「NEKTAR」 インターローグⅩ

ベイン、お前いつからそんなだったかな。

幼い頃から、お前は何でもよく出来たよ。貧しい田舎の農村で、お前は神童だった。
家事手伝いは完璧にこなし、遊びでは常にリーダー、ケンカも負けたことはなかった。
そのせいかな。
何をやっても人より優れている、そんな環境が、お前を歪ませたのかな。
わたしはそんなお前を一番近くで見ていた。何をするにも人並み以下だったわたしは、お前が羨ましかった。
母の胎の中で能力を吸い取られてしまったように、双子でも天と地ほどの差があった。

ベイン、わたしだって本当は偉そうなことなんて言えないんだよ。
お前に嫉妬して眠れなかったことは数え切れないし、見栄を張りたいって気持ちも人一倍あった。
こうしてアルカディアで高い地位を得て、得意になってないかと言えば、そうではない。
驕る気持ちはあるよ。たくさんあるよ。

今から思えば長閑(のどか)な田舎だったけれど、わたしも子供の頃は嫌いで嫌いでたまらなかったさ。
こんな環境じゃ、いつまで経っても最下位のまま。一生浮かび上がれない。才能を伸ばす余裕なんて無かった。
でもな、わたしにはお前に無い才能が1つだけあった。だからわたしはアルカディアに拾われた。
お前でなく、わたしが。
そのときに感じた優越感は途方もなく、しかし、しかし、今では心に大きなしこりとなって残ってるんだ。

ごめんよ、ベイン。
あのときわたしが頼んで、一緒にアルカディアに連れていってもらえばよかった・・・。
でもわたしは恐かったんだ。お前の下でい続けることが恐かった。嫌だった。吐き気がした。
今でこそわたしにも、お前に無い才能があることがわかるよ。だがね、当時の子供だったわたしは、全てにおいてお前に劣っていると思っていた。何もかも人より劣っている、そんな環境だったから・・・。

ベイン、お前は言った。真に才能のある人間なら、どんな悪い環境でも突破できるとな。
しかしそう言うお前こそ、環境に左右されてるんじゃないか。才能だって環境で作られる。
努力もしないで口だけで環境が悪いとか言う人間なんて知ったこっちゃないけれど、どんなに努力したって報われない環境にいる人間だっているんだ。
極論すれば、努力だって才能のうちだ。努力できるかどうかも環境で決まる。

ベイン、お前は大した努力家だろうが、報われない努力なんてしたことがないだろ。
努力ってものが嫌いだったから、報われる努力しかしたことがないだろ。成果のあがる努力しかしたことないだろ。
だから、成果が出ないとなれば、努力を放棄してしまうんだ。
なまじっか村では比類なき才能だったから、蛙の王様になってしまったんだ。
それでもいいさ、それでも。お前の人生だもの。

しかし“神酒”で安易なパワーアップをして、アンティローグで横暴の限りを尽くすとなれば、話は別だ。
どんな天才にだって、人を踏み躙る権利は無い。
お前に馬鹿にされた人間が、どんな思いで生きてるかなど、お前にはわかりっこないだろう。
わたしもお前を理解しようとは思わない。
ただ、お前を止めるのはわたしの役目だと思う。
他の誰にもやらせない。運命の交差点で道を違えたのがわたしの責任なら、わたしがベインを殺す・・・!

いくぞベイン、わたしがお前に引導を渡してやる。
血を分けた兄弟としてではなく、“獄炎魔帝”デュース・ディーバーとして!


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この記事へのコメント

2016年06月12日 10:38
火剣「デュースの決意のほとばしりを感じる」
ゴリーレッド「覚悟の戦士は強い」
コング「何かまじめな話になっていないか?」
ゴリーレッド「始めからまじめな話だ」
火剣「人生は驕りとの戦いかもしれねえ。人間誰でも良く見られたいし、男なら余計に『凄い人』と思われたいという願望がある」
ゴリーレッド「欲望も野望もいい。凄い人物になりたいと野心を燃やして向上するならプラスだが虚栄はマイナスでしかない」
コング「僕は劣等感がゼロだからなかなか兄弟を理解できないのかもしれない」
ゴリーレッド「どんな生き方だ」
コング「世捨て人だ、ぐふぐふぐふ」
火剣「人間は自分の劣等感の傷に触るところへは行きたがらないものだ」
ゴリーレッド「環境か。親が大金持ちで学生時代から商売が成功して自分は天才だと驕る愚か者もいる。貧しい家に生まれながらも英知で活路を切り開いた人間なら驕りがなく強い。悪循環を突き抜けるのは容易なことではないが」
火剣「ベインになくてデュースにある才能とは何だ?」
コング「クンニが上手いとか?」
ゴリーレッド「ジャンピングニーパット!」
コング「NO!」
火剣「努力が必ず報われるとは限らないし、努力している暇もない劣悪な環境というのもある」
ゴリーレッド「ベインは葬るしかないのなら、自分がという気持ちが痛いほどわかる」

2016年06月12日 20:36
>火剣さん
過熱する激闘に臨む中、心は冷静に昔を思い返します。デュースにもベインと同じく驕る気持ちはありますが、ある才能がそれを制しています。

佐久間「驕りを持たない人生は有り得ない。驕りは拒絶するものではなく、制御するものだ。」
維澄「最低限のプライドは、生きる為に必要だね。」
佐久間「生きることは食べること。他の命を殺してでも、自分には生きる価値があると、生きてる者は誰しも、最低限は傲慢だ。」
神邪「傲慢さを自覚し、制御して生きることこそ戦いなんですね。」
山田「このまま真面目な話を続けよう。」
八武「女の子に縋りつかれながら『凄い、凄いのっ!』と言われたいものだ。」
山田「言った側からこれだ。合掌捻り!」
八武「ぎゃあああ!」
佐久間「凄いのう。」
維澄「凄惨な意味でね・・。」
神邪「劣等感は僕も薄いですね。凄い人には、嫉妬より尊敬が勝るんです。あんまり憧れはしないですが。」
維澄「嫉妬と憧れは似てるからね。」
佐久間「そうだな。憧れは高尚な感情ではない。」
山田「それも極論だが。」
佐久間「極論で言えば、ベインも活路を切り開いた側ではある。社会的には悪でもな。」
神邪「自覚してる分だけ、自覚が無い有象無象より謙虚でもあるということですか。」
山田「うーむ。」
維澄「デュースからすれば猶更、ベインを悪者には出来ない心理があるね。その本質は、ベインと向き合おうとしている。」

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