テーマ:エスパー奇譚 短編

傀儡師は夜に眠らない あとがき

◆ 「放置していた作品に日の目を!」と思い至り、蔵出し&加筆した短編でした。 何年前に書き始めたのか忘れましたが、2012年より前なのは確かです。 そのときに結末まで構想していましたが、途中で筆が止まってしまい、長らく埃を被っていました。 自分で読み返していて、現在とは考え方や感じ方が違うところも結構あると思いま…
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傀儡師は夜に眠らない 7

「超能力の中には、それ自体が理そのものであるような能力が存在する。」 3体の人形を宙に浮かべながら、ギルは不気味な笑みを浮かべていました。 「封じることも、惑わすことも、奪うことも出来ない、そんな能力がある。」 「俺の能力が、それだってのか。」 それは、後に“神化系能力”と呼ばれる概念でした。当時のわたくしは、そんな知識はありま…
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傀儡師は夜に眠らない 6

「何故、だって?」 ギルは肩を竦めて笑いました。わたくしに向けられた気さくな笑顔は、まさに友人への情愛以外の何物でもありませんでした。 しかし彼の言葉は、怒りと、憎しみと、殺意に満ち溢れていました。 「大声で、飲んだくれて、女を見下し、弱い男を蔑み、それらを正当化して暴力を振るう・・・そんな、下品で野蛮な連中に、これ以上の“殺され…
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傀儡師は夜に眠らない 5

それから1週間ほどは何も起きませんでした。 わたくしは浮かない気分を吹き飛ばそうとするように、酒を飲みました。 「なあアモン、例の事件・・」 「その話はよせ。」 「わ、悪い。」 どこへ行っても、あの事件の話が付いて回っていました。まざまざと見てしまったせいか、事件の話を聞くと、あの凄惨な光景が蘇ってくるのです。 「ギル・・・…
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傀儡師は夜に眠らない 4

それから3日が過ぎた日の朝、わたくしが仕事場へ向かう途中のことでした。 知り合いの1人が血相を変えて走っているのが視界に入ってきました。 「おい、どうした。」 「おお、アモン。やべえことが起きた。人が死んでる、いや、殺されてるって。」 「なにっ?」 治安の悪いところです。人が死んだり殺されたりするのは珍しくありません。 けれ…
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傀儡師は夜に眠らない 3

「では、遠慮なく。」 彼はグイッとジョッキを傾け、一気に半分ほども飲んでしまいました。その豪快な飲みっぷりに、わたくしはますます彼が気に入りました。 「名前、なんていうんだ?」 「ギル・パイアー。人形師です。」 そう言って彼は、黒い箱を開けました。何の箱だろうと思っていましたが、中に入っていたのは3体の人形でした。 道化師を模…
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傀儡師は夜に眠らない 2

「おい、立てるか?」 わたくしは彼に手を差し出しましたが、彼は余計なお世話だと言わんばかりに、自分で立ち上がって埃を払いました。 少々ムッとしましたが、それ以上に、興味が湧いてきました。わたくしは彼の横に座って、酒をもう一杯注文しました。 「そんな上等なナリで、こんなとこ来て、今みたいな目に遭うって予想できなかったのか?」 正直…
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傀儡師は夜に眠らない 1

その日、わたくしは酒場で1人の男と出会いました。全くの偶然です。 30代に差し掛かったくらいの痩せ気味の青年で、男としては少し長めの髪と、窪みに黒水晶をはめ込んだような瞳が印象的でした。身なりからして、普通の仕事をしている人ではないな、と思いました。 それというのも、着ている服が場に不釣合いなほど上等なものだったからです。 下…
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挿話あとがき

◆ ◆ ◆ これらの話は「サトリン」本編とも関わってくるのですが、番外編というには十戦士も殆ど出てこないので、挿話という形で発表しました。(カテゴリも「サトリン」ではなく「短編」です) 元々は、「いつかどこかの日常で」(上 下)において仄めかしていた、“アポトーシス”との戦い(1997年)を描いた物語の構想があり、「…
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シータあるいは入流小松 エピローグ

<イヴィルんチャット> イヴィル:ん・ん・んあっん~♪ 正義の奥に闇が潜む、イヴィルんるんだよーん♪ アイシー:キャハハハハ! かびるんるんかよ! イヴィル:はひふへほー! バトラー:どういうテンションなんですかイヴィル様。 イヴィル:る・ら・ら・ら~、悪とは!カビや黴菌のようなものと言いたいのん! 決して滅ぼすことは出来…
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シータあるいは入流小松 8

