傀儡師は夜に眠らない 6

「何故、だって?」
ギルは肩を竦めて笑いました。わたくしに向けられた気さくな笑顔は、まさに友人への情愛以外の何物でもありませんでした。
しかし彼の言葉は、怒りと、憎しみと、殺意に満ち溢れていました。
「大声で、飲んだくれて、女を見下し、弱い男を蔑み、それらを正当化して暴力を振るう・・・そんな、下品で野蛮な連中に、これ以上の“殺される理由”が必要なのかい?」
「ギル・・・。だが、だがな、ギル。」
「待ってよアモン。今はボクが喋ってるんだ。ボクが喋りたいんだ。」
「・・・わかった。」
ここで彼を遮ったところで、戻ってくる命はありません。わたくしは、真実を闇に閉ざすよりは、彼の話に耳を傾けることを選びました。
「だけど女は、逞しい男を、むくつけき男を、強い男を選ぶ。細やかさや繊細さ、優しさを求めても、男としての境界の外にある者には興味を持たない。それは仕方ないことだけど、やるせないことだ。」
哀しみと、苦しみと、絶望が伝わってきました。
「ボクは女が嫌いになった。愛されないから、愛さない。ボクを愛さない命は、大切に出来ない。」
浪漫と、狂気が滲み出ていました。
「なあアモン、アナタは“特別”だ。アナタとボクは、世界の理から外れている。外れている者同士だ。」
「・・・男を愛する男、ということか?」
「誤魔化すなよ、アナタ。それもあるけど、もっと確かな事実があるだろう?」
ギルは立ち上がり、赤・青・黄の人形を宙に浮かせました。
「手品じゃないよ、アモン・ガゴルグ。ボクは超能力者だ。そしてアナタ、どうして生きている?」
「皆殺しにするつもりだったのか。俺も殺す気だったか?」
「まさか! アナタが死なないことは最初からわかっていた・・・。何故ならアナタは特別な存在だからです。」



つづく

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