決闘祭!   Act 86 ヒューリスティクス

◆ ◆ ◆



誰かがコインを入れたみたいだね



◆ ◆ ◆



「リンクスのファイアウォールが解除された・・・さっきまで、びくともしなかったのに・・・?」

闇坂琴美は首をかしげながらも、この好機を逃さずハッキングを続ける。

今しがた何かのデュエルが行われた形跡があったが、それは無視してデータバンクに侵入。
そこから雲井の指定した2枚と、足を引っ張らない通常モンスター3枚のデータを読み込む。
通常時ならハッキングの必要も無い、ただのダウンロードだ。簡単なこと。

「さっすが琴美ちゃん、コンピューターを扱わせたら天下一品だぉ。」

「すげえ手さばきだぜ・・・佐助さん並みだ・・・」

折春だけでなく、雲井も感心して見入っていた。
一族において、様々な教育を施されてきたことが、こんな形で役に立っている。琴美は複雑だった。

かつて折春が当主だった頃には、コンピューターの性能は低く、教育内容に含まれていなかった。
雲井は現代の少年であり、折春よりもコンピューターには詳しいが、一般人の範疇である。
この場において、リンクスにアクセスできる味方は、琴美しかいなかった。

そのことが琴美にとっては救いになっていた。
雲井に言われるまで、勝利を見過ごしていた役立たず。勝利を諦めていた愚者が、こうして役に立っている。



- - - - - -



「待たせたな、ハットー。」

不気味な静寂を突き破り、風巻く屋上に雲井忠雄が、颯爽と登場した。

「ぽ、ぽ、ぽ、ぽ~ん、どうしてデッキを・・・?」
「どうして?」「どうして?」「どうして?」「どうして?」

周囲を闊歩するダークネス・ハットーの群れが、口々に疑問を口にする。

「てめぇの世界じゃ、“使われてないカード”しか使えねえ。だったら簡単じゃねえか。リンクスのデータから、新しくデジタル・カードを作成すれば、そいつは“まだ使われたことがないカード”だろ?」

「ぽ・・・・・・まさか、ハクアが敗れたの?」
「だけど、リンクスに登録されているカード如きで、この布陣“ダークネス・オーバー・ザ・ワールド”を打ち崩せると思ったら大間違いですからね!」
「ぽぽぽぽ」「ぽぽぽぽ~ん」「たのしい仲間が」「ぽ、ぽ、ぽ・・・」



「なに勘違いしてんだよ」



「ぽ?」「ぽ?」「ぽ?」「ぽ?」

「俺はなぁ、ずっと考えてたんだぜ。“闇の神”の攻略法を・・・。もしまた“闇の神”が出てくるようなら、今度は引き分けでなく、ぶっ倒してやるってな!」

初期手札を揃えて、雲井は闇の世界を睥睨する。


「てめぇらに教えてやるぜ! この俺にデッキを与えるっていうのが、どういうことなのかをな!!」


「ろりろりん♪ 準備完了だぉ!」

折春のフィールドには、《変幻する闇の世界》が5枚。
それらは5種類のフィールド魔法に変化していた。


光の世界 (フィールド魔法)
相手は「闇の世界」カードを使用できない。


星見世界 (フィールド魔法)
フィールドと墓地のモンスターはレベル10になる。


うずまき (フィールド魔法)
デュエルのルールを切り替える。


五行封印-桔梗の陣 (フィールド魔法)
デュエルの敗者は封印される。


Fairy Tale 最終章 忘却の妖月 (フィールド魔法)
守備モンスターが攻撃表示になったとき、攻撃力を2倍にする。



そして雲井は、1枚のモンスターをディスクに叩きつける。


ライトロード・マジシャン ライラ レベル4 光属性・魔法使い族
攻撃力1700 守備力200
(1):自分メインフェイズに相手フィールドの
魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。
自分フィールドの表側攻撃表示のこのカードを守備表示にし、対象の相手のカードを破壊する。
この効果の発動後、次の自分ターンの終了時までこのカードは表示形式を変更できない。
(2):自分エンドフェイズに発動する。自分のデッキの上からカードを3枚墓地へ送る。



