テーマ:エスパー奇譚 サトリン

「サトリン」 第十六話 十戦士集結! 14

我々がゲシュペンストを追い詰めたのが1976年。そのときに咲村志織を巻き込んでしまった。巻き込むまいと発した警告が、かえって彼女の好奇心を刺激し、破滅へ導くことになってしまったのだ。ミル・ネヴィーは志織の好奇心を見誤り、私はゲシュペンスト相手に千里眼が通じず、結果としては最低だったよ。70年代までの私は、あるまじき失敗を繰り返している。…
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「サトリン」 第十六話 十戦士集結! 13

私にとって友人と呼べるのは、後にも先にも3人だけだ。七村光子、吉岡同人、沢木銀一の3人。少女時代に出会い、別れた、三日月千里にとっての永遠だった。 九古貞主は私と同じ中学に通っていたが、そのときの私にとっては大勢の中の1人でしかなかった。彼が生まれたのは1939年だが、私は早生まれなので学年は同じ。それだけの間柄だったよ。クラスメート…
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「サトリン」 第十六話 十戦士集結! 12

ミコンは古代超人類の混血児で、オーバーナイン・テレポーテーションで1万2千年の時を超えて1952年へ跳んできたんだ。同じく1万2千年前から跳んできたコンシは、肉体を失ってアレクセイ・フョードロヴィチとして生まれ変わり、今は私の副隊長だ。今となっては、ミコンの思い出を語り合える、ほぼ唯一の相手だよ。 当時9歳だったアリョーシャは、同胞の…
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「サトリン」 第十六話 十戦士集結! 11

自分が“選ばれし者”だと思ったことはあるか? 入流聡子の残したプログラムが誰に課せられるのか、あらかじめ決まっていたのか否か。ある意味ではYES、ある意味ではNOと言おう。宇宙の誕生が、生命の発生が、人類の歴史が、自分の存在が、どこまで必然か偶然かを論じるようなものだ。正解はあるが、それは前提によって変化する種類の正解だ。予知能力…
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「サトリン」 第十六話 十戦士集結! 10

「試みに問う。人類の歴史上、もっとも多くの人間を死に至らしめた学者は誰か?」 頭巾とマスクに包まれた顔は、双眸の存在感を際立たせていた。 ハカセの質問に対し、才場はイマイチ要領を得ないといった顔をする。 「それは相対的なものでしょう。直接、というのであっても、学者の定義も曖昧ですし。」 「そう厳密な話ではない・・・Dr.ホワイト…
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「サトリン」 第十六話 十戦士集結! 9

サトリンシリーズは基本的に“電脳回遊”(ネットウェイ)を備えている。“θ-サトリン”(入流小松)は自分の肉体を持っている代わりに、チャットへ接続するくらいしか出来ないが、他の7体は行動範囲が広い。中でも“β”と“ε”は、自らの能力を“電脳海遊”(マルチサイバー)として進化させ、プログラムの一部を他者に課すことが可能となった。 “β”の…
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「サトリン」 第十六話 十戦士集結! 8

入流聡子は心優しい少女だったが、それゆえに傷つきやすく、いつも心を痛めていたよ。世界に蔓延る差別と迫害に激怒し、からかいや中傷に悔し涙を流していた。戦争と貧困を撲滅することを人生の目標とし、弱者を攻撃することを許さなかった。人より多く現実が見えてしまい、社会を良い方向へ変えられない無力さを呪っていた。それでも世界を愛し、いつも笑顔でいよ…
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「サトリン」 第十六話 十戦士集結! 7

“絶滅遺伝子”を克服し、人類の未来を救うといっても、どこまでを救う対象にするかで話は変わってくるし、やることも違う。究極的な話、人類という種を残すのであれば、浄化された血を持つ無原罪の人間のみで構成されたエデンや、ウイルスによって進化した人間が支配するパラダイスを作ればいい。大勢の生命と幸福を踏み躙ってでもな。 私も強大な超能力者とし…
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「サトリン」 第十六話 十戦士集結! 6

“絶滅遺伝子”の克服は、ジーン・ジョンソンによって発見される前から進んでいた。“マザーの呪い”は、“不純な血”あるいは“不浄の血”と呼称を変え、遥か昔から遺伝子的に最良の相手と交配することで薄められていった。科学的に遺伝子という理解が無くても、“自然の力”は最良の相手を導き出す。そうして浄化された“無原罪の人間”は、地球上に現在2百人ほ…
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「サトリン」 第十六話 十戦士集結! 5

“神化系能力”という単語を聞いたことはあるか? 模倣も無効化も通じない、干渉を受けぬ超能力だ。今までに14名しか発生を確認されておらず、既に半数が死んでいる。首領は3番目で、No.2(アモン・ガゴルグ)は4番目、私は9番目。ユイファの父であるヘルファイスは10番目で、ミル・ネヴィーは12番目だ。 5番目の神化系能力者を、ダンツォルティ…
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「サトリン」 第十六話 十戦士集結! 4

