「NEKTAR」 エピローグⅨ

神様、わたしは罪深い女です。

男を誘惑し、堕落させる悪女です。
わたしにその気が無くても、男が次々と寄ってきます。
内なる邪淫の気が男を吸い寄せるのだと言われました。
あどけない顔して、何も知らない顔して、男を惹きつける天性の淫婦だと言われました。

わたしをチヤホヤしてくる男たちの中には、恋人を捨てた人も多くいました。
その女たちに恨まれました。ゴミや汚水をかけられたり、持ち物を隠されたりしました。
男たちの中には、わたしを巡って殴り合いをする者もいました。それで死にかけた人もいます。

わたしの体が成長するに従って、それはエスカレートしていきました。
耐えられなくなっていたわたしに、芸能界からのスカウトが来ました。
天啓とばかりに、その話に飛びつきました。
スカウトの女性に言われた言葉が、今でも忘れられません。

『大丈夫よ。それはあなたに人気があるってことなんだから。』

彼女にしてみれば、他愛無い励ましだったのかもしれません。
ですがわたしは、そのとき初めて自分に自信が持てたのです。
天性の淫婦ではなく、皆の人気者として、わたしは生まれ変わったように思えました。

ですがそれは、わたしの思い違いでした。
やはりわたしは罪深い女だったのです。
芸能界は魔物の巣窟です。

あどけない顔して男を誘う魔性の女だと言われながら、わたしは何人もの男に汚されました。

信頼していた人は野獣でした。
心から信頼していた人は野獣でした。
わたしを、淫乱だ、魔女だ、毒婦だと、散々罵りながら蹂躙しました。

自分の無力さが悔しくて、悲しくて、情けなくて仕方ありませんでした。
そして、仕事が出来なくなりました。
ステージに立ったとき、お客さんたちの目が、ギラギラした獣のように見えて、歌えなくなりました。

そのまま失神して、目覚めると病院にいました。
汚れたアイドルはステージに立てない。
それを知ったわたしは錯乱し、気が付いたときには看護婦さんたちに取り押さえられていました。

それからのことは、よく覚えていません。
何を話したのかも記憶にありません。
後で聞いた話では、虚ろな目で呆けるだけの毎日だったということです。

今ではフィリア・フィニルキーという名前のアイドルなんて、誰も知りません。

“偶像”(アイドル)は、“女優”(アクトレス)とは違います。
わたしは、木や石や、土くれや、冷たい金属で作られた、人形に過ぎないのです。
人間の都合で愛でられたり捨てられたりする玩具なのです。

散々遊んだオモチャは、もういらない。
壊れたオモチャは捨てるのみ。
わたしは、散々遊ばれて、壊れてしまったオモチャです。

でも、何故でしょうか。
神様は、こんなわたしを救いに来てくれたのです。

世界には、今にも死にそうな人が何万人いるでしょうか。
死に向かうだけの人が何十万人いるでしょうか。
病で死にかけている人が何百万人いるでしょうか。
飢えて哭いている人が何千万人いるでしょうか。
困っている人が何億人いるでしょうか。
苦しんでいる人が何十億人いるでしょうか。

それなのに、神様は他の誰でもなく、わたしのもとへ来てくださったのです。
神様は、わたしに全ての喜びを教えてくれました。
見られる喜び、美しくなる喜び、女の喜び、演じる喜び、そして、生きる喜び・・・。

クリエ様、わたしは何も悲観することはなかったのですね。
罪深いほど、快楽も深いのですね。
男たちを誘い、惑わし、魅了し、わたしの贄とする悦楽は、何物にも換えがたい満足感をもたらします。

