屍の街 8

「それで、これから私をどうするって?」
あちこち引き裂かれた服に身を包んで、ポニーテールの美女が磔になっていた。
豊かな胸や、くびれた腰、すらりと伸びた脚などが、血に塗れている。
しかし眼光だけは極めて鋭く、目の前の少女―――実際は少女という年齢でもないのだが、優しい顔をした悪魔を捉えて離さなかった。
「ん~、それは~、どうしよっかな~。」
少女は緑色のカーディガンとロングスカートという出で立ちで、唇に手を当てて首をかしげていた。
「とりあえず闇子(やみこ)の名を騙って、山田と八武をおびき寄せておいたけど、どうして欲しい?」
「貴様・・・私を怒らせるなよ?」
「闇子こそ、私を怒らせないでほしいな・・・。私たちの怨みは、闇子ひとりで購えるものじゃないんだ。」
「それは随分と安く見られたものだな。それとも何か? 誰でもいいから人を恨み続けたいのか? ククッ、気が合うな。ゲス同士、せいぜい仲良くしようぜ。」
そう言って闇子は、少女へ向かって唾を吐いた。
「私を怒らせないでって言ったよね?」
少女は優しい顔のまま、ムチを取り出して振るった。
ビシイッと音がして、闇子の肌が裂ける。
「ああ、美し~。綺麗なものが壊れるときが、最も美しい。芸術的だあ。」
「なるほど正論だ。貴様の心が壊れるときは、それはそれは醜い失敗作になること請け合い。」
「黙れよ。」
再びムチが振るわれる。
ぱっくりと白い肌が割れて、赤い筋が滲むが、闇子は悲鳴ひとつ発さずに笑っている。
「何を笑っているの?」
「いいや? そうやって私を痛めつけるほどに、貴様へのお仕置きタイムが楽しくなると思うと、つい・・・。」
「マゾなの?」
少女は優しく笑いながらムチを振るう。
それが顔面に当たり、左目から血が流れる。
「おいおい、マゾは貴様の方だろう。容赦ない仕置きを食らうと知って、なお私を痛めつけるとは。よほど私の責め苦が楽しみらしい。期待に応えてやらないとな・・・ククッ、アハハハハハハ!!」


- - - - - -


「初めまして、八武死根也さん。私は佐久間撃針(さくま・げきしん)と申します。」


- - - - - -


「初めまして、山田太郎。私はっ、佐久間円窓(さくま・えんそう)だよん。」


- - - - - -


「そう言えば、自己紹介が済んでいませんでしたね。私は佐久間筒子(さくま・とうこ)。一族のはぐれ者を率いる、リーダーのようなものです。」




つづく

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