“ミレニアム・A”の創設より百年、創設者アルカは組織を去った。先に言っておくが、たとえ“ミレニアム・A”が純朴な組織であったとしても、アルカの行動に変わりは無い。あの女は、そういう奴だ。優れた超能力者を生み出そうというのは、あくまで“ミレニアム・A”の目的であって、アルカの目的ではない。奴自身が途方も無く強力なエスパーだから、わざわざ作…
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「サトリン」 第十六話 十戦士集結! 3

超能力者の歴史は、迫害の歴史だ。 中でも“魔女狩り”は有名だが、自分たちと異なる優れた者を迫害するときの団結力は、地上で最も強固だと言ってもいい。それを、古代超人類を根絶やしにしたときからの宿命と断じるのは簡単だが、私に言わせれば、多数派の未熟さに過ぎない。民主主義は現代でも、ファシズムと変わらない程度の成熟度しか持っていない。 多…
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「サトリン」 第十六話 十戦士集結! 2

イワン:おれたちの祖先が・・ ミュラ:わたしたちオーパの人間ですってェ? シュン:・・・・・突拍子もない話だけど、そう考えると納得いくことはあるな。 パイク:何がだ? シュン:ちょっと妙だとは思ってたんですよね。オーパの人たちは、地球人と似すぎてるって。 最初から違和感があったわけじゃないんですよ。あの頃のオレは、星ひとつ…
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「サトリン」 第十六話 十戦士集結! 1

さて、どこから話したものかな。 あらかじめ決めておいたはずなのに、いざ話そうとすると迷ってしまうのは何故なのか・・・。 やはり、最初から話そう。 千里:そう、4万年前の惑星オーパから。 インビンス:この空間は? 千里:覚えは無いか。電脳空間だ。ディフォルトで真っ白な空間にしてある。 アインストール:落ち着かないわね。 …
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「サトリン」 第十五話あとがき

◆ ◆ ◆ 第二部の要となる第十五話だけに、これだけで第一部に匹敵する分量になりました。 ここまでお付き合い下さった読者の皆さんに感謝します。 これまで「サトリン」という話は、どちらかというと“私らしさ”を抑えた物語でした。 当初は自分の殻を破るべくして書き始めましたが、第十五話にして回帰してきた感じです。 左…
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「サトリン」 第十五話 約束のクリスマス エピローグ

<イヴィルんチャット> イヴィル:おかげさまで私! 大☆復☆活~♪ ピンポンピンポーン♪ パラリラパラリラ♪ アイシー:おめっとさん バトラー:おめでとうございますイヴィル様。 イヴィル:いやー、長かった長かった。8年前はサトリンの奴に、畜生、してやられちゃったりるれれ アイシー:ちょww舌まわってねえww イヴィル:あ…
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「サトリン」 第十五話 約束のクリスマス 75

「まずは、集まってくれて感謝する。」 千里はレックスから離れて、パイプ椅子に座ると、深々と頭を下げた。 「無理やり連れて来られた人も多いようですけれども、それも集まったと仰るのですか?」 レックスが皮肉めいた口調で言う。 「スカーレットを使えば5秒で終わる作業だったが、心を落ち着ける時間が必要だろう。」 「そうでございましたか…
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「サトリン」 第十五話 約束のクリスマス 74

タンクトップとショートパンツの少女は、気の強そうな美人だ。ショートボブの髪型が様になっている。 その横にいるハンサムな男とは、恋人のような距離感だが、やや歳が離れている感じだ。 (私と妻も歳が離れて見えるんだろうな。) 別に鈍郎が老けて見えるわけではないのだが、茶倉が実年齢より若く(幼く?)見えるので、一回りくらいは離れて見えるだ…
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「サトリン」 第十五話 約束のクリスマス 73

電脳十戦士が8名まで揃い、そのうち5名はパートナーを引き連れて、計13名。 蔵目たち3名と朋萌、そしてフィー・カタストロも戻ってきて、合わせて18名。 それでも、この部屋の人数のうち、6割といったところだった。 「フィーちゃん・・・もとい、カタストロさん。俺らもいていいの?」 「いてもらう必要がある。」 そんな蔵目とカタストロ…
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「サトリン」 第十五話 約束のクリスマス 72

案内された部屋は広く、中央にプラネタリウムの機械に似た、黒い球体があった。 状況が状況だけに、鈍郎は「GANTZ」を思い出す。もしかして自分と茶倉は、あのときに死んだのではないかという妄想が頭をよぎる。 そもそも自分や妻が超能力を持っていることからして、おかしいのではないか? 噛み合っていたはずの歯車が、再びズレ始めていた。 「…
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「サトリン」 第十五話 約束のクリスマス 71