「対象は、てめぇの《真・闇の世界-ダークネスワールド》だぜ!」


もちろん、闇の世界シリーズが、一般のモンスター効果で破壊されることなどない。

だからこそ良い。
破壊されないからこそ。


闇の神-デスクリエイト レベル12 神属性・神族・ゴッドシンクロ
攻撃力5000 守備力5000 「闇の支配者」+レベル10のシンクロモンスター
このカードは魔法・罠の効果を受けない。
自分の場に「真・闇の世界-ダークネスワールド」が存在するとき、このカードはモンスター効果を受けない。
このカードの攻撃力は自分の墓地にあるカード1枚につき500ポイントアップする。
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
フィールド上に存在する表側表示モンスターは全て攻撃表示となる。

各プレイヤーは必ずバトルフェイズを行わなければならない。
攻撃可能なモンスターは必ずこのモンスターと戦闘を行う。
相手または自分の攻撃宣言時にフィールド上に表側表示で存在する
「闇の世界」と名のついたカードを条件を無視して除外することで、
このカードはエンドフェイズ時まで攻撃力が2倍になり、戦闘では破壊されなくなる。



本来それは、相手に守備を許さない、攻撃的で暴力的な効果のはずだった。

だが、本来の使い手を離れた今、それは相手を利するだけになってしまった。


《ライトロード・マジシャン ライラ》 (守備→攻撃、攻1700→3400)



Fairy Tale 最終章 忘却の妖月 (フィールド魔法)
守備モンスターが攻撃表示になったとき、攻撃力を2倍にする。



かつて闇に染まった双子が使っていた、循環型フィールド魔法の夜。

“闇の神”の効果を逆手に取った、無限ループのパーツカード。

かつて吉井がリンネ相手にも用いていた“オートコンボ加速システム”が、ライラの攻撃力を発散させていく。


《ライトロード・マジシャン ライラ》 (攻3400→6800→13600→27200→54400→108800→・・・・・・



うずまき (フィールド魔法)
デュエルのルールを切り替える。



スーパーエキスパートルールにおいては、伝説の三騎士が無限ループで蛇神を倒したように、数学における極限の概念をゲームに顕現することが出来る。
すなわち、“オートコンボ加速システム”によって行き着く先は、曲率無限大のブラックホールと同じ、無限領域。


《ライトロード・マジシャン ライラ》 (攻∞)



「とどめだぜ、《拡散する波動》!!」


拡散する波動 (魔法カード)
1000ライフポイントを払い、
自分フィールド上のレベル7以上の魔法使い族モンスター1体を選択して発動できる。
このターン、選択したモンスター以外のモンスターは攻撃できず、
選択したモンスターは全ての相手モンスターに1回ずつ攻撃しなければならない。
この攻撃で破壊された効果モンスターは効果を発動できず、無効化される。



たとえ《うずまき》の影響下であろうとも、リンクス作成の簡易デジタルカードはテキストを変えられない。
オリジナルの《うずまき》なら話は別だろうが、この《うずまき》は《変幻する闇の世界》だ。

しかし、それを補う《星見世界》が、ライラを高位の魔術師に引き上げる。


星見世界 (フィールド魔法)
フィールドと墓地のモンスターはレベル10になる。



「ぽ、ぽ、ぽ・・・! “闇の神”の効果で、フィールド魔法を除外――「無駄だぜ」


光の世界 (フィールド魔法)
相手は「闇の世界」カードを使用できない。



マスタールールにおいてさえ拡大解釈されているカード。
《うずまき》のもとで更に拡大・類推解釈をすれば、あらゆる意味で「闇の世界」を使えなくなる。
オリジナルの《光の世界》であれば、マスタールールのもとですら可能かもしれない戦術だ。当然の結果である。

そして折春のデュエリスト能力“テリトリージェム”は、デュエルフィールドの範囲を操作する。

「最初は驚かされたたが、よく考えりゃ随分しみったれた力だぜ。てめぇは、この地球上でしか君臨できねぇ。だったら外気圏まで含めたところで、たかだが20兆立方キロメートルしか届かねえってことじゃねえか。つーことは、その範囲まとめて全部、攻撃しちまえばいいだけの話なんだぜ!!」