わたしは罪深い女です。
そのことを誇りに思っています。

フィリア・フィニルキーは人気者です。
アイド・カルトーはスーパーアイドルです。

“偶像”とは、崇拝の対象とされる人でもあるのですよ。



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この記事へのコメント

2016年07月02日 12:01
コング「男を誘惑し、堕落させる悪女? もしかしてアイドか。♪もしかして、もしかして・・・きょうはサンパ2400文字は必要だ」
ゴリーレッド「待て」
コング「この濃密な内容を語るのに800文字では無理だ」
ゴリーレッド「無理ではない。簡潔に」
火剣「魅了は天性のものだったのか」
コング「体が成長? 言葉がいちいち刺激的だ。わざとか?」
ゴリーレッド「落ち着きなさい」
火剣「芸能界からスカウトされたのか」
コング「ノーパンミニスカートでスカウトマンを魅了したらしい」
ゴリーレッド「作り話はやめなさい」
火剣「どこの国も芸能界は魔物の巣窟か」
ゴリーレッド「魑魅魍魎が蠢く社会だ」
コング「何人もの男に汚された! かわいそうに。打ち合わせでホテルの部屋へ行きなさいと言われれば断れない新人」
火剣「無名の場合、実際にそういうことはある」
コング「ギラギラした目の野獣に蹂躙されてしまったのか。かわいそう」
ゴリーレッド「笑顔」
火剣「アイドルは偶像。これは言えてるな。美少女時代は全力応援していたファンも、年齢が行くと新しい若いほうへ行く。女優は何歳になっても根強いファンがいる。早い段階でアイドルからアクトレス。アイドルからアーティストへの転進が息が長くなる秘訣だ」
コング「1600文字へつづく!」
2016年07月02日 12:14
コング「では、フィリアは蹂躙されたシーンを再生」
ゴリーレッド「いらない」
コング「散々遊ばれたか。これは弄ばれという意味だな。ぐふふふ。水着撮影と言いながら全裸にされて男たちに触りまくられる。『やめてください』『あ、そういう生意気なこと言うなら宣伝費今すぐ返して1000万』」
火剣「クリエ・ソゥルが救世主に見えるのも無理はない」
コング「ここからが大事なのです。解説しよう。見られる喜びとは素っ裸を見られて疼く喜びだ」
ゴリーレッド「シャラップ」
コング「恥ずかしい!という気持ちは悦楽に通じる」
火剣「美しくなる喜び?」
コング「スッポンポンは全部見られてしまうわけだから、見られているという意識が女を美しく変える。美人になりたかったら番台に男がすわっている古い銭湯へ行き、全裸で牛乳ちょうだい」
ゴリーレッド「黙りなさい」
火剣「女の喜びはそのものズバリか」
コング「女の快感は男の10倍と言われているがこれは女がSEXを拒否しないための宇宙の法則であろう。女の喜びを知ってしまったらやめられない」
ゴリーレッド「軽い言い方だ」
コング「演じる喜び。これは重要だ。よく女子が声を出すのを演技だよ演技と勝ち誇る男がいるが何もわかっていない。脚を動かしたり、腰を浮かしたり、悩ましい表情をしたりという女子のリアクションでプレイは構成され最高の作品になるのであーるの女」
火剣「ほう」
コング「れんそうって言え」
ゴリーレッド「言わない」


2016年07月02日 12:22
コング「罪深いほど快楽も深い。名言だ」
火剣「男たちを誘い、惑わし、魅了し、虜にする。まさにスーパーアイドルになってしまった」
コング「偶像は崇拝という意味もあるのか。アイドルも偶像を越えて崇拝される段階に入れば、まさにスーパーアイドル。そのためには、フィリア・フィニルキーが辿った道を辿る必要がある」
ゴリーレッド「ない」
コング「濡れ場シーンのためにテストしようと言われ、この場で全裸になってと言われ、え、ここでですか? そう、何か問題でも。えー。恥ずかしいけど売れるためにはと素っ裸になると、今度は手足を縛ってみようか」
ゴリーレッド「延髄斬り!」
コング「NO!」
ゴリーレッド「最後の800文字は全く必要なかった」
コング「そんなことはない。アイドは紆余曲折を経てあの地位を築いたのだ。男たちに犯される時に唇を噛み、熱い涙を流した経験をないがしろにはできない」
火剣「同情してはいけないが」
コング「アイドも言ってる。同情するなら巨根をくれ」
ゴリーレッド「ブレーンバスター!」
コング「があああ!」
火剣「アイドの次はいよいよラスボスか?」
2016年07月02日 22:33
>火剣さん
モーセの十戒には、偶像を崇拝してはならないと書かれていますが、アイドルが使い捨てにされていく状況にも警鐘になっているのかもしれません。
アイド・カルトーこと、フィリア・フィニルキー。アイドル以外にはなれなかった少女です。

