「NEKTAR」 エピローグⅩⅡ

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前後も左右も上下も定かでない、果ての見えない暗黒空間。
そこで(1)なる契約に縛られた者たちが、向かい合うこともなく、てんでバラバラの姿勢で浮かんでいる。
「「ウロイ・ディムニスを殺してきたよ。」」
双子の姿で(7)は、その必要は無いと知っているが、言葉に出して報告する。
いわゆる様式美というものだと、人のものでない笑みを浮かべながら(7)は嘯く。
「「殺してきた、なんて過去形で言うのもおかしな話かもね。この空間で過去とか未来とか論じても仕方ない。私も所詮は常識が因果律に囚われてるの?」」
「「ま、仕方ないよね。ウロイ・ディムニスはゲシュペンストについて知りすぎていた。せっかくパパが分割したゲシュペンストを、うっかり完全体なんかにしちゃったら、“紅い牙”でも食べきれないもの。」」
「「それ以前に、1981年の私では完全体のゲシュペンストは手に負えない。不完全でも“紅い牙”のトリガーとなるようなものだし、1976年の段階で捕らえておくべきじゃないの?」」
そっくりの顔が目を見開いて、笑いながら同時に語る光景は、ぞっとするような不気味さがある。
しかし目の前の、片羽を毟り取られた暗黒天使に比べれば、まったくもって可愛いものでしかない。
「そんなに死ぬのが恐い・・・?」
「「あ、いや、別に。」」
後にゲシュペンストが口にするセリフを、(4)は透き通る声で闇に響かせる。
裸身の少女の形をしていながら、その声はどこまでも深く遠く、闇色にしか奏でられない。
一瞬で汗びっしょりになった(7)は、話を本題へ切り替えた。
「「それでこの、ぐちゃぐちゃにしたパラメッタ、何に使うのか教えてほしいんだけど?」」
「ギガマイルが進めている“電脳計画”への濁った一石よ。有り体に言えば“イヴィル”の強化。」
「「あれ、今回はやけにあっさり教えてくれるんだ? 私が死ぬより後のことだから?」」
自分が1981年に死ぬことを(7)は知っている。その歴史は決定されているし、体験している。
もはや(7)は死を恐れることはないし、恐れること自体が無意味だと理解してしまった。
自分の死は平面の事実でしかない。世界を裏から見る“リバース”の一員であるというのは、そういうことだ。

諸悪の根源にして、十名全てを契約で縛る(1)を筆頭に、済まされない禍々しさを持つ者たちが揃っている。
あらゆる最悪の(2)“邪神”ノットー・リ・アースに、(3)にして“偉大なる”ファンディーナ・リ・カオス。
片羽の天使(4)“計画者”デミ・リ・バースに、(5)コンシ、忠実なる(6)イクリプス・ディム・エイプリル。
(7)ティアティム・タロニス、(8)“森の熊さん”、(9)ティカルファ・タロニス、(10)レイム・オルゾーマ。

悪魔と呼ばれ名を馳せる(7)ですらも、“リバース”においては走狗ですらない。
ただ(4)のシナリオ通りに演劇を続ける、出来の悪いマリオネットでしかない。
ふと思いついて入れたアドリブさえも、とっくに(4)の脚本には書かれていた。

ああ、なんて恐ろしい。
ああ、なんておぞましい。

ああ、なんて美しい。

「サトリンの愛が勝つか、イヴィルの狂気が勝つか。私が肩入れするのは、言うまでもないな?」

片羽の天使は、毟られた翼から闇を滴らせて、“邪悪”の穴を穿った。




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