「ぽぽぽ・・・っ、そんな、乱暴な、脳筋理論に・・・この私が、ダークネス・ハットーが、負ける・・・・・・!?」

「けっ、乱暴なのは、てめぇの方じゃねえか。ダークなら、こんなカードパワーだけに頼ったような、雑なプレイングはしなかったぜ。“闇の神”程度ならともかく、ダークに勝てるかどうかは、正直まだ自信が無いぜ・・・。」


ライラの魔法が地球を覆っていく。

“闇の神”は次々と消滅し、ハットーは断末魔の叫びを発して消えていった。


五行封印-桔梗の陣 (フィールド魔法)
デュエルの敗者は封印される。



闇の世界シリーズの多重結界に、創造神の与えた桔梗の陣。
このコンボからは、たとえダークネスでも逃れることは出来ない。

雲井忠雄と闇坂の、完全勝利だった。



◆ ◆ ◆



「きゅう~、ハットー死んじゃったよ~~~」

「仕方あるまい、自業自得だ。私を呼べば、闇の世界の名前を変えて、《光の世界》に対処できたし、リアを呼べば私と相性の悪い闇坂琴美にも対処できていた。それをしなかったハットーが悪い。」

黒い本を閉じて、竜堂星目は首を振った。

「・・・好意的な解釈をすれば、それでも確実な勝利が望めるわけではない以上、我々を巻き込まなかった判断とも取れるが、いずれにしても愚かなことだ。絆は無くとも、仲間意識くらいはあるというのに、見くびられたものだよ。」

「きゅう・・・・・・もう、駄目なのかな。ハクアもハットーも結局、ろくに相手の戦力を削ることが出来なかった。ハクアは災害を起こして大勢を殺したし、ハットーは闇坂の3人を食い殺したけど、主要戦力には傷ひとつ無い。」

「ああ、甚だしく駒損だな。私とて、リアのマシニクル展開に乗じて風森無々を殺したが、そのせいで・・・いや、考えてみれば最初から決まっていたことか。」

「きゅう~? どういう意味?」

「この世界は色々おかしいということさ。そもそも現在の時系列で、どうしてスターの薫が・・・・・・まあいい。それについて考えるのは後だ。このアジトも、そろそろ危ない。」

「・・・でも、どこへ行くの? どこへ行っても駄目なんじゃないの? これが絶望だよ、きゅ~~~~~!」

「あまり気は進まないが、グレゴリーのところへ身を寄せるさ。」

星目はペロリと指を舐めて、笑みを浮かべた。

「A級主席、グレゴリー・カトラス。奴には誰も勝てない。“誰も”な・・・」



◆ ◆ ◆



「久しぶりだなあ、グレゴリー!」

「そろそろ来ると思ったぜ、ピトス・・・。」

3メートルを超える巨漢と、倒れたまま起き上がらない男が、“滅亡派”本部に程近い場所で対峙していた。

「物知りのグレゴリーなら知ってると思うがあ、滅亡派が恐ろしいことを企んでる。ついさっきの地震も、その一環に違いない。おれっちと一緒に、滅亡派を潰しに行こう! 仲間になってくれグレゴリー!」

「仲間・・・? それは新手の冗談か・・・?」

「冗談などではない! このままでは世界が滅亡するんだあ! 希望を捨てた者どもが、希望を持って生きている人々を巻き込んで、世界ごと心中しようとしている! 許せないんだあ!」

「・・・お前は昔から冗談が上手いよな、ピトス・パン。世界平和だとか、共産主義革命だとか・・・今度はアレか、幼稚な子供だましの、世界を守ろう、人類みな兄弟、それとも大事な人の為? くだらねぇな。」

「グレゴリー・カトラス、昔からの付き合いなら・・・おれっちが、そういう冷笑的な態度を一番嫌うってことを、知っているはずだがなあ。」

「知ってるさ。善は悪を知らないが、悪は善を知っている。俺が一番嫌いなことは、他者の苦痛に対する無関心だってことを、お前らは知らない。」

「知っている!」

「知識としてはな。」

倒れたままで、グレゴリーは槍のような言葉を紡ぐ。

「ピトス、お前は頭は良いが、粗暴だ。お前は・・・お前らは、冷笑と失望の違いもわからないし、苦痛や絶望に対して冷笑的なのに、どうして俺に意見できるほど偉いんだ? お前如きが世界平和を口にするなよ。」