「わが国では事実上、1978年に蛹田蛭巳(さなぎだ・ひるみ)が亡くなってから、超能力部隊が存在していない状態なんですよ。」 蒼斗は椅子に座って話していた。 カタストロは仕事で席を外しており、小松と蒼斗、小竹と小梅が室内に残っている。 「社会の諸関係が複雑化した現代で、かつてのような短絡的な暗殺などは論外です。しかし正義を為すには一…
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シータあるいは入流小松 7

「チーム、ですか?」 「そうだ。」 小松のもとへ辞令が届けられたのは、2004年の秋だった。 フィー・カタストロが連れてきたのは、同じ顔で髪の色が違う2人の幼児。 「双子ちゃんですか?」 「小竹と小梅。それぞれ、念力凍結と念力発火の能力者だ。年齢は4歳だが、A級の出力を持っている。」 カタストロが説明する傍らで、双子は怯えの…
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シータあるいは入流小松 6

<サトリンチャット> θが入室しました βが入室しました β:んんっん~、小松ちゃん、わんばんこ! θ:こんばんは、β姉さん。 β:の・の・の・の~、サトリンって呼んでよう。 θ:電脳戦士を集めるのは、苦労してるみたいですね。 β:そうなの~、九古くんは頑なな科学人間なの~。 θ:・・・それだけではないですよね? …
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シータあるいは入流小松 5

「それは正義じゃありません。」 ある日、小松はユイファと話す機会があった。 正義は流血なしには存在しえないと言うユイファに、小松は反論したのだ。 「正義の名の下に、無辜の血が流されています。それは正義を名乗っているだけです。」 「それでは悪党の血を流すのはいいの?」 瞳の色こそ常態の緑だが、ユイファの言葉は愛らしい少女の外見と…
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シータあるいは入流小松 4

母さんは全てを。 最初の姉さんは慈愛を。 男装の姉さんは寛容を。 小柄の兄さんは節制を。 邪悪な姉さんは無感動。 邪悪な姉さんは憤怒を。 邪悪な兄さんは暴食を。 わたしは正義を。 自分の中に悪が無い。 悪い奴を愛せない。 悪い奴を許せない。 悪い奴を殺したい。 世界は美しい。 争いは苦しい。 …
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シータあるいは入流小松 3

アルカディアの中でも、単独で一都市を制圧可能なエスパーを“帝”クラスと呼ぶ。 ここで基準になるのは戦闘力よりも制圧力であり、カタストロやキアラは“帝”ではない。 クラメーションやユイファが本部から離れて生活しているのは、何も修行を怠けているわけではなく、制圧力の訓練という意味合いがある。戦闘と違って、制圧とは生活基盤にまで踏み込んだ…
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シータあるいは入流小松 2

「念力出力110万PKPか・・・。書類を見ても信じられなかったが。」 訓練に用意された広い平原で、カタストロは髪をなびかせて感想を述べていた。 「こうして実際に見ると、確かに超能力で、確かにA1級だ。」 近くで小松は、へたばっていた。その様子は人間にしか見えない。 カタストロは小松を、もはや“ロボット”と見てはいない。れっきとし…
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シータあるいは入流小松 1

20世紀最後の年の、5月。 アルカディアNo.10、フィー・カタストロに、ひとつの辞令が下った。 「何の冗談ですか?」 この日、カタストロの表情に、新たなバリエーションが追加された。元から無表情な方ではあるが、80年近く生きてきて、こんな顔になったのは初めてのことだった。 スラリとした体躯を、サイコキネシスの椅子にもたれかけて、…
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ユイファあるいは火頭結花 エピローグ

「瑞樹。迎えに、来たよ。」 真夜中のオフィスにユイファが現れたのは、2005年の、ある日のことだった。 その日、草薙瑞樹は残業で、1人で会社に残っていた。係長の葱島は、女性が1人で残るのは良くないと反対したが、瑞樹はムッとして反発し、こうして仕事を片付けている最中だったのだ。 「女を舐めてるのよ、あの係長。」 瑞樹は独り言のよう…
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ユイファあるいは火頭結花 8

少女は孤独だった。 自分の存在が、世界にとって異分子であることを悟った。停滞した現実の中で、自分の無力さを知った。 少女は幸福だった。 自分の存在が、世界にとって異分子であることを喜んだ。空疎な世界の中で、狂気の原石を見つけた。 少女と少女は出会い、貪り、魂の救済を得る。 あれから4年ほどが経過していた。 クラメーション…
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ユイファあるいは火頭結花 7

