ちょっとエッチな猫耳猫 シェルミア編





奇妙な寝苦しさを感じて、ソーマはぼんやりと覚醒した。
だが、まだ昨日の疲労が残っているのか、
身体を起こすのが億劫だった。

鼻腔をくすぐる香りと、人肌の感触。

(やっぱり、ぬるぬる・・・・・・ん?)

ふかふか、ではなく、ぬるぬる。
この歳になって、おもらしでもしたのかと
ソーマは青くなったが、どうも違う。

ぎちぎち、とか、じゅぼじゅぼ、とか、
更には、あんあんとかいう擬音が付きそうな―――


「お、わぁぁ?」


思わず、驚愕と感嘆の入り混じった声をあげてしまう。
だが、それは仕方のないことだろう。
なぜなら・・・・・・。

「ソーマ、ソーマ、ソーマ、ソーマ、ソーマ・・・・・・」

彼の視線の先、身体の上には、一糸まとわぬ姿で彼を貪る、
青髪青目の美しい少女の姿があったのだから。

(な、何なんだ、この状況・・・!?)

ぼんやりしていた頭を、困惑と驚愕が急速に動かす。
となれば熟練の猫耳猫プレイヤーたるソーマだ。
すぐにこの状況に見当をつける。

(・・・バグだな。)

そう、このゲームはバグが多い。
それは現実化した状況でも変わらない。

猫耳猫のゲームでは、人物キャラクターは裸にならないので、
一糸まとわぬ姿で現れた時点で、バグの可能性が高いのである。

ゲーム仕様と現実仕様が入り交ざったことで、
その法則が崩れている可能性もあるし、
抜け道として、変装グッズによるモンスター化や、
抜き身の砂竜剣は、“全裸”と呼べるだろう。

この事実からしても、ソーマが決してスケベ心で
全裸の美少女を観察していたわけではないことが証明できる。


・・・いや、そんな余裕は無い、と言った方が正しい。


むず痒い下半身から、今にも何かが噴き出しそうで、
ソーマは熱に浮かされたような顔で、腰に手を回した。

ぬちゃり。

洪水のような感触が、指をリアルに伝わる。
紛れも無く、人間の、“中身”。
これまで触れたことのない、デリケートな部分。

「・・・ん」

無表情に近い少女の口から、甘い息が漏れた。

それだけのことなのに、少し興奮してしまう。
まったく、彼女とのコミュニケーションは大変だ。










「―――ブラッディスタッブ!」

彼女の口元に垂れる鮮血を見ながら、
ソーマは急いで忍刀を手に取り、スキルをオーダーした。

「お、おぉおお!!」

傷が、癒えていく。
身体に力が漲ってくる。
就寝前と同じか、ともすればそれ以上に。

脊髄近くまで損傷していた骨は、みるみるうちに再生し、
食い荒らされていた内臓も、ちぎれていた血管も、
ぐにょり、ぐにょりと、イエロースライムの増殖よろしく
エレメンツを纏って元に戻っていく。
引き裂かれ、ミンチのようになっていた肉が元通りに閉じて。

散らばっていた血肉も、むせ返るような鉄臭と共に
光の粒になって消えていった。
不自然と言われようが、このクリーンさは便利なものだ。


(データを、補おうとしたのかな。)

羞恥を抑え込む意味も含め、ソーマは考察した。
推測だが、彼女が何かから“弾き出された”として、
本来あるべきスペックを失っていたとすれば、
その欠損を埋めるべく、本能が働いたとしても
猫耳猫なら不思議ではない。
ゲーム仕様と現実仕様が入り交ざった今なら尚更だ。

かといって、肉体の半分を喰われて死にかけておきながら
「気にしてないよ」と言えるはずもない。
いくら過度な痛みはオミットされるといっても、
現実仕様が混ざったこともあって、かなり痛かった。
一糸まとわぬ美少女のインパクトが無ければ、
のたうちまわっているところだった。


「・・・うごけ、ない。」

封魔の台地での釣りにも使ったロープで、
ソーマは謎の美少女を拘束した。
いやらしい意味ではない。

現実問題、野放しにするのは色々な意味で危険すぎる。
ぐじゅぐじゅと、まるで果物のように頬張っているのは、
まだ粒子になって消えきらぬ、ソーマの肉片なのである。

あらためて観察すると、やはり相当の美少女だ。
腰に届くほどの長さの青い髪と、透き通るような青い瞳。
それを抜きにしても、まるで王国の姫君のような気品―――

「シェルミア、王女・・・」

気が付けば、すんなりと彼女の名前が口をついて出ていた。
わかってみれば明白だった。
元より主要キャラである推測は立てていたので、
とっかかりを掴めば芋づる式。

「ソーマ、ほどいて?」

なぜ彼女がソーマの名を知っているのかも、
弾き出した原因がマキであれば説明できる。

謎は全て解けた。

そして後には、細い身体をロープで拘束され、
縋るような上目遣いで青年に懇願する
一糸まとわぬ記憶喪失の美少女と。

・・・宿屋の娘から、変態鬼畜男の称号を授与された
実際は被害者の青年が残った。





「おいしい、ソーマ、おいしい、ソーマ・・・」

少女はリンゴと名付けられ、ソーマに引き取られることになった。

「ふるえる、ソーマ、よくかむ、ひきにく、まっか・・・」

リンゴはソーマから知識を貪り、
真っ新の状態からオーダーの技術を学習していく。

「ソーマ、すき、けっこん・・・」

彼女の頬が、赤く、染まる。






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