口からは血が垂れていた。
A級の頂点にして、健康の底辺。グレゴリーは死にかけている。

「雑魚どもに幾ら誤解されようが屁でもねえが、いちおう解説してやると、俺は世界平和や共産主義を貶すほど馬鹿でもないし、利他的な精神や共依存を否定するほど愚かでもない。ただ、お前ら寝言文化人どもを貶し、否定してるだけなんだよ。どれだけ高尚な思想だろうが、結局は扱う者次第だ。お前らの薄汚え共産主義ゴッコには心底ヘドが出るぜ。主人公気取りが、せいぜい善意を敷き詰めて、地獄でコミュニズム歌ってろ!」

「・・・・・・そこまで言うなら、覚悟は出来ているんだろうなあ! おれっちは普段は温厚で我慢強いが、やるとなったらトコトンやる人間だぞお! デュエルだ! デュエルだあ!!」

「温厚で我慢強い? よく言うぜ・・・生まれて初めて真剣勝負をするような男が・・・!」

「何だとお!? どこまで侮辱する気なんだあ!!」

「半分以上は褒めてるんだがな・・・。ピトス、お前の“シュレディンガー”は、ハクアの無尽蔵も凌駕する力だ。お前の、その・・・わけのわからん気合や根性が、そのまま引きの強さとして発揮される。加えて頭もいいから、プレイングミスを犯さない。これまで本気を、全力を出しているつもりでも・・・足りてないんだよ。危機感とか色々。」

よろよろと立ち上がり、血を吐きながら、グレゴリーはデュエルディスクを構える。

「だが、今このとき、この場においては違う。お前が死力を尽くしても、絶対に勝ちを望めない相手が、目の前にいるという幸せを、噛み締めてもらいたいなァ・・・!」

「デュエルに絶対など無い! おれっちは、必ず勝って、おまえの目を覚まさせてやる!」

「視野の狭い奴ほど、他人を盲目にしたがる・・・・・・どこだろうと、変わらないな。」


「「デュエル!」」


ピトス・パン:LP8000
グレゴリー・カトラス:LP8000



「アクションフィールド《サンクチュアリ・ゼロ》発動。アクションカードの無い、アクションフィールドだ。くだらないアクションは封じたぜ。」

「嘘だなあ。」

「あん・・・?」

「そのフィールド魔法は、“吊るされた天使”(レグナフォース)の領域だあ。名前でピンと来たぞ。」

レグナフォースとは、未確認情報を後出し出来る力である。
“セイバー”が追っていた組織が使用していたもので、館柳信哉は危うく死にかけたことがある。

「念じれば、いつでもどこでもアクションカードを手にすることが可能というわけだあ。ピーターを倒したのは、《零式魔導粉砕機》とのコンボだなあ?」

「ご名答。やっぱ、お前・・・頭いいわ。」

リスクを負えば、誰にでも習得可能な技術。
個人差があるので、グレゴリーは物的殺傷までは出来ないが、十分に恐ろしい力には違いない。

「お互い様だあ。A級戦力のデッキを全て覚えているとは、相変わらず恐るべき記憶力だなあ!」

「東堂じゃあるまいし、覚えてるわけじゃねえよ。ただ、能力を活かそうと思えば、大概キーカードは固定されている。そいつの好みも合わせて考えれば、ほぼ確実にデッキに入っているカードくらい、10枚は見抜けるさ。」

「それだけの力を、どうして世界を守る為に使わないんだあ! いや、わかっている、おまえも本当は世界を守りたいはずだあ! 今からでも遅くはないぞ!」

「起きたまま寝言ほざけるのが、寝言文化人たる所以だよなァ。本当って何だ? 自分に都合の悪いことを、嘘だ愚かだ間違いだと、見下してるだけじゃねえか。・・・で、初期手札はエクゾディアでも揃えたか?」

「その手には乗らないぞ! おれっちが即死反射に引っかかるとでも思っているのかあ!?」

「だろうなァ・・・だったら、これはどうする? お前の手札に《クイズ:数学の5000》を出現させるぜ。」

「ぬう・・・!? おのれえレグナめ!」


クイズ:数学の5000 (アクション罠)
(1):自分は以下の問題に答えなければならない。
また、正解・不正解で以下の効果を適用する。
(問題:フェルマーの最終定理を証明せよ!)
●正解:自分は5000LP回復する。
●不正解:自分は5000ダメージを受ける。



