「NEKTAR」 インターローグⅩⅢ

暗い暗い地の底にいる。
俺の心は、いつでも暗い。
雨の日も、晴れの日も、昼でも夜でも、冷たい水滴の下垂る洞窟の中は、冷たい闇が支配している。

理解しているさ。俺の心は歪んでいる。錆びつき、傷つき、すり減っている。
50歳にもなると、体だけでなく心も衰えてくる。
情熱ってやつが、だらしなく漏れ出して、霧散していくような感覚に襲われる。

若いってだけで素晴らしいと思えてくるようじゃ、俺も歳を取ったということだ。
うるせえよ、まったく。うるせえよ。心の中から声がするんだ。お前はもう若くないってな。
ああ、認めるよ。俺は若くない。そんなことは何年も前からわかっている。

だが、まだ老いてはいない。
ただひとつ、ただひとつさ。そのひとつの情熱が俺を動かす。

フィー・カタストロ。

お前はいつまでも若々しい。
俺と同い年だというのに、下手すれば20代にも見えてしまう。
それが羨ましくもあり、嬉しくもある。

俺は彼女に釣り合うような男じゃない。
いつからか俺は、地の底の洞窟に転がり落ちていた。
その洞窟の名は、「負け犬」「臆病者」「中途半端」・・・そして「堕落」だ。

フィーは遥か先にいる。独りっきりで荒野を歩いている。
面白くなさそうな顔で、立ち止まることもなく、振り返ることもなく、風の中を歩いていく。
だから、フィーに釣り合う為には、フィーの横に並ばなくてはならないんだ。
俺がフィーの価値を貶めてはいけない。



アルカディア本部から報告があった。
十戒のメンバーは殆どを始末し、“神酒”の治療薬も完成したとのことだ。
これで戦いは終わるのだと、最高幹部ギガマイルは言った。
後はフィー・カタストロがクリエ・ソゥルを始末して、残りの連中の身柄を確保して、それで終わりだと。

この戦いも終わりか。
俺は戦いが始まる前に誓った。この戦いが終わったら、フィーを手に入れるのだと。
この機会を逃したら、それは永遠に叶わない。
だから今なんだ。

砕組の死者が多かったことを除けば、ギガマイルの予定した通りになった。
それすなわち、「フィー・カタストロがクリエ・ソゥルと戦う」ことだ。
ギガマイルが何故それに拘ったかは定かではないが、正直ありがたい。

最後の最後で俺の出番だ。
フィー、今行くぞ。
モース・リーガルが行くぞ。

唇を合わせたい。
肌を重ねたい。
お前を手に入れたい。

だから俺の体よ、もう一度動いてくれ。
俺に勇気をくれ。


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この記事へのコメント

2016年06月20日 16:44
火剣「40歳ジャストの時は全然若くて気持ちも前向き、30代と何ら変わらない。線の細い20代などラリアットで一発KO! しかし50歳はまだ若いし老いてないが、気持ちと肉体のズレを感じる時期かもしれねえ。そういえな慢性的に疲れが取れないなとか」
コング「誤解を招いて50年」
火剣「うるせえ」
コング「女に好かれて32年の僕と比べたら誤解を招いて50年の火剣は普通の50歳よりきついのでは?」
ゴリーレッド「何が32歳だ」
火剣「32歳じゃ『今週もなーい!』なんて知らない」
コング「それよりフィー・カタストロ50歳は20代に見えるのか?」
ゴリーレッド「30代ではなく20代とは素晴らしい」
火剣「森高千里や早見優も若いが」
コング「でもフィーへのこの大情熱は青年ではないか。僕の若さの秘訣もやはり女だ」
ゴリーレッド「モース・リーガルの純愛とコングを一緒にしてはいけない」
コング「僕の犯したいは抱きたいと同義語だ」
火剣「唇を合わせたい、肌を重ねたい、全てが欲しいという大感情は人間を若くする」
ゴリーレッド「荒んでいた心、傷ついていた心、錆びついていた心も、愛情の一滴で潤う」
コング「お礼に全身オイルマッサージであんあん言わせるのだ」
ゴリーレッド「一度でいいから純愛を経験してみなさい」
コング「戦士にとって純愛は時に邪魔になる。人間を唯一狂わせるのも恋だから」
火剣「ここまでは一部を除いてクレアのシナリオ通りなのか」
コング「ティムに犯されて落とされたのもシナリオ通りか?」
ゴリーレッド「シャラップ」
火剣「クリエはフィーと闘うのか」
ゴリーレッド「心配は残る」
コング「パラメッタの出番? それともウローイ」
火剣「ハービスたちの仇を討て」


2016年06月20日 22:26
>火剣さん
老いが迫ってくるのは、年齢よりも、衰えを感じたときかもしれません。超能力が衰えてから、モースは絶えず老いの恐怖と戦ってきました。まだまだ全然、分隊長クラスよりは強いのですが、悩みの尺度は常に本人のものですね。
アンティローグとの戦いも大詰め、モース・リーガルにとっても正念場となります。

八武「なるほど、カタストロは同い年でも老いを感じてはいないだろうねぃ。」
佐久間「まあ、この時点ではモースの恐怖は知らないだろうな。」
山田「モースの愛も知らないか。」
佐久間「隣人の心も知らないことだらけだ。長い付き合いでも、知らなかった事実は出てくる。ある日、突然。」
維澄「何だか不穏な予告に聞こえるね。」
佐久間「一般論だよ、一般論。」
神邪「そうでしょうか・・?」
八武「老いへの恐怖を感じるなら、それを肯定してやることだ。」
山田「ほう。」
八武「プラスの感情を抱こうというのは正しい。しかしそれは、マイナス感情の否定ではない。“マイナス感情を抱いている自分”を肯定してやる、自己肯定はプラスの感情だ。」
神邪「ドクターの壮健ぶりは、そうした悟りに裏打ちされているんですね。」
八武「悟りというほど大袈裟なものではないが、恐怖を肯定することから見えてくる世界もあるさ。」
維澄「若い頃ほど動けなくても十分強いというのは、萌えるね。」
佐久間「燃えじゃないのか?」
維澄「同じことよ。」
山田「しかしモースには死亡フラグが立っているというか、カタストロの盾になりかねない。」
八武「いや、生きてカタストロを手に入れるという意志が伝わってくる。」

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