山田「遅効性の毒物」

八武「おや、山田くん。随分と顔色が悪いではないか。」

佐久間「虚弱体質のアッキーならともかく、冬でも薄着で私の目を楽しませてくれる健康優良児・山田太郎が、一体どうしたわけだ?」

山田「お前のせいだよ。」

八武「私の?」

佐久間「死根也、貴様! 山田に毒を盛ったのか!?」

八武「濡れ衣だ!」

佐久間「犯罪者は皆そう言う。」

八武「確かに山田くんに開発中の新薬を処方はしたが、」

山田「おい?」

八武「山田くんで人体実験をするのは、これが初めてではない!」

佐久間「遺言にしてはチャチな言い訳だな・・・?」

山田「・・・聞き捨てならない事実が新たに発覚したが、俺に毒を盛ったのは佐久間だからな。」

佐久間「馬鹿な! 愛する夫に毒を盛る妻がどこにいる!?」

維澄「割といるんじゃないかな。」

佐久間「黙れ。」

八武「なるほど、バレンタインデーのチョコレートが、まだ山田くんの身体を蝕んでいるのか・・・。どうやら新薬は効かなかったらしい。」

山田「ああそうか、それで死根也に薬を処方してもらったんだった。」

神邪「なんだ、やっぱり医者として正しい行動だったんですね。」

八武「臨床を終えてない薬物を用いるなど以ての外、この八武死根也、それは重々わかっているのだが、あまりに山田くんが苦しんでいるのを見て、つい・・・。」

佐久間「最低な男だ! 医者の風上にも置けん!」

山田「元凶を棚上げしている最低女が何か言ってるぞ・・・。」

佐久間「ちょっと具合が悪いだけの患者を病人に仕立て上げる悪徳病院め! その腐った鉄槌を、正義の心で矯正してやる!」

山田「往生際の悪い奴だ。ぶっちゃけ死根也の薬で相当マシになってるんだぞ。」

佐久間「嘘だ、顔色が悪いぞ。」

山田「お前のチョコを喰った直後は、今の10倍は苦しかった。」

佐久間「恋の病か。照れるじゃないか。」

八武「それに罹患しているのは佐久間の方ではないのかね?」(匙投げ

神邪「ドクター、しっかり! 現代医学は敗北していません!」

維澄「佐久間の言う失敗作を食べても何ともないのにね。」

山田「失敗作が食べたい。」

佐久間「だから何度も言ってるだろうが。普段から私の手料理を食べ慣れている山田からすれば、お前ら貧乏舌が美味しく食べている失敗作チョコなど、下水未満の味しかしないとな!」

維澄「それなんだけど、普段の佐久間は料理上手だよね?」

山田「そうです。」

佐久間「いつでも私は料理上手だ。麒麟館の宇佐美ではないが、料理など出来て当然。基礎代謝と変わりない。」

佐久間「本当は上手なのに、料理担当を押し付けられるのを嫌って、わざと壊滅的な料理を作る女もいるが、私と山田の生活で韜晦など不要だからな。」

維澄「思ったんだけど、実は成功作も失敗作も根本的な違いは無いんじゃないの?」

佐久間「そりゃそうだよ。同じ材料で作ってんだから当たり前だろ。」

山田「佐久間ちょっと黙ってろ。」

八武「どういうことかね?」

維澄「佐久間のせいで山田の脳機能に障害が生じていて、私たちには美味しいチョコレートでも、山田は絶対値が同じでマイナスに感じるようになっているのかな・・・と。」

山田「何それ恐い。」

八武「・・・ありえなくは、ないか。」

佐久間「なるほど? つまり私への溢れ出る愛情で胸いっぱいになって、苦しすぎるというわけか。私も愛されてるなァ。」

山田「死根也、馬鹿につける薬を急いで佐久間に飲ませてくれ!」

八武「・・・つける薬なのに飲ませるのかね?」






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