「・・・・・・ふん、だが、その程度かあ。その1、X^N+Y^N=Z^Nを満たす3以上の自然数が存在すれば、フライ曲線が存在する! その2、フライ曲線は半安定の楕円曲線である! その3、フライ曲線はモジュラーではない! その4、全ての半安定な楕円曲線はモジュラーである! その2、その3、その4から、フライ曲線は存在しない! すなわち、X^N+Y^N=Z^Nを満たす3以上の自然数も存在しない! 証明完了!」


ピトス・パン:LP8000→13000



「どこまで詳しい証明が必要か書いてないなら、概要だけで十分だあ!」

「流石に知ってたか・・・。それなら素直に《大凶》だ。」

「舐めるなあ! 《ハネワタ》発動! それとアクション魔法《ノーアクション》を互いの手札に加えるぞ! レグナを使えるのは発動者だけではない!」


ノーアクション (アクション魔法)
(1):アクションカードの発動時に発動できる。そのカードの発動を無効にし、破壊する。



「なるほど、アクションカードは1枚しか手札に持つことが出来ない・・・。これで封じたというわけか。まあいい、お前を相手に、チャチなスキルやアイテムが通用するとは思っていなかった。ダメ元は、やっぱり駄目だなァ。ドロー。」

アクションカードを除く6枚の手札を見て、グレゴリーは即座に行動を起こした。

「ライフの半分を支払って、《ヒーローアライブ》発動・・・プリズマーを呼び出し、ネオスに変える・・・エア・ハミングバードを召喚。更にライフを半分支払って、《亡龍の戦慄-デストルドー》守備表示で特殊召喚・・・!」


グレゴリー・カトラス:LP8000→4000→2000

《亡龍の戦慄-デストルドー》 (レベル7→4)



亡龍の戦慄-デストルドー レベル7 闇属性・ドラゴン族・チューナー
攻撃力1000 守備力3000
このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが手札・墓地に存在する場合、
LPを半分払い、自分フィールドのレベル6以下のモンスター1体を対象として発動できる。
このカードを特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したこのカードは、レベルが対象のモンスターのレベル分だけ下がり、
フィールドから離れた場合に持ち主のデッキの一番下に戻る。



「コンタクト融合、エアー・ネオス・・・!」

《E・HEROエアー・ネオス》 (攻2500→13500)



E・HEROエアー・ネオス レベル7 風属性・戦士族・融合
攻撃力2500 守備力2000 「E・HERO ネオス」+「N・エア・ハミングバード」
自分フィールド上に存在する上記のカードをデッキに戻した場合のみ、
融合デッキから特殊召喚が可能(「融合」魔法カードは必要としない)。
自分のライフポイントが相手のライフポイントよりも少ない場合、
その数値だけこのカードの攻撃力がアップする。
エンドフェイズ時にこのカードは融合デッキに戻る。



「《インスタント・ネオスペース》を装備し、速攻魔法《時の飛躍》!」

「舐めるなと言ったはずだあ! おれっちは《クリボー》を捨ててダメージを無効にするぞ!」

「それで防いだつもりかよ・・・アクセルシンクロ、《星態龍》だ!」

「ぐ・・・?」

ピトス・パン:LP13000→9800


「これも習得できる技術だ・・・。《平和の使者》を出してターンエンド。」


平和の使者 (永続魔法)
フィールド上に表側表示で存在する攻撃力1500以上のモンスターは攻撃宣言をする事ができない。
このカードのコントローラーは自分のスタンバイフェイズ毎に100ライフポイントを払う。
または、100ライフポイント払わずにこのカードを破壊する。



グレゴリー・カトラス:LP2000、手札1(ノーアクション)
場:星態龍(攻3200)
場:平和の使者(永続魔法)

ピトス・パン:LP9800、手札4(ノーアクション、?、?、?)
場:
場:



「どういうつもりだあ?」

「質問の意味がわからねえよ。《星態龍》が相手ターンではバニラ同然だから、勝てると思ってるんだろ? レグナフォースが展開されている以上、イメージ可能な全てのカードを引くことが出来る・・・だから、勝てると。」

