佐久間闇子の帰宅

窓を開けた教室に、爽やかな風と蝉の鳴き声が流れていた。
整然と並べられた机の群れに、傾き始めた陽射しが影を作る。
黒板消しをクリーナーにかけて、少女は粉を拭き取り、息を吐く。
いつもながら、緑色だというのに黒い板とは疑問だ。
しかし彼女の漆黒に流れる髪も、光を弾いて緑が闇を映える。
「それで、何の用?」
少女は13歳という年齢に似合わず、落ち着いた口調で言った。
あるいは、それが呼び水となったのか、男子生徒は口を開き、
「佐久間闇子さん、好きです! 付き合ってください!」
教室中に響き渡る声で告白した。
だが、少女は顔色ひとつ変えずに即答した。
「断る。」
優しくも辛辣でもない、無機質な返答。
それは男子生徒の心を折るに十分だった。
とぼとぼと歩き去る少年は、途中で大柄な男子とすれ違った。
ひとつ学年の違う先輩で、佐久間と親しい唯一の男。
嫉妬の炎を向けられて、大柄な男子は鼻白んだ。
そのまま教室に入り、少女の姿を見て全てを察した。
「また告白されたのか。」
「ああ。」
少女は窓を閉じて鍵をかけているところだった。
シャッと音を立ててカーテンを引くと、ようやく振り向く。
「何の用だ、山田。」
「用ってほどでもない。相変わらず真面目だな。」
中学生離れした体格は、制服に収まり切らない。
少年は全体的に、少女は胸部の発育が。
「そんなことを言いに来たのか。」
「随分とモテてるじゃないか。」
「モテる? 私が?」
映える瞳をギョロリと動かして、少女は問い返した。
「今月で4人目らしいじゃないか。」
「好みでない奴に言い寄られるのを、モテるとは言わない。」
「手厳しいな。」
「どこが? 一般的な感覚だと思うぞ。例えば山田、糞尿を垂れ流す不細工に言い寄られたら、お前は嬉しいのか?」
「話が極端すぎる。佐久間、それ、あいつに言うなよ。」
「誰に? 生憎と、お前以外の男は、糞尿か塵芥にしか見えない。敢えて言わずとも、言葉を制限される謂れは無いな。」
少女は汗で張り付いた制服を、煩わしそうに摘んだ。
「帰るぞ、山田。」
「おう。」
少年は鞄を掲げて歩き出した。



- - - - - -



山田 「うーむ、思えば昔から下ネタは全開だった。」

佐久間 「何が?」

山田 「しかし何故か、変わり果てた印象があるんだよな。」

佐久間 「だから何が。」

山田 「お前だ、お前。」

佐久間 「ああ? ロリコンが何かほざいとるわ。」

山田 「ちょっと待てや。」

佐久間 「ほらよ、これでいいんだろ?」(3歳)

八武 「違う、そうじゃない。」

維澄 「佐久間、誕生日おめでとう。」

闇子 「山田に真っ先に言われたかったのに! 変態革命家ごときに先を越されるとは、山田しっかりしろ!」

山田 「お前の頭がしっかりしろ。」

闇子 「私は常に正常だ。栞には礼として乳枕をしてやろう。」

維澄 「やったあ、正常だ!」

八武 「佐久間、誕生日おめでとう! 礼は食ザーで構わないよ?」

闇子 「贖罪でもしてろ。」

八武 「ぬうっ、今日の佐久間は百合寄りなのかね?」

維澄 「・・・ボリュームが足りない。せめて13歳に!」

闇子 「黙れ貴様ら。」

山田 「まあ、性格が丸くなったのも確かだが。」

闇子 「私を侮辱する気か?」

山田 「何でだよ、褒めてるのに。」

闇子 「丸くなったら、後は擦り減るだけだ。」

山田 「尖ってると、いつか折れるぞ。」

闇子 「そこで私は射影平面になろうと思った・・・。」

山田 「まあ俺としては確かに、尖っている佐久間こそが本質だと思っているが、擦り減るのではなく、建前や社交辞令とかで覆って丸くなったと言いたいんだ。」

闇子 「変わり果てたとか言ってなかった?」

山田 「下品さが・・・」

闇子 「だから、昔から排泄物の話はしてるだろうが。」

山田 「そうなんだけど。」

闇子 「むしろ子供時代の方が容赦なく下品さで溢れていたぞ。」

山田 「そうなんだけど、そうじゃなくて。」



神邪 (むしろ山田さんの方が、昔と印象が違う・・・。)





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