾向があったから、農民を率いて反乱を起こしていた魏延を、恐れていたという説がある。」
八武「当時からすれば、孔明も十分進歩的だったのだがねぃ。」
佐久間「文人の孔明からすれば、武人気質の強い魏延が苦手だったというのもあるだろう。文化系は体育会系のノリが苦手だ。」
神邪「肌が合わないってやつですか。そう聞くと、逆の印象がありますね。」
山田「うーん、確かに。」
八武「ふむ。どちらが良い悪いではなく、基準によって評価は変わるわけだ。」
維澄「三国志は現代に通じる話がたくさんある。庶民と乖離した権力は滅びる。」
佐久間「そして乱世では犯罪が横行する。」
山田「まさしくだな。」
2016年04月07日 22:50
>豆戦士さん

失敗するやつなのかー!w
そして、長官を倒した方法では、全てのカードがデッキに戻る決着否定には通じませんが、その逆に攻略法は長官には通じない・・・とな・・・?
うーん、謎ましい。

木陰と土産、カバー側も確認し、光に透かしたりもしましたが、やはり白紙でした。
奥付を確認すると初版だったので、もしかして再版からという・・・?

ミステリ紹介ありがとうございます!
やはりどちらも聞いたことがない・・・多分タイトルだけ並んでいたら、スルーしてしまうであろう私。
よーし、早速購入するぞ!
例によって購買意欲を促進させる紹介の仕方ですな。


P・S
その括りのライトノベルが、一言では説明できないけど、同じ括りであるのはわかる!
作家としてはハッキリ言語化したい感覚がありますが、上手く説明できなくても通じ合えているなら良しとします。
豆戦士
2016年04月07日 23:47
> 木陰と土産、カバー側も確認し、光に透かしたりもしましたが、やはり白紙でした。
奥付を確認すると初版だったので、もしかして再版からという・・・?

まじで……? 自分のやつは初版ですがありますね。
もしかすると同じ初版でも何パターンかある可能性ありますね。期間限定的な。

ちなみに、野崎まど劇場(2冊とも)なんかにもカバー裏小説あったりします。
2016年04月08日 00:02
>豆戦士さん

期間限定! それかーー!
ぐぬぬ・・・しかし野崎まど劇場の方は、ちゃんとありました。いろんな意味で読みにくい小説だな!(笑)

これからはマンガだけでなく、小説もカバーを外すクセをつけなくてはならない!

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