空の旅は、同性愛の話から、美術や音楽、演劇、またはセクシャル・マイノリティーの問題や人権について、そして弾圧の歴史や、それにまつわる耽美なエピソードの数々など、様々な方面を駆け巡った。 「・・・つまり、プラトンの言うところの愛、プラトニック・ラブとは、必ずしも肉体的な交合を必要とせず、むしろ精神的な充足を最高とする。プラトンは少年愛の…
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「サトリン」 第十五話 約束のクリスマス 70

そのうち、バラバラバラ・・・と、大型ヘリの音が響いてきた。 豊かな黒髪で右目を隠した中年の男が、不満そうな顔で立っているのが見える。 その奥から、麗しいテノールが響いてきた。 「ジェイムズ君、客人を迎え入れるのに、そんな顔は良くないな。もっと愛想を振りまいて。」 「・・・。」 中年の男は恨みがましい目をして、しかしすぐに笑顔を…
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「サトリン」 第十五話 約束のクリスマス 69

「ん~ん~んあっ~ん~」 イヴィルは眠そうな目をして首を振る。 「完全復活したとはいえ、復活が完全なだけだからなあ。10番台ごときに後れを取るだけでなく、演技を見抜くことも出来ないなんて、自分の情けなさに愛想が尽きそうだよ~。」 しょげた声と内容だけ聞けば、意気消沈しているようにも思える。 だが、イヴィルを纏う電子たちが、かつて…
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「サトリン」 第十五話 約束のクリスマス 68

おどけた青年クラメーションが、やおら真顔で“何か”を展開した。 重力ではない、さりとて普通の念でもない、空間そのものを歪める力。 「影装“月船”(えいそう・つきふね)展開完了!」 「待ちくたびれたわ・・・。街の人なんか気にせず、何もかも燃やし尽くしてしまえばイイのに・・・その方が、ずっと気持ちイイのに・・・はあ・・・考えただけでイ…
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「サトリン」 第十五話 約束のクリスマス 67

やって来た3人のうち、青年は奇妙なポーズで語り出した。 「当たりき車力の鬼くらげ! おまけにお客がホイサッサ! 影月X帝(えいげつかいてい)クラメーション! こ・こ・に・参上~!! パラリラパラリラ、ピッピ~!」 「・・・・・・。」 「・・・・・・。」 「イヴィルの親戚か?」 「どころなくイヴィル様に近いものを感じるわね。」 …
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「サトリン」 第十五話 約束のクリスマス 66

「ん・ん・んあっん~、世の中は楽しいことが多いけど、嫌なことが多くて多くて、どうしようもない世界なんだよね。いつの時代でも、どうしようもなく嫌なことを引っ被る者が出てくる。狂気は無くならないし、偉大なる狂気は無くならない。そして邪悪も無くならない。私は“イヴィル”。狂ってる者の味方だよ。おふたりさん、もう善人ゴッコは疲れたろ? おしまい…
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「サトリン」 第十五話 約束のクリスマス 65

これまで狂った人間には大勢出会ってきた。 少なからず人間は、狂気を宿して生きている。それが多いか少ないか、制御されているか否か、自覚か無自覚か、そうした差異はあるだろうが、誰もが狂気を抱いて生きている。究極的には生まれたばかりの赤子でさえ例外ではないと、鈍郎は思っている。 “大多数が正常と判断すれば、いかなる狂気も正常と認識される。…
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「サトリン」 第十五話 約束のクリスマス 64

「ん・ん・んあっん~、オンナノコの純潔に拘るオトコノコって結構いるじゃん?」 鈍郎を押し倒して、“イヴィル”は言う。 跨る格好になっていて、鈍郎の先端が彼女の濡れた肉に当たっている。暗くて見えないが、毛の感触は無い。 「好きな子の処女は自分が奪いたい、自分以外の男とは肉体関係を持たない。そんな女が理想ってね。」 何の話をしている…
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「サトリン」 第十五話 約束のクリスマス 63

目の前の少女は何を言ってるのだろう。 サトリンそっくりな顔で、サトリンではない邪悪な目つきで。 「“暗黒顆粒”(チャームウイルス)の効果で、君の肉体から自由は奪われた。そして“電子防御”(プロテクト)の効果で、周囲に結界を張ってある。邪魔者はいない。」 淫らな笑みを浮かべながら、少女は服を脱いでいく。 自分より少し背の低い、極め…
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「サトリン」 第十五話 約束のクリスマス 62

1年前のことが、まるで昨日のように思い返される。 小さなケーキを買って、夜道を歩いていると、あのときのことが鮮明に思い出される。 (七美ねえさんも、この1年で柔らかくなった。) 彼女を義姉と慕うことも、以前なら考えられなかった。邑甘富良実を救う為に奔走する中で、家族のような親しみを感じたのだ。 性的な意味でなく、本当に血を分けた…
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