八武「天性の淫婦。素晴らしい。美貌と肉体だけでなく、言葉遣いも蠱惑的だ。」
神邪「エッチなのは良いと思います!」
維澄「超能力が無くても魅了しているね。それは本人にとっては不幸なことだけど・・。」
佐久間「魅了することが不幸なのではない。害を為す奴らの存在が不幸なんだ。」
神邪「人気があること自体は嬉しいですからね。」
佐久間「この頃から実は超能力もあった。元からの素質プラスC級の魅了能力だ。」
山田「なるほど。魅了自体は、ありふれた能力。コムザインも言ってたな。」
維澄「ありふれたアイドルから、固有の自己を確立・・・ある意味それは叶ったんだね。」
八武「コムザインはアイドだけは助けるべきだった。」
佐久間「そこまで余裕のある相手でもなかったよ。」
2016年07月02日 22:48
>コングさん
弄ばれ、捨てられてしまった玩具。クリエに拾われてからは、彼の為に演じようという気持ちが大きかったでしょう。
見られ、演じているうちに、偶像は本物となる。アイドの場合それは、悪の華でしたが・・・。

八武「ふむ、世界のどこかにはフィリア蹂躙のテープもあるはずだ。探してくれ千里!」
山田「そうだな、探し出して破棄しよう。」
八武「NO!」
佐久間「探さなくても、千里の能力で直接見ることが出来るし、後々それを映像化することも可能になる。」
神邪「21世紀のときは、映像化できていましたね。」
八武「依頼しに行く。」
佐久間「確実に却下される。」
八武「わかってる・・・だが、夢は見たい!」
維澄「それよりも陵辱した男たちを殺そう。」
佐久間「そっちは実行してるかもな。」
山田「死根也も覚悟しておけよ。」
八武「ぬう、まだ心残りが・・」
2016年07月02日 23:06
>ゴリーレッドさん
聖書では偶像は打ち砕かれてしまいましたが、人間たるフィリアには打ち砕かれたその後がありました。
悪の組織のスーパーアイドルとして、短くも華々しいセカンドステージを行きぬきました。

八武「十戒の中では、アイドが一番楽しそうだったねぃ。」
佐久間「誰しも充実した人生を送れる方へ行くものだ。一般社会ではアイドルは処女でなければ風当たりが強いが、アンティローグでは全然そんなことはないからな。」
山田「そこだけ聞くと、アンティローグにも良いとこがあるように感じてしまう。」
佐久間「悪い部分だけの組織など無いさ。」
神邪「そこは僕もアンティローグ寄りでしょうか。あんな可愛い子が経験豊富なんだ・・・と思うと、言いようもなく興奮してきます。」
八武「うむ。罪深いほど快楽も深い。これは私の目指す方向性とも合致している。」
維澄「いつまでも助けられる側では自由が無いからね。マグダラのマリアはイエスと懇ろになっていた噂があるが、それが真実だと思いたいよ。」
佐久間「助けられたワンオブゼムではなく、彼の特別になったというわけか。」
維澄「私も佐久間の特別になりたいものだね。」
佐久間「おい。」
山田「次回はラスト、クリエ・ソゥルか。」
佐久間「ラスト?」

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