訓練が終わって、夜。星空の下でユイファは、ふと過去を振り返った。 元アルカディア重幹部を祖母に持つユイファだが、では両親は如何なる人物だったのか。 母親は元アルカディア砕組ルーファ・アータスティー。容姿は母親譲り、特に大きな目は、そっくりだった。 しかし破綻した人格や、おぞましい能力は、父親譲り以外の何物でもない。 ヘルファイス…
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ユイファあるいは火頭結花 6

「電球というものは、電気エネルギーの全てを光に変えているわけではない。」 場面を同じくして、カタストロの講義。 クラメーションもユイファも、大人しく席に座って授業を受けるタイプでもなし、こうして屋外で講義を行っている。 「仮に電気エネルギーの全てを光に変えられたら、倍も明るくなる。お前たちに目指してもらうのは、まずはそれだ。」 …
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ユイファあるいは火頭結花 5

「参上、参上、参上、参上!参上、参上、参上、参上! 影・月・X・帝! クラメーション!」 両腕を振りまくった後に、キレッキレのポーズを決めながら、少年は自己紹介を終えた。 そう、これがクラメーションの考えた自己紹介、すなわち“前口上”である。既に5パターン以上あるらしい。 「あは・・・・ははははは・・・・ひはっ・・・・・」 対す…
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ユイファあるいは火頭結花 4

「―――見事。」 その一言が、カタストロの感動の深さを顕していた。 訓練のために用意された広い平原は、灼熱の地獄と化していた。熱風の吹きすさぶ中で、老女と少女の2人。 老女の方―――カタストロは、老いてなお進化する化生であり、少女に勝るとも劣らない狂気を孕んでいた。 「“火掌発剄ウルカヌス”。この短期間で、祖母の技を会得したか。…
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ユイファあるいは火頭結花 3

「いかがでした?」 「感触は悪くない。」 火傷した手を治しながら、カタストロは海月に答えた。 あの後、ユイファに火傷を負わせられたが、その時点でユイファの気力が限界だった。火炎同化が解除された彼女は、恍惚とした表情で全身を痙攣させ、失禁しながら失神していた。 「私に手傷を負わせるなど、クラメーションでも難しいことだからな。捕獲さ…
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ユイファあるいは火頭結花 2

「それで、私に育成を頼みたいわけか。」 「はい。」 蒼志が事情を説明すると、フィー・カタストロは察して結論を先取りした。 十幹部の末席、フィー・カタストロは、戦闘から育成まで幅広くこなすベテランで、マニュアルでは対応しきれない部分を補完する役割を持っている。現在も、A1級の出力を持つ子供の育成を担当しているのだ。 「X・クラメー…
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ユイファあるいは火頭結花 1

「あああ~! 熱いィよ、燃えるよォ、気持ちイイよォ~!!」 1人の少女が悶え苦しんでいた。いや、この場合“苦しんでいた”と表現すべきだろうか? 彼女は明らかに悦んでいた。苦しみながら恍惚としていた。燃え盛る炎のような、真っ赤な髪が、ざわざわと蠢いている。丸っこく可愛らしい顔の中央で、悦楽の涙を流す緑色の双眸は、同時に狂気を孕んでいた…
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クラメーションあるいは蔵目翔 エピローグ

「うわ~! こうなったらもう、やけのやんぱちくまんばちだ~っ!」 少年が全身を歪曲空間に包んで突進する。 しかし相手の女は、ひらりと身をかわして、少年の力場をすり抜けて念力の一撃を食らわせた。 少年が悲鳴をあげて吹っ飛び、試合終了。 X・クラメーションとフィー・カタストロの、いつもの修行風景だった。 「あ~、勝てない。勝て…
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クラメーションあるいは蔵目翔 8

「セレス、何も説明してないのか?」 カタストロは朋萌のことを“セレス”と呼んだ。非難めいた口調ではない。 「そうです。さっき起きたばかりでしてね。あ、名前と年齢は教えました。」 「そうか。まあ、あらためて名乗っておこう。私はフィー・カタストロ。アルカディアのNO.10だ。」 澄んだ声だった。 年寄りの声と言えば、男でも女でも、…
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クラメーションあるいは蔵目翔 7

「何か食べる?」 天道朋萌がクッキーとチョコレートを出してきた。バターとカカオの匂いが鼻をくすぐる。 そっとクッキーを持ち上げると、不思議な重さだった。 「はぐむっ!」 噛み千切るような勢いで食らいついた。クッキーは無抵抗に砕け散って、口の中に広がった。 「水、いる?」 「ん!」 コップを受け取って口の中に流し込むと、爽や…
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