立方体の箱

後発の優位性は時として残酷である。
ある作品にインスパイアされた後発作品が、
優れた出来栄えであるがゆえに
先発を“食って”しまうことがある。

リアルタイムで経緯を追ってきた人にとっては
先発に十分な敬意を払いつつ
後発を楽しむことは、そう難しくない。

しかし、逆順で触れた場合は、
先発ありきと理解していても、感覚が伴わない。

「ONE OUTS」を読んでから、
だいぶ後に「タイ・カッブ」を読んだ私は、
“そういう感覚”を抱いていた。


「ONE OUTS」のルーツが1つ判明した、
そういう意味で、読む価値は十分にあった。

ある意味それは、立花晶が
長編マンガを手に入れたときの読み方を
ナチュラルに実践していると捉えることも出来る。

冒頭で“残酷だ”と述べたが、
そうした残酷さをも楽しんでいるのも事実なのだろう。


ワンナウツとタイカッブの関係は、
「少女鮫」と「ジョーズ」にも見受けられる。

「ジョーズ」は「少女鮫」のルーツの1つというだけでなく、
あらゆる“鮫モノ”の起源であり、原典であるとの評価で、
機会があれば観てみたかった。

少し前に視聴したのだが、
少女鮫より前に観ておきたかった・・・というのが本音だ。
それなりに面白くはあったので、本来あるべき順序で
視聴できなかったのは残念だった。


「CUBE」を視聴したときも、
なるほど「BOX」の元ネタは、これなのかと腑に落ちたが、
こちらは逆順で良かったと思う。私にとっては。

9桁なら暗算で解けるのは天才と呼んでもいいが、
3桁の素因数分解とか、それまでの展開は何だったのか。
悪い意味で自分の数学力に自信が持てる。

いちおうギャグとしては整合性があるのだが、
(それぞれの死に様は、見方によってはギャグめいている)
どうにも梯子を外された感覚だった。

何で急激に頭が悪くなるんですかね・・・?

某ギャンブルマンガで、“優等生キャラ”が
円柱の塔が回転するのを想像できなかったときも
“優等生”舐めんな、って思ったのですが、
(あれらの角度表記から、回転を想像しない方が困難では?)
それ以上に頭ぐんにゃりするというか・・・。

・・・自分でもスルーすればいいとは思うのだが、
いったん引っかかると、どうにも抜け出せない。


しかしながら、謎の箱に閉じ込められた人々が
脱出を目指す、その設定自体は文句なく面白い。
だからこそ後発で多くの作家が
この素材を料理しようとしているのだ。

諸星大二郎「BOX」も、その1つであり、
“箱”に入る前の段階から描いている。
じわじわと日常が侵食される、諸星テイストは、
きっちり素材を自分のスタイルに落とし込んでおり、
元ネタや過去作を知らなくても
これ単独で面白く完結して読める。


後発で、もうひとつ触れておきたいのは
なんといっても「論理少女」の三角砦である。

「BOX」は、怪奇マンガにパズルが組み込まれている
何だか得した気分になる贅沢さがあるが、
“脱出パズルもの”としての面白さは
やはり三角砦である―――オマージュとしても優れている。

上述の不満点が解消された“完全版”構成であると同時に、
なるほど、だから最初の部屋にあるのかと、膝を打った。
細かい合わせ技が気が利いている。








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