「・・・それをわかっていて、質問の意味がわからないかあ?」

「当たり前だろ。どういうつもりかって・・・そんなの、俺が勝つ為に決まってるじゃねえか。

「ぬう・・・・・・?」



「俺のターン、ドロー。」



グレゴリー・カトラス:LP9800、手札5(ノーアクション、?、?、?、?)
場:
場:

ピトス・パン:LP2000、手札1(ノーアクション)
場:星態龍(攻3200)
場:




「な・・・・・・な、何をしたあああ!!??」

「“カティスフォルト”。・・・お前が“主人公”だとしたら、さしずめ俺は、その座を奪う者・・・せっかく勝利フラグが立ってるのに、それを折るなんて勿体なくて・・・ククク、せっかくだから、いただくぜ。」


“過負荷絶望”(カティスフォルト) レベルX能力(所有者:グレゴリー・カトラス)
ターン開始時に論理的に相手の勝利が確定した場合、状況を入れ替える。
(この効果はプレイヤーの認識に寄らず強制であり、複数回は適用されない)



「な・・・・・・何だあ、それ・・・・・・?」

「人のこと言えた口かよ。・・・まァ、お前らA級戦力とのデュエルで、こいつを披露したことは無かったから、驚くのも無理ねえか。A級の中で、俺に勝てる可能性があるのは3名、中でも実際に負けたことがあるのはシルベスターのみ・・・残り2人とはデュエルしたことがないだけだが・・・つまりピトス、お前は俺に勝てねえよ。何度やってもな。」

「ぐ・・・・うぐ・・・・・・・」

「安心しろ。殺しはしねえ・・・。まァ、死ぬよりキツいことになるかもしれねえが、絶望の一端でも味わっていけよ。」

引いたカードを、グレゴリーは静かに場に出した。


地獄戦士 レベル4 闇属性・戦士族
攻撃力1200 守備力1400
このカードが相手モンスターの攻撃によって破壊され墓地へ送られた時、
この戦闘によって自分が受けた戦闘ダメージを相手ライフにも与える。



グレゴリー・カトラス:LP9800→7800
ピトス・パン:LP2000→0



「・・・・・・っ・・・・・・・・・・・あ・・・・・・・・・・・」

ピトスは意識を失い、その巨躯を大地に預けた。





「みゃはは、流石は灰期くんだね♪ 擬似・掌握の力では相手にならないか。」

赤みがかった栗色のショートヘアを揺らして、少女がピトスの背中に降り立った。

「みゅふふ、これ結構いいね、踏み心地。」

「美少女に踏まれる巨漢てのは、見ごたえのある光景だな。それで竜堂星目、何しに来た?」

「あ、どうしてわかったのかなって、星目は驚いたフリをしてみる! かまをかけてるの?」

「フリとか言ってる時点でわかってるんじゃねえか・・・。言うのも疲れる単純な推理だ、リアライズの気配が近くにある時点で、星目しかねえだろ。」

「きゅ~、バレてた~~~ごめん~~~」

申し訳なさそうな顔で、リアが歩いてくる。

「その調子で、どれだけ人を騙くらかしてきたんだ、お前・・・。俺の妻だったのも、カノンでなく、お前だったりするんじゃねえだろうな・・・?」

「みゃはは、まっさかあ! だって私、灰期くんみたいなサディスト嫌いだもーん♪」

「だから尋ねてる。何しに来た?」

「みゅ~るるる、《次元神帝フラクタル》の復活を間近で見に。あと、息子の件。」

「・・・そうか、いよいよだな。」

「えっ?」

楽しそうな笑みを浮かべて、大河灰期・・・グレゴリー・カトラスは目を赤く輝かせた。
それは血が滲んでいるだけだったが、星目とリアをして心胆寒からしめる凶相だった。

「とっくに終わったオマケのような人生だったが、さァて、ここでGame overか、はたまた再びContinueか・・・・・・」


ぐしゃりと自分の髪を掴んで、“絶望”は笑う。楽しそうに、嬉しそうに。


「愛してるぜ、マサキ・・・・・・ククッ、ククク、ハハハハハハハッ!!」







   決闘祭!   第7章 了

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